記録ID: 3883419
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
日高山脈
厳冬期中北部日高縦走(新冠湖〜イドンナップ岳〜ナメワッカ岳〜カムイエクウチカウシ山〜1823峰〜コイカク夏尾根)
2021年12月25日(土) ~
2022年01月02日(日)


- GPS
- 200:00
- 距離
- 65.9km
- 登り
- 4,282m
- 下り
- 3,871m
コースタイム
昨年度の冬、AACH現役の年末年始山行としてペテガリ東尾根が計画された。僕は送り出す側であり、後輩を連れていくには流石に厳しい気がする、と彼らを説得しているうちに、自分がこのルートに魅了されてしまっていた。
そんなわけでペテガリ東尾根〜ペテガリ岳〜中ノ岳〜神威岳を考えていたが、やっぱり雪が少なくて終始藪地獄の意味不明山行になるだろうと話し合い、入山前日に転戦決定。東西稜線に思い入れはないけど、なんか面白そうだしまぁとりあえずヘトヘトになるまで歩ければいいかと入山。
12/25:林道ゲート(5:30)新冠ダム=C1(13:30)
冬型,晴れ 予想より早く入山地点に到着したので星空の下入山準備。現役2年班と互いに健闘を誓い出発する。ラッセル・崩壊地無しの快適林道を脳死で歩いてたら分岐を間違え1hほどロスした。久々の重荷林道に重い、足疲れた、腰痛いなどと言いながらこまめに休憩とって進む。良い感じのボルダーを発見した。新冠ダムでC1。夕食時に佐藤と僕で合計1.8kgもウィンナーがあることが判明し、毎食1人2本は食べれる計算になった。勝者!
12/26:C1(7:00)レサッピ取り付き尾根(7:45)レサッピ(10:45)・1035手前コル=C2(15:00)
冬型,晴れ テント出ると気温計は-25℃と言っている。無風のせいかそれほど寒く感じない。半島みたいなのをぐるっと歩き、二十八号沢に架かる橋を渡って尾根に取り付く。雪無く傾斜強いのでアイゼンで登る。高度上げるごとに雪が増えていき、スノーシュー替える頃には元気な笹の上に新雪が載った例のアレに。重荷もツラい。
レサッピ越えると更に雪量増え脛〜膝ラッセル。・1034登り始めはカミホロ化け物右1pみたいなのでEPに。ちょうど良いスパイスだった。以降も脛〜膝ラッセルで全然進まない。稜線が北東に向く手前Co Co1100で C2。トイレで外に出ると満点の星空。
12/27:C2(6:30)新冠富士・(11:15)イドンナップ岳(13:00)・1722=C3(15:00)
冬型,晴れ 冬型で北日なのに今日も快晴。気温は低いが春のような陽気で気持ちいい。新冠富士までは重めのラッセル膝、所々樹林内雪庇もある。春だともっと発達してるだろう。最低コルから新冠富士への登りは、頑張って足を上げて急雪面を崩し足場を作りつつ、カンバを避けながらクネクネ進む。強くはないが常に冷たい沢の吹き上げがつらい。天気が良くて救われる。新冠富士のピークに着くとすらっとした1823峰からどっしりとしたピリカまで見えて良い気分。現役2年班は順調かな。
以降はクラストした広い尾根を快適に飛ばす。途中ミニナイフリッジやギャップの対処など適度に出てきて飽きさせない。5万図イドンナップ岳の「プ」は風下台地のテン場適地だが、最後にもう一踏ん張りして・1722まで。南東尾根を少し降ろしてC3。まじで寒すぎ。この3日間、毎日震えている。冬用シュラフが早く欲しい。
12/28:C3(7:00)・1428直下のコル(10:00)ナメワッカ岳=C4(14:30)
冬型,ガス→晴れ 今日はナメワッカを目標に出発。視界500気にならない風。・1672までは快適にサクサク進む。この辺りはどこでも泊まれそう。・1672で稜線は東北東に方角を変え、太い尾根に沿って下っていったが気がついたら真北に進んでいた。佐藤のコールでCo1580の分岐に戻り正しい方角へ。入り口が雪庇で隠れている上に少し潰れた尾根型で見過ごしてしまった(というか何も考えず下ってた)。・1428のコルは常に強風地帯なのか雪付きが悪く、草とかが露出していてテン場不適地。
