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Yamareco

記録ID: 4852483
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
東海

【奥美濃】第二次ベロリ穴探査(磯倉のクラ)

2022年10月29日(土) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 福井県 岐阜県
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GPS
--:--
距離
14.4km
登り
1,461m
下り
1,461m

コースタイム

日帰り
山行
10:30
休憩
0:00
合計
10:30
6:40
40
駐車地
7:20
50
8:10
100
磯谷に降り立つ
9:50
200
磯谷北又の700m付近枝谷に入る
13:10
110
磯倉のクラ(岩場)
15:00
90
磯谷の二俣に降り立つ
16:30
40
寺尾
17:10
駐車地
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2022年10月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
磯谷ベロリ橋の東詰にある駐車スペースに駐車(かなり広いので駐車スペースには余裕あり)。
コース状況/
危険箇所等
 磯谷の奥にあるとされ,国道417号線の「磯谷ベロリ橋」の名前の由来にもなっている洞窟,「ベロリ穴」。徳山の民話である「猟師と白い熊」の舞台にもなっているが,その民話では,ベロリ穴は磯谷の奥の「磯倉」というクラ(岩場)の下にあると語られている(おそらく,この「磯倉」という岩場が,能郷白山の南のP1541の山名である「磯倉」の由来にもなっていると思われる)。
 このベロリ穴については,2年前の12月にも磯谷遡行の途上で探索したが,今回は「磯倉」のクラ(岩場)に焦点を絞って再探索を行った。その結果やいかに。

※ 前回のベロリ穴探索の記録はこちら(ついでに磯谷から磯倉ピーク(P1541)にも登ってます。あと民話「猟師と白い熊」も感想欄に掲載してます)https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2781989.html
※ さらに,後日,ベロリ穴の位置が記載された資料を発見したため,再探索を行いました。記録はこちらhttps://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4936363.html

