【頚城】海川不動川右俣遡行・前阿弥陀沢下降


- GPS
- 21:55
- 距離
- 13.6km
- 登り
- 2,119m
- 下り
- 1,725m
コースタイム
- 山行
- 10:07
- 休憩
- 0:58
- 合計
- 11:05
- 山行
- 9:41
- 休憩
- 0:26
- 合計
- 10:07
天候 | 1日目晴れ、2日目高曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
遡行図及び記録参照 |
その他周辺情報 | 【他の記録】 右俣の記録のみを記載。左俣は記録多数。大西さんの遡行時点で既に残置ボルトがあり、初登はかなり以前になされていると考えられる。 ・渓谷登攀(2011) ・YAMAP(ニセチュウ&yamakurumi)(本記録と同日程) https://yamap.com/activities/26504098/article 【地名】 ・今回下降した沢を阿弥陀沢左俣とする資料が多いが、海谷三峡パークの管理人の方によると、これは前阿弥陀沢である。前阿弥陀沢を阿弥陀沢左俣とする資料において、阿弥陀沢右俣とされる沢が阿弥陀沢である。なお、「秘渓を巡る釣りの旅」(佐々木,2000)にも前阿弥陀沢及び阿弥陀沢という名称で記述されている。 ・海谷という一風変わった地名の由来は、1597年に発生した山崩れにより、海谷高地の辺りに堰止湖が出来ていたことらしい。(典拠:現地案内板) |
写真
装備
備考 | ・ラバーソール適 ・ウェットスーツ推奨(水はぬるいが浸かる時間は長いため) ・ロープは30mで良い ・チョンボ棒があるとボルトラダーの滝で楽できる |
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感想
【計画の経緯】
2020年にザクロ谷を遡行して以来、次なる難渓として、不動川へ行こうとは思っていた。しかし2泊3日必要と考えていたため、なかなか天気予報とメンバーのタイミングを合わせられず、2021年、2022年は断念。2023年は絶対行こうと思い、3週連続で行けるように調整していたが、2週目にしてチャンスが来た。水量も少なそうで条件が良く、1泊2日で行ける可能性もあると考えていた。
【記録】
●1日目
三峡パークで前泊し、電動キックボードをデポしてから不動川へ。地図に記載されていない道が取水堰まで伸びていることは分かっていたので、車で取水堰まで。が、駐車スペースがないので少し戻って駐車し、出発。
取水堰を越えて巨岩帯を過ぎると不動滝。登れないのは分かっているが、一応滝下まで行って偵察。やはり、これは登れない。一ノ沢の下流から高巻きに入ると、随分踏み跡が明瞭。それに導かれるが、途中で踏み跡はよく分からなくなり、多少悪いトラバースもこなして、二ノ沢へ。二ノ沢を少し下れば巻きは終わり。振り返ってみると、上も下も岩壁で、ここを巻くしかないという地形だった。うまく弱点を突いた巻きだと感嘆。下流を見れば20m程度の滝があり、不動滝とこの滝の間は懸垂下降以外では踏み込めない領域だろう。
改めて遡行開始すると、すぐに厄介な4m滝。ここは大西さんもスカイフックでエイドしたとのことだが、頑張ったらフリーで越えられた。ちょっと嬉しい。
CS滝を2つ越えると序盤の核心である2条7mCS滝。ここは右壁のボルトラダーを人工登攀するのが定石で、自然なラインではないが、巻くのも面倒そうなので定石どおりに。S田がリードを希望するとのことなので任せる。チョンボ棒で最初のリングボルトにクイックドローをかけ、いざスタート。こんな時のために持ってきたリベットハンガーも、うまくリングのないボルトにきまり、まずまずスムーズにリード。あぶみ2本を投げてもらい、tamoshimaは一番楽な2番手でフォローしたが、リードだと怖そうだったので、フォローで良かった。ラストのkumassiyはリベットハンガーを外すのに手間取り、大変そうだった。やはり2番手で良かった。
大西さんが巻いて懸垂下降している2m滝は、pecomaさんが直登トライして敗退した滝でもある。これを直登してやろうと、tamoshimaがトライ。クリフハンガーにあぶみをかければハングも越えられ、直登成功。楽しい。S田は巻いたが懸垂下降は不要だったものの、それなりに悪いとのこと。
同様に大西さんが右をエイドで登っている7m滝も、激シャワーで水線をフリーで直登。大西さんが高い登攀力を持っていることは疑うべくもないが、我々でも大西さんより攻めたラインで登攀することが可能だということが、だんだん分かってきた。
その後も発達したゴルジュが続き、登り応えがある小滝が続いて面白い。間違いなく名渓である。アブキの河原手前の5m滝の巻きはまた明瞭だったが、それを辿っても面白くないので、早めに沢に戻り、2条4m滝を直登。アブキの河原の岩小屋はよく分からないうちに通過。幕営にはまだ早いので遡行継続し、立派な滝で出合うヤシヨの沢を過ぎ、さらに岩間小滝を越えていくと、中盤の核心かと考えていた4段の滝。ところが、流木があるのもあってさほど難しくはなく、大して手間取らずに突破。ここから2つCS滝を越えると、有名なアンモナイト(似の岩がある)滝が見えてくる。
