西穂高独標
- GPS
- 06:05
- 距離
- 6.9km
- 登り
- 657m
- 下り
- 660m
コースタイム
天候 | 晴れ 無風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
新穂高ロープウェイは第一と第二があります。 現在第一は運休中ですので、もれなく第二ロープウェイに乗りますが、駅名は「しらかば平駅」です、しかし車を駐車する駐車場名は「鍋平」になっています。 すこし分かりずらい表記ですが、同じ場所に有ります。 当日は晴天の上無風でしたので運行しましたが、午前七時を過ぎても駐車場までの道路には「本日運休」の看板が有り、駐車場手前はバリケードにより封鎖されて居ました。 まもなく係員がやって来て、バリケードをどけましたが、「今日は運行しますか?」と聞いたところ「システムに問題が無ければ」という回答でした。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
数日続いた寒波の影響でロープウェイがしばらくの期間運休していた、おかげで登山道はすっかり雪原に成って居ました。 西穂山荘まで3時間以上かかる道のりに独標までも行けない状況で、この日独標を踏んだのは私を入れて4人だけ。 登山道の状況により厳しい山行に成ります、ロープウェイの最終時間を考えて無理な時間割をすると、泣きながら走る事に成ります。 |
その他周辺情報 | 平湯の森、平湯バスターミナルの3F大浴場 個人的にはバスターミナルのお風呂が好きです、天気が良ければ大きな笠ヶ岳を見ながら湯につかれます。 |
写真
感想
この山行記録は極めて日記風の物です、個人的な感情を殴り書きしたもので、山行記録としては何も中身が有りませんので予めご了承願います。
・・・・では・・・・
ロープウェイの西穂高口を出ると辺り一面の雪。
夏に数回訪れている場所なのでおおよそ進む方向は分かってはいたのですが、進めない状態。
数人の登山者に「道が無いんですが」と言うが、「そんな事はないやろ?」という怪訝な顔をして私をみるばかり。
ちなみにこの時私が一番最初に雪面に踏み出したと言う事です。
先に見える溝の様な窪みが「雪の回廊」と言われる痕跡に見えるので、数歩足を踏み出したら腰まで埋まる。
なんとかその痕跡に下りたら今度は頭まで埋まり、もがけばどんどん深みにはまって抜け出せない。
私の踏み跡をたどって近くまで数人が来ているので「助けて」って救助依頼、そうしたらその人もはまってしまった、ごめんなさい。
私はスノシューもワカンも持って来なかったふとどき者です。
最初4人〜5人に見えた登山者は、30分後気が付いたら15人前後に増えて居た。
スノーシューを履いたカップルが先頭を歩いてくれて、その次はテント泊ザックを背負ってワカンを履いたカップル、その後ろを無防備なつぼ足登山者が続く。
つぼ足の先頭は腰以上まで埋まりながらラッセルして進むが、進める距離は知れている。つぼ足隊の先頭を入れ換わりながら、3時間20分かかって西穂山荘へ到着。
途中すれ違った西穂山荘のスタッフ2名に話を聞いたら「この数日だれも小屋まで来なかった」と言う事でした。
ロープウェイ自体がこの数日(12日〜15日?)強風のために運休していたらしく、踏み跡は無いし雪は深いしでとても大変だった。
時計はすでに午後1時に成っている。
午後1時は、折り返し時間の目安にして居た時間で、計画からしたらこのまま下山しなければならない。
しかし、いまラッセルされたばかりの雪道を、ロープウェイの西穂高口駅まで下れば50分程で到着出来るだろう。
下りロープウェイの終発は3時45分なので、まだまだ時間が有る。
どうしようか?明日も休みなのでこのまま西穂高に挑戦しに行き、今日は西穂山荘泊まりとしても良いかな・・・そんな事を考えながら、行動食を流し込んだ。
ザックの整理をしながら登山道の方向を見ると、丸山方向へ向かう斜面を一人の登山者が上って行くのが見えた。
彼に遅れる事数分、厚手のインナーと薄手のミドルだけの薄着でも全く寒くないほど日差しは強く、風は穏やかだ。
気に成るのは、山荘へ到着する前から腿がつって痙攣を起こして居た事。
行動食を食べる時に多めにお湯を飲んだけど相変わらず痛い、特に左の腿の前側の筋肉は最低な状態、それをかばって歩いていたらこんどは右足の腿まで痙攣して来た。
きっと脱水症状と血糖値の低下が原因なんだろうけど、山行の度になる症状でも無い。この症状が起こって動けなくなった経験が有るので、いつもどおりにあらかじめ糖質の接種は多めにしておいたのだけど、今日は駄目だった。
後方から、「ワカンを履いてラッセル」してくれたカップルがやって来た、足の痙攣した私はあっという間に抜かれて置いて行かれた。
それでも何とか2時15分頃には独標に到着。
独標上でハードシェルを着こみ、ヘルメットをかぶってから西穂高方向へ岩場を下りはじめたが、なにかいつもと感覚が違う。
ピッケルの刺さりが悪くて、ピックの効きが悪い。
アイゼンを数回けり込むけど、前爪の引っ掛かりが弱い感じで体のホールドがちゃんと出来て居ない。
そんな時「天気予報は明日に向かって下り坂で、ひょとしたら明日の下山は出来ないかも知れない。事故を起こして第一ロープウェイが運休居して居ることで、運営会社が神経質に成り、悪天候を理由にロープウェイが欠航と言う事になれば、下界に帰れなくなる。」などと、帰る理由を探している自分に気が付いた。
こんな事では絶対事故を起こすと思った。昨年この穂高の稜線を2度歩いたが、その時は帰る理由なんかを探した事は無かった、まえに進むことしか考えて居なかった。先日八ヶ岳連峰の阿弥陀岳や横岳に挑戦した時もこれよりも急斜面で天候も悪かったが、帰る事なんか考えもしなかった。
だけど「帰ろう」。
10m程岩場を降りて居たが、今の私の実力と気力では先に進めない、悔しいけど現実だし、これが実際だ。
独標に上り返して時計を見たら2時30分を少し回っていた、残された時間は1時間と15分、間に合うのか?最終便に。
走った、本当に一生懸命走った、でも何回も転んだ、転ぶたびに涙がこぼれて仕方が無かった。
途中ですれ違った誰かに「駅からどれくらいかかりましたか?」と尋ね、「15分も有れば着きますよ。」と言われた時の安堵感。
「これまでの人生だって、間に合わなかったとか出来なかったと言う事は無かったじゃないか?出来る!私には絶対に出来る。」と言い聞かせながら、痛い足を時々叩きながら。
もし最終ロープウェイに乗り遅れたらどうなっちゃうんだろう?ここまで汗びっしょりになりながら走って来た私に、西穂山荘まで上り返す事は出来るんだろうか?
