加地川から三室山周回
- GPS
- 04:37
- 距離
- 5.9km
- 登り
- 622m
- 下り
- 626m
コースタイム
- 山行
- 4:31
- 休憩
- 0:06
- 合計
- 4:37
天候 | 曇のち晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2021年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
道なし、マーキングなし、一部に藪。 |
その他周辺情報 | 鹿伏の『みやなか』食堂。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
昼ご飯
非常食
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
筆記用具
ガイド地図(ブック)
ファーストエイドキット
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
カメラ
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感想
この週末は、サラサドウダンを求めて音水湖の西岸の山品山を訪ねるつもりで準備していた。前日、日ごろからお手本にしているハセッチさんのブログを見たところ、県境尾根のサラサドウダンが数日前に満開を迎えたとある。しかも、数年間閉鎖されたままだった加地川沿いの林道が開通しているというではないか。それを知ってどうしても行きたくなり、ハセッチさんのルートをそのままパクッて加地川から三室山を周回し、サラサドウダンの花見と洒落こむことに急遽決定。
梅雨のさなかとしてはまずまずの天気。今日は北部のほうが南部よりは陽がある筈、そう信じて国道29号線を北へ車を走らす。新戸倉トンネルを抜けて鳥取県側に入ると平経盛ゆかりの落折集落がある。さらに下って大野集落でV字にハンドルを切り、加地川沿いの細い舗装道路を登ってゆく。おなじみの発電施設を過ぎれば、道路閉鎖でこれまで行けずにいた未知空間となる。青々と茂る林の下生えの植物たちや、水量豊かに流下する美しい沢の輝きに、因幡の国の自然を噛みしめる。
取り付き点に達して、いの一番にチェックしたのは、加地川の水量だ。ここでまずは対岸に渡らねばならないからだ。昨日までの雨で増水しているため、秘密兵器のビーチサンダルを装着して万全を期す(笑い)。転倒することなく無事にわたり終えるが、水の冷たいことと言ったら!
改めて足ごしらえの後、まずは林道歩きだ。すぐに支流を靴のまま渡り、右手に分岐するブル道に入ってその右手の尾根の傾斜の緩いところを狙って取り付く。杉の植林帯をあえぎながらただ上を目指す。1100mを超えたあたりで、初めての眺望が開ける。眼前に座すのはこれから向かう兵庫県第二の高峰、三室山だ。この先、植林からは解放され、若いハシバミが主力の灌木帯となる。あちこちに開けた場所があって、宍粟杉がところどころに峻立する、この山域に特徴的な風景が広がると、1174mピークは近い。広々としたこのピークに立てば、解放感に思わず深呼吸をしたくなる。ここに立つのは2回目である。前回は加地川の林道の北尾根末端からまっすぐに登った。途中で雨になり、それでもこらえてピークまで登りついたら、立ち込めていた濃霧がすーっと引いて、広々と伸びやかな天上の牧場が眼前に広がり、その幻想的な風景に魅了された。それにしても、ピーク北面は急傾斜の起伏のない斜面となっており、その先に尾根があるとは知らなければ到底信じられないところだ。
ここから県境尾根との合流点まで、漠と広い牧野のような空間が続く。私はひそかにこの地を因幡の高天原(たかまがはら)と呼んでいる。ここは登山道がなく、一番近い三室山からは藪を越えなければならないため、静寂を保っていつ来てもやすらぎの場である。もっとも、足元には驚くほどの太さの涸れた篠竹の茎が散乱しており、数年前まではその密藪で人を寄せ付けない場所であったと容易に推察がつく。シカの食害がこの風景を生んだというのは皮肉なことだ。間近に迫る三室山をアクセントにいただいた天上の牧野、その眺めを楽しみつつ高天原を行けば、あでやかな紅のフリルを飾り付けたホーネット形の花が木々に鈴なりについている。お目当てのサラサドウダンである。まさに今、満開。見事というほかない。
サラサドウダンを堪能したら、いよいよ県境尾根に合流だ。ここから右に進路を取り、三室山を目指す。三室山への登りが始まる鞍部には、踏み跡状の筋が見えるが、登るにつれ散逸し、やがて消えてしまう。とりあえず尾根を外さぬようにしつつ、藪の薄いところを拾って登ってゆく。最後はどうしても多少の藪漕ぎとなる。振り返れば、先ほどまで鼻歌交じりに散歩した高天原、そのはるか向こうには伸びやかに裾を引いた氷ノ山が臨まれる。三室山北東の支尾根と合すれば、低い篠藪に細い踏み跡状の筋を拾うことができる。昨年、ここを登った時には、踏み跡が消えるあたりで思いっきり左(東)よりにコースをとったのだが、そのほうが上部での藪はかわしやすかった。そのほうが賢い選択であろう。
三室山には先客4名があり、我々は荷を下ろすこともせずに、大通峠への下降路へと進むのだった。この道もまた、「意外」にもはっきりした切り開きができていた。前回通った時は積雪期だったからか、全く「道」らしきものを認識できなかったのだが・・・。この尾根もまた、広々空間に包まれた気持ちの良いところである。右には高天原、左には岡山県最高峰の後山、正面には天児屋山から沖の山の稜線が一望でき、振り返れば今登ってきた三室山が大きい。標高のわりに高度感を満喫できる。一部のフリークには有名な「オブジェ」を過ぎたら、鞍部に出る手前で右に支尾根に入るが、ここは単なる牧野の一角で注意しないと通り過ぎてしまうだろう。少し進めば尾根型がはっきりと見えてくる。その後は植林帯を淡々と下るのみである。やがて左右から沢の瀬音が聞こえてくると林道は近い。水量が朝よりは減った加地川を、件のビーサンで渡り、心の洗濯を済ませた軽やかな気持ちのままに帰途についたのであった。
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