皆子山☆ 黄葉の足尾谷・ツボクリ谷から寺谷へ
- GPS
- 06:04
- 距離
- 11.0km
- 登り
- 677m
- 下り
- 675m
コースタイム
- 山行
- 6:01
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 6:04
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
足尾谷・ツボクリ谷には明瞭な踏み跡が続いているが足尾谷の3回の渡渉はいずれも難度が高め、ツボクリ谷は多数の渡渉を繰り返すが渡渉は容易 ツボクリ谷の上部からは登山道のない谷筋を登って西尾根へ 寺谷は歩きやすく明瞭な登山道あり |
写真
感想
この日はかねてよりブナの黄葉を目当てに、風力発電の計画される湖北の山への山行を山友たちと計画していたが、メンバーの二人が都合が悪くなり、今年もこの山への山行を見送ることにする。代わりに近場の山を探すが、皆子山の北を尾越湿原から流れる足尾(あしび)谷を訪れることを思いつく。私の所有している古いガイドブックでは足尾谷は京都の北山で最も紅葉が美しい谷と紹介されているところであり、前々から紅葉の季節に・・・と思っていたのだった。
この日は西から高気圧が張り出し、晴天の予報ではあるが、緩い西高東低の気圧配置となるために北風が吹き込み、北の方角は重苦しく雲が広がっている。
R367を北上すると周囲の山肌の錦繍が綺麗だ。平の集落の駐車場はほとんど埋まっている。多くは権現山に向かう登山者のものだろう。
行者山トンネルを越えたところで、安曇川沿いの旧国道に入る。足尾谷との合流部の近くでは川沿いの紅葉が一段と鮮やかに思われる。林道の入口には2台の車が並んで停められていた。一台はなぜか大津市消防局の公用車だ。
中村発電所のための取水場までは林道を歩くことになるが、既に林道の原形をとどめないほどに崩落している箇所が多い。この林道は夏場は相当な数のヒルが這い上がってきたことを思い出すが、流石にこの季節になるとヒルを全く気にせず歩くことが出来るのが嬉しい。
小さな橋を渡って右岸を上流に進むと苔むしたコンクリートに囲まれた水路が現れる。すぐにも取水場の小さなダムが現れる。
取水場を過ぎると谷が狭まり、早速にも最初の渡渉が現れる。この渡渉が難度が高い。しばらくは左岸の植林帯の中に明瞭な道が続く。
再び右岸に渡渉するポイントには空中にトラロープが渡してある。どう考えてもこのロープを掴んで対岸に渡ることは不可能なのだが、よくよく考えてみると以前はここに渡されていた木橋が流出した痕跡なのだろう。
登山道には次々と苔むした炭焼き窯が現れる。なだらかな河岸段丘が広がるようになると忽然と小屋が現れる。小屋の中にはストーブがあり、小屋の外の煙突に繋がっているが、煙突の先端部が下を向いてしまっているので、このままではストーブは使えないだろう。
谷には黄葉したカエデの樹々が明るく彩る。家内はこの谷はどことなく陰気だというがそれはこの日の曇天のせいではないかと思う。
3回目の渡渉で再び左岸に移動することになる。この渡渉が岩と対岸の幅が広く難儀するがなんとか無事に右岸に辿り着くと、すぐにも左手にツボクリ谷が現れる。谷を入ったところは色とりどりに色づいたカエデの樹々が華やかな雰囲気だ。
ツボクリ谷に入ると頻繁に渡渉を繰り返すことになるが、沢幅が狭く、水も少ないので難しい渡渉はない。谷の傾斜が増すが、沢沿いには明瞭な踏み跡が続いており、快適に進むことが出来る。
谷の右岸に広々とした段丘が現れるといよいよこの谷のシンボル・ツリーとも言える大きなトチノキが現れる。このあたりは自然林の疎林が広がり、とりわけ雰囲気の良いところだ。
