〜地獄の急登〜地蔵岳(鳳凰三山)ドンドコ沢コース日帰りピストン
- GPS
- 12:25
- 距離
- 15.3km
- 登り
- 2,089m
- 下り
- 2,065m
コースタイム
天候 | 曇り時々雨、のち曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
◎駐車料金1日800円、朝7時より前にたつ場合は受付ポストにナンバーを書いた紙とお金をいれた封筒をポン ・トイレあり ・3エリアほど駐車枠あるのでかなり台数停められる ●韮崎から向かうと小武川第4発電所〜第3発電所間の1~2km区間荒れた未舗装路あり。そこ以外はきれいな舗装があるが未舗装区間がかなり荒れ気味なので注意。 この前後数キロに渡って幅員せまく離合困難な箇所あり。 青木鉱泉の駐車場も未舗装。 ・カーナビによっては青木鉱泉入り口の分岐の手前の作業道のような道を案内されることがありますがそこに迷い込まないように。Googleマップのほうが正確でした。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
◎目立つ危険箇所はすくない ・ドンドコ沢コース下部の樹林帯はいやというほど目印があり、道迷い箇所はロープもしてあるので目印を頼りに歩けばまず道に迷うことはない。迷うとしたら渡渉箇所で足元に気を取られてつい沢沿いの水道などに迷い込むパターンか。 ◎全体に急登急登、また急登。標準コースタイムで11時間を超える(登り6時間下り5時間程度)ので余裕があるのなら日帰りはしないほうが楽。日帰りするなら朝6時までには発つほうが安全。日帰りは健脚者か、そうでないとなかなか修行感覚のキツさ。 ▲要注意箇所等 ●五色ノ滝から白糸ノ滝方面に5分ほどくだったところに大きな倒木があって通行に難儀する。トラロープは張ってあるが段差が大きく足をかける場所が少ないので気を使う。今回は倒木に体重をかけて通過してしまったがその倒木はだいぶ朽ちてきているので注意 ・その他白糸ノ滝〜南精進ケ滝周辺はところどころ崩落箇所や倒木あり。どれもトラロープなどはあるがペースがあがらない箇所も多い。 ●鳳凰小屋から地蔵岳山頂までの道はザレているというより足首まで埋まるほどの柔らかい深い砂地で、ズルズル三歩進んで二歩下がるような道なのでオベリスクが見えてからが進まない。標準コースタイムよりやや余裕見てもよい。下りは足が埋まりながら下りる感じなのでそれほど滑らずキツくないしはやい。 ●クマ目撃情報がおおい山なようです。下の方の樹林帯にはあちこちにクマ注意やクマ目撃地点の案内があったので熊鈴など携行されたい。 特に日帰りでいくとよほどペースが速い人でなければ早朝日が登るとともに発、夕方日没前に下りてくるようなスケジュールになると思います。薄明薄暮の時間帯はクマの活動時間帯なので注意してください。 ◎お花 高山植物が各種満開。 ・タカネビランジがオベリスク周辺あちこちで満開。とてもかわいらしい。ピンク色のお花が白い花崗岩の山頂エリアによく映える。 ・オベリスクの裏手側で固有種ホウオウシャジンかなり見頃。非常によく咲いている。ただし咲いている場所はどこも足場わるいので滑落に注意。 ・その他トリカブトやホタルブクロなどなど多様な高山植物よく咲いているのでお花がたのしい。 ・鳳凰小屋周辺は養生されていて特に小屋脇がきれい。 ・キノコ類も豊富でひたすらキツい急登の樹林帯では目を楽しませてくれる ・その他 鳳凰小屋は日帰り客にも水を提供してくれる。上手に利用すれば急登箇所を担ぐ水の量を減らせて楽になるかも トイレは200円だそうです。 クッキーがかなりの枚数はいっていて400円だったので糖分補給したくなったらおすすめです |
