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Yamareco

記録ID: 3335012
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沢登り
大峰山脈

【大峰】口剣又谷(水晶谷下降)

2021年07月10日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
13.2km
登り
1,781m
下り
1,762m

コースタイム

日帰り
山行
13:00
休憩
0:00
合計
13:00
5:50
160
8:30
50
水晶谷と白川又谷本谷との出合
9:20
270
奥剣又谷と口剣又谷の出合
13:50
70
稜線
15:00
30
15:30
30
八経ヶ岳
16:00
60
17:00
60
天候 曇り時々晴れ
過去天気図(気象庁) 2021年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
行者還トンネル西口の駐車場に駐車。普通車1日1000円。朝5時くらいで十分空きあり(オオヤマレンゲの時期なので,遅い時間だと結構混むかも)。
コース状況/
危険箇所等
【水晶谷】
・水晶谷の1060m二俣までは,弁天ノ森のやや西側から派生している小尾根を下った。ちょっと急な箇所はあるものの歩きやすい尾根。ずっと谷沿いに下るよりは時間短縮できると思う。
・水晶谷は(少なくとも今回歩いた区間は)悪場はほとんどなく,下降路にぴったりの谷。白川又川本谷との出合直前で出てくる15mほどのナメ滝が唯一の悪場だが,左岸側が階段状になっており歩いて下れる。しかし,最後に一段降りるところが少し高さがあるため,そこだけロープ出しました(この箇所は,水量が少なければ,水流の中を下りたほうが簡単かも)。

【水晶谷出合〜口剣又谷出合】
・水晶谷出合から白川又川本谷を少し遡るときれいな20m直瀑が出てくる。この滝は左右どちらからも巻けるようだが,今回は一昨年の奥剣又谷遡行時と同じく左岸から巻いた。水晶谷を少し戻ると,水晶谷唯一の悪場である15mナメ滝の横に壁が途切れたところがあるため,そこから巻きに入れる。一昨年巻いた時には,割と簡単に巻けた(懸垂も不要で歩いて戻れた)記憶があるのだが,今回は下降点を見逃したらしく,無駄に大高巻きになった挙句,ロープいっぱいの空中懸垂をやる羽目になった。少しのルート取りの誤りでこんな目に遭うという悪い例。

