【奥美濃】第二次ベロリ穴探査(磯倉のクラ)
- GPS
- --:--
- 距離
- 14.4km
- 登り
- 1,461m
- 下り
- 1,461m
コースタイム
- 山行
- 10:30
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 10:30
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2022年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
磯谷の奥にあるとされ,国道417号線の「磯谷ベロリ橋」の名前の由来にもなっている洞窟,「ベロリ穴」。徳山の民話である「猟師と白い熊」の舞台にもなっているが,その民話では,ベロリ穴は磯谷の奥の「磯倉」というクラ(岩場)の下にあると語られている(おそらく,この「磯倉」という岩場が,能郷白山の南のP1541の山名である「磯倉」の由来にもなっていると思われる)。 このベロリ穴については,2年前の12月にも磯谷遡行の途上で探索したが,今回は「磯倉」のクラ(岩場)に焦点を絞って再探索を行った。その結果やいかに。 ※ 前回のベロリ穴探索の記録はこちら(ついでに磯谷から磯倉ピーク(P1541)にも登ってます。あと民話「猟師と白い熊」も感想欄に掲載してます)https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2781989.html ※ さらに,後日,ベロリ穴の位置が記載された資料を発見したため,再探索を行いました。記録はこちらhttps://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4936363.html <ルート状況> ・ 磯谷は穏やかな流れで,遡行は全く問題ない。谷中は広く開けているので,ほとんどの区間で川の中を歩かなくても,河原をテクテク歩くことができる。 ・ 今回,磯倉のクラ(岩場)へのアプローチとして登った磯谷北又の左岸に流入する枝谷は,地形図から想像される通りかなり急峻で,標高900m付近の二俣でチョックストーンに阻まれ左俣・右俣ともに谷中は通行不能となる。磯倉のクラに行きつくためには,今回のように左岸か,または右岸に逃れて尾根を登高するしか手段はない。 ・ 磯倉のクラ(岩場)近辺の尾根は,かなり岩がちで急峻であり,さらにシャクナゲ等の藪も深い。左右が切れ落ちた区間が多く,ときおり岩峰に阻まれたりもするので,複雑なルート取りを要求され,滑落の危険も終始つきまとう。(そんな奇特な人はいないとは思うが)この付近に入山の際は注意。 |
写真
装備
備考 | ・ フェルトソール沢足袋使用。正直,磯谷は河原歩きが中心で,磯倉のクラまでも岩っぽい斜面や尾根の登行が出てくるので,ラバーのほうが良いように感じた。(ただし,磯谷はぬめりが強いので注意) ・ 40mロープ携行。使用場面はなかったが,磯倉のクラ周辺は急峻なのでルート取りによっては行き詰る可能性もあり,必携。 |
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感想
国道417号線でも一二を争う奇抜なネーミングの橋と思われる「磯谷ベロリ橋」の名前の由来にもなっており,徳山の民話「猟師と白い熊」の舞台にもなっているベロリ穴。2年前の12月にも探索したのだが,この時は磯谷からの磯倉ピーク登頂も兼ねていたため,中途半端に終わってしまったので,今回はあくまでベロリ穴探索に焦点を絞ることにした。
ベロリ穴の在りかについて,本来なら旧徳山村の古老にお話を伺うべきなのかもしれないが,そうしたツテがないため,ネットや書籍などから何とか得られた乏しい手掛かりから自分なりにベロリ穴の位置を推定してみた。
<手掛かり1:徳山の民話「猟師と白い熊」>
当該民話では,ベロリ穴は「磯谷の奥にある磯倉と呼ばれる倉もと」にあるとされている。
→ 倉(クラ)とは岩場のこと。どうやらベロリ穴は,磯谷の奥にある磯倉という岩場の基部に開口しているらしい。
