【谷川】赤谷川本谷〜東万太沢(仮)遡行・赤谷川下部下降
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- GPS
- 16:31
- 距離
- 25.8km
- 登り
- 2,079m
- 下り
- 2,138m
コースタイム
- 山行
- 4:27
- 休憩
- 8:34
- 合計
- 13:01
- 山行
- 6:39
- 休憩
- 0:06
- 合計
- 6:45
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・赤谷川本谷については遡行図と記録参照 ・毛渡乗越から下る登山道は状態が悪く、藪が多く判然としない。ある程度下ると道の状態は良くなる。 ・赤谷川本谷下部に滝は少なく、概ね容易に下降/遡行できるが、アミダのセンはゴルジュ状であり厳しい。遡行の場合は左岸から巻ける。下降の場合は、巻く以外に、釜に飛び込むか、懸垂下降も可能。 |
その他周辺情報 | 【害虫】 ・ヤマビルは駐車場に戻った時に1個体のみ確認。少ない。 ・駐車場に虻多し。 ・ドウドウセンの巻き登攀ではブヨ多し。 【他の記録】 ・赤谷川本谷のドウドウセンの巻き登攀については、「奥利根・谷川連峰の沢」に詳しい図が掲載されており参考になる。 ・マワット下のセンは右からも登られている。 http://ricky3211.web.fc2.com/article20120728doudousenn3.html ・裏越のセンの水線直登の記録は未見だが、残置ハーケンはあった。 ・ドウドウセンの3p目は落ち口すぐのクラックと凹角のクラックの2通りがあるが、後者はフリーでも登られている。 http://ricky3211.web.fc2.com/article20120728doudousenn6.html ・ドウドウセン上流で最大の8m滝は直登できるらしい。 http://kemotop.web.fc2.com/Report/2010/20100904/20100904.htm ・赤谷川下部の遡行記録:https://www.kojitusanso.jp/tozan-report/detail/?fm=23938 【地名】 ・今回遡行した赤谷川の枝沢は名称がないと思われる。東俣ノ頭と万太郎山の間にあることから、東万太沢と仮称する。 |
写真
装備
備考 | ・昨年行った友人の薦めでtamoshimaはフェルトソールだったが、今回の状態では完全にラバー向きの沢だった。kumassiyはラバーソールで概ね快適そうだった。 |
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感想
【計画の経緯】
もともとこの週末もtamoshima、kumassiy、Rげんの3人で行く予定だったが、前週の山行でRげんが怪我をしたため、急遽行先を再検討。赤谷川本谷は、ロープを使うピッチが連続するので2人で行く方が良さそうだと思っていたし、今年は雪渓が既に消えていそうなので、ここに決定。
【記録】
●1日目
○裏越のセンまで
電動キックボードと自転車でアプローチを短縮し、定石通り登山道の渡渉点から入渓。暑くて不快だったが、ここまでヤマビルは見かけず、ラッキー。
遡行し始めると程なくでマワット下のセン。右から登っている記録も見ていたが、ここで攻める気もないので普通に左からフリーソロ。多少ぬめりはあるが快適。東ノ滝沢と熊穴沢の出合を過ぎるとマワットのセン。水温も低くないので、釜を泳いで右壁をフリーソロ。ここも快適。
マワットのセンの上からは噂に聞く巨岩帯。どれほど面倒なものだろうかと思っていたが、登れる小滝も結構あり、岩をくぐったり小さく巻いたりと、なかなか楽しめる。途中、6m程度の斜瀑が意外と悪く、kumassiyが一度1m程度落ち、岩の間に足が挟まってひっくり返ったが、大したことはなさそうなのでそのまま遡行を継続した。
○裏越のセン
裏越のセンに着いて見上げると、右壁の斜上クラックが登攀できそうに見える。通常は巻かれるところだが、ここまで順調で時間に余裕もありそうなので、kumassiyリードで空荷でトライ。見た目よりは難しいようで、1箇所A1になったが、無事突破。2人分の荷物を荷上げし、tamoshimaもフォロー。例のA1箇所はフォローでも難しく、やはりA1。意外にも古い残置ハーケンがあり昔から登られているようだが、なかなか良い登攀ルートだった。巻くより全然良い。
