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Yamareco

記録ID: 4754920
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
八ヶ岳・蓼科

赤岳

2022年10月01日(土) ~ 2022年10月02日(日)
 - 拍手
GPS
32:00
距離
15.2km
登り
1,404m
下り
1,402m
天候 快晴
過去天気図(気象庁) 2022年10月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
おまけの別荘地歩き
おまけの別荘地歩き
懐かしのアプローチ
懐かしのアプローチ
苔が美しい
今回花はこれくらい
今回花はこれくらい
八ヶ岳の森の断面。土なんて本当に薄い。
八ヶ岳の森の断面。土なんて本当に薄い。
あったなあ。この樹
あったなあ。この樹
ご無沙汰でした
中山展望台より
皆が見上げる
赤岳の影が
清里側が明るい
北峰から頂上を見る
北峰から頂上を見る
このザレは疲れる
このザレは疲れる
地蔵尾根の下り口
1
地蔵尾根の下り口
岩場も終わり近い
岩場も終わり近い
やっと森になった
やっと森になった
祭りの後
また来る日まで
あそこにいた、と思える嬉しさ
あそこにいた、と思える嬉しさ

感想

10月1日 快晴
八ヶ岳自然文化園第二駐車場9:45〜美濃戸口10:37〜美濃戸11:25〜行者小屋14:30
 3年前に鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)の手術を受けた痕の鈍痛が未だに抜けず、ハイキング以上の山からは遠ざかっていたが、いつまでもくすぶっていては人生が終わってしまう。どれだけできるかテストすべく、テント泊と岩場歩きのあるコースとして計画した。装備と食糧はギリギリまで削って軽量化をしたが、それでも不安といくらかの悲壮感を抱えての出発である。
 初日は行者小屋までだからゆっくりでいいやと、山麓で寄り道などしていたのが全く甘かった。美濃戸口の駐車場は満杯で、3キロ強離れた自然文化園の駐車場を紹介された。タクシーがピストン輸送しているという話だったが気配もなく、先に配車を頼んだ方が、何時になるか分からないと言われたとのことだったので、諦めて歩くことにした。予定外のアルバイトにがっかりだが、秋晴れの別荘地の雰囲気は悪くなかった。ようやく美濃戸口に戻り、改めて出発。前回はいつだったか定かでないほど昔になってしまい、唐松林の林道の風景が懐かしいと感じられる。淡々と林道を辿ると、谷を隔てて緩やかに伸び上がっていく尾根筋が望まれる。ああこれが八ツのアプローチだったなあと、こんなことも、また美濃戸の広場辺りからふいに目に飛び込んでくる阿弥陀の尖峰も、いちいち懐かしい。いよいよ南沢へと山道に踏み込むのがしみじみ嬉しい。
 針葉樹の森は苔の緑が優しく、気持ち良く歩ける。雨は少ない印象のある中信だが、こんなにしっとりしていたか。沢の音を楽しみ、道がトラバースになれば岩塁帯の出現に驚く。数年前の台風のためか、沢筋はかなり荒れている気がした。流れをからみながら登るのにいささか疲れてきた頃、門のような岩とその上に張り出した一本のダケカンバが記憶を呼び覚ます。冬の青空を背景に白い枝が強く存在を主張していたのは、もう20年も前か。しばらくの登りを頑張ると、ようやくガレ河原に出て、待望の横岳の胸壁が現れた。岳樺の黄葉と、背景の青空と、三拍子揃った光景に気分が上がる。再びしっとりした苔の樹林を抜け、一気に近くなった大同心を見上げると、発電機の音も懐かしい小屋前の広場に飛び出した。既にテントがぎっしりと張られていて焦るが、最奥の良いスペースを確保できた。
 まずはビール。落ち着いてから中山展望台に散歩に行くが、昔より樹木が茂ったようだ。夕刻の静かな樹林の雰囲気を味わい、小屋前でまた飲みながら夕照の峰を眺める。おしゃべりは苦手だが、山が好きな人達と一緒に同じ景色を眺めるのは嬉しいものだ。久し振りの幕営は、寒さと五十肩の痛みで眠れず辛い夜となった。

10月2日 快晴
行者小屋5:45〜赤岳7:30/7:40〜行者小屋9:17/9:48〜美濃戸口12:22
 文三郎尾根へ向かう道は秋盛り。見上げる阿弥陀はもう茶色になっている。横岳の岩壁と、遠くには朝陽を浴びた槍穂高を振り返りながら登っていくと、行者小屋がどんどん下になる。やはり大きい山は気持ち良い。稜線に出れば権現に南ア、入笠山のゲレンデと、新しい眺めが広がり、ついつい撮影に立ち止まってしまう。岩場では問題なく脚が動き、安堵する。ヘルメットをかぶっている人が多いのに時代を感じるが、確かに人為落石の方が怖いかもしれない。ふいに眩い光を浴びて、清里側の高原を見下ろした。今度は富士山、奥秩父、上信の山々が一望だ。好きな光景なのだが、県界尾根の斜面が大きく崩れて土砂が沢を埋めているのが胸に痛い。頂上は一投足、もう感極まるというよりは、日常の山登りの気分に近い。密が気になるくらいで、北峰に移動して腰を下ろす。眺めるのも久し振りの後立山の峰々に心誘われる。
 下りの標高差と身体の不安を考えると、中々今ここの幸せを味わう余裕がなく、動くことに気が急いて腰を上げる。短い距離だが森林限界上の縦走を楽しみ、下りにかかると人が多くなり、石を落とさないよう気を使う。地蔵尾根は冬に下ったはずなのだが、こんなに階段ばかりだったか? すれ違い待ちが増え、膝が辛い。最後のハイマツにタッチして再訪を約し、再び森の中へ。下り着いた行者小屋の前はテントもまばらで、もの淋しさを感じてしまう。区切りのコーヒーを一服し、また重くなったザックを背に、赤岳に別れを告げる。長い下りに脚は疲れたが、満足感を味わいながらの楽しい時間だった。美濃戸口ではちょうどタクシーがつかまり、スムーズに車に戻ることができた。好天に恵まれ、初期の目的も達成することができて、本当に良い山行だった。

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