<ルート状況>
・ 磯谷は穏やかな流れで,遡行は全く問題ない。谷中は広く開けているので,ほとんどの区間で川の中を歩かなくても,河原をテクテク歩くことができる。
・ 今回,磯倉のクラ(岩場)へのアプローチとして登った磯谷北又の左岸に流入する枝谷は,地形図から想像される通りかなり急峻で,標高900m付近の二俣でチョックストーンに阻まれ左俣・右俣ともに谷中は通行不能となる。磯倉のクラに行きつくためには,今回のように左岸か,または右岸に逃れて尾根を登高するしか手段はない。
・ 磯倉のクラ(岩場)近辺の尾根は,かなり岩がちで急峻であり,さらにシャクナゲ等の藪も深い。左右が切れ落ちた区間が多く,ときおり岩峰に阻まれたりもするので,複雑なルート取りを要求され,滑落の危険も終始つきまとう。(そんな奇特な人はいないとは思うが)この付近に入山の際は注意。
磯谷ベロリ橋から望む磯倉ピーク。写真中央の赤い丸印が,今回目指す磯倉のクラ(岩場)。あくまで推定だが,ふもとから見た際に最も目立つ岩場なので,あれが磯倉と呼ばれるクラと考えるのが自然だろう。あの岩場の下に,果たして「ベロリ穴」は存在しているのだろうか…。
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磯谷ベロリ橋から望む磯倉ピーク。写真中央の赤い丸印が,今回目指す磯倉のクラ(岩場)。あくまで推定だが,ふもとから見た際に最も目立つ岩場なので,あれが磯倉と呼ばれるクラと考えるのが自然だろう。あの岩場の下に,果たして「ベロリ穴」は存在しているのだろうか…。
地形図に落としてみた。赤い丸印が今回目指す磯倉のクラ,青のラインが登路,緑のラインが下山路。
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地形図に落としてみた。赤い丸印が今回目指す磯倉のクラ,青のラインが登路,緑のラインが下山路。
今回もスタートは磯谷ベロリ橋。徳山ダム周辺には変わった名前の橋やトンネルが多いが,この橋がその最たるものだろう。言うまでもなく,今回探索する「ベロリ穴」に由来するネーミング。
今回もスタートは磯谷ベロリ橋。徳山ダム周辺には変わった名前の橋やトンネルが多いが,この橋がその最たるものだろう。言うまでもなく,今回探索する「ベロリ穴」に由来するネーミング。
櫨原義徳隧道の南口を左手に少し外れた斜面から三等・寺尾(P689.3)の尾根に上がる。ブナの黄葉はまだわずかに始まったばかりだが,黄葉しかけのブナの森はなんだか清潔な感じで,白樺の森のようで結構好き。
櫨原義徳隧道の南口を左手に少し外れた斜面から三等・寺尾(P689.3)の尾根に上がる。ブナの黄葉はまだわずかに始まったばかりだが,黄葉しかけのブナの森はなんだか清潔な感じで,白樺の森のようで結構好き。
磯谷に降り立つ。相変わらずの穏やかな流れ。両岸には林道跡と思われる平場が多く,スタスタ歩ける。
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磯谷に降り立つ。相変わらずの穏やかな流れ。両岸には林道跡と思われる平場が多く,スタスタ歩ける。
興味本位で南又にも少し入ってみましたが,等高線が狭まり始めるあたりから小滝が出始めて,ちょっと覗いただけではあるが,北又より沢登り的に楽しめそうだった。
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興味本位で南又にも少し入ってみましたが,等高線が狭まり始めるあたりから小滝が出始めて,ちょっと覗いただけではあるが,北又より沢登り的に楽しめそうだった。
さて,本題である磯谷北又の700m付近左岸枝谷へ入る。この枝谷は磯倉のクラに直接突き上げているため,今回登路とした。別バージョンの徳山民話に出てくる「大久保(オオクボ)」とは,この枝谷のことなのではないか,と推測。
さて,本題である磯谷北又の700m付近左岸枝谷へ入る。この枝谷は磯倉のクラに直接突き上げているため,今回登路とした。別バージョンの徳山民話に出てくる「大久保(オオクボ)」とは,この枝谷のことなのではないか,と推測。
この枝谷,最初はゴーロだったが,すぐに両岸が狭まって急激に高度を上げ始め,小滝が連続し始める。
この枝谷,最初はゴーロだったが,すぐに両岸が狭まって急激に高度を上げ始め,小滝が連続し始める。
うおっ,巨大チョックストーン! これは左岸から何とか巻けた。
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うおっ,巨大チョックストーン! これは左岸から何とか巻けた。
その先は,両岸ともに物凄い岩壁で,谷底は巨岩がゴロゴロ。おいおい,これ,大丈夫か? 凄いところに入り込んでしまった…。
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その先は,両岸ともに物凄い岩壁で,谷底は巨岩がゴロゴロ。おいおい,これ,大丈夫か? 凄いところに入り込んでしまった…。
地味に小難しいチョックストーンに阻まれ,左手のコーナーから灌木頼りに腕力登攀。
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地味に小難しいチョックストーンに阻まれ,左手のコーナーから灌木頼りに腕力登攀。
ひえー,岩だらけ,凄い空間だ…。さすが磯倉のクラ(岩場)の足元の枝谷。
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ひえー,岩だらけ,凄い空間だ…。さすが磯倉のクラ(岩場)の足元の枝谷。
そして,900m付近二俣に到着。磯倉のクラへのアプローチルートにしようとしていた右俣は,巨岩に塞がれて絶対無理な感じ。