【口剣又谷】
・最初はゴーロ区間が多く,出てくる滝も割と簡単に登ることができ,どちらかというと穏やかな印象だが,源頭に入ったとたん急に険悪になり,側壁が高くそそり立った暗く狭いゴルジュにCS滝が連続し,ほぼ直登しか手がない状況になる。今回は単独であることもあり,自重して適当なところから小尾根に逃げてしまいましたが,少なくとも1300m二俣の右俣の滝は実際は登れると思うので,谷通しに稜線に至ることは十分可能だと思います(他の枝谷のCSも,登ろうと思えばショルダーなり人工なりやりようはあるはず)。
行者還トンネル西口から急登を登り詰めて弁天ノ森着。ここから200mほど西に歩いたところにある小さなピークから登山道を外れ,南側の小尾根を下降していく。
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行者還トンネル西口から急登を登り詰めて弁天ノ森着。ここから200mほど西に歩いたところにある小さなピークから登山道を外れ,南側の小尾根を下降していく。
この小尾根は一部急な箇所があるものの基本的に藪もなくて歩きやすく,スムーズに水晶谷の1060m二俣まで下降することができた。
この小尾根は一部急な箇所があるものの基本的に藪もなくて歩きやすく,スムーズに水晶谷の1060m二俣まで下降することができた。
水晶谷は基本的にゴーロがひたすら続き,歩きやすい谷。単調な下りだが,周囲は自然林が美しく,雰囲気は良い。
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水晶谷は基本的にゴーロがひたすら続き,歩きやすい谷。単調な下りだが,周囲は自然林が美しく,雰囲気は良い。
やっぱり大峰の水は青く見える。不思議だなぁ。
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やっぱり大峰の水は青く見える。不思議だなぁ。
こんな小滝も時々出てくるが,谷が広いので簡単にかわせる。
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こんな小滝も時々出てくるが,谷が広いので簡単にかわせる。
白川又川の本谷が近づくと,両岸に岩が目立つようになり,ところどころ岩塔がぬっと立っている。
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白川又川の本谷が近づくと,両岸に岩が目立つようになり,ところどころ岩塔がぬっと立っている。
もうすぐ白川又川本谷との出合というところで出てくる15mほどのナメ滝。左岸側が階段状になっており,歩いて下っていくことができる。
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もうすぐ白川又川本谷との出合というところで出てくる15mほどのナメ滝。左岸側が階段状になっており,歩いて下っていくことができる。
最後の一段がちょっと高かったため,立ち木にロープをかけて降りたが,降りてから改めて見ると,滝の水流の中をクライムダウンできそうだった(今日はちょっと水量が多いので気づかなかったが…)
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最後の一段がちょっと高かったため,立ち木にロープをかけて降りたが,降りてから改めて見ると,滝の水流の中をクライムダウンできそうだった(今日はちょっと水量が多いので気づかなかったが…)
白川又川本谷と出合ってから,本谷を遡るとすぐ出てくる見事な20m滝。水晶谷を少し戻り,先ほどの15mナメ滝のすぐ横にある壁の切れたところから左岸巻きする。(右岸巻きもできるが,結構大変らしい)
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白川又川本谷と出合ってから,本谷を遡るとすぐ出てくる見事な20m滝。水晶谷を少し戻り,先ほどの15mナメ滝のすぐ横にある壁の切れたところから左岸巻きする。(右岸巻きもできるが,結構大変らしい)
一昨年,奥剣又谷を遡行したときは,この20m滝の左岸巻きは全く苦労した記憶がなかったため,油断していたところ,どうやら下降点を見逃したらしく,大高巻きとなった挙句,ロープいっぱいの空中懸垂までやらされてしまった。無駄に消耗した…。
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一昨年,奥剣又谷を遡行したときは,この20m滝の左岸巻きは全く苦労した記憶がなかったため,油断していたところ,どうやら下降点を見逃したらしく,大高巻きとなった挙句,ロープいっぱいの空中懸垂までやらされてしまった。無駄に消耗した…。
しばらく進むと,奥剣又谷の名物,水がピューッと飛び出す25m滝。しかし,梅雨時の今日は水量が多いせいか,ピューッと感があまり出ておらず,普通に迫力のある直瀑となっている。
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しばらく進むと,奥剣又谷の名物,水がピューッと飛び出す25m滝。しかし,梅雨時の今日は水量が多いせいか,ピューッと感があまり出ておらず,普通に迫力のある直瀑となっている。
正面から。正面から見たほうが高さが伝わる。
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正面から。正面から見たほうが高さが伝わる。
さて,今日は左俣の口剣又谷を遡行するので,25mピューッと滝のほうではなく,左側の谷に入る。水量は少なくなり,普通の河原といった感じ。穏やかな始まり方だ。
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さて,今日は左俣の口剣又谷を遡行するので,25mピューッと滝のほうではなく,左側の谷に入る。水量は少なくなり,普通の河原といった感じ。穏やかな始まり方だ。
時々こんなナメ滝が出てくるくらいで,穏やかな谷が続く。「口剣又谷は奥剣又谷より厳しい」と聞いていたため,なんだか拍子抜けだな,と思いながら歩いていると…
