アルプスと日本海を山スキーで繋ぐ3月の栂海新道
- GPS
- 53:29
- 距離
- 47.6km
- 登り
- 3,288m
- 下り
- 4,936m
コースタイム
- 山行
- 7:00
- 休憩
- 0:57
- 合計
- 7:57
- 山行
- 10:37
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 11:57
天候 | 4日:晴れ 5日:曇り時々雨 6日:雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
ロープウェイは運転開始前期間だったため未使用。 親不知からは鉄チンさんにピックアップしてもらいました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【ルート情報】 [赤男山と雪倉岳のコル] 泊まれる箇所がいくつかありました。赤男山と朝日岳の間のコルもフラットで広くて泊まれそうです。 [長栂山〜Co1623.6] めちゃくちゃ快適に滑れる広いバーン!これから向かう犬ヶ岳に向けて滑り込む最高の滑走ができました。 [Co1623.6〜Co1612.3] 尾根が広く快適にハイクできました。 [Co1612.3~犬ヶ岳] 尾根が狭く厳しいトラバースや雪稜歩行を強いられます。特に崩落地周辺の雪稜はクレバスが多数開いており、ヒドゥンクレバスもあるので、シートラしながらここを通過するのに非常神経をつかいました。 [犬ヶ岳〜白鳥小屋] 尾根のアップダウンが連続するので、東面をうまくトラバースしながら進みましたが、雪崩の巣窟でした。ちょっと滑るだけでズルズルすべるので、尾根をうまく使ってすすみました。 [上路集落〜入道ヶ岳〜親不知] 雪が少なく登りは夏道があまり使えませんでした。滑走はシールで標高400mほどまで滑れ、そのあとはシートラ、最後100mほどは夏道で下山できました。 【避難小屋情報】 雪倉避難小屋:凍り付いており、また小屋中に雪が詰まっていたため、使用できませんでした。 栂海山荘:屋根のみ見えていましたが、掘り返して使うには大変苦労しそうです。 白鳥避難小屋:2Fの梯子のついている側の窓にはかぎがかかっておらず、そこから入れます。使用料2000円/1人 |
その他周辺情報 | 富山コンフォートホテルさん使用、登山に理解のあるホテルのようでした。 |
写真
感想
去年の今頃、ヘルニアをやらかして夏の間、ほとんど山に行けず非常に苦しかったのですが、それもヘルニコアのおかげで何とか12月に良くなり、そこに飛び込んできたいっしーからの3月栂海新道の話。
これは行くしかないと、12月から山スキーを復帰させ、2日二一度自転車を漕いだり、シートラ歩荷トレをしたり。何とか体を仕上げて間に合わせられたのは本当に良かった
【3月4日 (木)】
気合十分で栂池の駐車場で即準備を終わらせゴンドラに乗る。ゴンドラの終着駅でまさかのビーコン忘れ、自分は駐車場に出戻り。
ビーコンを回収してまたゴンドラで上に向かおうとするも、財布をゴンドラ終着駅の荷物の中に忘れ、一瞬焦る。携帯のSuicaで会計できたので良かったですが、最先が思いやられる感じでもっと集中しないとなと感じました。
それも、終着駅でビーコンを取りに向かう前に、いっしーに『財布持った?』と確認してもらっていたのに....これはやらかしですね。反省。
初日は天気悪いも良く軽快に林道を詰め自然園に。先週作ったイグルーはぺちゃんこに潰れていました。週初めに雨が降ったので、そのせいでしょうか。入口も塞がっていましたが、潰れた底は空洞になってました。中入れるのかな?笑
自然園から船越の頭まではいつも通りの道を上げました。途中スプリットボーダー、スキーの2人組のパーティと少し会話をして、ピークへ。日本海まで行くと答えたら驚いてましたが、その方も水晶に誘われていたようで、なかなか強い方のようです
船越の頭から小蓮華はシートラで向かいました。自分は船越から先、この時期は行ったことがなかったので、いよいよ未知の山域に入っていくという感じがとても強かったです。
南沢山でシートラトレをしていたので、きつい登りでしたが快適に上げれました。
小蓮華山の東面は雪が少なく三国境方向に少し進んでからドロップ。ドロップポイントから雪倉避難小屋のコルに向けて滑りますが、ここは地形図よりも複雑に地形が入り組んでいて、滑ったあと、尾根、沢のトラバースを繰り返してCo2235を少し過ぎたあたりでトランジットし避難小屋へ。雪倉避難小屋は扉が開かず、窓から除くと雪が中にびっしり入っており、使えなさそうでした。
