幌尻岳 新冠コースから
- GPS
- 27:20
- 距離
- 38.0km
- 登り
- 2,538m
- 下り
- 2,524m
コースタイム
13:37 奥新冠発電所横ゲート
14:03 いこい橋
16:22 奥新冠ダム
16:28 ポロシリ山荘まで2KM地点(自転車デポ)
17:03 新冠ポロシリ山荘
7月14日
04:29 新冠ポロシリ山荘
05:08 幌尻沢渡渉地点
06:05~06:10 見晴台
06:24 中間点
06:49 水場(雪渓横断)
07:19 お花畑
07:57 大岩
08:07 振内コースとの分岐
08:17~08:37 幌尻岳山頂
09:17~10:00 幌尻岳肩(七つ沼を見下ろす)
10:30~10:35 幌尻岳山頂
10:46 振内コースとの分岐
10:52 大岩
11:27 水場(雪渓横断)
11:56 中間点
12:02 見晴台
12:49 幌尻沢渡渉地点
13:25~14:38 新冠ポロシリ山荘
15:09 ポロシリ山荘まで2KM地点(自転車デポ)
15:13 奥新冠ダム
16:32 いこい橋
16:57 奥新冠発電所横ゲート
登り 3時間48分 下り 2時間50分
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
新冠泉から林道をゲートまで車で走っていくが、この間、林道だけで1時間30分はみておこう。ダートは割りと広く走りやすいフラットダート。ただし関係者の車が結構飛ばしているので気をつけて進むこと。 新冠ダムまでは砂利が多く、新冠ダムを過ぎると穴ぼこが多くなる。ただし車の底を擦るほどではなかった。途中鹿だろうか白骨化したものが転がっていた。また落石も多い。新冠ダムは直進せず、ダムを渡って行く。 ゲートを越して林道歩きの区間は歩きやすいし走りやすいダートで、いこい橋までピークが1度、いこい橋を過ぎてピークが2回ある。ポロシリ山荘まで何KMという標識が立っているので目安にすれば良い。奥新冠ダムを過ぎると急に道は荒れてくるので、自転車のデポはその周辺が良い。また林道は木々の中を抜けていくので、日差しが遮られている。いこい橋の回転ゲートは狭く、身体がつりそうになった。もう少しなんとかならないものか? 山荘はなんとか30人ぐらいは泊まれそうだが、一階の床がかなり傾いている。 水は山荘内に沢から取り入れている。協力金500円。薪ストーブがある。古い銀マットと毛布が何組か置かれている。また鍋もあった。トイレは山荘から40mぐらいの所にあったようだが、建物が倒れて使用は出来ない。 登山道は渡渉地点までは沢に傾くように付けられていて、足を滑らせ易く注意。また最初は蕗の中を掻き分け歩く。渡渉を過ぎるとチシマ笹の中を掻き分けるように歩く。同時に倒木が多いので、歩き辛い。 水場の水は十分にある。またとても美味しい。 水場を過ぎると、お花畑の所以外緩むことの無い急登が続く。 水場を過ぎてから稜線までずっとお花の中を登っていく。急登で辛い身体に安らぎを与えてくれる。道の両側に花ではなく、花の中を無理やり行くという感じの登山道だった。踏まずに歩くのが難しいような所だった。 分岐など間違う所は無い。 山頂ゲットだけなら、荷物を減らせるし、林道を自転車で走る前提で日帰り出来ると思う。 |
写真
感想
最初週末の天気は雨だった。仕方なく週末はのんびり過ごそうと決めていたのだが、予報が変わってきている。天気図を見ると、週末は最高の天気になりそうだ。金曜日、明日は幌尻に行こうと決めた。だが、振内コースは予約無しでは、山荘もバスも使えまい。3連休、北戸蔦別岳からテント持参で行けば良いが、北戸蔦別岳のテン場は限られている。七つ沼では熊が怖い。仕方なく新冠から登ることにした。このコースは新冠ポロシリ山荘まで長い林道が待っている。折りたたみ自転車を使えばなんとかなるかとつぶやきながら眠りについた。
13日