そして,900m付近二俣に到着。磯倉のクラへのアプローチルートにしようとしていた右俣は,巨岩に塞がれて絶対無理な感じ。
ならばと左俣を伺うが,こちらも巨大チョックストーンが挟まっていて通過不能。
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ならばと左俣を伺うが,こちらも巨大チョックストーンが挟まっていて通過不能。
うーん,この枝谷から磯倉のクラに至るのは無理か…。徳山の歴戦のクマ猟師をもってしても,この谷の通過は無理だろう。きっと別のルートがあるはず。
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うーん,この枝谷から磯倉のクラに至るのは無理か…。徳山の歴戦のクマ猟師をもってしても,この谷の通過は無理だろう。きっと別のルートがあるはず。
谷ルートは放棄し,今度は左岸の急斜面を攀じ登って,尾根を目指す。右岸と左岸のどちらを目指すか迷ったが,より目立つ岩場に近く,下山ルートも取りやすい左岸側を選んだ。
谷ルートは放棄し,今度は左岸の急斜面を攀じ登って,尾根を目指す。右岸と左岸のどちらを目指すか迷ったが,より目立つ岩場に近く,下山ルートも取りやすい左岸側を選んだ。
予想はしていたことだが,谷を離れると,すぐに濃密なシャクナゲの藪に捕まる。そりゃあ,奥美濃で岩尾根といったら,シャクナゲよね…。
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予想はしていたことだが,谷を離れると,すぐに濃密なシャクナゲの藪に捕まる。そりゃあ,奥美濃で岩尾根といったら,シャクナゲよね…。
気を抜くと滑り落ちそうな急斜面に喘ぎながら,ふと振り返ると,対岸にビッグスケールな岩壁がぶっ立っていてビックリ!
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気を抜くと滑り落ちそうな急斜面に喘ぎながら,ふと振り返ると,対岸にビッグスケールな岩壁がぶっ立っていてビックリ!
仏像のような変わった形の岩壁。写真だとスケール感が伝わりにくいが,150m〜200mくらいの高さがあると思われる。
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仏像のような変わった形の岩壁。写真だとスケール感が伝わりにくいが,150m〜200mくらいの高さがあると思われる。
磯倉のクラの岩壁帯は,既にこの辺りから始まっていたのだ。もしかしたら,あの岩壁の下にベロリ穴が…?と一瞬思ったが,もう既にかなり上まで登ってきてしまっている。それに,あくまで麓から見て最も目立つ上部の岩壁を目指すのが今回の主眼だ。後ろ髪惹かれつつも,上を目指す。
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磯倉のクラの岩壁帯は,既にこの辺りから始まっていたのだ。もしかしたら,あの岩壁の下にベロリ穴が…?と一瞬思ったが,もう既にかなり上まで登ってきてしまっている。それに,あくまで麓から見て最も目立つ上部の岩壁を目指すのが今回の主眼だ。後ろ髪惹かれつつも,上を目指す。
小尾根に乗った。シャクナゲの藪の中に,時折,見上げるようなヒノキの巨木が現れる(この辺りの山域の急峻な岩尾根では,よくヒノキの巨木を見かける)。
小尾根に乗った。シャクナゲの藪の中に,時折,見上げるようなヒノキの巨木が現れる(この辺りの山域の急峻な岩尾根では,よくヒノキの巨木を見かける)。
岩と藪と巨大ヒノキと…。藪があるので比較的安心とはいえ,左右も切れ落ちており,冷や冷やしながらも慎重に登行を続ける。
岩と藪と巨大ヒノキと…。藪があるので比較的安心とはいえ,左右も切れ落ちており,冷や冷やしながらも慎重に登行を続ける。
しばらく小尾根を登行すると顕著な岩峰に阻まれて進めなくなり,悩んだ末,小さな谷状地形を挟んで東隣の小尾根に慎重にトラバースして乗り移る。
しばらく小尾根を登行すると顕著な岩峰に阻まれて進めなくなり,悩んだ末,小さな谷状地形を挟んで東隣の小尾根に慎重にトラバースして乗り移る。
しかしこっちの小尾根も,じきに急な岩場が出現。登れなくはなさそうだが,岩は結構もろくて,下は谷底まで切れ落ちている。そこまでリスクを取るべきか…。
しかしこっちの小尾根も,じきに急な岩場が出現。登れなくはなさそうだが,岩は結構もろくて,下は谷底まで切れ落ちている。そこまでリスクを取るべきか…。
藪の間からは,ふもとから見えていた磯倉のクラ(岩場)が,すぐそこに見えている。
藪の間からは,ふもとから見えていた磯倉のクラ(岩場)が,すぐそこに見えている。
あの岩壁の下に立ちたい,しかしルートはどこに…。
あの岩壁の下に立ちたい,しかしルートはどこに…。
と,進路を阻まれた岩場の基部をバンドに沿って巻いてみると,岩に挟まれたような狭い鞍部に出た。そこに引っ掛かっている大きなチョックストーンの下をくぐれば,磯倉のクラのそびえる谷へと降りて行けそうに見える。
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と,進路を阻まれた岩場の基部をバンドに沿って巻いてみると,岩に挟まれたような狭い鞍部に出た。そこに引っ掛かっている大きなチョックストーンの下をくぐれば,磯倉のクラのそびえる谷へと降りて行けそうに見える。
かなりの急斜面でためらわれるが,もうここしかない。チョックストーンの下をくぐり抜け,慎重に急斜面を谷底へと下降していく。
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かなりの急斜面でためらわれるが,もうここしかない。チョックストーンの下をくぐり抜け,慎重に急斜面を谷底へと下降していく。