ここまで順調なペースで進んでいたが、よくよく地図を見ると現在地からナメワッカまで標高差600mもあるではないか!今日中に着くか分からないのでとりあえず泊まれることを確認しながら進むしかない。草が露出した箇所を繋いで傾斜30〜40度くらいの斜面を登っていく。標高が上がるにつれ風は弱く、陽の光を感じるようになった。・1428に上がるとシュンベツ川流域が一望できるいい雰囲気。行き先を見通すと樹林限界が明瞭なポコと、その奥にピークが不明瞭なナメワッカ。時間見つつテンバ探しながら進む方針で行く。主に春別側に1〜2m雪庇が発達しており、春別側斜面は概ね白いので間違っても落とせない。歩きやすさと雪庇判断のバランスを取りながら慎重に進む。ラッセル脛〜膝を1時間程こなし、ここに来てようやくナメワッカが射程圏内に。
・1721先は吹き溜まりというより雪庇なのでイグルー作るのは怖い。とりあえずナメワッカ岳ピークに行ってみて先が泊まれなければ引き返そう、とスノーシューのままサクサク登頂。ふと先に目をやると少し降ろした場所にカンバに囲まれた適地が!直下は少し急なので各々スノーシューBSとEPで降り、整地してC4。もちろんピー写はない。
12/29:C4(6:30)札内JP(9:30)春別岳・1855=Ω5(11:00)
日本海L,晴れ→吹雪 朝靄が溶けるとともに主稜線から朝日が顔を出す。雲一つない青空。ナメワッカから札内JPまでは雪庇はあまり発達していないが、細めの尾根が何度か出てきた。急斜面トラバースやBS多数。
最後の急登をこなして主稜線に合流すると、そこには予想だにしなかった黒々とした細い岩稜が!2年前は計画段階では細い岩稜として警戒していたが、実際行ってみると何も無い雪稜だったので今回も簡単な通過点としか考えていなかった。これが真の姿なのか。シュンベツ川の冷たい吹き上げに右頬を叩かれながら1手1歩と着実に決める。常に気にならない、時折振られるので結構シビア。春別岳に着く頃には既に11時で、1917峰はガスに包まれている。そろそろ低気圧直撃かな。
春別岳東尾根に下ろすこともできたが、折角なので風下側の吹き溜まりでΩ5、佐藤がノコで氷の層を頑張って削り製作2h。完成する頃には悪天になっていて教科書のような擬似好天を体験できた。イグルーはやはり素晴らしい。強風の心配は少ないし、暖かく、炊事やトイレは楽だし朝のテント撤収も無い。カステラとカルパスでふわふわteatimeを楽しむ。
12/30:C5(6:30)1917峰(8:30)・1903(10:00)カムエク(11:00)・1807(13:30)8の沢右岸尾根Co1650コル=C6(14:00)
LとLの間,晴れ 1917峰までは昨日と同様の岩稜帯で、60°くらいの氷の斜面をトラバースしたりした。1917を乗っ越し、Co1800ピナクルの巻きは新雪表層雪崩を警戒して念のため確保して十勝側をBSした。ズボズボ。カムエクまでの稜線は何も無い広い尾根を気にならない風に吹かれてひたすら頑張る。登頂!カムエク南西稜がいかつい。ピラミッド、1807までは素直に上を行く方がうまく行くことが多かった。イグルー適地も幾つか。右岸尾根をCo1650コルまで降ろしてC6。明日は冬型決まり、更に年始も寒波の影響でずっと悪天らしい。23乗っ越しは厳しいのかなぁと思うと、夕焼け燃ゆる1823峰がとても神々しく見えた。
12/31:C6=Ω7
冬型,吹雪 昨夜はここで停滞もせず逃げ帰るのって確かに安全で慎重な判断だけど自分達の全力を尽くしたことになるのか?という話になり、冬型緩み〜L前面での晴れを期待してイグルー作って停滞することにした。テント出ると吹雪。かなりしんどいイグルー製作。ザラメ層が多すぎてブロックが作れないので雪洞に方針変更。製作1.5h。寒かったー。
1/1:Ω7=Ω8
冬型, ろうそくの灯りで読書ラジオ、1日のんびりして明日に向け英気を養う。早く温泉に入りたいな。
1/2:Ω8(5:30)・1807(6:30)1823峰(9:30)コイカク夏尾根頭(13:30)札内ヒュッテ(17:00)
L前面,消耗しない程度の悪天 1807で日の出を目安に出発。雪洞の入り口は新雪で完全に埋没していた。2日間で50cmほど積雪があったらしい。1807まではアイゼンを装着し、尾根を意識しながらカンバをガシガシ掴んで登る。頭に着くとまさにちょうど日の出が始まっており、風で巻き上がる新雪と雲海も相まって朝と夜の境界線がとても幻想的であった。視界500気にならない風、予定通り1823峰への乗越しをかけることにする。
