南アルプス北部周回(甲斐駒ケ岳×2・仙丈ケ岳・間ノ岳・北岳)
- GPS
- 53:15
- 距離
- 62.7km
- 登り
- 8,135m
- 下り
- 8,134m
コースタイム
【7/12(金)】
04:00 起床
04:25 白州観光尾白キャンプ場発
07:30 刃渡り
08:35 五合目小屋跡
09:40 七丈第一小屋
10:44 八合目御来迎場
11:55 甲斐駒ケ岳山頂(2967m)-12:20
13:28 駒津峰
14:25 仙水峠
15:00 仙水小屋
15:25 長衛小屋(旧北沢駒仙小屋)テン場
【7/13(土)】
03:00 起床
04:25 長衛小屋(旧北沢駒仙小屋)テン場発
05:55 薮沢・小仙丈ケ岳分岐
06:45 小仙丈ヶ岳(2855m)
07:30 仙丈小屋-07:40
07:55 仙丈ヶ岳(3032.6m)-08:05
15:35 三峰岳(2999m)-15:45
16:35 三国平
17:00 熊ノ平小屋テン場
【7/14(日)】
03:00 起床
04:25 熊ノ平小屋テン場発
04:55 三国平
05:35 三峰岳(2999m)
06:25 間ノ岳(3189.3m)
07:40 北岳山荘-08:00
09:05 北岳(3193m)-09:15
09:45 八本歯のコル
10:25 雪渓
12:55 広河原山荘-13:45
14:05 広河原峠入口
16:10 広河原峠
16:40 早川尾根小屋テン場
【7/15(月・祝)】
02:30 起床
04:25 早川尾根小屋テン場発
07:00 アサヨ峰(2799m)
08:05 粟沢山(2714m)
09:00 仙水峠(2264m)
10:30 駒津峰
11:50 甲斐駒ケ岳山頂(2967m)-12:45
13:25 八合目御来迎場
14:00 七丈第一小屋-14:10
15:25 刀利天狗
15:45 刃渡り
18:10 白州観光尾白キャンプ場
天候 | 【7/12】 晴れ 【7/13】 曇りのち雨 【7/14】 雨のち曇り時々晴れ 【7/15】 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
【往路】 <7/11(木)> 21:00 自宅発 23:00 須玉IC 23:30 白州観光尾白キャンプ場(北杜市白州町白須8886) 【駐車場】 白州観光尾白キャンプ場駐車場 【復路】 <7/15(月・祝)> 18:30 白州観光尾白キャンプ場駐車場 19:45 尾白の湯発 20:30 須玉IC 23:00 自宅着 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【黒戸尾根】 登山口から神社を経由して吊橋を渡り登山道が始まります。 樹林帯を進み、クマザサ地帯を抜けると、少しずつ勾配が急になり出し樹林から抜けて刃渡りに至ります。 刃渡りは長さ約10mにわたって露岩の痩せた尾根道で南面が切れ落ちています。 クサリやハシゴが現れますが、黒戸山の巻き道で緩やかになり、再びクサリ・ハシゴが現れます。 七丈小屋を過ぎたあたりから、路面は砂礫に変わり、御来迎場を経て、岩が増え出し、甲斐駒ケ岳山頂に至ります。 【仙丈ケ岳】 北沢駒仙小屋から仙丈ケ岳へは、北沢峠を経ずに二合目合流点に行くことができます。 小仙丈ケ岳の手前まで展望のない樹林の中を進み、藪沢・小仙丈ケ岳分岐を過ぎて森林限界を迎え、ハイマツ原の中に登山道が延びています。 仙丈ケ岳山頂手前で仙丈小屋への分岐があり、小屋へは下り道になります。 小屋から九十九折りに稜線まで登り、稜線まで登れば山頂はすぐです。 【仙塩尾根】 仙丈ケ岳から稜線を南下して熊ノ平小屋を目指します。 野呂川越までは下り傾向ですが、樹林に入ってから名もない峰をいくつも上り下りします。 野呂川越から三峰岳まで森林限界を突破して登り返し、山頂付近は大きな露岩に覆われています。 三峰岳から岩場を下り、砂礫の三国平を経て樹林帯に入り、熊ノ平小屋に至ります。 |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