小屋から雪倉岳は夏道が出ていたのでここもシートラ、Co2467当たりでシールとクトーで雪倉岳にいたりました。
雪倉岳からは北面落としましたが、時間が遅いのと、北面ということもあって、ガリガリの面が多数。沢筋はパウダーが残ってましたが、フラットライト過ぎて酔うレベル。おっかなびっくり落として赤男山手前のコルで初日は終了。
今回はいっしーのプロモンテの3テン。広くて過ごしやすかったです。この広さで2キロ切ってるのはすごい。初日は日没ギリギリまでま動いていたので飯を食べて20:30に就寝。
【3月5日(金)】
2日目は3:30起き。水を作ったり飯を食べて6:00スタート
赤男山の西面をトラバースして朝日岳の手前のコルから朝日岳に登ります。
序盤100m程は急斜面の上りが続き、雪も硬かったのですが、クトーとシールで登れました。
朝日岳山頂で最後の白馬の山々を見てから長栂山に向けてドロップ。
ここの北面もガリガリで硬い。仕方ないですね。ここから先の3月の記録はなかったので、自分たちで対応して行かなければいけません。
朝日岳と長栂山のコルの辺りまで滑り込んで、長栂山に登り返し。
長栂山からはシールを剥いでCo1623.6までロングラン。
目の前に犬ヶ岳を見ながら一気に滑り降りていきます。
ここの斜面、計画でも長く滑れるだろうなと思ってはいましたが、緩斜面でパウダーだと苦労するかもと思っていましたが、雪質は重雪〜ザラメで快適に高度を落とせ、この山行で最も楽しいランとなりました!これぞツアースキーという長大なルートに感動しました。
Co1623.6の西斜面をトラバースしてピークを巻き、尾根に乗りました。Co1612.3まではブロードでシールで歩きやすい尾根でした。ここを1時間ほどで歩けたので『ひょっとして今日中にアウトできる?!』とお思いましたが、この後に難儀しました。
Co1623.6から犬ヶ岳まではとてもスキー向きと言える斜面ではなく、西面をトラバースしたり、シートラをしたりを繰り返してピークを、一つ一つクリアしていく感じになります。特に尾根線はそこら中にクレバスが空いており、まさに地雷原。踏み抜き多数、腰まで埋まる..
とはいえ、両サイド急斜面になってる上、東面は雪庇が出ており、西面は濃い薮。もうある程度落ちるのを覚悟して慎重に尾根線を歩きました...
犬ヶ岳まで着いた時ほっとしましたが、まだ白鳥の尾根がこんな感じなのかなとまだ気は抜けません。
栂海山荘は屋根だけ見えてる感じでした。掘り返して使うのは難儀しそうですね。犬ヶ岳に13:30に着いていたのと、今晩の予報が荒れることはわかっていたのでもうここは気合いで白鳥避難小屋を目指すことに。
栂海山荘からまずは自分が北東面を落とす。
トラバース気味にエントリーすると湿雪雪崩が・・・・
そこかしこでズルズルと滑るのと、東面側には雪庇がせり出しているので危ない感じ。一旦沢底から対岸に滑っていっしーとリグループ。
雪崩が怖いので、さらに下部の尾根から距離をあけつつ登り返してあとは慎重に東面をトラバースしました。
Co1209.7と下駒ケ岳の間は尾根線をすすめましたが、下駒ケ岳直下の斜面は急でキックターンの連続で登ります。
山頂付近は非常にきゅうだったので、ここも東面から巻き上がりました。
ここも雪崩が怖い・・・とはいえ、西面は薮が濃くて登れません・・・
下駒ヶ岳と白鳥山の鞍部の1092のコルは雪壁にクラックが走っており、ここもシートラで壁にへばりついてよじ登りました。雪がグズグズで踏み抜いてこわかった〜
そこからはシールで一気に白鳥避難小屋へ詰め上がれました。
犬ヶ岳の手前から白鳥避難小屋までこの時期の情報がほとんどない中、何とか到達出来て本当に安心しました。
土曜日は天候が悪化する予報だったので、ここは是が非でも到達したかったので本当にいい結果になりました。
【3月6日(土)】
この日は白鳥山を滑って入道ヶ岳を超えて日本海に至る最後のルート。
富山の鉄チンさんが応援に駆けつけてくれるということで、しばらく避難小屋で待機。外は雨が降っており、トイレにも出たくない感じ・・・・
麓から無線で『今から登る』と鉄チンさん。待つしかないですね。
朝ごはんをゆったり食べて荷物をまとめて・・・予報では昼前ごろに雨が上がる予報でしたが、あがる気配なし。
10:30に鉄チンさん着。ずぶぬれ・・・ここまでありがとうございます!
