西中国山地 松ノ木峠から恐羅漢まで県境縦走
- GPS
- 24:57
- 距離
- 29.5km
- 登り
- 2,350m
- 下り
- 2,184m
コースタイム
- 山行
- 8:14
- 休憩
- 0:12
- 合計
- 8:26
- 山行
- 9:10
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 10:10
天候 | 11日 くもり時々晴からの雪 朝0℃ 12日 晴れ 深夜から雪 朝マイナス3℃ 13日 雪 朝マイナス2℃ |
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過去天気図(気象庁) | 2022年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
約60年前、広島女学院大学の教授であった故 桑原良敏氏が2月18日から5泊6日を掛け縦走を達成した松ノ木峠から恐羅漢までの同じルートを歩いた。60年前の記録を見ると、1人あたりの荷物の重さは30キロ超え、足下は木製のカンジキだったと思う。雪量も現在より多かっただろう。60年が経ち、登山装備も進化し荷物も軽量化された中、私の山の師匠が2015年3月に3泊4日で同ルートを達成。その話しを聴き、私もいつかチャレンジしてみたいと、ずっと思っていた。それから毎年、計画は構想していたが、雪量やタイミングが合わず実行する事ができなかったが、遂に出発の日を迎え予定通り二泊三日で抜ける事ができました。予定通り行けたのは、パーティーの力だけではなく、雪の量が大きく関係していると思います。雪が多すぎても少なすぎても達成ができなかっただろうと思う。出発が一週間早かったら、一週間遅かったらダメだったかもしれない。雪が少なかったら困難だったと思う場所も数カ所あった。そして60年前にはなかったGPSの活用も大きな要因。中国山地のなだらかな地形は判りにくい尾根が無数に別れている。この地形を現在地を見失う事なく、地形図とコンパスのみで進む事は相当な経験と労力が必要。60年前の軌跡と師匠の笑顔を思い出しながら歩いた最高の3日間でした。
1日目
6時20分頃、松の木峠をスタート、いきなりスノーシューと予想していたが、入口から地面が見えている。少し進むと直ぐに雪が出てきたが、さすがに人気の山、立派なトレースがあるのでツボ足で進む。10分も進まないうちにBCの仲間はスキー装着。残り2人はツボ足のまま。右側から登ってくる朝日が雪面に木々の影を作り爽やかな景色の中、快調に進んで行く。8時15分頃、冠山への分岐に到着。ここで初めての休憩。ここから先はノートレースかと思っていたが、少し細くなったトレースがまだ続いている。少し残念な気分だが、この先は長い。有難く使わさせていただくが今回の目的は県境を歩く事。後冠山を過ぎてからトレースが県境をハズレていたので、そこは使わず地形図以上の急斜面を下りたりする。11時9分ボーギのキビレ、ここでトレースとはお別れ!遂に我々がだけが足跡をつけていく事になる。どこを見ても真っ新な雪面に心躍る。ここからは、ひたすら進み続ける。雪の状態は二人目が沈まない程度で心地良い雪、時々現れる巨木に心奪われながら進んで行く。時々現れる藪が出た急斜面では、BCの仲間は苦労している。少しづつ疲れが見えてきたが1日目に青山キビレは越えたい。できれば進めるうちに、もっと進んでおきたいという思いがあったので青山キビレを過ぎた時は嬉しかった。このあたりで終了としたかったが、1048ピークまでの上りを今日中に終わらせておこうという事で最後の力を振り絞り登っていく。なかなかキツい。。。14時45分、1048ピーク着、少し前から雪も降り始めていて寒いので急いで整地し4天を張る。慣れた仲間と行うテン場設営はアッという間だ。黙っていても各自がテキパキと作業し気持ちいい。そして、今回は久しぶりにガソリンストーブと大量のガソリンを持ってきていたので、テントの中は本当に暖かい。冬なのにビアガーデンで呑むようにビールが美味い(笑)夜は美味しい餃子鍋を腹一杯食べ、20時半頃消灯。