|
写真
感想
【計画】
南アルプスは地図を眺めているだけでも飽きません。
そんな憧れの山域を4日間で縦走しようと計画を立てました。
日本三大急登の黒戸尾根を登り、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳を初制覇し、昨年来訪問したかった熊ノ平小屋を訪れ、間ノ岳、北岳を再訪し、再び甲斐駒経由で黒戸尾根を下りる、南アルプス北部周回ルートです。
ここ半年ほど、このためにロングコースを歩いて体力をつけ、なけなしの給料から少しずつ装備を整えてきました。
【トラブル】
黒戸尾根、といっても、歩き始めて1時間ほどしか経っていない樹林帯で、木の根につまずいて、頭を谷側にして転倒した際、カメラと紙に書いた山行計画を落としてしまいました。
滑落しそうになり気が動転していたせいか、紛失に気が付いたのは相当登ってからでした。
引き返すべきか迷いましたが、それは今山行の大幅な計画変更を余儀なくされることを意味します。
カメラを確実に回収できる見込みなく、携帯電話で撮影すれば何とかなりますし、山行計画はおおむね頭に入っていたので、このまま進むことにしました。
【黒戸尾根】
黒戸尾根をスタートすると、尾白渓谷の吊橋を渡り、長い樹林帯を徐々に登っていきます。
当初は、三大急登というほどのことはないな、と侮っていました。
広葉樹から針葉樹に植生が変化し、足元は柔らかな苔が密生しています。
森を抜けると眺望が開け、刃のような尾根=刃渡りが現れます。
見上げると鳳凰三山・地蔵岳のオベリスク、観音岳、薬師岳が望め、振り返ると北杜市の街並みが広がっています。
刃渡りは、鉄棒の支柱にクサリが渡され、長さこそ10m程度ですが、南面はほぼ垂直に谷に切れ落ちているので、クサリを持つ手に力が入りました。
この地点で手元の高度計はまた1900mほど。
あと1000mも登らなければ山頂に到着できません。
さらに進むと、ハシゴやクサリが一つ、二つと現れます。
ハシゴは長短あって、緩急様々な箇所に設けられていて、数えてみると全部で31本もありました。(連結してあるものは別個にカウント)
斜面に架けられたハシゴやクサリは、進むにつれて斜度が垂直に近くなり、岩を削って足場が設けられています。
急なハシゴやクサリの連続で高度が稼げる代わりに息が上がり、疲労が蓄積していきます。
ロングコースを歩いて体力づくりをしてきたつもりでも勝手が違い、垂直な岩に架けられたハシゴの途中で休憩をとる始末です。
ようやく三大急登を実感した瞬間でした。
七丈小屋の建物が見えた時には、砂漠の中でオアシスを見つけたような、そんな気分で水場に歩み寄り、冷水を飲んで生き返った心地を味わいました。
ベンチに腰掛けて、つかの間の休息をとり、頂上を目指しました。
御来迎場から甲斐駒ケ岳山頂が見えだし、白い山肌の花崗岩ピラミッドがそびえています。
森林限界を超えて花崗岩の露出する岩場になり、足元は白い砂礫の登山道をざらざらと足音を立てながら登りると、山頂の祠が見えてきます。
山頂に到着すると、360度の大パノラマが待っていました。
正面には、南アルプスの女王=仙丈ケ岳、時計回りに中央アルプス、乗鞍、穂高、白馬まで続く北アルプスの美しい稜線があって、背後には八ヶ岳連峰。
そして、圧倒的な存在感で目の前に迫る南アルプスの雄=北岳を始めとする白峰三山の高峰。
標高差2200mを登ってきた御褒美としてダイナミックな景観を見せてくれました。
甲斐駒ケ岳は、山岳信仰の対象であり、黒戸尾根には、多くの祠があり、岩に刺さった剣も見られます。
修験の山でもあるので、登山道が整備されるまでは、行者が鍛えてきた修行の場でもあったのしょう。
麓から深い森を抜け、クサリを頼りによじ登り、ハシゴにへばりつき、そして岩場を進んで山頂に立つことができました。
時間はかかったものの、こうして無事に頂上を踏むことができたことに感謝をし、祠に手を合わせました。
【仙塩尾根】
仙丈ケ岳に到着した時にはガスが立ち込め、景色は全く望めませんでした。