磯倉のクラの基部が眼下に見えてきた。
磯倉のクラの基部が眼下に見えてきた。
そして見上げると,磯倉のクラが帯状に聳えている。
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そして見上げると,磯倉のクラが帯状に聳えている。
天を衝く磯倉のクラ。これが麓の磯谷ベロリ橋からも白く光って見えていた見えていたクラ(岩場)だろう。ついにここまで来た。
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天を衝く磯倉のクラ。これが麓の磯谷ベロリ橋からも白く光って見えていた見えていたクラ(岩場)だろう。ついにここまで来た。
クラの基部に立った。
クラの基部に立った。
見上げるような巨岩が累々と。
見上げるような巨岩が累々と。
岩壁を見上げるが,中腹にブッシュが繁茂していて,頂部までは見通せない。
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岩壁を見上げるが,中腹にブッシュが繁茂していて,頂部までは見通せない。
そして肝心のベロリ穴はあったのかといいますと,岩壁の基部に,いちおう穴はありました!
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そして肝心のベロリ穴はあったのかといいますと,岩壁の基部に,いちおう穴はありました!
「これがベロリ穴だ!」と高らかに宣言したいところではあるが,なんか思ってたより小さい…。何となく,そこから民話が生まれるような「オーラ」に乏しい気がする。いちおう,民話にあるとおり,「かがんで人が入れるくらいの大きさ」はあるのだが。中は3mほど奥行きがある。
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「これがベロリ穴だ!」と高らかに宣言したいところではあるが,なんか思ってたより小さい…。何となく,そこから民話が生まれるような「オーラ」に乏しい気がする。いちおう,民話にあるとおり,「かがんで人が入れるくらいの大きさ」はあるのだが。中は3mほど奥行きがある。
民話にある通り,「足元は砂利」にもなっているのだが…。最終的に,これが「ベロリ穴」かどうかは確信できず。あ,ちなみに穴の中に白い熊はもちろん,普通の熊もいませんでした(いたら下山できてない…)。
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民話にある通り,「足元は砂利」にもなっているのだが…。最終的に,これが「ベロリ穴」かどうかは確信できず。あ,ちなみに穴の中に白い熊はもちろん,普通の熊もいませんでした(いたら下山できてない…)。
にょきにょきと峭立する岩壁に,ヒノキの巨木が張り付いた凄愴な風景。
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にょきにょきと峭立する岩壁に,ヒノキの巨木が張り付いた凄愴な風景。
磯倉のクラが立つ谷から,眼下の奥美濃の山々を見下ろす。両岸のV字ぶりが,地形の急峻さを物語っている。
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磯倉のクラが立つ谷から,眼下の奥美濃の山々を見下ろす。両岸のV字ぶりが,地形の急峻さを物語っている。
さて,名残惜しいが,下山も未知の藪尾根を下らないといけないので,急がないといけない。木立の向こうに聳え立つクラを振り返りながら,急斜面を慎重に登り返す。
さて,名残惜しいが,下山も未知の藪尾根を下らないといけないので,急がないといけない。木立の向こうに聳え立つクラを振り返りながら,急斜面を慎重に登り返す。
小尾根上の岩峰の上からの眺望。
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小尾根上の岩峰の上からの眺望。
紅葉も美しい。(足元は結構切れ落ちており,ビクビクしながら撮りました。)
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紅葉も美しい。(足元は結構切れ落ちており,ビクビクしながら撮りました。)
下山は磯谷の二俣に直接降りられるよう尾根を下っていくが,やはりシャクナゲの藪が続く。
下山は磯谷の二俣に直接降りられるよう尾根を下っていくが,やはりシャクナゲの藪が続く。
時々,こんな岩のナイフリッジも。ブッシュが茂っていてわかりにくいが,下は谷底まで切れ落ちている。
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時々,こんな岩のナイフリッジも。ブッシュが茂っていてわかりにくいが,下は谷底まで切れ落ちている。
ここにも巨大な老ヒノキが。
ここにも巨大な老ヒノキが。
だいぶ下ってきたところで,ようやく安心感のある尾根に。
だいぶ下ってきたところで,ようやく安心感のある尾根に。
黄葉し始めたブナが美しい。
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黄葉し始めたブナが美しい。
無事,磯谷に降りてきた。
無事,磯谷に降りてきた。
振り返ると,磯倉ピークの中腹に,今訪ねてきたばかりの磯倉のクラが白く輝いていた。(写真中央の右側の岩場がそれ。小尾根をはさんで左側にも岩場がある。こっちも気になるんだよな…)
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振り返ると,磯倉ピークの中腹に,今訪ねてきたばかりの磯倉のクラが白く輝いていた。(写真中央の右側の岩場がそれ。小尾根をはさんで左側にも岩場がある。こっちも気になるんだよな…)

