南ア・荒川三山と赤石岳、アリバイ登頂へ
- GPS
- 19:02
- 距離
- 29.9km
- 登り
- 3,273m
- 下り
- 3,236m
コースタイム
椹島 9:05 − 9:25 滝見橋 − 10:20 岩頭の見晴し − 10:40 林道 − 12:10 清水平 − 12:45 蕨段 12:55 − 14:05 駒鳥池 14:15 − 14:55 千枚小屋
28日(土):
千枚小屋 4:25 − 5:10 千枚岳 − 5:55 丸山(悪沢の頭) − 6:25 悪沢岳(荒川東岳) 6:35 − 6:55 悪沢岳北の3033m峰 − 7:15 悪沢岳 7:25 − 7:45 コル − 8:20 荒川中岳 8:30 − 8:35 縦走路合流点 8:55 − 9:40 荒川小屋 9:45 − 10:15 大聖寺平 − 11:15 3030m峰 11:30 − 11:45 小赤石岳 − 12:00 分岐点 − 12:20 赤石岳 − 12:35 分岐点 − 14:00 富士見平 14:05 − 14:30 赤石小屋 − 17:10 椹島赤石岳登山道入口
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登山径の大幅変更 椹島の少し先で奥西河内の吊り橋を渡ってから、小石下へ1437mピークを巻いて登るように地図には出ていますが、途中の小沢の崩落で径は大きく右へ迂回し1437m峰まで登り50〜60m下のコルまで急下降します。 数年前に径は作り替えられたようで歩きやすいですが、このコースを下山に使われる場合、従来にコースタイムより10分ほどは余分に時間がかかると思います。 時間を気にされる方はご注意を。 |
写真
感想
南ア3000m峰アリバイ登頂の山旅も終盤戦に入った。
実は先週、赤石岳に長野県側からアプローチしようと小渋川から入ったが、まだ台風の影響が残っていて水量多く、一回目の徒渉であきらめてさっさと帰ってきた。
水量の減った今週にもう一度と言う気も起こらず、軟弱にして東海フォレストのバスと山小屋にお世話になることにして行ってきた。
椹島の林道を滝見橋で離れて山径に入り奥西河内を吊り橋で渡るといよいよ登りが始まる。
少し登ると、小沢の崩落で径は消えている。かなりの崩落で巻き径は作れそうにないなと思っていたら径は右へ右へと登らされ、結局1437mピークまで出てしまった。
そして50〜60m急な下降をしてコルに出た。
このコースに作り替えられて数年以上は経つようで径はしっかりしているが、逆コース(千枚から下り)の人には従来のコースタイムより10分ほど多く掛かるような気がする。
バスの時間が気になる人は要注意だと思う。
清水平の水はよく流れていた。こんな尾根径で水が得られるとは有り難い場所だ。
蕨段の先で木の根のつまずいて転倒した。
左足がひっかかったのでつんのめりながら右足を前に出そうしたらそれもひっかかって腰が浮いてしまった。
手を出そうとしたが、地面は水たまりがひいて数日でまだ完全に乾いて無さそうで、手をついたらグニュと埋まりそうで、それはイヤだと手を引っ込めたら身体を支えるののは何もなく顔面から着地してメガネが吹っ飛んでしまった。
もし人が見ていたら面白かっただろうなと思う。
競泳のスタートじゃあるまいに顔面から飛び込んで着地なんて・・・
よく、岩尾根で老人が足を滑らせてもとっさに岩を掴もうとせず棒のように落ちていった、と言うのを聞くが、今回の私も手を出さず、棒のようにはねて落ちたんだろうな。
でも私は歳の性ではない、手を汚すのがイヤで引っ込めたのだ、って弁解にも何にもならないな〜。
小屋の近くでにじむ汗を拭こうと額に手をやって初めて額が泥だらけだと気が付いた。