23まで続く良い雰囲気の岩稜は、上を行ったり稜線上から外れすぎないよう小さく巻いたりを繰り返す。氷化した雪に縦走用平爪アイゼンの前2本とピッケルでしがみついて急斜面をトラバースする場面もあり緊張する。時折体を振られるほどの風に注意して1823峰登頂!以降は吹き溜まりやズボズボが増えて適宜スノーシューに替えた。ズボズボ、うざいハイ松で思うように進まない。そのうえコイカクにかかるガスは次第に山全体を覆っていき見るからに天気が悪そう。下山のためとはいえ自ら悪天に突っ込むのはなぁと不安が募る。が、他の選択肢を検討してもやはり慣れたコイカク夏尾根が良いということになる。
視界50〜100気になる風の中、コイカク岩稜帯は日高側の雪面をひたすら登った。稜上に出ると(予報通りではあるが)意外と風が弱く、夏尾根頭を見つけた時は本当に安心した。これで帰れる。雪庇に注意しつつ下り、最後は快適尻滑りで尾根末端まで。事前に連絡を取り合っていた北稜dz氏のトレースを拝借し、札内ヒュッテで長いようで短かった9日間の山旅を終える。
佐藤に握手でもしとく笑?と聞いたら、なんか笑っただけでしてくれなかった。照れてるだけだといいのだが。
AACH現役時代は部存続・後輩のため、と半ば義務感すら感じていた冬山長期縦走の楽しさに気づくことができた。悪天の不安感、小さなミスが命取りになる緊張感を感じつつも、素晴らしい景色に囲まれて毎日くたくたになるまで歩き通した幸せな9日間でした。
そんなわけでペテガリ東尾根〜ペテガリ岳〜中ノ岳〜神威岳を考えていたが、やっぱり雪が少なくて終始藪地獄の意味不明山行になるだろうと話し合い、入山前日に転戦決定。東西稜線に思い入れはないけど、なんか面白そうだしまぁとりあえずヘトヘトになるまで歩ければいいかと入山。
12/25:林道ゲート(5:30)新冠ダム=C1(13:30)
冬型,晴れ 予想より早く入山地点に到着したので星空の下入山準備。現役2年班と互いに健闘を誓い出発する。ラッセル・崩壊地無しの快適林道を脳死で歩いてたら分岐を間違え1hほどロスした。久々の重荷林道に重い、足疲れた、腰痛いなどと言いながらこまめに休憩とって進む。良い感じのボルダーを発見した。新冠ダムでC1。夕食時に佐藤と僕で合計1.8kgもウィンナーがあることが判明し、毎食1人2本は食べれる計算になった。勝者!
12/26:C1(7:00)レサッピ取り付き尾根(7:45)レサッピ(10:45)・1035手前コル=C2(15:00)
冬型,晴れ テント出ると気温計は-25℃と言っている。無風のせいかそれほど寒く感じない。半島みたいなのをぐるっと歩き、二十八号沢に架かる橋を渡って尾根に取り付く。雪無く傾斜強いのでアイゼンで登る。高度上げるごとに雪が増えていき、スノーシュー替える頃には元気な笹の上に新雪が載った例のアレに。重荷もツラい。
レサッピ越えると更に雪量増え脛〜膝ラッセル。・1034登り始めはカミホロ化け物右1pみたいなのでEPに。ちょうど良いスパイスだった。以降も脛〜膝ラッセルで全然進まない。稜線が北東に向く手前Co Co1100で C2。トイレで外に出ると満点の星空。
12/27:C2(6:30)新冠富士・(11:15)イドンナップ岳(13:00)・1722=C3(15:00)
冬型,晴れ 冬型で北日なのに今日も快晴。気温は低いが春のような陽気で気持ちいい。新冠富士までは重めのラッセル膝、所々樹林内雪庇もある。春だともっと発達してるだろう。最低コルから新冠富士への登りは、頑張って足を上げて急雪面を崩し足場を作りつつ、カンバを避けながらクネクネ進む。強くはないが常に冷たい沢の吹き上げがつらい。天気が良くて救われる。新冠富士のピークに着くとすらっとした1823峰からどっしりとしたピリカまで見えて良い気分。現役2年班は順調かな。
以降はクラストした広い尾根を快適に飛ばす。途中ミニナイフリッジやギャップの対処など適度に出てきて飽きさせない。5万図イドンナップ岳の「プ」は風下台地のテン場適地だが、最後にもう一踏ん張りして・1722まで。南東尾根を少し降ろしてC3。まじで寒すぎ。この3日間、毎日震えている。冬用シュラフが早く欲しい。
12/28:C3(7:00)・1428直下のコル(10:00)ナメワッカ岳=C4(14:30)