その他周辺情報 | ・青木鉱泉 日帰り入浴1000円 時間は電話できいたところ朝10時くらい〜夜7時くらいという感じなようです。お風呂の張り紙は入浴8時までの張り紙ありました。 石鹸可。洗い場数多い。湯船は女湯は5人くらいが満員か。男湯はもうすこし広いらしい。ドライヤーも貸してもらえる模様。 |
写真
感想
お盆の最終日。お天気に恵まれなかったこのお盆も最終日は天気がもちそうな予報だったのでお山へ。
ちょうど送り盆の日だしお盆に帰ってきたご先祖様や今は亡き我が子たち(といってもペットですが)をお見送りするのにせっかくだから天国に近そうな霊山鳳凰三山のお地蔵さんのところに連れて行ってあげようかなーなどと思ったのもあり前々から行こうと思っていた鳳凰三山地蔵岳日帰り登山を決行。
まあ前々から地図とにらめっこはよくしていたので青木鉱泉からのドンドコ沢ピストンが標準コースタイム11時間超えの急登だらけのキツい山行になることは覚悟の上。
なかなか連休がとれない我が家の都合上基本的に日帰り登山が原則。そうするとここはなかなかハードだからいつか行こうと随分前から計画しつつもそのままになっていました。
さて、てんくらがB予報なのが気になりますが韮崎周辺の天気はひろく晴れ時々曇予報。雲がひろがっても雨にはならないだろうとどこも予報していたので計画通り登山することにします。
外が薄明るくなってきた午前5時前、青木鉱泉に到着です。雲はおおいものの晴れ間も多く、今日こそは天気のいい登山になるかなと一抹の期待。まあその期待はあっさり裏切られるのですが。
いつもは7時くらいにスタートするのを目安にしていますが、今回は標準コースタイム11時間超え。もしもなにかがあって遅れれば12時間を超えてしまう可能性があるので日没までに確実に下山できるように6時より前、5時台にスタートです。
駐車場から登山道入口までのところに青木鉱泉本体があって受付があるので駐車料金とナンバーを書いた紙を封筒にいれて時間外ポストにいれていよいよ登山開始。
序盤は砂防堤防までなだらかな道が続きます。堤防上は舗装路になっているので歩きやすい。このへんクマ出没注意の張り紙いくつもあり。日帰りだと早朝と夕方の通過は避けられないので熊鈴などクマよけアイテムは全開装備。
最初のチェックポイント南精進ヶ滝まではかなり歩きやすいなだらかな道が続くのでペースはかなり快調に進め、ここで標準タイムより縮められて45分ほど貯金ができました。これは大きい貯金。
南精進ケ滝で軽く一息いれてから先へ進みます。このへん渡渉箇所が何ヶ所かあり。若干水量多めだったので気をつけてください。
しかし、覚悟はしていたもののこの南精進ヶ滝から五色ノ滝までの区間が急登急登、また急登。
めちゃくちゃに密な等高線を真っ直ぐコースがぶち抜いているんで当たり前なんですが恐ろしく急登続き。
担いでいる水も多い朝のこの急登は本当にこたえる。
太ももがパンパンになってもまだつづく急登、ふくらはぎが痺れてきてもまだつづく急登、腰が痛くなってきてもまだつづく急登、背中も肩も感覚がなくなるほど痛くなってきてもまだつづく急登。
足だけじゃなく背中や首までゴリゴリに疲労が蓄積していく感じがします、が、まだつづく急登。
このあたりは以前は目印が少なく道迷いする方もでたそうですが、いまはかなり細かい間隔で目印があるのでよほど道には迷わないと思います。
あまりの急登つづきで何度か小休止をいれるものの小休止程度ではさっぱり回復しません。
ヒィヒィいいながらもポンポンと名瀑がつづくので滝を見ながら何度か小休憩。滝は涼しく抜ける風は気持ちいいです。
しかし、このへんからにわかに空に雲が多くなって暗くなってきました。嫌な予感です。
さて、悲鳴をあげながらなんとか五色ノ滝到着。
この区間は標準タイムよりやや遅くらい。前の区間で45分貯金したので時間的余裕はまだありそう。