装備

備考 ・ フェルトソール沢足袋使用。正直,磯谷は河原歩きが中心で,磯倉のクラまでも岩っぽい斜面や尾根の登行が出てくるので,ラバーのほうが良いように感じた。(ただし,磯谷はぬめりが強いので注意)
・ 40mロープ携行。使用場面はなかったが,磯倉のクラ周辺は急峻なのでルート取りによっては行き詰る可能性もあり,必携。

感想

 国道417号線でも一二を争う奇抜なネーミングの橋と思われる「磯谷ベロリ橋」の名前の由来にもなっており,徳山の民話「猟師と白い熊」の舞台にもなっているベロリ穴。2年前の12月にも探索したのだが,この時は磯谷からの磯倉ピーク登頂も兼ねていたため,中途半端に終わってしまったので,今回はあくまでベロリ穴探索に焦点を絞ることにした。
 ベロリ穴の在りかについて,本来なら旧徳山村の古老にお話を伺うべきなのかもしれないが,そうしたツテがないため,ネットや書籍などから何とか得られた乏しい手掛かりから自分なりにベロリ穴の位置を推定してみた。

<手掛かり1:徳山の民話「猟師と白い熊」>
 当該民話では,ベロリ穴は「磯谷の奥にある磯倉と呼ばれる倉もと」にあるとされている。
→ 倉(クラ)とは岩場のこと。どうやらベロリ穴は,磯谷の奥にある磯倉という岩場の基部に開口しているらしい。

<手掛かり2:徳山の民謡>
 徳山の民謡に,「磯谷 磯倉 白谷 権現 冠塚でも 徳山一かよ」と歌われている。
→ 民謡に歌われるくらいなので,磯倉のクラは,ふもとの徳山村からも目立つ岩だったはず。(そもそも,磯倉ピーク(P1541)の山名にもなるくらいなので,当該ピークを眺めた際に目立つ位置にあるはず。)

