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Yamareco

記録ID: 4478089
全員に公開
沢登り
京都・北摂

【京都北山】久多川・上の谷からフカンド山

2022年07月10日(日) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
4.1km
登り
472m
下り
475m

コースタイム

日帰り
山行
3:40
休憩
0:00
合計
3:40
9:00
20
駐車地
9:20
100
460m二俣(上の谷の右俣へ)
11:00
20
P897東側
11:20
70
12:30
10
460m二俣(上の谷の左俣から下降)
12:40
駐車地
天候 曇り時々雨
過去天気図(気象庁) 2022年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
上の谷出合付近の路肩に駐車。上の谷出合いから100mほど北に進んだところに数台は停められそうな広いスペースあり。
コース状況/
危険箇所等
【上の谷(久多川支流)】
・ フカンド山付近から東に流下し,久多の上の町付近で久多川本流に流れ込んでいる谷。最初は荒れた植林の中の細い流れで,食指が動くような谷ではないが,遡るにつれ素晴らしい自然林に包まれる。特にトチノキとカツラの巨木の多さは特筆もので,人里に近い久多にこれほどの植生が残っているとは信じられないほど。また,15mほどの滝を筆頭に,小さな谷の割には小滝が数多く出てきて,そのほとんどが手掛かりが豊富で直登可能なため,沢登り的にも意外に楽しめる。京都北山の良い部分を残す気楽な沢歩きの谷としておすすめできる。なにぶん小さな谷なので,水量の多い時期がおすすめ。
・ この谷は標高460mで大きく二俣に分かれるが,特に自然度が高くおすすめなのは右俣。左俣は若干植林の影がつきまとうが,結構滝が出てくるし谷沿いは大きなトチノキなどが残っているので,それなりに楽しめる。
・ この谷は大きな悪場はなく,滝も簡単に直登又は高巻きが可能なので,ロープなどの装備は不要。沢靴さえあればOK。
上の谷は,久多の民家に挟まれたぱっとしない細い流れとして始まる。これ,大丈夫かなぁ…と思わず心配になる眺め。
上の谷は,久多の民家に挟まれたぱっとしない細い流れとして始まる。これ,大丈夫かなぁ…と思わず心配になる眺め。
最初は上の谷沿いに続く林道(地形図に記載なし)を辿る。林道は大きな堰堤を越えたあたりで途切れるが,そこがちょうど460m二俣。
最初は上の谷沿いに続く林道(地形図に記載なし)を辿る。林道は大きな堰堤を越えたあたりで途切れるが,そこがちょうど460m二俣。
460m二俣は右俣に入る。はじめは植林交じりの雑然とした感じの流れだが…
460m二俣は右俣に入る。はじめは植林交じりの雑然とした感じの流れだが…
植林が途切れたと思ったら,突然,カツラの大木が眼前に現れた。ここから谷の雰囲気が一変した。
植林が途切れたと思ったら,突然,カツラの大木が眼前に現れた。ここから谷の雰囲気が一変した。
周囲は深い自然林に包まれ始めた。人里に近い久多のこと,ずっと植林が続くことも覚悟していたので,これは意外な展開だ。
周囲は深い自然林に包まれ始めた。人里に近い久多のこと,ずっと植林が続くことも覚悟していたので,これは意外な展開だ。
そして谷中にも,小滝がちらほらと現れ始め,遡行者を思わずにっこりさせる。
そして谷中にも,小滝がちらほらと現れ始め,遡行者を思わずにっこりさせる。
今度は大きなトチノキ。
今度は大きなトチノキ。
5mほどの滝。手掛かりは豊富で,冷たい水を浴びながら楽しく直登。
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5mほどの滝。手掛かりは豊富で,冷たい水を浴びながら楽しく直登。
落ち口に立つトチノキがワンポイントを添えている。
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落ち口に立つトチノキがワンポイントを添えている。
滝がない区間もナメが断続的に現れて,沢足袋を浸すのが楽しい。
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滝がない区間もナメが断続的に現れて,沢足袋を浸すのが楽しい。
深い森の中,小滝が谷の奥へと白い階段のように続いている。
深い森の中,小滝が谷の奥へと白い階段のように続いている。
まさかこんなに美しい森を隠している谷だとは思わなかった。(これは言い過ぎかもしれないが)自分が今歩いているのは芦生の森では?と思ってしまうくらいの豊かさを感じさせる森だ。
まさかこんなに美しい森を隠している谷だとは思わなかった。(これは言い過ぎかもしれないが)自分が今歩いているのは芦生の森では?と思ってしまうくらいの豊かさを感じさせる森だ。
小滝が続く。
小さな滝ばかりではあるが,一つ一つを丁寧に越えていくのが楽しい。
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小さな滝ばかりではあるが,一つ一つを丁寧に越えていくのが楽しい。
そしてひときわ大きい段瀑。15mくらいか。
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そしてひときわ大きい段瀑。15mくらいか。
深い緑のドームを見上げながら,冷たい飛沫の中に足場をたしかめつつ,滝を越えていく。
