ハサリ川源流から大ボウシ周回
- GPS
- 07:47
- 距離
- 14.2km
- 登り
- 948m
- 下り
- 939m
コースタイム
- 山行
- 7:41
- 休憩
- 0:07
- 合計
- 7:48
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
アプローチに使ったハサリ川林道以外は道なし。ウトノ谷入渓の後は、大ボウシ南東の960mピークまで、マーキングもなし。急傾斜の尾根の登下降あり。ルート見極め困難地点あり。クマ出没有。 |
その他周辺情報 | もっとも近い営業中の店舗は鹿伏の「みやなか」と思われる。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
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感想
2週間前に行った氷ノ山の大段(ヤマレコ記録ID: 3030944)、そして兵庫第2高峰の三室山、この2座に挟まれて静かにたたずむ道なき山「大ボウシ」。以前から気になっていながら未踏となっているこの山を、今回、北側のハサリ川林道を使って周回してみた。狙いは二つあって、雪解け後の谷を花を求めてさすらってみようというのが一つ、もう一つは、ハサリ川林道終点を実地に見たいというのが一つだ。なぜ林道終点かって?それには訳がある。2年前、兵庫・鳥取県境の尾根の踏破に執念を燃やし始めた頃のことだった。ハサリ山から赤谷山に向かっていた時、岩尾根を過ぎたところでルートを外して伸びやかな枝尾根に引き込まれ、外したことを知りつつ、読図を誤って兵庫側に帰還可能とみなし、下まで降りたところ、「鳥取営林署」の看板のある林道に降り立った。植林も手が行き届いて、兵庫の見慣れた風景とはどこか違っている。そう、反対側に降りてしまったのである。そこから激急登で県境尾根に引き返して事なきを得たのだが、その「やってしまった林道」がたしかにハサリ川林道だという「物証」を手にしたいという、実に個人的な理由である。
さて、国道29号からハサリ川林道に入ると、すぐに倒木が道をふさいでいる。雪解け水を集めて勢いよく流下するハサリ川は清冽な流れに陽の光を反射させ、やっと芽吹いたばかりの新緑を一層際立たせる。林道に入るやいなや、シカの出迎えを受ける。一瞬ひるんだシカは行き場を失った風情で、こちらに向かってためらいがちに歩を進めたかと思うと、脇の急崖にできたわずかなでっぱりを辿って必死で林内に戻っていった。かつては立派に車が通れたはずのこの道も、落石と崩落とで、惨憺たる状態となっている。林道わきの岸壁には、シカの食害を免れたヤマルリソウやキケマンがこの世の春とばかりに咲き誇っている。荒れた林道も歩行に困難はなく、楽々「波佐利岩根森林作業小屋」に達する。周囲はよく管理された杉植林で、以前の記憶を呼びさまさずにはおかない。林道が左にカーブするところで右手から支谷、ウトノ谷を合する。この谷の水は、そこだけ舗装された林道上のセメント路面をそのまま流れて本流に合している。そして、この谷の傍らには看板が立ち、「鳥取営林署」の文字がかろうじて読み取れるのだった。そうだ、あの時降りてきたのはここだ!こうして今日の目標の一つが解決を見たのである。今日はこのウトノ谷に沿って登るのだ。落葉広葉樹に覆われてこの季節、明るく開けた谷には、惜しみなく陽の光が降り注ぎ、水流は白くほとばしる。気持ちよく水線を辿ってゆくと、山の恵みが丸い葉を輝かせている。一枚とって口に含めば、つんと早春の香りが口に広がる。支谷の下部は平凡なゴーロ、やがてトヨ状の箇所も現れ、さらに進むとナメとなった部分もあるが、これといった悪場はない。というわけで遡行価値はないものの、県境の登下降路としては便利であろう。940mあたりで、目星をつけておいた小尾根に取り付く。この辺りまで登るともはや大きな尾根端はないが、尾根様の隆起として地形図上、最もはっきりと認められるのが、この尾根である。取り付きこそ足場が悪く、カヤの幼木の茂みがあるものの、すぐに狙い通り尾根型が明確になり、そのあとは障害となるものは一切ない。ブナにミズメが多く混じる温帯広葉樹林の中をぐいぐい登る。振り返れば、雪を残した氷ノ山が伸びやかに臨まれる。そしてあっという間に大ボウシへ伸びる稜線に到達する。自分自身の過去のログと連結させるために、県境尾根までのわずかな距離を南へ向かう。すぐに99番石柱のある県境尾根に出る。以前、6月にこの地点を通過したときには、ブナやミズナラが尾根を覆って眺望のないやや暗い印象を持ったが、葉の落ちた今は実に明るく爽快だ。踵を返して大ボウシへと急ごう。今度は氷ノ山を正面に捉えて進んでいく。振り向けば、ピラミダルな三室山が一条の雪を抱いて鎮座している。途中、下山尾根の下降点を確かめ、さらに大ボウシへと歩を進める。大ボウシは広々とした地形の丸い山頂で、ハサリ山、赤西山、三室山の三兄弟を一望できる。時間がないので、一休みしたら来た道を下山尾根の派生点へと戻る。しかし、その矢先、うっかり枝尾根に入ってしまい、気づいて引き返したものの、大ボウシ山頂から来る場合は、わずかに下って「右折」する感じでルートを取るよう、注意が必要だ。さらに下山尾根の入り口は小ピークから植林帯に入る入り口がわかりにくいので、慎重にルート判断をしたい。この先も尾根筋が曖昧な箇所が複数ありルートを外す危険があるので要注意である。自然林に入ってその急な勾配に息を飲む間もなく、右の谷から黒い塊が上がってきて、我々の進路を先取りするではないか。クマの出没である。一昨年、ハサリ川林道に間違って降り立ったあの時も、県境尾根近くでクマに出くわしている。この辺りは、個体数が多いという印象である。あくまでも尾根筋を外さないように下降をつづるとやがて森林作業小屋が見えてくる。充実した山行をかみしめながら、秘境の春を満喫して一路駐車地に向け林道を降るのだった。
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