2日目
4:00起床、すぐにガソリンストーブを付ける。あっという間にテント内は温まる。昨晩は、薄着で寝袋に入ったからか、意外に寒くて寒さで何度か起きた。テントの片付けがある時は出発の2時間前起床、撤収が無いときは1時間半前起床という、なんとなくの自分ルールがあるのだが、さすが慣れたメンバー、5時過ぎには、朝食も珈琲タイムもパッキングも殆ど終わってしまい、あとは外に出てテントの撤収のみになってしまい少しダラダラ、外は、まだまだ真っ暗。明日は起床を30分伸ばし4時半にしようと思った。予定より15分早く、5時45分出発。ここのピークから間違いやすい尾根が続くが、我々には新三種の神器、GPSがある。迷う事なく暗闇の県境に入っていく。序盤から1111ピークまで中国山地にしては細い尾根を登る。藪も多く歩きにくい、雪が無かったら更に苦労する事が想像できる。枝を掻き分け不安定な場所に足を置きながら登って行く。スキーの仲間は流石にスキーを脱いで登ってきているようだ。6時23分、小さな雪庇を越え1111ピーク着、山稜会の青いプレートがあった。07:20頃、1109ピーク付近で休憩、明るくなってきた空を蒼い。昨日の同じように登ったり下りたりを繰り返しながら進んで行く。昼前ぐらいに、初めて景色が開けてきて十方山が見えた。まだ遥か先だが嬉しい!景色が見えると体力も回復する。そして空は蒼く気持ちいい。次の目標、オサカエ峠を目指す。大きな鉄塔が現れる。普段だと嬉しくない人工物だが、久しぶりに見る大きな人工物が嬉しく思う。少しルートを外れ鉄塔の真下に入り、登ったら凄いだろうなあーと想像したりする。2本目の鉄塔を過ぎると遂にオサカエ峠が見えた。法面のような急斜面を下りると遂にオサカエ峠に到達。どこに道路があるか判らないぐらいの積雪。まだ当分は車では来れないだろう。大きな広場のような処に銀マットを出し寝転がる。透き通った空と達成感が気持ちいい。1時間ほど休憩し出発。この峠を境に少し山の様子が変わってくる。急登や藪も少なくなり、なだらかな山容が続くが、このペースでは予定の京ツカ山までは厳しそうなので、16時まで歩き良い場所で幕営と決める。五里山までのダラダラと登る緩い登りが疲れてきた身体には、けっこう応える。雪も少し増えてきてるし、緩んできていて雪も重くなってきた。ラッセルを交代しながら、黙々と進む。15:30 素晴らしい景色の場所に到着。雪面もフラット。16時まで進むという目標は、すぐに心折れ、今日の幕営地(表紙写真)に決定。あまりにも綺麗なフラットな雪面にテン場を踏み固めるのを躊躇するほどだ。正面に昨日スタートした冠山が見えるように出入口を設営、昨日のように寒くもないので、窓を開けたまま、のんびり水作り。身体が猛烈に甘い物を求めてる。非常袋からコンデンスミルクを出し、フワフワの雪をコップにすくいたっぷり掛けて食べると猛烈に美味い。2人で美味い美味いと言いながらおかわりをしていたらBCの仲間が疲れ切った感じで夢のようなテン場に到着。二日目は大量のペペロンチーノパスタとビールでお腹一杯。20時頃消灯。
3日目(行動時間6時間15分)