このアンモナイト滝、せっかくなので記念撮影でもしようかと思ったが、暗いし水流もあってうまくいかない。人の顔とアンモナイト似の岩を両方しっかり写すのには失敗。滝自体の登攀は難しくもなく快適。
この後暫くは登りやすい滝が続き、幕営適地もあるが、まだ行けるだろうと進む。上に巨大な岩があって洞窟状の淵を泳ぎ、小滝を登ると面倒そうな6mCS滝が現れる。水線は厳しそうに見えたので左岸からエイドを交えて落ち口へトラバースしてみたが(ロープ使用)、これがぬめって意外に悪い。実際にはこの滝はCSの隙間を登れたらしいので、その方が速かったかもしれない。
最後にカムエイドで3mCS滝を登り、良い時間になってきたので、見つけた小さい河原を整地して幕営。
●2日目
1日目で随分進めたので、確実に2日目で下山できるだろうとは思ったが、念のため早めに出発。特に苦労はなく二俣に着くと、なんと左俣は伏流。スラブ大滝を登りたいので、予定通り右へ行く。
右俣に入って滝を2つ登り、左岸から大き目の枝沢が入るところで、登れそうにない滝があるので右岸巻き。その先の左岸にボルトが打たれている4m滝は、ボルト不使用でトラバースできた。すぐ先の5m滝は、大西さんは右岸を人工登攀して巻いているが、そこは大変そうなので左岸巻きを試みる。一応ロープを出して悪めの草付をtamoshimaがリードし、樹林帯まで。これは得意系だった。
985m二又は右の方が水量が多いが、本流である左へ。すると2条2段9mCS滝が出てきて、これが意外に悪い。tamoshimaは右、S田とkumassiyは左を登ったが、どちらも同等程度か。
楽しみにしていたスラブ大滝は、水量は少ないが確かに立派なスラブである。予想以上に簡単で、終始快適にフリーソロ。開放的で景観も良く、素晴らしい。上流の滝をいくつかまとめて巻き、沢床に戻ると、水量は少ないが小悪い滝が連続して出現。なるほど、大西さんが「気の抜けない滝」と書いているのも頷ける。
30m滝を大高巻すれば滝もまばらになり、最後の1380で、藪がきつそうな左を避けて右へ入れば、藪も殆どなく稜線へ。なお、後続のyamakurumi&ニセチュウPは、この最後を左に入ったらしく、大変そうな藪を漕いでいた。
時間もあるので余分な荷物を置き、阿弥陀山山頂まで行くことにするが、結構藪が濃い。頑張って漕ぎ、漸く山頂に着くと、想像以上に眺めがよく、藪漕ぎが報われた。しばらく休憩してから下り始めると、藪を漕ぐyamakurumi&ニセチュウPが見え、少しだけ声を掛け合った。
下山は、阿弥陀沢に入ると面倒そうなのは茅ヶ崎山岳会の記録を読んでわかっていたので、迷わず前阿弥陀沢へ。確かに非常に下りやすい沢で、一度懸垂下降をしたのみ。面白い要素はなく、単なる効率的な下山路。tamoshimaは電動キックボードによる車回収があるので、先に下山するため途中でS田&kumassiyとは別れ、高速で下山した。
電動キックボードで車まで行き、さらに車で三峡パークに戻ったころには2人も下山しているだろうと思っていたが、そうでもない。絶対遭難するような所ではないはずなのになぜこんなに遅いのかと不安になる。それに、yamakurumi&ニセチュウPも全然来ない。1時間以上も経って散々待ちくたびれたところで、最初に見えてきたのはニセチュウさん。そこからさらに数分後、漸く全員が戻ってきた。聞くと、S田&kumassiyはデンカの取水堰からハイキングコースを見つけられずに時間を浪費したとのこと、yamakurumi&ニセチュウは阿弥陀沢を下り、何度も懸垂下降する羽目になって時間がかかったとのこと。まったく、どいつもこいつも。
【感想】
漸く3年越しの遡行が叶ったが、それまでの間に多くの経験を積んだ上、多くの良い沢を知ってしまっていたし、水量が少なく遡行しやすかったというのもあり、苦労も感動もそれほどなく終わってしまった。とはいえ、積年の課題が終わったのですっきりしたし、満足した。これでやっと次へ行ける。五十沢川も終わったし、次が何なのかは、分からないけれど。
【総評】
不動川は、水量が十分少なければ、1泊2日で無理なく遡行できることが分かった。1泊2日の沢としては非常に内容が濃く、アプローチも下山も楽で、お薦めである。水が汚いのが欠点だが、渓相の良さ、滝の面白さはそれを補って余りある。かつては6級の沢とされていたが、多数のボルトが残置された今となっては、5級程度だろう。
なお、下降する沢は、あえて面倒で下り応えのある沢を求める訳でなければ、阿弥陀沢を避けて前阿弥陀沢にするべきである。
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