駐車地の空き地のすぐ先に,ロボット尾根取りつきの見慣れた看板がある。しかし,今日は大河内川をそのまま遡って長トコ谷に入るため,この看板は無視して林道を奥に進んでいく。
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駐車地の空き地のすぐ先に,ロボット尾根取りつきの見慣れた看板がある。しかし,今日は大河内川をそのまま遡って長トコ谷に入るため,この看板は無視して林道を奥に進んでいく。
適当なところで大河内川に入渓すると,さっそく谷は狭まり,小滝が連続し始める。
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適当なところで大河内川に入渓すると,さっそく谷は狭まり,小滝が連続し始める。
この辺りの滝は全部直登できて楽しい。
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この辺りの滝は全部直登できて楽しい。
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イワタバコの真っ盛りで,谷じゅう紫の可憐な花が咲き乱れていた。
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イワタバコの真っ盛りで,谷じゅう紫の可憐な花が咲き乱れていた。
ほどなく長トコ谷(右俣)と滝ヶ谷(左俣)の出合である標高530m二俣。写真は滝ヶ谷の出合滝。
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ほどなく長トコ谷(右俣)と滝ヶ谷(左俣)の出合である標高530m二俣。写真は滝ヶ谷の出合滝。
右俣の長トコ谷を進むと,すぐに3段30m滝(下から大体10m・2m・18m)にぶつかる。高い岩壁の中にかかる立派な滝だ。前回来たときは,大増水の最中だったので近づくことすらできなかったが,平水の今日見てみると,滝身の左側が容易に登れそうだったため,直登していく。
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右俣の長トコ谷を進むと,すぐに3段30m滝(下から大体10m・2m・18m)にぶつかる。高い岩壁の中にかかる立派な滝だ。前回来たときは,大増水の最中だったので近づくことすらできなかったが,平水の今日見てみると,滝身の左側が容易に登れそうだったため,直登していく。
1段目の10m滝を登り,2段目の2m滝と3段目の18m滝を眺める。
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1段目の10m滝を登り,2段目の2m滝と3段目の18m滝を眺める。
2段目の滝の滝壺を見下ろす。岩盤の真ん中に円くえぐられた洗濯槽のような滝壺だ。
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2段目の滝の滝壺を見下ろす。岩盤の真ん中に円くえぐられた洗濯槽のような滝壺だ。
3段目の滝。美しい直瀑。
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3段目の滝。美しい直瀑。
3段目は直登は難しそうだったため,対岸にジャンプで渡って左岸の急斜面を巻き上がり,落ち口に降り立つ。
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3段目は直登は難しそうだったため,対岸にジャンプで渡って左岸の急斜面を巻き上がり,落ち口に降り立つ。
その上はところどころ小滝は出てくるが,通過は容易。
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その上はところどころ小滝は出てくるが,通過は容易。
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しばらく進むと,この綺麗な5m直瀑。つるつるの岩盤に囲まれており直登は困難。前回来たときは,左岸を巻き上がったが,同じルート取りをしてもつまらないので,今回は右岸から巻いてみることにした。
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しばらく進むと,この綺麗な5m直瀑。つるつるの岩盤に囲まれており直登は困難。前回来たときは,左岸を巻き上がったが,同じルート取りをしてもつまらないので,今回は右岸から巻いてみることにした。
5m滝の手前にあるこの20mほどのナメ滝をよじ登り,右岸から巻きに入る。このナメ滝の登り自体は楽しかったのだが,滝の上は意外に両岸が立っており,容易に巻きに入れず,無駄に大高巻きになってしまった。やはり左岸巻きのほうが経済的なようだ。
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5m滝の手前にあるこの20mほどのナメ滝をよじ登り,右岸から巻きに入る。このナメ滝の登り自体は楽しかったのだが,滝の上は意外に両岸が立っており,容易に巻きに入れず,無駄に大高巻きになってしまった。やはり左岸巻きのほうが経済的なようだ。
5m滝を巻き終え,さらに谷中をすすむ。
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5m滝を巻き終え,さらに谷中をすすむ。
ソバナが至る所で青い可憐な花を覗かせていた。
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ソバナが至る所で青い可憐な花を覗かせていた。
