安達太良山-鉄山 〜ほんとの空の下〜 B17


- GPS
- 03:39
- 距離
- 9.6km
- 登り
- 492m
- 下り
- 878m
コースタイム
- 山行
- 3:01
- 休憩
- 0:36
- 合計
- 3:37
ー矢筈森12:10ー12:30鉄山12:40ー峰の辻13:00−勢至平分岐13:30ー14:10奥岳登山口
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
復路 奥岳登山口14:25(定刻は14:10、1,000円)ー15:40郡山駅17:05(やまびこ52号、7,010円)ー17:58大宮駅ー渋谷駅 ※シャトルバスは要予約 岳温泉観光協会0243-24-2310 |
写真
感想
はじめに、御嶽山の噴火により亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに被災された方々にお見舞い申し上げます。登山者として、一市民として、ぶつけようのない憤りを覚えています。
安達太良山には「ほんとの空」の下、穏やかな時が流れていた。ピークを迎えた紅葉が山々を静かに色づかせ、空の青さを一層引き立てる。前夜、出発前と、幾度かの躊躇を乗り越え、予定どおりの列車に乗車してもなお心の迷いは拭えなかったのに、今こうして見つめていると不思議なほどざわめきは収まりつつある。秋にしては強い日差しが、申し訳なさそうに流れてきた雲にかまわず、午後になってもその色彩を際立たせている。
大宮から乗ったやまびこ号は空いており、乗車前に購入したコーヒーもうまい。往路の移動と最後の食事に金使え、ふと父の言葉を思い出す。どうしたのだろう、今更思い出さなくとも十分理解してきたはずなのに。
郡山に着くとシャトルバスはシティホテル前で待機していた。乗客わずかに2名。通常はマイクロバスの運行なのに今日に限って中型バスでの配車指示、天気良く紅葉シーズンなのに乗客が少ない、そう不思議そうに話す運転手の言葉にざわめきが増すのを感じていた。
ていねいな運転を終えた彼から「行ってらっしゃい」のひとことで見送られ、少しだけ軽くなった心で登山口をあとにする。帰りは17時発のバスを予約しているから7時間弱の時間をかけてゆっくりと歩けるのだが、ゴンドラリフトで一気に標高1400mまで運ばれることを選び、迷わず乗り場の列に並ぶ。
山頂駅に着くと、徐々に人の多さに気付き始める。かなりペースダウンして進んでいるつもりが、すぐに前方を行く人に追いついてしまう。意に反しながらも追い越しているうちに自然といつものペースに戻ってしまった。山頂や小屋でのんびりすればよい、とりあえずこのまま進もう。ところどころで山々の色彩豊かな表情をカメラに収めているうちに、次第に落ち着いて目の前の光景を見つめられるようになった。
そして山頂周辺で、朝の新幹線やバスの中が幻に思えるほどの人の多さに驚き、気づくとその喧騒から遠ざかることだけを考えるいつもの自分に戻っていた。そそくさと昼食を取り、鉄山を目指して歩き始める。予想以上に素晴らしい眺望やこれ以上望むべくもない好天に感謝しつつ、足取りを早める。
ところで2回前の山行からアクエリアス・ハンディパックを愛用しているが、実に良い。ウェストポーチに入り、いちいちザックを下ろすことなく立ち止まらずに水分補給が得られる。ハイドレーションより気軽で衛生的だと思うのだが。
矢筈森を過ぎると鉄山の存在感が増し、左手の沼の平もより身近になる。風は気持ちよく、稜線の道はその瞬間楽しむことを良しとしてくれた。鉄山でゆっくりと確実に眺望を得たのちは、17時発の前のバス、14時10分発のバスに乗車可能か賭けてみることにした。今から考えると何を急いだのかわからない。くろがね小屋を通らず尾根道を行くルートを選んでも、コースタイム2時間半あまりの行程を1時間半で下らなければならない。
はるばる福島まで来て急ぐことは無いはずなのに、一度感じたことは変えられない。結局いつも以上にストックを駆使して駆け下りていた。何かに衝き動かされていた。それは馬車道に合流し旧道に入ってからも変わらなかった。少しも疲労を感じず、ひたすら進み続けた。バス発車時刻に登山口に着いた。
トラブルがあったらしくバスは15分遅れて出発した。お蔭で少しだけ「ほんとの空」に別れを告げることができた。けれどもその車中で電波の通じた画面から得られた情報に愕然とする。予定よりも数本早めた新幹線では進行方向右側窓際の席だった。沈みゆく夕陽を見つめ、西の空に向かい祈った。
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