いよいよ最終日、5:45に出発。天気予報通り気温は低く雪が降ってきている。まだ辺りは真っ暗の中、進んで行くがGPSで確認しても、目指す尾根がヘッドライトの灯りでは見えない、少し間違えたりしながらトラバースをして県境に戻る。7時過ぎに師匠が「ホテル五里山」と名付けたテン場に到着。ここで、いろんな山の話しや、次は何処に行こうとか、ワイワイと楽しく盛り上がったんだろうなあ〜と想像しながら「やっと来れました、元気にやってます」と呟きながら暫く手を合わせました。師匠に見せてもらった蒼い空のホテル五里山と今日は違い冷たい雪が降り続いている。最後のゴールを目指し、また歩みを進める。
7:50横川越着、遂に見慣れた場所まで到達。旅の終わりが見えてきて少し寂しくなってくる。昨日から持病の腰痛が出てきたBC仲間も追いついてきたので雪が降る中、暫く休憩、ここから焼杉山までは急登が2回ほどある。1〜2日前に踏まれたであろう1人分のトレースを発見。久しぶりの自分たち以外のトレースだ。時々、見失いながらも遠慮無く使わさせていただきながら焼杉山に到着。ピーク手前の大きな杉の下に入り、降りしきる雪から身を隠しBCを待つ。ここから旧羅漢の夏道に出てしまえば、もう固いトレースで高速道路状態であろう。少し寂しくなりながらトレースを追っていると、どうも直接、旧羅漢に向かって行っているようだ。県境通りに行くと夏道のP1271に向かうのだが、高速道路状態の道に行くより冬しか歩けない場所の方が気になってトレースを追うことにする。旧羅漢の西側の斜面はスキー場のような美しい斜面になっている。ここが下りならBCは大喜びだろうなあと思いながら黙々と歩く。そして旧羅漢に到着。流石に山頂の巨石は埋もれていなかったが、道標は、ほぼ埋まっていた。少し前から身体が冷えてきて凄く寒い。ハードウェアでなく合羽で来たからだろうか、いつもにはない感じで寒いのでBC安松を待たず、風雪が少なそうな平太小屋原まで先に進む、たっぷりと積もっている雪が木の上に乗り、いろんな造形物のように見えて面白い。荷を降ろしBCを待つ。止まっていると寒いが、最後は3人一緒にゴールしたい。行動食を大量に食べながら待っていると、昨日までにはない、楽しそうな感じで下り坂をスキーで滑ってきた。あと少しで最高の下りがあるから、頑張ろう
!と言って寒くて早く動きたい、直ぐにザックを背負い出発。最後の一番大変だったと思うBCを先頭に最後のピーク恐羅漢山へ向かう。10:55恐羅漢到着。風雪の中、3人で握手をする。天気が良ければ寝転がって暫く感慨に浸りたい気分だが、身体も寒いので下山を開始する。BC安松は、30キロを苦労し漸く、スキーの本領が発揮できる場所だ。駐車場に落ち合う事にして下り始める。スノーシューの私は圧雪されたゲレンデはとても下りにくい。誰も歩いていない新雪が早くも懐かしくなりながら、牛小屋の駐車場に到着した。
特徴的なものが少ない中国山地では現在地を見失うと今いる場所が全くわからなくなり、地形を読み、重い荷物を背負いながら歩いた60年前の方たちが、どれだけすごいか、感じさせられました。
yuzuringoo
1日目
松ノ木峠〜冠山の道は無雪期に何度か歩いた事があった。澄んだ空気やきれいな青空のおかげか背中の重荷など忘れて景色を楽しみながら、あっという間に後冠山に着いた。ここまでは県境にも道らしきものはあったが、この先の県境には藪木が広がっていたが、県境縦走と言うからには、とそこに突っ込んだ。
初日は調子も良くワカンもそこまで埋まらないし、少し疲れたが楽しい一日だった。
2日目
少し進むと1111ピークが方向転換目印。藪過ぎて上がる気にならず、回り込むときれいな尾根道に出た。ワカンを埋もらせながらピークを覗きに行くと山稜会のプレートを見つけて、嬉しかった。