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時々こんなナメ滝が出てくるくらいで,穏やかな谷が続く。「口剣又谷は奥剣又谷より厳しい」と聞いていたため,なんだか拍子抜けだな,と思いながら歩いていると…
唐突に両岸に高い壁がぶっ立ち,暗く禍々しいゴルジュに。あまりの急変ぶりに少し気圧されながらその中に入り込んでいくと…
唐突に両岸に高い壁がぶっ立ち,暗く禍々しいゴルジュに。あまりの急変ぶりに少し気圧されながらその中に入り込んでいくと…
ゴルジュをふさぐように,10mほどの滝が出現。両側は相変わらず高い壁で,高巻きは難しそう。
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ゴルジュをふさぐように,10mほどの滝が出現。両側は相変わらず高い壁で,高巻きは難しそう。
この滝は,滝身左側が手掛かりが豊富で,割と簡単に登れる。登ってから見下ろして撮影。
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この滝は,滝身左側が手掛かりが豊富で,割と簡単に登れる。登ってから見下ろして撮影。
この先どんな悪場が続くかと思いながら恐る恐る登っていくと,谷は再び開けてしまった。
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この先どんな悪場が続くかと思いながら恐る恐る登っていくと,谷は再び開けてしまった。
周囲の緑が気持ちいい。サワグルミやトチノキ,時々トウヒやコウヤマキが混じる。ブナよりもカエデのほうが多い気がする。
周囲の緑が気持ちいい。サワグルミやトチノキ,時々トウヒやコウヤマキが混じる。ブナよりもカエデのほうが多い気がする。
ゴーロの谷が続く。結構ゴーロ歩きの区間が長く,もしかしてこのまま稜線?と思っていると…
ゴーロの谷が続く。結構ゴーロ歩きの区間が長く,もしかしてこのまま稜線?と思っていると…
左手に突然きれいな滝が。1100m二俣の左俣にかかる滝だ。あまりにきれいな滝だったので,左俣にも興味を惹かれたが,地形図上では面白そうなのは右俣なので,予定通り右俣を進むことにする。
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左手に突然きれいな滝が。1100m二俣の左俣にかかる滝だ。あまりにきれいな滝だったので,左俣にも興味を惹かれたが,地形図上では面白そうなのは右俣なので,予定通り右俣を進むことにする。
右俣の入り口も小滝になっている。これは右手を簡単に登る。
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右俣の入り口も小滝になっている。これは右手を簡単に登る。
と,その先に大きなチョックストーンが挟まった8mほどの滝。これは直登は難しそうだな…。
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と,その先に大きなチョックストーンが挟まった8mほどの滝。これは直登は難しそうだな…。
両岸はいつの間にか高い壁になっており高巻きは難しそうなので,右手のこの浅いルンゼを登り,草付きバンドをトラバースして滝上に出た。バンドは足場が悪くちょっと緊張するが,手掛かりになる木の根があるので何とかなる。
両岸はいつの間にか高い壁になっており高巻きは難しそうなので,右手のこの浅いルンゼを登り,草付きバンドをトラバースして滝上に出た。バンドは足場が悪くちょっと緊張するが,手掛かりになる木の根があるので何とかなる。
その先は両岸には高い壁が不吉に屹立しているものの,谷中には何もなくしばらく進んでいける。
その先は両岸には高い壁が不吉に屹立しているものの,谷中には何もなくしばらく進んでいける。
キイチゴがたくさん生っていて,休憩がてら美味しくいただいた。
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キイチゴがたくさん生っていて,休憩がてら美味しくいただいた。
ヤマアジサイもきれい。
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ヤマアジサイもきれい。
と,前方の谷が急に凶悪なオーラを放ち始めた。周囲の岩壁が凄いことになっている。おそらく,1300m付近の二俣と思われる。
と,前方の谷が急に凶悪なオーラを放ち始めた。周囲の岩壁が凄いことになっている。おそらく,1300m付近の二俣と思われる。
右手の谷が一番水量が多い。断ち割ったような狭いゴルジュの中に,8mほどの滝と巨大なチョックストーン,さらにその上にも滝が見えている。最初の滝は何とか登れそうだが,果たしてその上は通過できるだろうか…。
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右手の谷が一番水量が多い。断ち割ったような狭いゴルジュの中に,8mほどの滝と巨大なチョックストーン,さらにその上にも滝が見えている。最初の滝は何とか登れそうだが,果たしてその上は通過できるだろうか…。
前途に不安を抱えながらも,1段目の滝は右隅を登る。
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前途に不安を抱えながらも,1段目の滝は右隅を登る。
下から眺めて一番不安だったその上のチョックストーンは,右隅に登攀可能な狭いコーナーがあり,何とか抜けることができた。
下から眺めて一番不安だったその上のチョックストーンは,右隅に登攀可能な狭いコーナーがあり,何とか抜けることができた。
しかし,その上にも滝が…。この滝も,多分右端が登れる。しかし,一旦取り付いたら,万一詰まった場合にクライムダウンが難しそうな形状の滝だ。未練を残しつつも,この滝には取りつかないことにした。単独なので,慎重にならないといけない。