十勝からは日高の山が見えない。雲っているのだ。しかしこれは晴れてくるだろうと読み、荷物を詰める。車に自転車も積んだ。車を走らせながら、緊張感が押し寄せてくる。僕はどうも駄目な奴だ。山に向かう時、怖さがこみ上げてきて緊張する。よっぽどカナダなどで、レンタカーを借りて、旅をする方が緊張しない。新冠へ向かいながらコンビ二で食料を買っていく。今回、あまり固形物は持たないことにした。
新冠に近づくにつれ周りは牧場が広がってくる。泉から新冠川に沿った林道に入る。道幅の広いフラットダートで走りやすい。ただ前から関係者の車が結構なスピードで走ってくるので、怖い思いをする。途中道を占拠する鳥さんが居た。車が近づいても逃げずにのんびり歩いている。こっちがあっけにとられてしまった。岩清水ダム、下新冠ダムを過ぎると固められた山肌が見えてきた。新冠ダムが近いのだろう。ダムに出てダムの上を渡る。青い水が眩しい。しばらくして動物の骨があった。厳しい自然を教えられているようだ。ダムを過ぎると穴ぼこが多くなり、水がたまっているので、水しぶきが舞う。よく見ると一本のバイクの轍があった。誰かが入っているのか?と思っていると、しばらくしてバイクが走ってきた。どうやら林道ツーリングかな。
やがて奥新冠発電所のゲートについた。駐車場は満杯だ。結構の人が入っているのだろう。登山届けを書き、用意を始める。まずは自転車、ゲートを通す。リュックを背負って準備完了。自転車に頼みます、よろしくねとおまじないして、登りの道をゆっくり押して歩いて行く。これぐらいなら漕いでいけるのだが、無理はしない。ここで力を使うより明日に取っておかねば。30分弱でいこい橋ゲートに着いた。なるほど大げさなゲートだ。まずリュックを通し、自分も通るが、これが結構狭いので、攣りそうになった。どうしてここまでしたいのか、僕には理解が出来ない。その後自転車を通し無事に橋を渡っていった。
空はどこまでも青く、川の水は澄んでいる。随分と山の中に入っているのだな。自転車を押しながら登っていくと少し下りになる。往路は自転車に半分くらい乗った。林道は案外小さな上下を繰り返し、登りばかりではないようだ。ちょっとした下り、自転車で風に吹かれるのが心地良い。しかも林の中が多いので、そんなに暑くない事も嬉しい誤算だった。深い谷を見下ろすように道はついている。ところどころ土砂崩れの跡があるが問題なく通過できる。地形と地図からあのあたりがダムなんだろうと考えのんびり歩いていく。林道にはゲートからの距離が書かれたものと、ポロシリ山荘までの距離が書かれた立て札があるので、確認しながら行く。沢をわたって道の両側に休憩している10人くらいの人達が居た。最初黒い影だったので熊かと思いびびったが、人で安心して、これから下っていくのですかと聞くと、そうですと答えてくれた。とりあえず、これだけの人数が山荘に居ないと分かっただけでもありがたい。ただかなりバテテいるのか、自転車を恨めしげに眺める視線は痛かった。
やがて奥新冠ダムが見えてきた時、オーバーハングした岩がある。その下には気持ち良さそうな水が滴っていた。ダムの横を過ぎ、道を下っていくと、自転車が2台デポしていた。僕も近くに折りたたんでデポした。さあここから歩くぞ。山荘まで2kmの立て札があり、急に道は荒れていく。登りのところにも自転車がデポしてあった。森の中を歩き、小さな沢を越し、大きな倒木の向こうにネットで見慣れた山荘が見えた。今日はここまで。早速、中に入ると、二人の人が居た。荷物を2階に上げ、服を脱いで、ダニチェックと濡らしたタオルで身体を拭いた。その日、釣りに行っていた人を含め、泊まった人は8人だった。
14日
夜中に寒くて眼が覚めた。結構冷え込んでいるみたいだ。朝3時半隣の方が起きて居るので僕も起き出した。窓から山の稜線がハッキリ見える。天気は良さそうだ。朝食後支度をして、4時29分出発。蕗の大群の中を行く。直ぐにズボンが朝露で濡れていく。5度沢を越え、川沿いに下りていくので渡渉かと思うが、まだらしい。それより道が川に向かって斜めになっていて、滑ると落ちてしまいそうだ。やがて沢の出会いが見えてきた。ここも道が斜めになって、しかもチシマ笹が倒れているので余計滑りやすい。気をつけねば落ちそうだ。直ぐに渡渉地点に出た。手前の平たい板は、ワイヤーで固定されていて流されないように工夫されている。ゆっくり確実に渡る。振り返るとY君が追いついてきた。ここからは2人で登ることになる。