本来なら、北岳の雄々しい山容が目の前に迫っているはずでした。
仙塩尾根を南下しだしたときには、森林限界を超えていますが、徐々に高度を下げて樹林帯に入ります。
シラカバやブナ、マツの雑木の中に登山道が踏まれていて、進むにつれて倒木が多く進路を塞いているものも見受けられました。
展望はなく、奥秩父と同じようにコケをまとった倒木や岩が多く見られ鬱蒼としている上、巻き道がなく名もない峰をいくつも越えて進まなければなりません。
体力的にはここが一番つらい時間帯でした。
【雪渓】
八本歯のコルから大樺沢までは約300mほどの雪渓が残っていました。
歩いている方の半分くらいはアイゼンなしで登り下りしています。
中には踏み跡のないところをお尻と両手を着いて下っている方もいます。
雪面には落石もあり、滑りだすと大変危険な状態でした。
【バットレス】
バットレスをクライミングしている姿を見ました。
遠いためはっきり姿は見えませんが、岩をジリジリと上っています。
時々石が落ちる乾いた音がカールに響きます。
【荒天】
山行2日目の7/13昼から最終日の7/15午前中までは荒れた天候の中を歩きました。
仙丈ケ岳や北岳では景色を期待していただけに残念でした。
特に、仙塩尾根と早川尾根では視界が100mもないことがあり、強風と吹き付ける雨で立ち止まることがしばしばありました。
これも山歩き、と思いがんばって歩き通しましたが、強風に煽られて前進できないこともありました。
【水】
今山行では、多くの水場のお世話になりました。
文字どおり南アルプスの天然水で、どの水も冷たくておいしいものばかりでした。
中でも熊ノ平小屋の水は、まろやかで柔らかく、透き通るような味のするもので、ぬるくなってもおいしく感じました。
今回、熊ノ平小屋に立ち寄ったのは、この水を求めてのことで、期待を裏切らないものでした。
【出会った方々】
今回もたくさんの方とお会いしお話をしました。
その中でも特に印象に残っているのは、3泊目の7/14に早川尾根小屋テン場で隣り合わせた男性3人組の方々です。
夕食はジャガイモなどの生野菜を担ぎあげ、ナイフで下ごしらえをしてカレーライスを作っています。
楽しそうな会話も聞こえてくるので、気の合う仲間同士でテント泊もいいなぁ、と思いました。
翌朝、私がやや先行して甲斐駒ケ岳を目指して出発しましたが、途中、追いつかれて、仙水峠の手前まで御一緒させていただきました。
荒天の早川尾根を心細く歩いていた上、たまに道迷いをする私としては大変心強く、頼りになる存在でした。
その中のお一人は、駒津峰から甲斐駒ケ岳に向かう岩場でもお会いし(残る二人は駒津で断念)、山頂で少しお話をしました。
広河原山荘でお会いした20年来のベテランハイカーさんは、古い地図をお持ちで御自身が歩いたルートを塗っていました。
しかし、唯一塗っていないのが仙塩尾根で、私が歩いたことを告げると残念そうでしたが、塗るために行くことはないとおっしゃっていました。
確かに、樹林が長く眺望がない上、アップダウンもいくつもあることからおススメはしませんでした。
他の山域のお話を伺ったり、若かりし頃の武勇伝?をお聞きし、ついつい長話をしてしまいました。
【暦】
東京(東京都)
2013年7月12日(金)
日の出 04:35
日南中時 11:47
日の入り 18:58
月の出 08:06
月南中時 14:36
月の入り 20:59
今回も思い出に残る山歩きを楽しむことができました。
LArcさん、こんばんは!!
待ってました!!!
休憩時間になる毎に
「レコまだかなぁ…」
と携帯片手にヤキモキしてた身としては
危うく仕事の方が手につかなくなりそうでした〜
今年前半の集大成なんですね。
トータルとしては勿論ロングコースなのですが
1日1日もロングなコースを
4日間にわたって歩き続けられるのが凄いです!
しかもテン泊装備で!!
お気に入り登録させて頂きましたが
ヘタレな自分がこのコースを歩けるようになるのは
いつの日になることやら…
北岳の展望は残念でしたが、
甲斐駒からの展望は素晴らしいです!!