やっぱり動揺してたんだ。
千枚小屋は、真新しくこぢんまりと良い小屋だった。
荷物はヘリではなくワイヤーでモッコで上げているらしく野菜を多く使った料理は有り難かった。
ただ、小屋内に水場もトイレもないので外に出なければならない。今日は良いが、雨の日はちょっと辛いかも・・
今日の行程は、明日のためのウォーミングアップみたいなもの。
明日は、夜明け前に出て日没後も歩く強行軍。
隣の人に、明日は4時には出発するので就寝中に起こしてしまうかも知れない、と先にお詫びをして寝た。
しかし、普段こんな時間に寝ていないのでなかなか寝付けない。
トントンと肩を叩かれて、もう4時ですよ、と隣の人に起こされた。
あわてて飛び起きた。
(隣の方、ありがとうございました。)
寝起きの飲まず喰わずの身体に、千枚岳への登りは結構キツイ。
千枚岳では、二人の方が御来光を待って居られた。
その内の一人の方に、今日は下までだと聞いていたのにまだ寝ているので心配したよ、と言われたが、「ハイ、頑張ります」としか返事できなかった。
恥ずかしい。
快晴で、富士山の横から昇ってくる太陽はそれは見事だった。
いっぱい力をもらえた気がする。
悪沢岳。その北にも3033m標高点のピークがある。
自分で勝手に決めた3000m峰の定義に従って、このピークにも立ちに行く。
荷物は置いていく。トートバックにスマホのGPSとカメラを入れて、尾根筋を忠実に下っていく。
径はないが、フワフワと柔らかく実に気持ちの良い歩きが出来る。
コーヒーでも湧かしてゆっくりしたいピークだが今日は時間がないので写真を撮ったらすぐに悪沢岳へ戻った。
高山裏から赤石岳を結ぶ縦走路との合流点でもザックは置いて、トートバックだけで前岳へ行った。
その前岳のすぐ西隣にも2つ小さなピークがあったので3000mは越えているだろうと足を伸ばすことにした。
左手は荒川大崩壊地で覗き込むのは気持ちが悪い、そんな縁に高山裏への縦走路のペンキマークが付いている。
よくまあこんな危険なところに、と思ってしまう。
南アにはこのような大崩壊地が多い。聖岳の西も、塩見の北にも。
普段見ている人には、何も感じないかも知れないが、初めて来た者には、毎日ボロボロ崩れているんでしょ、と見えてしまう。
怖い。事故が起こらないことを祈るのみだ。
荒川小屋も千枚小屋と同様、新しくこぢんまりと気持ちの良さそうな小屋だった。
ベンチで少し休んで、標高500m差の赤石岳に向かって登り始める。
大聖寺平までは距離はあるがなだらかな気持ちの良い牧歌的なコースで、ヨーロッパアルプスのトレッキングコースを思い出す。
大聖寺平から先は、少し傾斜があるが広い広い尾根を歩く。
3030m峰に近づくと傾斜は増し、頭上、あれがピークかあれがピークかと苦しい登りになった。
もう堪忍して〜と弱気になっていると、「グァグァ、頑張れよ」と3匹の雷鳥に声援をかけられやっと3030mピークに到達した。
しばし休憩。
歩き出すとすぐに若いカップルが登ってこられた。3030m峰で同じように休まれるだろうと思っていたら、立ち止まることもなくすぐに追いつかれたので先に行ってもらった。
やっぱり若い人は強い。
赤石小屋への下降点でザックを置いて、またトートバックだけ手にしていよいよ最後の登り、赤石岳へ。
頂上に到達しても、不思議なことに、ヤッターッ! と言う達成感がない。
バシバシ写真を撮りまくる、という景色もない。
さあ、終わった終わった帰りましょう、って感じだった。
稜線からの下降は、谷底に向かってグングン下る。
なんてとこに径を作ったの?と思ってしまう。
北アでは一冬でこの径は崩されてしまうように思う。やっぱり積雪量が少ないのだろう。
途中で出会う沢でチョロチョロ流れる水をペットボトルに汲んだ。