最初チシマ笹の中、急登を登っていき、直ぐに斜度は緩むが、笹はまとわりついてくる。この時点でズボンも、上半身の半分も朝露でベトベトになっていた。気温が低く少し寒いのだが、もう少し歩けば、乾いていくだろうと思いそのまま歩き続ける。しばらく登ると右の沢に滝が見えた。左からも大きな水音がする。こちらも滝があるのだろう。少し狭くなった馬の背のようなところの先に、ロープがあった。左の沢が迫力十分に流れ落ちていく。振り返ると山が綺麗に輝いている。と、熊の糞発見、新しいぞ。ちょっとビビリながら、直ぐ先の見晴台で休憩した。休憩していると下から人の声がする。熊の糞を見て、急に声を出そうと思って登ってきたのだ。昨日山荘に居た人で、ここからは3人で登ることになる。20分ほどで中間点の立て札を過ぎ、その25分後水場の雪渓に出た。結構な傾斜の雪渓だ。しかも冷えて固まってガチガチになっている。斜めに反対側に渡るのは無理と判断して、まず淵を登っていった。雪渓を真横に渡れる所から、しっかりと足場を削りながら渡っていく。こうすれば後続の方も渡りやすいだろう。渡りきって水場で一息。冷たい水が心地良い。
しかしここから更なる急登が待っていた。稜線近くに大きな岩が見える。あそこまで行くのだろう。それにしてもキツイ道だ。が、ここからお花の凄いこと、先ほどのおじさんは荷物も極端に少なくしている上に、わき目も振らずに登っていく。僕とY君はついつい写真を撮ってしまい、のんびり旅になってしまった。一度お花畑と書かれた立て札のところでトラバースするので平らになるが、止むことのない急登にめまいがしそうだ。それにも増してお花の凄いこと。撮っても、撮っても追いつかない。道の両側に花ではなく、お花畑の中を無理やり歩かせてもらってる、そんな感じだねとY君と話しながら、急登に耐えていた。やがて遠かった大岩が近づいてきた。稜線を歩く人も見える。振内から来た人達だ。後ろを見ると日高の山並みが映えて、奥にカムエクが姿を見せ始めた。近くで見るカムエクはどっしりした綺麗な二等辺を描いている。テンションが上がらない訳はない。まだまだ花も愛でながら大岩で一息入れた。さあ、後もう少し、最後の踏ん張りですねとY君と登っていく。キツイ岩場を登りきると振内コースとの分岐に出た。後はピクニック気分で山頂だ。振内コースは尾根沿いの道を登ってくるのが良く見える。結構気持ち良さそうな道だね。歩いている人が点々と見え、みんな頑張っているんだろうなと思った。8時17分あっけなく山頂に着いた。100名山でも難関といわれる幌尻に着いちゃった、そんな感じだった。先行したおじさんが迎えてくれた。早速記念写真を撮ってもらった。それにしても見事な景色。遠く羊蹄山、夕張岳、芦別岳、大雪、二ペソツ、カムエク、1839峰、そして北戸蔦別岳から伏美岳へ伸びる稜線の美しさ。カールを抱いた山がこんなにあることにも感動した。
軽く食事をしてからY君と二人、幌尻岳肩まで行くことにした。歩き始めるとこのコースも凄いお花だ。ついつい写真を撮ってしまうのでのんびり進む。一つ目のピークを過ぎ、肩が近づいてきた。瞬間、素晴らしい風景が待っていた。なんて美しいのか!戸蔦別岳への稜線と七つ沼カール、残雪と沼のコントラスト、見事としか言いようが無い。何枚も写真を撮った。ISOを変えてまたまた撮る。ここへ来て良かった。結局ここで45分近く眺めていた。ずっと見ていても飽きないのだ。なんか幌尻岳は記憶の中から抜けてしまいそうだ。第4紀の氷期に形成されたカール、太古のままの美しさを本当に堪能した。いつまでもこの美しさを残してほしいものだ。よく見ると沼の端で熊が遊んでいるのが見える。本当にこの景色を見ずして幌尻を降りては駄目だと思う。確かに、ただピークを踏むことも大事かも知れないが、この景色を見ないで帰るのはもったい無い。僕自身山が好きというより、山に登らなきゃ見えない景色を見たいと思っているので、ピークよりも素敵なこんな風景に出会えて幸せを噛み締めた。Y君と二人ずっと感動していて、最後に七つ沼カールをバックに写真を撮り合って、そろそろ行こうかと、リュックを背負った。流石に帰りは花の写真もあまり撮らなかったので、肩まで往きは40分かかったのに30分で山頂に戻ってきた。山頂には続々登山者が登ってきたが、わざわざ幌尻岳肩に向かう人は昨日山荘で一緒だった人以外居なかった。残念。