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しかし,その上にも滝が…。この滝も,多分右端が登れる。しかし,一旦取り付いたら,万一詰まった場合にクライムダウンが難しそうな形状の滝だ。未練を残しつつも,この滝には取りつかないことにした。単独なので,慎重にならないといけない。
丈夫な流木に支点を取って懸垂下降して本谷に戻り,今度は直進方向の谷を進んでいく。こちらも荒々しい岩壁に挟まれた中に巨岩が詰まり,不吉な感じだ。水はほとんど枯れている。
丈夫な流木に支点を取って懸垂下降して本谷に戻り,今度は直進方向の谷を進んでいく。こちらも荒々しい岩壁に挟まれた中に巨岩が詰まり,不吉な感じだ。水はほとんど枯れている。
この谷も奥で二つに分かれており,まずは左手の枝谷を試みる。入り口が10mほどの滝になっているが,段々になっており難なく登れた。
この谷も奥で二つに分かれており,まずは左手の枝谷を試みる。入り口が10mほどの滝になっているが,段々になっており難なく登れた。
しかしその上が5mほどのCS滝…。これはちょっと無理かな…。両岸も垂直の壁で高巻きもできない。巨岩にロープをかけて懸垂下降し,すごすごと後退。
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しかしその上が5mほどのCS滝…。これはちょっと無理かな…。両岸も垂直の壁で高巻きもできない。巨岩にロープをかけて懸垂下降し,すごすごと後退。
残るは右手の枝谷。こちらも入り口からいきなり巨大チョックストーンが鎮座しており,厳しそうな眺め。左手の壁に取りついてチョックストーンをかわすように登り,枝谷に入る。古い残置ハーケンがあった。
残るは右手の枝谷。こちらも入り口からいきなり巨大チョックストーンが鎮座しており,厳しそうな眺め。左手の壁に取りついてチョックストーンをかわすように登り,枝谷に入る。古い残置ハーケンがあった。
巨岩が詰まるが,これは何とか登れる。
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巨岩が詰まるが,これは何とか登れる。
しかし,その先が…。再び巨大なチョックストーンが立ちふさがり,あと一歩が登れない。ハンマーをひっかけて手掛かりにできないか何度か試みたが,うまくいかない。残念だが,タイムアップだ。運よく,この箇所から細いバンドが岩壁の上の草付きにつながっており,灌木に半ば飛びつくようにして小尾根に這い上がり,谷を脱出した。
しかし,その先が…。再び巨大なチョックストーンが立ちふさがり,あと一歩が登れない。ハンマーをひっかけて手掛かりにできないか何度か試みたが,うまくいかない。残念だが,タイムアップだ。運よく,この箇所から細いバンドが岩壁の上の草付きにつながっており,灌木に半ば飛びつくようにして小尾根に這い上がり,谷を脱出した。
小尾根はかなりの急登だが,心配していたような岩壁に突き当たるようなこともなく,何とか登っていける。稜線はそう遠くないはずだ。
小尾根はかなりの急登だが,心配していたような岩壁に突き当たるようなこともなく,何とか登っていける。稜線はそう遠くないはずだ。
トウヒにブナやカエデ(オオイタヤメイゲツ?)が混じる大峰らしい植生。クロツグミの美しい声がしきりに響いている。
トウヒにブナやカエデ(オオイタヤメイゲツ?)が混じる大峰らしい植生。クロツグミの美しい声がしきりに響いている。
30分ほどの急登で稜線に出た。明星ヶ岳の南の1658mピークの少し南のあたりだ。沢装備を解除。
30分ほどの急登で稜線に出た。明星ヶ岳の南の1658mピークの少し南のあたりだ。沢装備を解除。
明星ヶ岳に向けて稜線を北上。ところどころ岩壁が屹立しており,岩を巻きながらチクチクするトウヒの若木をくぐって登山道を歩いていると,大峰に来たなぁという気分になる。
明星ヶ岳に向けて稜線を北上。ところどころ岩壁が屹立しており,岩を巻きながらチクチクするトウヒの若木をくぐって登山道を歩いていると,大峰に来たなぁという気分になる。
舟ノ垰からの楊枝ノ森,七面山にかけての眺め。眼下の谷は険谷として名高い舟ノ川だ。
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舟ノ垰からの楊枝ノ森,七面山にかけての眺め。眼下の谷は険谷として名高い舟ノ川だ。
明星ヶ岳を通過。よく考えたら,明星ヶ岳に登るのは初めてかもしれない。
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明星ヶ岳を通過。よく考えたら,明星ヶ岳に登るのは初めてかもしれない。
ほどなく八経ヶ岳。
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ほどなく八経ヶ岳。
眼下には今日辿ってきた谷が一望できる。中央付近が下降した水晶谷と白川又川本谷の出合,その右側に奥剣又谷と口剣又谷も見えている。こうして見ると,穏やかな切れ込みにしか見えず,まさかその中に荒々しい側壁と巨岩の連打を蔵しているようには到底見えない。
眼下には今日辿ってきた谷が一望できる。中央付近が下降した水晶谷と白川又川本谷の出合,その右側に奥剣又谷と口剣又谷も見えている。こうして見ると,穏やかな切れ込みにしか見えず,まさかその中に荒々しい側壁と巨岩の連打を蔵しているようには到底見えない。
梅雨前線が活発なので天気はどうかなと心配していたが,ガスの合間に展望も楽しめた。
梅雨前線が活発なので天気はどうかなと心配していたが,ガスの合間に展望も楽しめた。
八経ヶ岳を眺めつつ帰路を急ぐ。それにしても,美声のクロツグミがよく鳴いている。
八経ヶ岳を眺めつつ帰路を急ぐ。それにしても,美声のクロツグミがよく鳴いている。
弥山通過。小屋泊まりやテント泊の人で賑やかだった。谷では全く人に会わなかったので,ギャップにちょっと戸惑う。
このあと,弁天ノ森を経由して行者還トンネル西口に下山。この区間,地形図以上に長く感じるのはどうしてだろう…。
弥山通過。小屋泊まりやテント泊の人で賑やかだった。谷では全く人に会わなかったので,ギャップにちょっと戸惑う。
このあと,弁天ノ森を経由して行者還トンネル西口に下山。この区間,地形図以上に長く感じるのはどうしてだろう…。