シモツケソウも花盛り。
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シモツケソウも花盛り。
小滝を越えていく。
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小滝を越えていく。
と,前方に大きな滝の気配が。
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と,前方に大きな滝の気配が。
5m・5m・15mの3段25m滝が出現。左岸の草深い急斜面を巻き上がっていく。
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5m・5m・15mの3段25m滝が出現。左岸の草深い急斜面を巻き上がっていく。
最上段の15m滝の雄姿。風格のある滝だ。
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最上段の15m滝の雄姿。風格のある滝だ。
滝を眺めながら急斜面を巻き上がっていく。
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滝を眺めながら急斜面を巻き上がっていく。
3段25m滝の上も,3mほどの幅広滝が控えていた。
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3段25m滝の上も,3mほどの幅広滝が控えていた。
右岸から焼小屋谷が出合うのを見送り,さらに谷を直進する。
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右岸から焼小屋谷が出合うのを見送り,さらに谷を直進する。
ウォータースライダーのような滝。
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ウォータースライダーのような滝。
細長いナメ滝。
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細長いナメ滝。
しかし不思議なのが,焼小屋谷を過ぎてから急にはっきりと水温が下がったことだ。手をずっと水に浸していると痛いくらいの冷たさだ。水の透明度も増している。おそらく,雪解け水が直接湧き出ているのだろう。
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しかし不思議なのが,焼小屋谷を過ぎてから急にはっきりと水温が下がったことだ。手をずっと水に浸していると痛いくらいの冷たさだ。水の透明度も増している。おそらく,雪解け水が直接湧き出ているのだろう。
そして夏小屋谷(左)とシンノ谷(右)の出合。ちょっと迷ったが,夏小屋谷のほうが等高線がくねくねしており,滝が多そうな気がしたため,夏小屋谷に入る。
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そして夏小屋谷(左)とシンノ谷(右)の出合。ちょっと迷ったが,夏小屋谷のほうが等高線がくねくねしており,滝が多そうな気がしたため,夏小屋谷に入る。
タマガワホトトギスの群落があった。
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タマガワホトトギスの群落があった。
トリカブト。
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トリカブト。
最初は谷幅が狭く,険しそうでいい雰囲気。
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最初は谷幅が狭く,険しそうでいい雰囲気。
岩間滝。
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岩間滝。
しかし,しばらく進むと,谷は開けてしまい,結局ほとんど滝が出てこないという…。前回登った焼小屋谷は割と滝が出てきたので期待していたのだが,夏小屋谷はどうやら穏やかな谷のようだ。
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しかし,しばらく進むと,谷は開けてしまい,結局ほとんど滝が出てこないという…。前回登った焼小屋谷は割と滝が出てきたので期待していたのだが,夏小屋谷はどうやら穏やかな谷のようだ。
そして,割とすぐに水切れとなってしまった。しかし,この水が本当に冷たい。普通の沢水ではなく,明らかに雪解け水由来の湧水だ。冷たい湧水で喉をうるおし,藪漕ぎにそなえてプラティパスにたっぷり水を補給。
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そして,割とすぐに水切れとなってしまった。しかし,この水が本当に冷たい。普通の沢水ではなく,明らかに雪解け水由来の湧水だ。冷たい湧水で喉をうるおし,藪漕ぎにそなえてプラティパスにたっぷり水を補給。
水の枯れた急な沢筋を稜線へと登っていく。
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水の枯れた急な沢筋を稜線へと登っていく。
沢は藪っぽい岩壁に突き当たって終わっていた。
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沢は藪っぽい岩壁に突き当たって終わっていた。