一息入れ降りていく。振内コース分岐を過ぎ下って行くのだが、改めてよくもまあこんな所を登ってきたな、と思うくらいの急な道だった。途中昨日釣りに行っていた人が二人上がってきたが、こんな急な道は生まれて初めて登ったよと、すでにバテていた。帰りもお花に囲まれながら、標高を下げていく。遠かった奥新冠ダム湖も近づいてくる。雪渓の水場まで来て、1l水を汲んだ。帰って美味しいコーヒーでも入れるつもりだ。Y君も同じように1l汲んでいた。雪渓の雪は緩んで歩きやすくなっていたので、余裕で降りられた。森の中に入って中間点を過ぎ、見晴台で休憩、そして馬の背を降りたところで朝には気付かなかったのか、それとも無かったのか。二人で記憶に無いよねと言いながら、熊の糞を発見。再び熊の恐怖が襲ってくる。付かず離れずの距離で熊除けの鈴を鳴らしながら降りていった。倒木に難儀しながら、チシマ笹の中を抜け、何とか渡渉地点に降りて来た。ゆっくり渡って、後はのんびり歩いて山荘に着いたのが13時25分だった。5分位遅れてY君が着いた。彼は渡渉後、沢沿いの斜めの道でチシマ笹に足を滑らし落ちたらしい。無事で何より。気付かずにごめん。誰も居ない山荘で服を脱ぎダニチェックと濡らしたタオルで身体を拭いた。
新しくやって来たご夫婦と話したり、パッキングしているうちに1時間以上休憩してしまった。Y君ともう一人の3人で山荘を出発、最初にもう一人の方がデポした自転車に、やがて僕もデポした自転車に。Y君は歩いて林道を行くのだ。Y君に今日は本当にありがとう。おかげで凄く楽しい山だったと、お互い感謝の言葉をかけて別れていった。しばらく行くと先行した自転車の人が止まっている。疲れて乗っているのがしんどいらしい。前方から結構な人が続々と歩いてくる。中には自転車がうらやましいと言う方まで居て、雪渓を渡るときの注意と是非七つ沼が見える肩まで行ってくださいとアドバイスすることも忘れなかった。復路は自転車がありがたかった。すいすい降りていく、結局8割ぐらい乗っていた。ただかなり急な坂なので、細心の注意をしながら降りていった。ここで谷に落ちたりしたら洒落にならないのだから。昨日、今日と随分余裕を残していたので、風に吹かれるのが気持ち良かった。いこい橋をぬけ、無事北電ゲートに到着。なんか楽して終わちゃった。幌尻に登る前の緊張が嘘みたいに思えた。いつものように山に一礼して、車に乗り込んだ。それにしても七つ沼カールは良かったな。またいつか見れたら良いな。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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ニイカップポロシリ山荘でお話した夫婦です。
皆さんから、”是非、肩まで行って七つ沼カールを”と薦めていただきましたが、その体力は残っていませんでした。 私もY君と同じように笹で足を滑らせたが、笹に必死で摑まって這い上がりました。 ラッキーだったのは、山荘からゲートまで工事の車に乗せていただけた事です。 疲労等でその後に計画していたニペソツ山には行けませんでした。 北海道は素晴らしい山が多いですね。
幌尻岳登頂おめでとうございます。これで100名山もゴールが見えましたね。七つ沼を見られなかったのは残念ですが、あの急登を登った後、帰りのことを考えると無理はできませんもの。代わりに僕の写真で楽しんで下さい。
それとあの笹の道は本当に危ないですよね。無事で何よりです。
そして二ペソツはこの次の楽しみですね。
これからもご夫婦で楽しんで下さいね。
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