五色ノ滝を過ぎると急登区間はなくなり穏やかな道が続きます。
しかし、嫌な予感的中。なんと小雨がパラつきはじめました。樹林帯の中なので雨はあまりかかりませんがあたりが暗くなってしまいかなり嫌な感じ。
木のないところではかなり雨粒を感じる降り方になってきました。
このへんで雨具を装備したりとしていたのでタイムロスが重なってきました。
ただこの雨は長くは続かず開けた場所にいくとところどころオベリスクの背後に青空もみえたのでここで雨具をしまいます。
そうこうしているうちに鳳凰小屋着。
時間はなんだかんだ朝の貯金を使い果たして計画ぴったりくらいの到着となりました。
計画表通りの11時頃着で、この先山頂まで1時間。計画ではちょうどお昼頃に山頂について山頂でごはんを食べるつもりでしたが、ここまでの急登の連続で想定以上の消耗だったのでここで大休憩をいれてごはんにすることにしました。
ここでは日帰り登山者にも水をわけていただけるのでありがたく補給させていただいてゆっくりお昼にします。
こんなにヤマメシがおいしく感じたのも久しぶりというくらいお昼ごはんの塩気とカロリーが体に沁み込みます。
鳳凰小屋の裏手はネットで養生してありさまざまなお花がきれいに咲き誇っています。
お昼休憩1時間弱。普段よりやや短めのお昼ごはんにしましたが体力は回復してきたので山頂を目指します。
しかーし、ここでまた雨。今回はなかなか本降り。樹林帯のなかにいても雨粒を感じるくらい。
またも雨具装着。晴れ予報はどこへ行ったんだ!と思わず口からも文句タラタラで旦那ともなんだか空気悪くなりつつ山頂までの最後の区間。
ここは地図上ではかなり急登になってますがここまでの区間よりは歩きやすかったです。
樹林帯をぬけるとオベリスクが見えてあと少し!!と思いますが先に広がるのは砂地獄。
足首まで埋もれる柔らかい砂地は進めど進めど足は埋もれながら後ろに滑っていくのでまったくペースがあがりません!
そうこうしているうちに雨はさらに強く、ついにはガスが濃くかかって目の前のオベリスクすら見えなくなってしまいました。風も強く雨も強く、晴れ予報は本当にどこいった!って感じです。
もうそうなると気持ちが萎えるどころではない。砂地獄に埋もれながらが、やっぱ今日くるんじゃなかった、とか、疲れた、ここまできてオベリスクすら見えないなんて本当の骨折り損、もう帰りたいとか泣き言ばかりでてきます。
足取りは重く、先も見えず、周りは真っ白、足をいくら動かしてもほとんど同じところで足踏みしてるかのような感覚。ここまで来たから登り切ってやる、ともはや精神力だけで足を動かす感じ。
と、ここで後ろを歩いていた旦那から後ろの甲府方面晴れ始めたぞ!と声が。
振り返ると甲府盆地の方からサーッと雲が掃けはじめ、みるみる韮崎の街の方が晴れていくのがみえるではないですか。
そして遠くには富士山もその巨体が雲の向こうに見え始めます。
そうこうしていると周りのガスもとれはじめ、ついでにシカも登山道に現れ優雅に歩いてきました。と、同時にどうやらもう山頂はもう目の前らしいのがわかりました。
私達はそのまま賽の河原へ向かい、お地蔵様に手を合わせました。
すると、なんということでしょう。みるみるガスがとれて遠くの雲も去り、青空がでて、日がさしてきて、お地蔵様の背後には甲斐駒ヶ岳や南アルプスの方まで見渡せるようになりました。
振り返ると観音岳も山頂まで見え、下界ら甲府盆地がスカーッと晴れ渡って見えました。
サーッとガスが引き、その姿を現した賽の河原から見上げるオベリスクは、曇り空にあってもまるで後光がさしているかのようにみえました。