白鳥山は現地ガイトの鉄チンさんの先導で滑り降りていきます。
雨が強くストップ気味でつらかった〜
白鳥山北面は初めてでしたが、上部は疎林で雪と景色が良ければすごく楽しい斜面なんだろうなぁ〜と思いましたが。雨で視界があまりなかったのは本当に残念。
1度ルートミスもありましたが、ちょっと登って本来のルートに復帰。
上路集落まで到達したら、ここで鉄チンさんと一度お別れして入道ヶ岳を登ります。
400mそこそこの山でも登山道は雪で埋まっており、かといえ、シールが快適に使えるわけでもなく、登れそうな沢尾根をつないで高度を上げていきます。
雨も止まないし、正直ここはきつかったですが、まぁ、ここ1年を振り返えって、山に行けなかったことを思えば大した辛さじゃないですね。
山頂直下では雪付きが良く、最後はシールで上げれました。
そこからシールでそのまま滑走。標高270m付近で雪が切れて、夏道がちらほら見え始めたところでシートラ。鉄塔付近で雪が完全に切れ、目指していたゴールに到着!
日本海とアルプスをスキーでつなぐ、本当に素晴らしい旅が出来ました!
自分の今持っている山スキーの技術をすべで注ぎ込んで達成できた本当にいい山でした。誘ってくれたいっしー、出迎えてくれた鉄チンさん!本当にありがとう!
圧倒的成長とヘルニアからの復活を遂げて1歩強くなれました!
山スキーを始めて三年。スティープもツアーも色々体験してきたが、そろそろ記録のほとんどないルートをやりたいなと思っていた。去年の夏、ニュースによるとどうやらラニーニャで雪が多くなるらしい。ロングなルート、大好きな白馬山域を見ていたら栂海新道が目に入った。調べてみると5月や四月の記録は見つかったものの、スキーというより登山。三月で雪が多ければスキーをより生かしたラインになるのではないかと思って企画。
朝日岳まではトマホーク氏の昨年の記録を参考にさせてもらいました。今年は前の週に雨や爆風があっていたので基本カリカリ、雪が少ない稜線でした。雪倉以降は風が弱そうな幕営適地沢山あり。
二日目は当初犬が岳までで泊まる予定でしたが、調子が良ければ雨の防げる白鳥小屋まで行こうと話して出発。
長栂山の先までは気持ちいいスキーを楽しめます。サワガニ山までは地形図通りブロードな尾根で宿泊も出来る。
サワガニ山の先は西面の沢を生かしてちょい巻き。1582峰から先は地獄のシートラーゲン。夏に崩落したあたりはクラックの上を進むしか選択肢無し。この時期がギリギリかな。しっかり確認したところ、崩落したあたりは西側をトラバースして避けて沢筋に入り込んで回避できました。
意外と早く犬が岳着。白鳥山へ行くしかない。
犬が岳から先を見ると東面の雪付きは十分。考えていた沢筋から、傾斜の緩い面を繋いでのトラバース。かなり楽が出来ました。
下駒ヶ岳への登りはスキーで大丈夫。最低鞍部付近は状態悪くてシートラーゲン。何とか日暮れ前に白鳥小屋まで。最高な一日だった!!!
二日目夜から大雨。三日目、富山から鉄チンさんが上がってきてくれる!!うれしい!!!
白鳥山からは尾根、峠、尾根とつなげて栂海新道をきっちりトレースすることも考えたが、今回はいかにスキーを生かすかを第一に考えていたので、上路へ下って、入道山手前のコルへ突き上げるルートを取りました。結果、上りの道が南面で雪付き悪く藪漕ぎ等苦戦・・・峠に行ったほうが楽だったかも・・・
ぬれねずみになりながら最後は日本海へ!
良い山が出来ました!!
まずは何よりヘルニア前よりも強くなって復活してくれたえびちゃんありがとう!!
そして、鉄チンさん、様々なサポートありがとう!!
コメント
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いやー
冬にやる?このルート
それも病み上がりの身体で(笑)
流石です!!
これで完全復活ね!!無事で何より
素晴らしい仲間の存在は大事ね
おつかれさまー
やっぱトレーニングは必要よね
見習らお!!
あざます!
夏の間、めっちゃリハビリしてましたし、ヘルニコアって注射が効いたのもでかいですね〜
緩和されてからも2日に1回は20分エアロバイクとかやってましたし、ほんとトレーニング大事です
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