装備

備考 ・フェルトソール沢足袋使用。基本的にフリクションは悪くなく,滝の登攀も多いため,ラバーの沢靴のほうが威力を発揮するかも。ただ,水流中の岩の赤くなっている部分はかなりぬめるので注意。
・40mロープ携行。懸垂下降で何度か使用。特に口剣又谷の源頭部はゴルジュの中に巨大チョックストーンや滝が連続し,選んだ谷によっては行き詰ることもあるため,最低でも40mくらいのロープはあったほうがいい。

感想

 昨秋から北陸や奥美濃の山ばかり登っていたので,何だか無性に紀伊半島の山に登りたくなってしまった。口剣又谷を選んだのは,一昨年,奥剣又谷を登った時に,名物の水の飛び出る25m滝の前から反対側の左俣(口剣又谷)を眺めて,いつかこっちにも入ってみたいなと心にひっかかっていたからで,それだけの理由です(まあ,山選び・谷選びのきっかけはそんなものだろうが…)。
 口剣又谷は,白川又川の源流の小さな支谷ながら,より有名な本谷筋の奥剣又谷よりも厳しいと言われることもある谷で,ちょっと身構えて入渓したのだが,最初はゴーロの区間が多いどちらかというと穏やかな谷で,ちょっと拍子抜けしてしまった。しかし,この谷の真骨頂は源頭に入ってからで,荒々しい岩壁がそそり立つ陰惨なゴルジュの中に巨大なチョックストーンが挟まって遡行者の頭上を威圧し,直登か後退か,二者択一の遡行が続く。今回は自重して適当なところから小尾根に逃げてしまったが,少なくとも1300m二俣の右俣の滝は十分登れると思うので,実際は稜線まで谷を詰め上げることも可能だと思う。チョックストーンの詰まり方の変化でいくらでも難易度が変わりそうな谷なので,要注意ですが…。
 岩の隘路のような口剣又谷から抜け出して尾根に出ると,打って変わったように穏やかなトウヒとブナの原生の森に包まれ,先ほどまで彷徨っていた荒れた谷底が夢だったように思われて不思議な感じがした。このあたりを縄張りにしているクロツグミは喉自慢が多いようで,谷でも稜線でも終始耳にしていたその美声が妙に心に残る山行だった。

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