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深い緑のドームを見上げながら,冷たい飛沫の中に足場をたしかめつつ,滝を越えていく。
まさか久多の小さな谷に,こんな素敵な場所があったなんて。
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まさか久多の小さな谷に,こんな素敵な場所があったなんて。
最上段も登ってくださいとばかりに手掛かりが豊富で,喜んで登らせてもらう。
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最上段も登ってくださいとばかりに手掛かりが豊富で,喜んで登らせてもらう。
またまた大きなトチノキ。
またまた大きなトチノキ。
斜面には,トチノキやカツラ,サワグルミなど,素晴らしい森が続いていて,思わずにこにこしてしまう。
斜面には,トチノキやカツラ,サワグルミなど,素晴らしい森が続いていて,思わずにこにこしてしまう。
小滝もまだまだ続く。
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小滝もまだまだ続く。
トチノキ。
カツラ巨木。
水が細くなっても,楽しい小滝たち。
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水が細くなっても,楽しい小滝たち。
谷の傾斜が緩み,小滝の姿が見えなくなると,周囲の樹林は一層深さを増す。
谷の傾斜が緩み,小滝の姿が見えなくなると,周囲の樹林は一層深さを増す。
見上げんばかりのサワグルミたち。
見上げんばかりのサワグルミたち。
あー,気持ちがいいなぁ。
あー,気持ちがいいなぁ。
谷が枝分かれするところには,必ずと言っていいほどカツラの巨木が。
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谷が枝分かれするところには,必ずと言っていいほどカツラの巨木が。
こちらはトチノキのこぶ付き巨樹。
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こちらはトチノキのこぶ付き巨樹。
こちらのトチノキさんもなかなか。
こちらのトチノキさんもなかなか。
また立派なカツラ。
また立派なカツラ。
質感たっぷりのトチノキ巨木。
質感たっぷりのトチノキ巨木。
ひときわ美しいと感じた区間。ゴルジュ状に迫った谷の中にナメ滝が続き,その奥では光を帯びたカツラやトチノキの巨木たちがこちらを覗き込んでいる。
ひときわ美しいと感じた区間。ゴルジュ状に迫った谷の中にナメ滝が続き,その奥では光を帯びたカツラやトチノキの巨木たちがこちらを覗き込んでいる。
深い森の陰影が美しく,何度も立ち止まって頭上の緑を見上げる。
深い森の陰影が美しく,何度も立ち止まって頭上の緑を見上げる。
異形のカツラ。
ゴルジュの岩壁の上には,ひときわ美しい森が。シカも入れないためだろう,下層植生も豊富だ。
ゴルジュの岩壁の上には,ひときわ美しい森が。シカも入れないためだろう,下層植生も豊富だ。
歩みとともに刻一刻と移り変わる光と影が美しい森。
歩みとともに刻一刻と移り変わる光と影が美しい森。
ここにも株立ちのカツラ巨木。もう何本目だろう。
ここにも株立ちのカツラ巨木。もう何本目だろう。
源頭が近づき,水が細くなっても,ときどき小滝が出てきて,涼しげな音色を弱音で奏でている。
源頭が近づき,水が細くなっても,ときどき小滝が出てきて,涼しげな音色を弱音で奏でている。
思わずため息が出てしまう,源頭の風景。
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思わずため息が出てしまう,源頭の風景。
こんな小さな久多の谷にも,こんなに美しい森が残っている。京都北山もまだまだ捨てたもんじゃない。
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こんな小さな久多の谷にも,こんなに美しい森が残っている。京都北山もまだまだ捨てたもんじゃない。
少しだけナメ滝が復活。
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少しだけナメ滝が復活。
ささやかなフィナーレを飾ってくれる。
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ささやかなフィナーレを飾ってくれる。
そして霧の源頭へ。
そして霧の源頭へ。
ここにも定番の株立ちカツラ。
ここにも定番の株立ちカツラ。
周囲の森が雨の音に包まれ始める中,霧の森を稜線へ。
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周囲の森が雨の音に包まれ始める中,霧の森を稜線へ。
ちょうど稜線に出たところが,P897の手前に立つ大きなアシウスギの地点だった。
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ちょうど稜線に出たところが,P897の手前に立つ大きなアシウスギの地点だった。
雨音に包まれた稜線を,フカンド山へ。
雨音に包まれた稜線を,フカンド山へ。
フカンド山に到着。
フカンド山に到着。
フカンド山の山頂自体は,京都北山の里山によくある,(自然林ではあるけれど)ちょっと雑然とした感じの山頂だ。
フカンド山の山頂自体は,京都北山の里山によくある,(自然林ではあるけれど)ちょっと雑然とした感じの山頂だ。
