静寂の鷲羽岳へ


- GPS
- 33:00
- 距離
- 38.1km
- 登り
- 3,138m
- 下り
- 3,161m
コースタイム
- 山行
- 6:29
- 休憩
- 0:21
- 合計
- 6:50
- 山行
- 11:31
- 休憩
- 1:37
- 合計
- 13:08
天候 | 初日は麓は晴れ。稜線も曇りのち晴れ 2日目は朝から快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
この時期の週末はまだ大分空いてました |
コース状況/ 危険箇所等 |
新穂高からわさび平間はスノーブリッジをいくつか渡ります。ブリッジが崩れそうな箇所もあり、今後の雪溶け具合に留意する必要がありそうです。 秩父沢に橋は掛かっていないので沢を渡渉します。ここもスノーブリッジを渡る箇所があります。 イタドリヶ原からは雪渓を詰める方が多い様ですが、雪渓右側の尾根を詰めました。弓折岳に直登出来、また尾根上からも素晴らしい景色が広がります。 稜線に出ると双六小屋まではほぼ夏道。雪上の幕営適地は所々ありました。 双六中道分岐から雪はしっかり残ってます。 往路は中道を選択。三俣蓮華岳〜三俣山荘もしっかり雪が残ってます。三俣山荘〜鷲羽岳は夏道。 双六の稜線も夏道でした。 |
その他周辺情報 | 新穂高周辺に日帰り温泉多数あります |
写真
感想
梅雨入り前の貴重な晴れの土日になるかなと思い北アルプスへ。久々に新穂高へ足を伸ばしてスタート。週末の好天予報だが、駐車場はまだガラガラだ。天候の回復はお昼頃からという予報だったので登山指導センター周辺はまだどんよりしていた。準備を済ませて左俣林道を黙々と歩きわさび平へ。こんなに遠かったかなぁと思いながら更に黙々と歩く。わさび平から先は何箇所かスノーブリッジを渡る。よく見るとブリッジは非常に薄く頼りなく見える。何なく通過出来たが今後雪解けが進めばその内崩れるだろう。それが今回でなくてよかった。
秩父沢まで来ると辺りは晴れてきた。穂高方面にはまだ曇が掛かっていたが青空が見えて来た。
この時期にここまで来るのは初めてだったが秩父沢の上部はまだまだ雪に覆われている。中々凄い迫力だ。小池新道は樹林に覆われて中々展望が利かないイメージがあったが、この時期はまだ葉が落ちて全体を見渡せる。思わぬ景色に見惚れてしまうほどだ。更に進むとイタドリヶ原。これより上部はまだまだ雪がベッタリだ。先行する方々が雪渓を上がっているのが見えた。イタドリヶ原から少し夏道沿いに進み弓折岳への直登の尾根へと取り付く。ここからいよいよ傾斜は急になる。
稜線までは約450m程上がらなくてはならない。テン泊装備が重くのし掛かる。少しずつ歩を進めては休む、というのをひたすら繰り返す。少し高度を上げると槍穂高が目の前に広がる。文字通り目の前だ。奥丸山から中崎尾根も目の前。残雪期限定のこの尾根は想像以上に素晴らしい景観だった。この景色に背中を押されながらゆっくり歩を進める。稜線直下はかなり急だったが何とか稜線へと進んだ。風がとても心地よい。
稜線は強風の予報が出ていたがはそこまで風の強さは感じなかった。弓折岳の山頂は広い雪原になっておりここでテント張っても良いなと思えた。が、翌日の事も考えてもう少し先へ進んだ。少し行くと鏡平から上がって来る弓折の分岐だ。鏡平山荘がかなり下の方に見えた。稜線の風は相変わらず気持ち良く、歩いていてとても気分が良い。
花見平の先のベンチを越えてちょうど双六小屋への降りに差し掛かる辺りで中々良い幕営地があった。景色もすこぶる良い。双六小屋まで行くと、翌日の登り返しがきついし何より槍穂高が見えなくなる。色々思案した結果ここにテントを張る事に決めた。この時期はゆっくりダラダラしながらテントを張れるのが良い。景色を楽しみながらテントを張り持って来た缶ビールを流し込む。汗だくの身体に染み込む様に身体に染み渡る。この瞬間の為に生きているのかもしれない。
陽も長いのでひたすらダラダラしてたらいつのまにか寝てしまっていた。
夜、目を覚ましテントの入り口を開けると満点の星空。うっすら槍の稜線も見える。寒くも無いしずっと眺めてられるなぁと思っていたら再び寝てしまった。
再度起きたのは日付けが変わって0:30頃。相変わらずの星空。この星空の下を歩きたい!という気持ちが沸々と沸き立つ。そうと決まれば早めの朝食を摂り2:00頃テン場を出発。ヘッデン頼りに歩を進める。少し降ってすぐに双六小屋に着いた。小屋からは高度を上げて稜線分岐へ。往路は中道で進む。緩い雪の斜面をトラバースしながら歩く。途中で少し休憩を取る。
ふとヘッデンを消してみると満点の星空の下、北アルプスの山々がただただ鎮座していた。今、アルプスの懐に抱かれている。宇宙を歩いている様なこの感覚。山の一部に溶け込むこの感覚。久々に味わう事が出来た。
程なく歩いて三俣蓮華の手前で稜線に出る。そのまま進み三俣蓮華山頂で陽が出て来た。辺りは白んで来て周辺の山々が見えて来る。至福の時間。予想通り、三俣蓮華から三俣山荘の降りは急な雪渓の降りだった。ただ早朝だったので雪がよく締まっていてアイゼンがとても利いた。心地よく降り三俣山荘へ。夏場の三俣山荘のテン場は何度か来た事があったがまだまだ雪に覆われていた。誰もいない三俣山荘は初めてだった。
鷲羽への道はすっかり夏道が出ていたのでここでアイゼンを脱いだ。
この道、丁度5年振りだ。5年前の夏に三俣のテン場で素敵な出会いがあった。そんな事を思い出しながら5年なんてあっという間だなと振り返りながら歩く。鷲羽山頂までの道はもっとあっという間だ。5年振りの鷲羽岳。昇る太陽と周りの山々。何とも言えない…。言葉や文字では言い表せない感情に抱かれた。
だが、風は強くじっとしていられない程寒かったので少しだけ山頂を堪能して下山開始。持って来たウェア全部着込んでも寒かった。所々で写真を撮りながら急いで高度を下げる。再び三俣山荘まで戻り三俣蓮華への登り返しへ。ここも中々きつかった。再び稜線に出て双六岳を目指す。稜線沿いはずっと夏道だ。定番の構図、槍穂の発射台を目の当たりに双六台地を歩く。
再び双六小屋に戻り、少し登り返してテン場到着。少しゆっくりしてテントを回収して下山へ。弓折乗越までのアップダウンが堪えたが往路と同じ尾根を降る。高度をドンドン下げてイタドリヶ原へ。かなり疲労感はあったもののそれ以上に気分が高揚していた。そのまま歩き続けて無事に下山。
夏の賑わいの前の静かな北アルプス。この時期ならではの道や景色、そして静寂。1年で1番快適に登れる時期じゃなかろうか。そんな時間を満喫出来た最高の2日間を過ごす事が出来た。
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