「信仰の山」という雰囲気も良くて
仙丈ヶ岳とあわせて是非是非行ってみたくなりました!
keichiro01さん、相変わらずの拙いレコで期待外れだったにもかかわらず、コメントを寄せていただきありがとうございます。
4日間の中で初日と最終日の甲斐駒ケ岳に向かう時だけ天気が良く、山頂で絶景を見ることができました。
南アルプス・オールスターが手にとる距離まで迫り、それらを眺めている方々は、自然と笑顔がこぼれていました。
私も例外ではなく顔がほころんでいたと思いますし、その瞬間は、両手足を使ってハシゴを這い上がったことや、クサリを握った手のことを忘れていました。
甲斐駒山頂は、達成感や充実感、幸福感で満ちていました。
甲斐駒、最高です!
ポピュラーな北沢峠からであれば時間を短縮でき、体力的に黒戸尾根ほどではないのでオススメです。
LArcさん、こんばんは。
重いテント担いで、いきなり黒戸尾根から
南アルプス北部周回ですか。
右肩上がりのLArcさんも、ついに鉄人並みですね。
私もかつて、黒戸・仙塩尾根以外は
南アルプス北部縦走してますが、
日帰り、一泊、二泊までです。
最近は軽量化が進んだとはいえ、
三泊ともなると、食料の重量も相当ですよね。
黒戸尾根と大樺沢上部は大変だったと思います。
もうこれで、怖いもの無しですね。
天気がイマイチだったようですが、
こういう、内容の濃い縦走の場合、
天気は十分度外視できる充実感だと思います。
私も何回か白根三山歩いてますが、
一番思い出深いのは、ピーカンの時ではなく
嵐の時の3000m稜線歩きです。
(好きで突っ込んだのではなく天気急変で)
でも、熊ノ平まで行って、塩見行かなかったのは
もったいなかったですね。戻ってしまって。
そうか、マイカー回収でしたね。
いずれにせよ、大縦走お疲れ様でした。
yamaheroさん、いつもお褒めのお言葉、ありがとうございます。
こうして、yamaheroさん始め、多くの方にレコをご覧いただいた上にコメントを頂戴し、励まされてきたからこそ、少しずつ体力がついたし、経験を積んで自信を深めたので今回の完歩があります。
だから、ヤマに行くこと、ヤマにいることがどんどん楽しくなるし、チャレンジングな山行に駆り立てているのだと思います。
今回は初のテント3泊であり、食糧問題が大きな課題でした。
アルファ米と缶詰で自分なりに軽量化を図り、4日間を食いつなぎましたが、意外と飽きずにエネルギー供給できました。
また、おっしゃる通り天候の悪さも思い出になっています。
嵐もヤマのうち、と「こんな経験なかなかできないぞ」とか「下界で武勇伝として話してやれ」なんてことを考えている、全くもっての大バカ野郎っぷりです。
そして・・・塩見・・・そのヤマの名前はおっしゃらないでください。。。
昨年、三国平まで行って熊ノ平を逃したことをレコで御指摘されて、今年、無念を果たしました。
今年はyamaheroさんから塩見に行かなかったのはもったいないと(T_T)
塩見の南には美味しそうな山が連なっていますね。
来年夏までの宿題として、猶予期間をお与えください。
すでに地図は買ってイメージトレーニングを始めていますから。
先日読んだ奥秩父〜雲取大縦走に引き続き、
LArcさん、歩きまくりではないですか!!
標高差もかなりのものだと思います
(900m〜3200mを行ったり来たりで…。)
これなら怖いものなしですね!
今年の南ア南部遠征も、余裕のよっちゃんでしょう
ちなみに、今度もし私がLArcさんと歩かせてもらえるのであれば、
足を引っ張らないようにがんばらねばっ
wwさん!ヘロヘロでした(>_<)
昨年はこの周回と、奥秩父主脈縦走を目標に私なりに準備をしてきたのですが、今年はぜんぜんダメです。
長距離をあまりこなしていませんし、テン泊の回数も少ないのです。
大丈夫かなぁ…ちょっと焦りと不安があるのです。
ガンバらねばならないのはワタクシの方です。
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