<手掛かり3:別バージョンの徳山民話>
 実は,ベロリ穴に関しては上記の「猟師と白い熊」以外にも別バージョンの民話があり,そこでは「磯谷の大久保」にベロリ穴があるとされている(しかも,穴の中に住んでいるのは,白い熊ではなくベロリン婆という山姥らしい。なにそれ…)。
→ 「大久保(オオクボ,大窪)」という地名からは,谷状地形を想像させる。磯谷の枝谷の奥にベロリ穴がある可能性。

 上記のヒントから総合して,ふもとの磯谷ベロリ橋から磯谷の奥の磯倉ピークを眺めた際に最も目立って見える岩場(写真欄No1の赤い丸印の岩場)が「磯倉と呼ばれるクラ」であり,その基部にベロリ穴があるのでは,と推測した。登路としては,磯谷北又の700m付近左岸枝谷を選んだ。この枝谷は磯倉のクラ(推定)に直接突き上げており,これが別バージョンの民話に言う「磯谷の大久保」なのではないか,と想像していた。
 実際に現地に赴いてみると,ベロリ穴うんぬん以上にまず驚いたのが,周辺の地形の非常な険しさだった。もしかしたら,徳山周辺で最も峻険な山域の一つかもしれない。100m以上はありそうな白い岩峰が枝谷に沿って帯状に林立し,穏やかな尾根や谷が多い徳山の山とは到底思えない特異な景観を成していた。自分の勝手な推測でしかないのは分かっているのだが,あまりの現地の迫力に,ここが磯倉ピークの山名の由来になった「磯倉と呼ばれるクラ」だということはほぼ確信してしまった。
 で,肝心のベロリ穴はどうだったのか,ということであるが,確かに磯倉のクラの基部に岩穴は存在していた。しかし,発見した穴は思ったより規模が小さく,そこから民話が生まれるような「オーラ」に何となく欠けていて,これがベロリ穴だ!と自信を持って断言できないものであった。岩壁の基部に,RPG(ドラクエでもFFでも良い)に出てきそうな大きな洞窟がぽっかりと口をあけていれば,一発で確信できたのだろうが,現実はそううまくは行かない。現時点では,今回見つけたものは,ベロリ穴かもしれないし,そうではないかもしれない,というのが結論である。
 そもそも,ベロリ穴自体が伝承の中のフィクションに過ぎない可能性も十分にあるし(その割には水資源機構ホームページの「磯谷ベロリ橋」の解説に「橋の架かる磯谷の奥にはベロリ穴と呼ばれる岩穴があります」と断言調で書かれているのが気になるのだが),今回訪れた磯倉のクラは徳山のクマ猟師が日常的に入り込むには少し険しすぎるのではという指摘もあり得るだろう(小尾根に取りつく際に最初に目撃した大きな岩壁帯なら比較的簡単に近づけるので,むしろこちらにベロリ穴がある可能性もある)。煮え切らない話にはなってしまったが,「磯倉のクラ」という凄い景観がこの界隈にあったということを知ることができただけでも,今回の山行には十分な価値があったと思う。

【2022.11.12追記】
 ある文献を当たってみたところ,ベロリ穴について比較的詳しい場所が示されていることを発見! しかもこの記録で予想していた場所と違う場所。これは再探索の必要がありそうですな…。

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コメント

またまた凄まじいレポに惹き込まれました
市販のノンフィクション本より、現実味があって、怖いしスゴイです
今度、行ってみようかな〜
いやいや、真似したら…
2022/10/31 20:10
moriman1971さん
もんりさんも是非磯谷ワールドにお越しください!この尾根から磯倉(山の方の)に登るのも、藪あり岩ありで面白いかもしれません。磯谷の南又も、今回は覗いただけですが、途中から谷が狭まって、ちょっと気になる雰囲気を漂わせてました。
2022/10/31 21:54
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