この日は暖かく、オサカエ峠を越えたら緩やかな地形に変わり、多少楽になるだろうと考えてたら、雪が腐ってワカンに団子というか饅頭くらい付いてしまいテン場まで叩き落としながら頑張った。とても疲れた。
3日目
朝早く暗闇を歩いてると何度か迷った。五里山頂上なんて平ら過ぎて後ろを振り返りトレースが真っ直ぐ伸びてるか見て進んだ。
昼にはゴールに着くとみんなで予想していて、1人雪が腐るのを恐れ早く早くと進んでいると汗をかいてずっと寒かった。
横川越が見えると知ってる景色になり、帰って来た気分になった。焼杉山はいつもの静かな雰囲気。
真っ白な恐羅漢に着いて、高速道路になった道を辿りスキー場に出て駐車場まで帰った。
今年は雪がたくさん。
この山行のお誘いがあった時に、スキーならラッセル勝負速いし、ワカンやスノーシューよりも楽できそうで楽しめそうと思ってスキーでの参加を表明。
【初日】松の木峠の登山口についたら、登山道の地面が露出していてまず想定外。
冠山で雪が深くなり、一安心。これからはスキーの時間だ。と思っていたが、ワカンのラッセルがそれほど深くなく、差をつけられず。
その後も想定外は続き、つらい辛い藪スキー、細尾根。次第にみんなに遅れをとる始末。
息も絶え絶えで初日のテント地に着いたときは、テントがすでに建っていた。🙇
【2日目】朝6時発、人生初のヘッデン滑走。濃い人工林の中を快適に滑れるはずもなく、キックターンを繰り返し、何とか降りる。その後も、細尾根に苦しみ、ペースがあがらない。
昼くらい、中間地点のオサカエ峠到着。峠直前の斜面は切り株地雷原がたくさん。滑走を楽しむ余裕はない。
五里山周辺はスキーにとってのハイライト。そうそう、中国山地縦走って、こういうなだらかな尾根を登ったり下ったりを想像していた。想像の地に到着したが、今度は疲労で体が悲鳴。深い森の中、ラヴェルのボレロを無限に回しながら、長い時を感じる。
今日もテント地に着いたら、テントが建っていた。🙇
【3日目】行程に難所はもうない。「ウィニングランだ」と思っていたが、持病の腰痛が悪化。腰に電気が走る。湿布で騙し騙し、最後の登りを頑張る。
深雪をまとった恐羅漢に到着。もう下りしかない。今までの苦しみから解放される瞬間。スキー場から10分で到着する恐羅漢山頂が、感慨に浸る場所になるとは。
さぁ、スキーで颯爽と駆け抜けようと、ゲレンデに入った瞬間、ゲレンデの硬い斜面は私の足を強く弾いた。疲労困憊のワタシは、いつもなら5分とかからない慣れた斜面を10回以上はコケてやっと、ゴールにたどり着いた。
【滑走満足度★なし】
【達成感★★★】
もう少し雪が多ければ、とか思ってしまいますが贅沢は言えませんね〜。
ありがとうございまーす!今日の恐羅漢の雪の降り方を見ると、今週末だったらヤバかったですね〜(笑)運が良かったです!
60年前のコースですか?幼心にいわゆる38豪雪(確か恐羅漢で積雪4メートルの記録があったような?)の記憶が残る私としては、当時、このコースは2メートル以上の積雪があったことでしょう?昭和の時代からスキーをしていたのですが、新聞に掲載されるスキー場の積雪情報で恐羅漢は2メートル越えが普通でした。平成〜令和とホント降らなくなりました。
正確には桑原氏が縦走したのは昭和37年の2月、38豪雪の前シーズンです。
それでも、当時の積雪は240僂阿蕕い筏録に残っています。
先日の縦走時は多い場所で150僂阿蕕い如丁度良かったので二泊で抜けられたと思ってます!
どんどん雪が減って悲しいですが、今年はここ数年に比べて雪を楽しめてます。雪があるうちに楽しみましょう!
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