下山は,上の谷の左俣を下降するため,フカンド山の山頂から直接北東側の斜面を下降し始めたところ,巨大なアシウスギに遭遇してびっくり!
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下山は,上の谷の左俣を下降するため,フカンド山の山頂から直接北東側の斜面を下降し始めたところ,巨大なアシウスギに遭遇してびっくり!
かなり立派なアシウスギの巨木で,ちょっと感動。フカンド山の山頂から少しだけ北東側に下ったところにあります。
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かなり立派なアシウスギの巨木で,ちょっと感動。フカンド山の山頂から少しだけ北東側に下ったところにあります。
上の谷の左俣は,460m二俣から見た感じは植林が多そうで期待していなかったのだが,源頭の雰囲気は右俣と同じくいい感じ。
上の谷の左俣は,460m二俣から見た感じは植林が多そうで期待していなかったのだが,源頭の雰囲気は右俣と同じくいい感じ。
左俣にもトチノキの巨木が。
左俣にもトチノキの巨木が。
しかし,左岸側の尾根にちらほらと植林らしきスギの影が見えるのがちょっと残念。
しかし,左岸側の尾根にちらほらと植林らしきスギの影が見えるのがちょっと残念。
谷筋は申し分ない自然林なのだが。
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谷筋は申し分ない自然林なのだが。
大きなカツラもあるし。
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大きなカツラもあるし。
大きなカツラとトチノキが並び立つ二俣。
大きなカツラとトチノキが並び立つ二俣。
またトチノキの巨木。
またトチノキの巨木。
そのうち小滝が連続し始める。
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そのうち小滝が連続し始める。
地形図では,左俣はそれほど等高線が混んでいないのであまり期待していなかったのだが,意外にも小滝が多くてびっくり。
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地形図では,左俣はそれほど等高線が混んでいないのであまり期待していなかったのだが,意外にも小滝が多くてびっくり。
15mほどの斜瀑。手掛かりは豊富で,登ったら楽しいだろうなぁ。
15mほどの斜瀑。手掛かりは豊富で,登ったら楽しいだろうなぁ。
まだまだナメ滝が連続。
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まだまだナメ滝が連続。
おっと,目の前がちょっとしたゴルジュに。何段かの滝になっているようだ。左岸から巻いていくと…
おっと,目の前がちょっとしたゴルジュに。何段かの滝になっているようだ。左岸から巻いていくと…
まずスダレ状の5m滝。
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まずスダレ状の5m滝。
そしてその下の2m小滝。
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そしてその下の2m小滝。
そして最下段の8m斜瀑。全部で三段の滝でした。
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そして最下段の8m斜瀑。全部で三段の滝でした。
周囲の樹林も美しい。
周囲の樹林も美しい。
その後も続々と現れる小滝をクライムダウンしていくのが楽しい。
その後も続々と現れる小滝をクライムダウンしていくのが楽しい。
両岸が植林に変わると,谷も平凡な流れに。
両岸が植林に変わると,谷も平凡な流れに。
460m二俣に帰ってきた。本当にこの雑然とした二俣からは,この奥に素晴らしい森があるとは想像もできないな…。
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460m二俣に帰ってきた。本当にこの雑然とした二俣からは,この奥に素晴らしい森があるとは想像もできないな…。

装備

備考 沢足袋使用。ロープなど沢登りの基本装備は携行したが使う場面はなかった。

感想

 久々に京都北山でこれは当たり,と個人的に思える谷を見つけた。久多川の小さな枝谷である「上の谷」である。
 久多川の谷と言えば,奥の方の滝谷に馬尾滝などの名のある滝があることが知られており,あとはクラ谷にもそこそこ大きな滝があるらしい,という以外にはほとんど情報がなく,里に近く植林が多いイメージと相まって,これまであまりその支谷を歩いてみようという気にならなかった。今回,上の谷を歩いてみたのも,この週末はあまり時間がなく遠出ができなかったからで,地形図で妙に等高線が詰まっている右俣がちょっと気になり,あまり期待せず入ってみたものだったのだが…。
 実際入ってみると,植林の途切れた先に素晴らしい森が広がっており,とりわけ大きなカツラとトチノキの密度には驚かされた。林道の造成や植林が進んで今ではなかなか見られなくなってしまった京都北山の良い部分が残っているような谷であった。そんな空間に久多の小さな谷の奥で出会えたのだから,まだまだ京都北山にも辿るべき尾根,入るべき谷が残っているはず,という思いに改めてさせられた。また日を改めて,久多の他の谷も歩いてみようかな。

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