冬型,ガス→晴れ 今日はナメワッカを目標に出発。視界500気にならない風。・1672までは快適にサクサク進む。この辺りはどこでも泊まれそう。・1672で稜線は東北東に方角を変え、太い尾根に沿って下っていったが気がついたら真北に進んでいた。佐藤のコールでCo1580の分岐に戻り正しい方角へ。入り口が雪庇で隠れている上に少し潰れた尾根型で見過ごしてしまった(というか何も考えず下ってた)。・1428のコルは常に強風地帯なのか雪付きが悪く、草とかが露出していてテン場不適地。
ここまで順調なペースで進んでいたが、よくよく地図を見ると現在地からナメワッカまで標高差600mもあるではないか!今日中に着くか分からないのでとりあえず泊まれることを確認しながら進むしかない。草が露出した箇所を繋いで傾斜30〜40度くらいの斜面を登っていく。標高が上がるにつれ風は弱く、陽の光を感じるようになった。・1428に上がるとシュンベツ川流域が一望できるいい雰囲気。行き先を見通すと樹林限界が明瞭なポコと、その奥にピークが不明瞭なナメワッカ。時間見つつテンバ探しながら進む方針で行く。主に春別側に1〜2m雪庇が発達しており、春別側斜面は概ね白いので間違っても落とせない。歩きやすさと雪庇判断のバランスを取りながら慎重に進む。ラッセル脛〜膝を1時間程こなし、ここに来てようやくナメワッカが射程圏内に。
・1721先は吹き溜まりというより雪庇なのでイグルー作るのは怖い。とりあえずナメワッカ岳ピークに行ってみて先が泊まれなければ引き返そう、とスノーシューのままサクサク登頂。ふと先に目をやると少し降ろした場所にカンバに囲まれた適地が!直下は少し急なので各々スノーシューBSとEPで降り、整地してC4。もちろんピー写はない。
12/29:C4(6:30)札内JP(9:30)春別岳・1855=Ω5(11:00)
日本海L,晴れ→吹雪 朝靄が溶けるとともに主稜線から朝日が顔を出す。雲一つない青空。ナメワッカから札内JPまでは雪庇はあまり発達していないが、細めの尾根が何度か出てきた。急斜面トラバースやBS多数。
最後の急登をこなして主稜線に合流すると、そこには予想だにしなかった黒々とした細い岩稜が!2年前は計画段階では細い岩稜として警戒していたが、実際行ってみると何も無い雪稜だったので今回も簡単な通過点としか考えていなかった。これが真の姿なのか。シュンベツ川の冷たい吹き上げに右頬を叩かれながら1手1歩と着実に決める。常に気にならない、時折振られるので結構シビア。春別岳に着く頃には既に11時で、1917峰はガスに包まれている。そろそろ低気圧直撃かな。
春別岳東尾根に下ろすこともできたが、折角なので風下側の吹き溜まりでΩ5、佐藤がノコで氷の層を頑張って削り製作2h。完成する頃には悪天になっていて教科書のような擬似好天を体験できた。イグルーはやはり素晴らしい。強風の心配は少ないし、暖かく、炊事やトイレは楽だし朝のテント撤収も無い。カステラとカルパスでふわふわteatimeを楽しむ。
12/30:C5(6:30)1917峰(8:30)・1903(10:00)カムエク(11:00)・1807(13:30)8の沢右岸尾根Co1650コル=C6(14:00)
LとLの間,晴れ 1917峰までは昨日と同様の岩稜帯で、60°くらいの氷の斜面をトラバースしたりした。1917を乗っ越し、Co1800ピナクルの巻きは新雪表層雪崩を警戒して念のため確保して十勝側をBSした。ズボズボ。カムエクまでの稜線は何も無い広い尾根を気にならない風に吹かれてひたすら頑張る。登頂!カムエク南西稜がいかつい。ピラミッド、1807までは素直に上を行く方がうまく行くことが多かった。イグルー適地も幾つか。右岸尾根をCo1650コルまで降ろしてC6。明日は冬型決まり、更に年始も寒波の影響でずっと悪天らしい。23乗っ越しは厳しいのかなぁと思うと、夕焼け燃ゆる1823峰がとても神々しく見えた。
12/31:C6=Ω7
冬型,吹雪 昨夜はここで停滞もせず逃げ帰るのって確かに安全で慎重な判断だけど自分達の全力を尽くしたことになるのか?という話になり、冬型緩み〜L前面での晴れを期待してイグルー作って停滞することにした。テント出ると吹雪。かなりしんどいイグルー製作。ザラメ層が多すぎてブロックが作れないので雪洞に方針変更。製作1.5h。寒かったー。
1/1:Ω7=Ω8
冬型, ろうそくの灯りで読書ラジオ、1日のんびりして明日に向け英気を養う。早く温泉に入りたいな。
1/2:Ω8(5:30)・1807(6:30)1823峰(9:30)コイカク夏尾根頭(13:30)札内ヒュッテ(17:00)
