早月尾根 (敗退)
- GPS
- 12:12
- 距離
- 14.9km
- 登り
- 2,382m
- 下り
- 2,377m
コースタイム
天候 | はれ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
よく整備された登山道で危険なし。(登山者のレベル次第) |
その他周辺情報 | 馬場島荘で入浴。500円。 |
写真
感想
念願の早月尾根・・・・噂に違わぬ自然豊かで素晴らしい尾根でした。
剱岳・・・
憧れを手に入れるのか。
憧れは憧れとしていつまでも残すのか。
その選択こそが試練だ。
以下は剱岳を人一倍愛する方から頂いた言葉です。
早月尾根はとかく「登り甲斐」が注目されがちですが、それと同等に魅力的なのが標高差ゆえの植生の変化です。
麓のブナなどの広葉樹がダケカンバに、そしていつしかシラビソやコメツガなどの針葉樹がメインになり、標高2,400m辺りで森林限界を超えてハイマツの林に取って代わるダイナミックな変化を楽しむことができます。
もちろん、お花の変化も同様に楽しいですよ。
念のためですが、一応注意点を二つ。
‥係の急変
特に夏ですが、午後に風向きが海からのものに変化すると、上昇気流によって雲が発生しやすくなります。
午前中は晴れていても、午後急に雨に降られることはままあります。
たとえ麓は晴れていても、です。海に近い地形ゆえの宿命ですね。
もっともいい季節は台風が一段落した頃の、移動性高気圧が近づいている時かと思います。
虫
夏はもちろん、秋口でも虫はウジャウジャいます。蚊は言うに及ばず、注意しなければならないのが虻です。
立ち止まると、一斉に寄ってきますよ〜
特に虻に刺されると、痛い&痒いの波状攻撃に遭います。
虫除けスプレー(ハッカ油も効くみたいですよ)やムシコナーズなどは必須です。
辛いけれど、長野の山では出会えない新しい発見が必ずあります。
果敢な挑戦、心よりお待ちしています!
以上
以下、ダラダラ日記。
剱岳を「ケンダケ?」と読んでいたのは登山を始めた4年前のこと。
まだ家から見える南アルプスの高峰たちの名前も正確に分からない状態だった。
大人になって2度目の登山が塩見岳の日帰り。なかなか無謀だった。
登山の辛さと敗北感を思い知らされた。
当時はとても無理なことだと思っていたが、キツイと言われる早月尾根から剱岳の日帰りを目標とした。よく比較される黒戸尾根を「仮想早月尾根」として登ってみたりしているうちに、いつしかそれなりに歩ける体になっていたため、早月尾根日帰りという目標はあまりにも現実的で簡単なものになってしまった。嬉しいながらも寂しい思いもあり色んな方面から剱岳を偵察し、学んだ。
偵察1 新田次郎 小説 剱岳 点の記
偵察2 映画 点の記
偵察3 富山湾越 http://www.yamareco.com/modules/diary/9298-detail-29976
偵察4 立山曼荼羅 http://www.yamareco.com/modules/diary/9298-detail-37684
偵察5 唐松岳 http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-206898.html
偵察6 別山尾根 http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-218449.html
偵察7 後立山縦走 http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-346639.html
取得する機会がなく、しぶしぶ夏休みを入れておいた19日。予報では日本海から張り出す高気圧に覆われる念願の気圧配置になった。翌日には鬼門!?の塩見岳を控えていたので迷ったが、絶好のタイミングと言うことで出かけた。前日の夕方、富山市内のアピタからピンク色に染まる剱岳を眺め、明日にはその頂に立ってしまうのだなぁと、既に哀愁を感じていた。
ずいぶん手前の道路で危うくツキノワグマやカモシカをひき殺しそうになりながらも馬場島へは暗くなって到着。満天の星を眺めつつ車内で仮眠。涼しいうちに高度を上げておきたいし、明るくなった頃に早月小屋へ着きたいので1時半に出発する。水場がないので水は多めに4Lを持参した。
人気の登山道はよく整備されており暗闇でも全く問題ない。いつもは暗い夜道を歩くと木々がざわめくのだが、今回はまったく静かで物音一つしない。たくさんの大木さん達も寝静まっているようだ。急ぐ行程ではないので汗をかかないペースでゆっくり歩く。急登と言われる登山道であるが、日頃から登山道の無い山を歩いているせいなのか、涼しいからか、暗闇だからか、急登に感じることはなかった。黒戸尾根は長い梯子が多いが、この登山道には人工物である梯子が皆無だった。自然の地形を生かした登山道にとても好感が持てた。時々振り返ると富山市の夜景が輝いていた。