トチノキのある場所から少し上流に遡るとすぐにも谷は二俣に分かれる。左手の薄暗い谷が皆子山の山頂に至る谷であるが、右俣に進む。その上流の支流にある滝を久しぶりに来訪するつもりだったのだが、支谷に入ってもなかなか谷に出遇わない。滝のある谷を憶えているつもりではあったが、どうやら一つ手前の谷に入ってしまったらしい。
谷は源頭部では斜度を増す一方なので左岸の尾根に乗ることを考えるが、斜面の土が脆く登攀が容易ではない。傾斜の緩い右岸の尾根を登る。しかし、谷の源頭に滝があることに気がついて再び谷に下降する。斜面からはそれなりの落差のある滝に見えたのだが、それは斜面の傾斜による錯覚であった。近づいてみると実に小さな滝であった。
皆子山の西尾根に乗ると、まずは尾根を西に進みca930mのピークに向かう。このピークの南側には比叡山に京都市街、西尾根の一帯を見晴らす絶好の好展望地があり、ランチに格好の場所だ。この日はライスとチャナマサラ(ヒヨコ豆のカレー)を温める。
西尾根一帯に広がる自然林の紅葉は既に終盤だ。空には雲が多いが、南の方では雲の間から光が差し、広々とした皆子谷の南側で錦繍に染まるナッチョの山肌を明るく輝かせている。
ランチの後は皆子山の南西に広がる皆子谷の源頭を横切って山頂を訪れる。源頭の楓の山頂の北東に大きく見える武奈ヶ岳は山頂部に雲を纏っている。
下山は寺谷を下降する。この寺谷は皆子山に通じる谷の登山道の中では最も良好に整備され、渡渉も難しいものはない。しかし、その大半が植林の中を下降するので、最も面白くないルートでもある。以前にこのルートを通ったのは5年前の晩秋の季節であり(ヤマレコに記録を残す前)、沢沿いの紅葉が綺麗だった憶えがあるのだが、この日は沢沿いの樹々には全くといってもいい程、紅葉も見られない。家内によると以前の山行でもほとんどが鬱蒼とした植林の記憶しかないというので、私の記憶が曖昧なのかもしれない。
谷の途中でミズナラと思われる苔むした巨木が現れる。岩を懐いて屹立するその力強いシルエットは迫力に満ちていた。百井川との合流地点が近づくと登山道は左岸の斜面を上に登ってゆくことになる。百井川の上に架けられた橋が流出してしまっているので、下流の林道に向かって新たに設けられた迂回路に入るためだ。途中の小さな谷を横切るためにわずかにアップダウンがあるが、踏み跡を辿ると難なく林道に着地する。
平の集落にかけて川沿い林道を歩くことになる。河岸に植えられているイロハカエデの樹々が色鮮やかに紅葉しており、周囲に広がるススキのベージュと綺麗なコントラストを見せてくれる。平の集落は川沿いの土手を歩く。川沿いにはすぐ近くで車が猛スピードで往来する国道とは全く別次元の穏やかな景色が広がっている。ところで平の集落を境に百井川は安曇川と名前を変える。
旧国道はフェンスが設けられ入口が封鎖されてはいるが、歩行者はガードレールの脇から入ることが出来る。国道を歩いて出発地点まで戻るには車にとっては一瞬であろうが、歩行者にとっては短くないトンネルを二つ抜けなければならないので、この旧国道を歩くことが出来る意義は大きい。ここでも川沿いは美しい。下流に大きな堰堤が設けられているために川の流れは極めて緩やかだ。
トンネルが開通する前はこの狭い道を多くの車が往来していたことが俄かには信じられないところだが、いうまでもなくこの安曇川上流の細い山道は離合が極めて困難でありいわゆる難所であった。紅葉を眺めながら静かな旧道を歩くうちに、全く退屈さを感じることなく出発地点に戻ることが出来た。
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