裏越のセンの中段、これも頑張れば登れそうに見えたので、まずはtamoshimaが水流左からトライ。しかし、水流横断が意外に厳しく、直上も出来なかったため、一旦撤退。続いてkumassiyが右壁にトライ。下部の激シャワーはすんなり登り、このまま行けるかと思われたが、ワンポイントエイド後、上部のスラブで右往左往。そうしている間に後続の3人P(知り合い)に追い抜かれる。かなり時間がかかって、漸くビレイ解除のコールがあった。フォローしてみると、意外に登りやすく、エイドも不要。ここはkumassiyの苦手系で、tamoshimaの得意系だったようだ。ここも残置ハーケンがあって以前から登られているようだが、通常巻かれている滝を良いラインで直登でき、大変満足。
上段は右から落口へフリーソロで登り、さらに小滝をいくつも登っていくと、ドウドウセンが見えてくる。
○ドウドウセン
ドウドウセンは確かに凄いゴルジュだが、水線は直登できそうにない。滝壺で先行していた3人Pに追いつくが、裏越のセンで随分時間を使ってしまったので余裕がない。1p目はフリーソロで先行させて頂くことができ、すぐにtamoshimaリードで2p目にトライするが、最初のエイドでバランスを崩し滝壺にドボン。気を取り直して2回目はエイドはうまくいったが、その先が予想以上に悪く、フェルトソールでは辛い。使いたいサイズのカムを下で使ってしまったので早めにピッチを切ったが、なんだか不甲斐ないなぁという感じ。kumassiyフォロー後、2p目の残りをエイドしながらリードし、灌木帯へ。時間に余裕がないのに、また時間を使ってしまった。しかも、後続を待たせて申し訳ない。
3p目のF滝上の左岸クラックまではtamoshima先行のコンテで進み、3p目はkumassiyリード。フリー化している記録も見ていたが急いでいるのでそれどころではない。バリバリエイドしてさっさと登り、tamoshimaもフォロー。しかし、ここでkumassiyから悪い知らせがある、と言われ、内容を聞くと、足がかなり痛いとのこと。なんで急にそうなるのかと聞いたところ、6時間以上も前に小滝で落ちたのが原因ではないかとのこと。そんなことがあるのかと思うが、とりあえず今はドウドウセンを通過するしかない。4p目はtamoshimaリードで簡単な登りの後に藪のトラバースだが、足が痛くなったkumassiyが遅く、焦る。5p目もkumassiyはもうリードできないのでtamoshimaリード。どこまで登るか悩んだが、トポにある6p目のトラバースは悪そうだったので、C滝落ち口の真上までトラバースしてからピッチを切る。相変わらずkumassiyのフォローは遅いが仕方がない。これでロープを使う登攀も終わりなので、何とかなるだろう。
残置ビナ付きのスリング(但し、掛かっている木がやや浮いているのが不安)で懸垂下降してC滝落ち口に降り、ロープをしまって少し遡るとB滝。ここは釜を泳いで左から登るのが定石のようなので、もう夕方で寒いが泳ぐ。フェルトソールかつ荷物背負いなので離水で苦労したが、以降は問題なく、落ち口へ。kumassiyにはお助け紐を出し、右から。B滝の上は岩の下から水が上がってくる珍しい地形となっており、暫し眺めた後、最後のA滝へ。これも定石どおりに右岸から巻き気味に登り、ドウドウセンは終了。すぐに幕営適地があり、2p目以降左岸巻きで先行していた3人Pとも合流。焚火も一緒にできることになり、漸く落ち着いた。
kumassiyの足は相変わらず痛いままで、まともに歩けず、このままだと明日は救助要請せざるを得ないということだったが、5人で楽しく夜を過ごせたのは何より。しかしいざ寝ようと思うと、上流から冷たい風が吹き続け、予想よりも寒かった。
●2日目
○稜線に出るまで
相変わらずkumassiyの足は痛く、まともに歩けないということで、救助要請することに決定。さほど緊急ということもなさそうなので、tamoshimaは自分が背負ってきた荷物は背負って、暫くは知り合いの3人Pと遡行することに。