空が白み始めた頃、早月小屋の発電機の音が聞こえ出した。計画通りの完璧なペース配分だ。小屋の宿泊客と挨拶しながら、美しい雲海と大日・奥大日岳を眺める。2012年の8月には剱岳を眺めるために大日岳まで行ったが、剱岳はガスに覆われており姿は見えなかった。剱岳へ登る前にぜひ大日岳から見ておきたかったが残念だ。さすがにまだ売店は営業していなかったので、山頂を目指すこととした。テント場にはテントが1張りのみ。貸切の贅沢な一夜だったことだろう。
小屋を過ぎると登山者が増え出した。既に花の時期は終盤。トリカブトなど秋の花が少し咲くのみであった。西側斜面なので日が当たらず風は冷たく手がかじかんだ。標高2800mの標識地点の陽だまりで最終休憩。それまで見えなかった剱岳の山頂も見えた。あと残り199m・・・・この時点で「もう帰ろうかなぁ」と思い始めていた。
冷たいおにぎりを食べ、冷たい缶コーヒーを飲んで一服して重い腰を上げる。その先は鎖場となっているが、残雪期でなければ鎖も不要な程度だ。針の山と畏れられていた剱岳も今や無雪期の一般ルートなら誰でも登れてしまうほどに整備されている。別山尾根の鎖場程度で難儀してしまうレベルの人でも登頂できてしまう剱岳・・・少し切ない気もする。そして以前の撤退ポイントである別山尾根ルート分岐点に到達し赤線が繋がった。山頂は多くの人で賑わっていた。剱沢から来たと思われる軽装の人が圧倒的に多い。
山頂から少し離れたところで景色を眺める。明日登る塩見岳もよく見えた。あちらからは立山の背後に紛れて剱岳を判別できないであろう。まるで人間社会そのものだ。
風はなく穏やかな陽射しを浴びながら、昨日買っておいた鱒寿司おにぎりを食べて下山開始。山頂は通過点であり下山時こそが登山の肝なので慎重に下る。早月小屋で登山道整備代ジュースを買って、余った水2Lを捨てる。
暗いうちは分からなかった植生の変化を楽しみつつのんびり下山。なんという素晴らしい森なのだろう。どこの山でも下りの方が難しいが、早月尾根はより一層の注意が必要だ。杉の長老さん達にご挨拶とお礼を言いながら無事下山。汗かきの私には珍しく、1滴の汗も流さなかった登山でした。
2999m、その謙虚さを私も学ばなければいけない。
今日も官兵衛を見ながら散々説教された。
いつか剱岳が背伸びをして3000mになったら・・・
その時にはご祝儀を背負って、今回残した1mを登りに来よう。
その頃には登頂するに相応しい、もっと賢く大きな人間になっていると願いたい。
だからそれまで絶対に遭難しないのだ。
あ、でもレコのシステム的には2回も登頂したことになっちゃってるんだけどね(^_^;)
おかえりなさい。
また尻尾を巻いて帰ってきました。
暖かい声援のおかげで寒さも我慢できました。
パートナーさんのご冥福とお月様でのご健勝をお祈りします。
おはようございます。お疲れ様でした。
残り1mをあえて残す!
私には到底マネできません。
山の深さを改めて感じます
変なコダワリがないとヤブ部に入れませんよ(笑)
哲学的なんて大それたものではないですが、登山とは不思議なものです。
人間の欲望に際限が無いことがよく分かります。
ども!nucchiさん、こんにちは!
いやぁ〜馬力出して張り切ってますねぇ〜
2999m、どっかで・・・仙塩尾根の『三峰岳』。ふふ。シブい。
三峰岳、確かにシブ過ぎる!南の方が成長著しいので、先に大台へ乗りそうですね。
とは言え、間の岳の一部とみなされて3000mリストに載れないであろうところが魅力的ですね。控え目な私みたいで好感が持てます。
nucchiさん、こんにちは。
ご無沙汰しています。
>憧れを手に入れるのか。
憧れは憧れとしていつまでも残すのか。
その選択こそが試練だ。
山って征服の対象ではないんですよね。
私も最近はピークへの到達よりも、歴史や自然への向き合い方などについての思索や妄想の方が楽しくなりつつあります。
思いが強ければ強いほど、何度訪れても満たされることなくむしろ「渇き」が強くなる。
そんなことってあるんですよね。
なんとなく最近感じていたモヤモヤした気持ちを言葉にしてくださってありがとうございます。
(でも、悩みは深まる一方だったりして)
lynx1218先生、こんばんは。
お陰様で随分と堪能させてもらってます。ありがとうございました。
どんな山にも歴史や人の営みが刻まれているはずですが、とりわけ劔岳に関しては多くの人の心を引き付けるものがあります。
以前書いておられたカクネ里の話もロマンがありますね。最近では氷河の調査がされようとしています。
先生の興味深いレコ、また楽しみにしています。
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