ロボットピーク(右)と夏小屋丸(左)が見える。稜線までもうすぐだ。
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ロボットピーク(右)と夏小屋丸(左)が見える。稜線までもうすぐだ。
ここから激しい藪漕ぎに突入。一番厄介な灌木系の藪で,しかもかなりの急斜面。藪をつかんで強引に体を引き上げていく。
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ここから激しい藪漕ぎに突入。一番厄介な灌木系の藪で,しかもかなりの急斜面。藪をつかんで強引に体を引き上げていく。
稜線はまだか…
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稜線はまだか…
灌木の藪を突き抜け,ついに笹の稜線に出た。登山道はあるはずもなく,一面笹の海だが,腰〜胸丈くらいの笹で,比較的はっきりした獣道が走っているので,意外と歩きやすい。奥に見えるのは夏小屋丸とロボットピーク。
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灌木の藪を突き抜け,ついに笹の稜線に出た。登山道はあるはずもなく,一面笹の海だが,腰〜胸丈くらいの笹で,比較的はっきりした獣道が走っているので,意外と歩きやすい。奥に見えるのは夏小屋丸とロボットピーク。
そして何より,ほぼ360°の展望だ。不動山や千回沢山も見える。
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そして何より,ほぼ360°の展望だ。不動山や千回沢山も見える。
左から釈迦嶺,冠山,若丸山,能郷白山の姿も。
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左から釈迦嶺,冠山,若丸山,能郷白山の姿も。
獣道を外さないようにしながら,すぐそこの笹ヶ峰を目指して笹を漕いでいく。何しろ遮るもののない藪尾根なので,灼熱地獄だったらどうしようと心配していたのだが,この日は意外に涼しい風が吹いていてしのぎやすかった。
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獣道を外さないようにしながら,すぐそこの笹ヶ峰を目指して笹を漕いでいく。何しろ遮るもののない藪尾根なので,灼熱地獄だったらどうしようと心配していたのだが,この日は意外に涼しい風が吹いていてしのぎやすかった。
そして,笹ヶ峰の三角点に到達。三角点のほかにはプレートなどは一切ない。
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そして,笹ヶ峰の三角点に到達。三角点のほかにはプレートなどは一切ない。
三等・長所。点の記には「俗称 ナガトコノシン」とある。恐らく,今日遡ってきた長トコ谷が由来と思われる点名だ(「シン」は,枝谷に対して本谷を指す言葉)。
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三等・長所。点の記には「俗称 ナガトコノシン」とある。恐らく,今日遡ってきた長トコ谷が由来と思われる点名だ(「シン」は,枝谷に対して本谷を指す言葉)。
三角点の周りは猫の額ほどの切り開きがあるが,藪に囲まれていて意外に眺望は良くない。積雪期は遮るもののない360°の眺望が得られるピークなので,同じ場所に思えないほどだ。
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三角点の周りは猫の額ほどの切り開きがあるが,藪に囲まれていて意外に眺望は良くない。積雪期は遮るもののない360°の眺望が得られるピークなので,同じ場所に思えないほどだ。
しかし,山頂の東側は比較的笹の背が低いため,このように素晴らしい眺望が得られる。笹ヶ峰の名にふさわしい,笹の海の稜線が果てしなく続いている。
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しかし,山頂の東側は比較的笹の背が低いため,このように素晴らしい眺望が得られる。笹ヶ峰の名にふさわしい,笹の海の稜線が果てしなく続いている。
さて,笹ヶ峰を後にして,稜線を南下し,夏小屋丸を目指す。こんな風に獣道が走っているので,意外に快適に進める。
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さて,笹ヶ峰を後にして,稜線を南下し,夏小屋丸を目指す。こんな風に獣道が走っているので,意外に快適に進める。
笹ヶ峰を振り返る。青々とした一面の笹の中に続く一筋の獣道。無雪期の笹ヶ峰も,なかなか美しい。
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笹ヶ峰を振り返る。青々とした一面の笹の中に続く一筋の獣道。無雪期の笹ヶ峰も,なかなか美しい。
夏空の下,夏小屋丸へ。
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夏空の下,夏小屋丸へ。
夏小屋丸の北側の鞍部は,ちょっと藪が濃く,一時的にがっぷり四つの藪漕ぎになるが,短いので我慢できる程度。
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夏小屋丸の北側の鞍部は,ちょっと藪が濃く,一時的にがっぷり四つの藪漕ぎになるが,短いので我慢できる程度。
笹ヶ峰を振り返る。
