紅葉の剱岳 【恐怖の池ノ谷から劒尾根】
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- GPS
- 12:56
- 距離
- 21.4km
- 登り
- 4,987m
- 下り
- 4,950m
コースタイム
- 山行
- 0:09
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:09
- 山行
- 11:27
- 休憩
- 0:36
- 合計
- 12:03
天候 | 秋晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
馬場島〜小窓尾根 一般登山道ではありません。道は明瞭でトラロープも張ってあります。雷岩の渡渉は天然の倒木がかかっておりラッキーです。 池の谷〜劒尾根 今年は雪渓の残り具合が非常に悪く、いつ崩落が起きてもおかしくはありません。登攀道具は必需。雪渓の懸垂下降があり最悪は進退窮まりロープ登行で敗退もあります。劒尾根上半はやさしいクライミングですが、落ちたら終わり。上部は快適な岩稜歩き、しびれます。 早月尾根 安心安定の急登です。早月小屋周辺は紅葉の盛りです。 |
写真
装備
個人装備 |
登攀道具一式
アイゼン
バイル
|
---|---|
共同装備 |
ロープ30m×2
カム4
ハーケン2
捨て縄
|
感想
今日はピーカンなので決戦の日。4日前に若者に池の谷からバリろうと連絡した。男なら劒尾根下半からピークに行こう。いつもなら二つ返事でOKだが下半ワンデイは自信がないと言うではないか。うーん、ビレイしてもらわないと行けない…、百歩譲って上半から行くことにした。
ほとんど寝れずに0時前に馬場島からスタート、肌寒いが歩くとポカポカ、いい季節になりました。スタートから1時間20分で雷岩に着いた、渡渉できる所を探していると下流側に天然の倒木が対岸まで横たわっていた。これはラッキー、来シーズンもありますように。
小窓尾根の急登を登り池の谷に降り立った。ここまで3時間なのでまだ2時間半は暗闇です。しばらく歩くと雪渓の残骸が出てきたがほぼ河原歩き、右岸左岸と行ったり来たりして進んで行くとやがて雪渓が現れた。200mほど進むと切れる、そしてまた現れる…暗闇のクレパスは怖かった。
とうとう暗い池の谷二股に着いた。ここから急峻になる、明るくなるころの到着予定であったがちょっと早すぎたか。止まると寒いので進むしかない。この先雪渓が無くなり急峻の河原歩きとなる、昨年と同じでよっちゃんかと思っていたが甘くはなかった。
急峻な左俣に雪渓が現れたり切れたりする、マジですか、勘弁してください。カチカチの雪渓はウィペットは歯が立たず、バイルを打ち込んで雪渓を下りたり登ったりする。そしてようやく明るくなってきた、明るいって素晴らしい。本来ならばV字渓谷の紅葉に見とれるはずだが余裕がなかった。
ルートが見えれば希望がある、サクサク行こうと思っていたがここも甘くはなかった。標高が上がり渓谷は深くなると雪渓の厚みは10M以上になり滑落は許されない。
そして最悪の雪渓が切れた…、もちろん谷底まで10m以上です。今日はスクリューを持ってきてないから支点は作れない、しかし落石があったのでこれを支点にできるだろう、形が微妙だけど。ん…、待てよ。空中懸垂で下りたら片道切符、ユマールとベーシックを持ってきてないからロープ登行は出来ないべ。この先どうなっているんだろう…、100m先に雪渓の壁があった。アイスクライミングの道具があれば登れるがあるわけない。絶望的…、うーん、ここで敗退ですか。雪渓の状況をカメラの望遠レンズを覗いて探る、トンネルがあった。かすかに明かりが見えるから行けそうだがその先は分からない。
ここで装備のチェック、スリングもビナも沢山あるので最悪僕がロープ登行して帰る作戦とした。
いびつな形の落石にしっかりと支点を作って懸垂開始、空中懸垂で谷底に降り立った。そして100m先のトンネルを偵察しに行く、大丈夫だ行けそうだから若者に下りてきてもらう。トンネルの中は上流で崩落した雪渓が積み重なりカチカチビビンバ状態、バイルを打ち込んで登るしかなかった。ウィペットは今日は役に立っていない。恐怖のトンネルを進むと更にトンネルが現れた。ここは地獄の1丁目です。やっと雪渓の先端に出た。今年は最悪の雪渓の状態、十分な経験がないと行けないと思った。
雪渓が終わればアイゼンを外して登って行く、劒尾根に行くには長次郎の頭に続く沢を登り劒尾根R2からコルに行く。狭いルンゼはガラガラで足元が崩れていく。高度が上がると更に急峻になり滝はチムニーになっている。空身で登りザックを回収して登る、最後は際どいクライミングでコルBに着いた。この先は劒尾根の上半、最初はフリーで行く。よじ登っていくとライチョウが3m先にいた、全く逃げない、クライミングをする壁なので人が近寄れないからライチョウもよっちゃんなんでしょうか。
更に登りいやらしい壁になる。フリーでも行けそうだが落ちたらマジでおしまい、確保してください。1ピッチ30mで登りこの先は快適な尾根歩きとなった。
後ろの小窓王、稜線から谷底まで数百メートルもある岩の壁、前方にそびえる長次郎の頭…、何度も剱岳に登っているがこれぞ非日常的剱岳なんでしょうか。快適な登攀を楽しんで頭に着き本峰を目指した。通いなれた北方稜線を歩いて着いたぜベイビー、頑張りました。若者はまだ最後の登りを頑張っているので山頂にいたおばちゃんに写真を撮ってもらった。
しばらくして無事山頂で合流、先下りているから休憩して下山してちょうだい。さすがに荷物が重いからゆっくり下りようと思っていたが軽量ザックのおじさんが前にいてサクサク下りていく。もうそうなると抜かすしかない。おかげで下山が早かった…・
終わってみれば13時間20分の周回、楽しかった。。。
コメントありがとうございます。池ノ谷には何度も足を運んでいますが、今年ほど険悪な雪渓は初めてでした。
次回からは装備を考えないと安全に行けないと思いました。
それにしても、よく単独で行かれましたね。数年前にもチンネで白骨遺体が発見されてました。やはり相棒が必要ですね。
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