なんだか、もうその時は報われた気持ちやらありがたさやら達成感やら感激やら、なんかほんとお地蔵様への思いが通じたのかなっていう感動やら、疲労やらここまでのしんどかった思いやら重ねた泣き言やら、もうありとあらゆるものが噴き出してきて思わず涙がでてきてお地蔵様に手を合わせながら泣いてしまいました。
霊山ってこういうことなのかな、って登山しててはじめてここまで感じたかもしれないです。
賽の河原でお参りを済ませるとオベリスクへ。
オベリスク周辺にはタカネビランジやホウオウシャジンが満開。足場が非常に悪い断崖なのであまり写真は撮れませんでしたがお花は見応えあります。
オベリスクはみなさん結構たかいところまで登ってましたが私達はもう疲労もピークだし日帰りだから帰りも考えなきゃいけないしって途中までのぼって写真を撮っておりてきました。
たぶんその気になったら結構高いところまで登れそうな気がしますが直前まで雨も降っていて岩も滑りやすい状況だったので無理はしませんでした。
下りはあの砂地獄が結構歩きやすい。足が埋まってくれるからあまり滑らなくて下りは楽なんですね。
まだシカさんは登山道のそばを歩いてました。
鳳凰小屋までおりて小休止。小腹がすいて糖分がほしいのでお菓子おいてないかきいたところクッキーが400円であるとのことだったのでクッキーいただきました。
このクッキーが結構な枚数はいっていてこれで山の上で400円はコスパ良し。
下りの時間もあるのであまり長くは休憩しませんでしたがこのクッキーでカロリーチャージ!気力体力も充電されてあとは一気呵成におりていきます。
しかしやはり急登箇所はおりるのも大変。
下りコースタイムってかなり速く歩ける前提で書いてあるわけですが、ここまで疲労困憊している体だと結構飛ばしている感覚じゃないと標準タイムより遅れ始めますね。
五色ノ滝を過ぎたあたりからはもはやHP0って感じの体の疲労感でもーうこのへんで終わってくれればいいのに、と思うけどまださらにこのさき残りが3時間弱。
もうここから先は本当に精神力だけで歩いていた気がします。旦那ともお互い言葉少なになってきました。
筋肉もスタミナもとっくに使い果たして、足の筋肉も痛いを通り越して無感覚になってきてましたがなんとか17時台には砂防堤防まで到着。ここまでくればほぼおりたも同然。
無事、日没前18時すぎには下山。
終わってみれば12時間25分の山行となりました。累計標高差2000mというのはやっぱハード。
休憩長めにとったので12時間超えましたが歩行ペースはまあまあなペースを維持できたのでほぼ予定通りの時刻に下山できました。
いや、しかしキツかった。本当にキツかった。キツいしか言葉がでなくなるくらいキツかった。本当にキツかった。
事前の電話でお風呂は19時頃までという話だったので荷物だけ車に置いて着替えをもって青木鉱泉へ。
お風呂は結局誰もおらず。男湯も女湯も誰もいませんでした。
最後までどなたも来ず。ありがたく青木鉱泉をひとりじめさせていただきました。
ほんとにキツくてキツくて仕方なかった分温泉が沁みる沁みる。
骨の髄にまで温泉が沁み込んでいくようで、疲れ果てた筋肉もふわーっと楽になります。
山奥の秘湯は石鹸禁なんだろうと思いこんでいったのですがシャンプーもボディーソープも備え付けだったのでしっかり汗を流せました。
最高にリラックスできたところで今回の登山は終了です。
途中すれ違った方とも話しましたが、ほんとこれ普通にキツいとかを通り越してもはや修行って感じの山でした。
きっとかつての修行僧たちもこうして修行したのだなと感じたハードな山行。
でもお地蔵さんにお参りしてたら急に晴れたり、なんだかこの険しさや天候も含めて、まさに霊山って、こういうことだったんだなぁ、と噛み締める登山となりました。
やっぱりこの山は霊山なんだなぁ
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