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笹ヶ峰を振り返る。
夏小屋丸から不動山に続く稜線と,不動山,千回沢山。
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夏小屋丸から不動山に続く稜線と,不動山,千回沢山。
夏小屋丸に到着。夏小屋丸も展望がよく,ほぼ360°の眺望。ロボットピーク(右)と大河内山(左)が見える。
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夏小屋丸に到着。夏小屋丸も展望がよく,ほぼ360°の眺望。ロボットピーク(右)と大河内山(左)が見える。
能郷白山方面。
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能郷白山方面。
福井の山々。一番左端は上谷山だ。
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福井の山々。一番左端は上谷山だ。
美しい夏雲が奥美濃の山々の上空を渡っていく。
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美しい夏雲が奥美濃の山々の上空を渡っていく。
さて,ここから長トコ谷のシンノ谷に下降する。
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さて,ここから長トコ谷のシンノ谷に下降する。
シンノ谷は稜線直下からはっきりとした沢形が始まっており,ほぼ藪漕ぎなしで下っていくことができる。
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シンノ谷は稜線直下からはっきりとした沢形が始まっており,ほぼ藪漕ぎなしで下っていくことができる。
夏小屋谷が平凡だったので,シンノ谷も同じようなものかと思っていたら,枯滝がいくつか出てきた。いずれもクライムダウンor巻き下りでクリアできるが,これはどちらかというとシンノ谷のほうを登路にしたほうがよかったかな…。
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夏小屋谷が平凡だったので,シンノ谷も同じようなものかと思っていたら,枯滝がいくつか出てきた。いずれもクライムダウンor巻き下りでクリアできるが,これはどちらかというとシンノ谷のほうを登路にしたほうがよかったかな…。
ほどなく水が復活。やはりこちらの谷も水が切れるように冷たい。頭から清冽な水をかぶって体を冷やした。
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ほどなく水が復活。やはりこちらの谷も水が切れるように冷たい。頭から清冽な水をかぶって体を冷やした。
結局,源頭部で小さな枯滝がいくつか出てきただけで,それ以降は滝らしい滝はほとんど出てこず,シンノ谷も概ね平凡な谷だった。
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結局,源頭部で小さな枯滝がいくつか出てきただけで,それ以降は滝らしい滝はほとんど出てこず,シンノ谷も概ね平凡な谷だった。
でも,谷にみなぎる奥深さは格別で,雰囲気は良い。
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でも,谷にみなぎる奥深さは格別で,雰囲気は良い。
途中,沢の中に謎の鉄棒が突き刺さっていた。真っ黒に錆びており,かなり古いもののようだ。この山域で人工物と言ったら,ロボットピークにかつてあったと言われるロボット雨量計くらいしか思いつかないので,その構造物が雪崩などで谷底に落ちてきてしまったのかもしれない。
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途中,沢の中に謎の鉄棒が突き刺さっていた。真っ黒に錆びており,かなり古いもののようだ。この山域で人工物と言ったら,ロボットピークにかつてあったと言われるロボット雨量計くらいしか思いつかないので,その構造物が雪崩などで谷底に落ちてきてしまったのかもしれない。
クサボタン。
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クサボタン。
さて,夏小屋谷と合流した後は,3段25m滝を登りと同じく左岸巻きで巻き下り,
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さて,夏小屋谷と合流した後は,3段25m滝を登りと同じく左岸巻きで巻き下り,
滝ヶ谷出合の直前の3段30m滝も左岸を巻き下って,
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滝ヶ谷出合の直前の3段30m滝も左岸を巻き下って,
林道に帰着。沢を出て林道に上がったとたん,それまでの肌寒いくらいの空間から一転,むわっと蒸し暑い熱気にいきなり包まれ,今日一日歩き回っていた長トコ谷が別天地だったことを実感した。
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林道に帰着。沢を出て林道に上がったとたん,それまでの肌寒いくらいの空間から一転,むわっと蒸し暑い熱気にいきなり包まれ,今日一日歩き回っていた長トコ谷が別天地だったことを実感した。
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