途中の8m滝の巻きは思ったよりも悪く、特にフェルトソールでは滑って嫌らしかったが、問題なく通過。以降は小ゴルジュがある程度で詰まるところはなく、東俣ノ頭に直登できる枝沢(東万太沢)の出合に。ここで3人Pとは別れ、tamoshima単独で稜線を目指す。
この枝沢、予想通り何もなく、順調に遡行していくが、結構下流で左岸から湧水があって、水が涸れてしまう。こうなると暑く、藪もかかってきてペースが落ちる。笹藪を潜り抜けると最後は草原になって、フェルトソールだと少し滑りやすいが稜線登山道に着。
○救助要請
稜線に出たので携帯電話で110番通報しようと思うが、生憎手持ちの携帯は圏外。困ったなと思っていると、万太郎山方面からハイカーがやってくる。もしかしたらと思い、声をかけてみると、携帯は圏内とのこと。電話をお借りして110番通報するが、電波は微妙で、何とかtamoshimaの現在地と、同行者が赤谷川で救助を求めていることだけは伝わった。
その後暫く歩いていると、沼田警察から折り返しの電話があり、その場所は多少電波も良く、しっかり意思疎通ができた。kumassiyが単独でドウドウセン上流で動けなくなっていることを伝え、電話を切る。再度電話があるかもしれないということで毛渡乗越まで同行させていただき、連絡先を交換して別れた。
○下山
毛渡乗越から下ろうとすると、何だか登山道が判然としない。不安になりながらも藪漕ぎを交えて適当に下っていくと次第に踏み跡が明瞭になってきて一安心。以降は暑さとフェルトソールの滑りやすさに耐えてひたすら下山。途中で越ノ滝沢が交わり、クールダウンできたのが救いだった。悪場の多いこの斜面にうまく開かれた登山道だと感じた。このまま廃れたら勿体ない。
赤谷川本谷の渡渉点からは、激暑なので沢下降で林道終点まで向かうことにする。登山道からも見えていた雄滝と雌滝はかなり立派だが、明らかにオーバーハングしている箇所があり、登攀は厳しそう。概ね癒しの渓相だが、アミダのセンだけはゴルジュになっていて容易に下れない。ここは悩んだ末、6mほど下の滝壺に飛び込んで下降。最後に汗を洗い流せて爽快だった。以降は何もなく、電動キックボードを回収して車へ。
○その後
駐車場は電波が良くないので少し移動し、警察に電話してみると、既にkumassiyはヘリで収容済みとのこと。暫くして折り返しがあり、水上交番でkumassiyが待機しているので迎えに来て欲しいと言われ、到着すると、簡単な事情聴取の後、隣の道の駅でkumassyと合流。朝はあんなに歩けなさそうだったのに、割と普通そうに歩いているではないか。なんでも、昼寝したらだいぶマシになったらしいとか。良かった良かった。
kumassiyの荷物はヘリで回収されたし、kumassiyがデポしたままになっていた自転車は知り合いの3人Pに回収していただくことができ、何も残さずに帰れたので、これも良かった。最後に、kumassiyがtamoshimaと3人Pとに夕食を奢ってくれた。
翌日kumassiyが受診したところ、足は捻挫だったとのこと。捻挫で、7時間も経ってからまともに歩けないほど痛み出すことがあるとは…。
【感想】
初めての救助要請だったが、ヘリによるピックアップがしやすい広い河原までは自力で辿り着けたり、知り合いのパーティと偶然にも一緒の幕営地になったり、ちょうど同じ方面に向かう方の携帯をお借りして電話出来たりと、幸運が重なって、特にヤバい状況にはならずに済み、良かった。お世話になった県警の方々、知り合いのPの方々、電話を貸していただいた方にこの場で感謝の意を申し上げる。
遡行内容としては、殆ど登られていない裏越のセンを直登した上で、ドウドウセンも既成ラインをトレースすることができ、非常に満足のいくものだった。しかし、フェルトソールは完全に失敗だった…
【総評】
赤谷川本谷は、下部の快適に直登できる滝、自分なりのラインで楽しめる巨岩帯、緊張感のある大滝登攀ができる裏越のセン、壮大なゴルジュのドウドウセン、癒しの上流部と、変化がある上にそれぞれに魅力があるという、遡行価値の高い沢。アプローチや下山が少々長いが、巻きを交えれば実力に応じて楽しめるのでお薦めである。
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