<手掛かり2:徳山の民謡>
徳山の民謡に,「磯谷 磯倉 白谷 権現 冠塚でも 徳山一かよ」と歌われている。
→ 民謡に歌われるくらいなので,磯倉のクラは,ふもとの徳山村からも目立つ岩だったはず。(そもそも,磯倉ピーク(P1541)の山名にもなるくらいなので,当該ピークを眺めた際に目立つ位置にあるはず。)
<手掛かり3:別バージョンの徳山民話>
実は,ベロリ穴に関しては上記の「猟師と白い熊」以外にも別バージョンの民話があり,そこでは「磯谷の大久保」にベロリ穴があるとされている(しかも,穴の中に住んでいるのは,白い熊ではなくベロリン婆という山姥らしい。なにそれ…)。
→ 「大久保(オオクボ,大窪)」という地名からは,谷状地形を想像させる。磯谷の枝谷の奥にベロリ穴がある可能性。
上記のヒントから総合して,ふもとの磯谷ベロリ橋から磯谷の奥の磯倉ピークを眺めた際に最も目立って見える岩場(写真欄No1の赤い丸印の岩場)が「磯倉と呼ばれるクラ」であり,その基部にベロリ穴があるのでは,と推測した。登路としては,磯谷北又の700m付近左岸枝谷を選んだ。この枝谷は磯倉のクラ(推定)に直接突き上げており,これが別バージョンの民話に言う「磯谷の大久保」なのではないか,と想像していた。
実際に現地に赴いてみると,ベロリ穴うんぬん以上にまず驚いたのが,周辺の地形の非常な険しさだった。もしかしたら,徳山周辺で最も峻険な山域の一つかもしれない。100m以上はありそうな白い岩峰が枝谷に沿って帯状に林立し,穏やかな尾根や谷が多い徳山の山とは到底思えない特異な景観を成していた。自分の勝手な推測でしかないのは分かっているのだが,あまりの現地の迫力に,ここが磯倉ピークの山名の由来になった「磯倉と呼ばれるクラ」だということはほぼ確信してしまった。
で,肝心のベロリ穴はどうだったのか,ということであるが,確かに磯倉のクラの基部に岩穴は存在していた。しかし,発見した穴は思ったより規模が小さく,そこから民話が生まれるような「オーラ」に何となく欠けていて,これがベロリ穴だ!と自信を持って断言できないものであった。岩壁の基部に,RPG(ドラクエでもFFでも良い)に出てきそうな大きな洞窟がぽっかりと口をあけていれば,一発で確信できたのだろうが,現実はそううまくは行かない。現時点では,今回見つけたものは,ベロリ穴かもしれないし,そうではないかもしれない,というのが結論である。
そもそも,ベロリ穴自体が伝承の中のフィクションに過ぎない可能性も十分にあるし(その割には水資源機構ホームページの「磯谷ベロリ橋」の解説に「橋の架かる磯谷の奥にはベロリ穴と呼ばれる岩穴があります」と断言調で書かれているのが気になるのだが),今回訪れた磯倉のクラは徳山のクマ猟師が日常的に入り込むには少し険しすぎるのではという指摘もあり得るだろう(小尾根に取りつく際に最初に目撃した大きな岩壁帯なら比較的簡単に近づけるので,むしろこちらにベロリ穴がある可能性もある)。煮え切らない話にはなってしまったが,「磯倉のクラ」という凄い景観がこの界隈にあったということを知ることができただけでも,今回の山行には十分な価値があったと思う。
【2022.11.12追記】
ある文献を当たってみたところ,ベロリ穴について比較的詳しい場所が示されていることを発見! しかもこの記録で予想していた場所と違う場所。これは再探索の必要がありそうですな…。
コメント
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市販のノンフィクション本より、現実味があって、怖いしスゴイです
今度、行ってみようかな〜
いやいや、真似したら…
もんりさんも是非磯谷ワールドにお越しください!この尾根から磯倉(山の方の)に登るのも、藪あり岩ありで面白いかもしれません。磯谷の南又も、今回は覗いただけですが、途中から谷が狭まって、ちょっと気になる雰囲気を漂わせてました。
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