沢筋から離れて多少登り気味の径は結構歩きづらい。
富士見平で、荒川三山も赤石岳も富士山もこれで見納めだろうとゆっくり休憩し、この後まだまだ足に力がいるのでアミノバイタル顆粒を注入した。
自分では結構調子よく歩いているつもりだが、ここから小屋までコースタイムより若干時間がかかって通過した。
その先で、何か調子悪いな、気分悪いなと思いながら歩いていると突然オェと吐いてしまった。
アミノバイタルの綺麗な緑色の透明の液だった。
またかよ〜、と暫く休んだ。
昔から、空っぽの胃に水分を入れると吐いてしまうことがある。
真冬のテルモスの紅茶、夏のポカリ、等々。
今日も固形物はお腹に入っていない。
荒川小屋で、熱中症予防の塩タブレット2個、3030m峰で一口大福1個、しか口に入れていないので胃の中は空っぽ。
そこにお茶と水以外の水分が入ると駄目なようだ。
吐いてしまうと気分の悪さはなくなるので歩き始めたらすぐ先で、椹島−赤石小屋 4/5 の標識の地点に出た。
どの辺りにいるのだろうとGPSで見てみた。
小屋から1時間近く架かってきたのに殆ど降りていない。
これはヤバイ。初めての山域でヘッドランプでの下降はしたくない。
幸い吐いてしまったので気分は元に戻っている。
走るように下る。
次の3/5地点は20分で通過した。
よしこの調子だ、と2/5地点を目指して下る。
16時を廻ったところで、カメラを収納し、ヘッドランプと予備のヘッドランプをすぐ出せるようにザックのポケットに入れ、また頑張って下る。
が、なかなか2/5が出てこない。かなり焦り始めると、足元遙か下に車道が見えた。
助かった〜。どうやら2/5標識は見落としたらしい。
何とか明るい内に椹島まで降りてきた。
山は終わったと、家に連絡しようとしたがauの電波はなかった。
スマホの電池も少なくなってきているのでGPSも終了した。
さあ、このあと長い長い林道を5時間、頑張りますか。
[ 私の3000m峰 ]
通常「山」を言う場合、国土地理院の「日本の山岳標高一覧(1003山)」をベースにされるが、そこにはあのジャンダルムや好きな穂高・明神岳が山の一座と見なされていないのでイヤだ。
で、自分で作った「山」の規準が、
1.地形図やガイドブックに名前が出ているピーク。
2.地形図に標高点が記されているピーク。
3.富士山はお鉢巡りも含む。
とした。
それで今回は、悪沢岳の北の3033m峰をも登頂目標に入れた。
(もっとも私の古いエアリアマップには、更に先の西小石岳まで登山道として記されている)
今回で、南ア3000m峰アリバイ登頂もあらかた終わった。
残すは、仙丈ヶ岳だけとなった。
でも仙丈ヶ岳はアプローチが良いので気持ちの上での負担がない。
南アの中南部の山々はアプローチが悪い。
気合い入れてかからないと登れるものではない。
今回それが終わったので、正直、ホッとしている。
これから目指す3000mの峰峰、
富士山、御岳、乗鞍、立山、そして仙丈ヶ岳にジャンダルム。
これからは一座一座を楽しみにして登らせてもらおう。
[ 深田久弥の百名山 ]
今回、悪沢岳と赤石岳が百名山に入っているので、私はちょうど40座に登ったことになる。
その悪沢岳の章の冒頭で「国土地理院の地図には東岳となっているので、その呼称が普及しつつあるようだが、私たち古い登山家にとっては、どうあっても悪沢岳であらねばならぬ。」と強い口調で書かれている。
その気持ちはなんとなく分かるが、それでは、間ノ岳に農鳥の名を冠し今の農鳥岳に南岳或いは別当代の名を当てたかった、という偏りにはちょっと付いていけない。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する