L前面,消耗しない程度の悪天 1807で日の出を目安に出発。雪洞の入り口は新雪で完全に埋没していた。2日間で50cmほど積雪があったらしい。1807まではアイゼンを装着し、尾根を意識しながらカンバをガシガシ掴んで登る。頭に着くとまさにちょうど日の出が始まっており、風で巻き上がる新雪と雲海も相まって朝と夜の境界線がとても幻想的であった。視界500気にならない風、予定通り1823峰への乗越しをかけることにする。
23まで続く良い雰囲気の岩稜は、上を行ったり稜線上から外れすぎないよう小さく巻いたりを繰り返す。氷化した雪に縦走用平爪アイゼンの前2本とピッケルでしがみついて急斜面をトラバースする場面もあり緊張する。時折体を振られるほどの風に注意して1823峰登頂!以降は吹き溜まりやズボズボが増えて適宜スノーシューに替えた。ズボズボ、うざいハイ松で思うように進まない。そのうえコイカクにかかるガスは次第に山全体を覆っていき見るからに天気が悪そう。下山のためとはいえ自ら悪天に突っ込むのはなぁと不安が募る。が、他の選択肢を検討してもやはり慣れたコイカク夏尾根が良いということになる。
視界50〜100気になる風の中、コイカク岩稜帯は日高側の雪面をひたすら登った。稜上に出ると(予報通りではあるが)意外と風が弱く、夏尾根頭を見つけた時は本当に安心した。これで帰れる。雪庇に注意しつつ下り、最後は快適尻滑りで尾根末端まで。事前に連絡を取り合っていた北稜dz氏のトレースを拝借し、札内ヒュッテで長いようで短かった9日間の山旅を終える。
佐藤に握手でもしとく笑?と聞いたら、なんか笑っただけでしてくれなかった。照れてるだけだといいのだが。
AACH現役時代は部存続・後輩のため、と半ば義務感すら感じていた冬山長期縦走の楽しさに気づくことができた。悪天の不安感、小さなミスが命取りになる緊張感を感じつつも、素晴らしい景色に囲まれて毎日くたくたになるまで歩き通した幸せな9日間でした。
過去天気図(気象庁) | 2021年12月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | オベリベリ温泉、吉野家 |
写真
装備
共同装備 |
ザイル20m
ドラゴンフライ
モンベルステラリッジ2
|
---|
感想
フリークライマーが本職なので、一ヶ月前から急ピッチで体を仕上げた。具体的にはクライミングジムへのランニングやスクワット、食事療法等。なんとかメインまでに間に合ってよかった。
ところで今回テントを持っていったが、イグルーを作るのを面倒くさがり前半はほとんどテント泊で非常に寒い思いをした。低気圧の前日には流石に作ったが、やはり暖かく快適でテントとは雲泥の差だった。が、技術的に自分たちが作っているのはイグルー型雪洞であり、ブロックを積み上げる技術を習得したいと強く思った。
単独、テントフリー、全山、冬型と分かったうえでの39At。先輩方も同期も本当にすごい。
でも、今の僕達にできることはやれたかな。何よりも毎日楽しいと感じれたことが嬉しかった。
お気に入りした人
人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:2033人
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
ありがとうございます。二人で凍えながら身を寄せて夜を過ごしました。最後の写真は、自撮りがうまくいかず、何度も撮り直しましたが、心霊写真みたいになってしまいました。
この年末年始はあちこちドカ雪で、フワフワ層が固まるヒマがなかったようで、イグルー作れそうで難しかったのかもしれませんね。硬い層もあったんですね。
ブロックが作れなかったザラメ層というのは、硬いのが厚すぎて?それともザラザラで砕けすぎてなのかな?
氷の層もありました。が、単純にブロックを作ったり、積んだりする能力も高くはなかったです。米山さんなら簡単に作るんだろうなぁと思いながら雪洞を掘ってました。
39単独At、daizouさんは充分強いと思います。単に強くなるだけでなく、僕も「価値ある黄金の時間と体験」が欲しいんだなと感じました。
今回は、まぁ銀色位のがちょいちょいありました。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する