ロープウェイ駅が封鎖され、駅舎の外で寝る事になれば凍死するんだろうか?とも思った。
3時34分、除雪機で綺麗に造られた「雪の回廊」が見えた。
この時はもう半分泣きながら走ってる状態だった、それでも最後まで諦めなかった自分!!凄いぞオレ!!
やった!!!!間に合った!!死にそうな顔で駅舎に飛び込んだのは3時36分だった。
私は生きて帰る事が出来ました、大袈裟だけどそう感じた。
そんな感激に浸りながら、ただ一人ロープウェイの車内で頭から湯気を立て、薄く成った髪から汗を滴らせて居た私はかなり浮きあがった存在だった。
偶然隣に成ってしまったお嬢さん、とても汗臭くて失礼しました・・・。
家に帰って、孫と一緒にご飯を食べながら「じいちゃんは今日死ぬかと思った」って話しかけるが、生後7か月の孫娘は知らん顔だった。
今回はコンディションが、良く無かったですよね...。
降雪後は、厳しいですね。
山荘迄、3時間20分かかり、さらに独標まで行って来られた体力は流石です。
偉そうなことを言うかもしれませんが、独標から先は、気力、体力、技術が充実していないと、危険極まりないですから、どれひとつ欠けても止めておかれて正解だったと思います。
自分も、一昨年独標の先、なぜか10峰で行く気力が失せて止めたことがありました。
いつか、西穂高岳登頂の素晴らしい絶景、喜びを味わって欲しいなぁ〜と思っています。
是非、コンディションの良い時に、行って来て下さい
SHIBAWANさんコメントありがとうございます。
天気はよかったのですが、私の技術と気力がありませんでした。
ももの痙攣も不安要素でしたが、すべては私の足りないところなので反省してます。
実力をつけてから再びチャレンジしに行きます。
トレース無しの西穂とはスゴイです!お疲れ様でした。
こんなに面白い(失礼いたしました)レコは初めて読みました。画が目に浮かぶようにリアルですし、それより何よりユーモアを感じます。文春の土屋賢二さんの連載を少し思い出しました。次のレコ、楽しみにしています。
okada_gtxさんはじめましてgraveltrekです、コメント深謝です。
私の日記風レコを楽しんでいただきまして有難う御座いました、しかし独標から先に進めなかった自分にへこんでいます。
私も先月八ヶ岳を歩いていました、横岳のあの辺りは危険な匂いがする所がいっぱい有りましたね、私はもう少し修行します。
ではでは
graveltrekさん、本当にお疲れ様でした。
冬の西穂独標って、いろんなガイドなんかにも出ていて「お手軽」って印象を受けますが、とんでもないですよね。
昔から「ほたか」と名が付くところは難しいって言われたものです。
よっぽど条件が良くなければ、穂高に簡単なところは無いと言い切れると思います。
とはいえトレースが無いと、山頂駅から西穂山荘まででも魔の山になっちゃうんですね、とても参考になりました。
では、ダン之助でした。
ダン之助さんコメント有難う御座いました。
とても大変な思いをしましたが、筋肉痛はまったく無いgraveltrekです。ってなにを威張ってるんだか??
ダン之助さんから新穂高ロープウェイに宛てて「始発の時間を午前7時にする事と、終発の時間を午後6時にしろ!!」と言ってください匿名でよいですから。なんなら時刻に「頃」を付けてもらっても構わないと <爆
私には言う勇気がありませんのでよろしくお願いします。
次に「ほたか」に行くまでに、修行を積みなおします。
graveltrekさん、ご無事で何よりでした。
なかなかハードなラッセル山行だったようで読んでいてこっちがヒヤヒヤしましたよ
雪山逃避型ハイカーの私でも帰る理由を探しながら歩くこともあります。ましてや雪山、遭難→救助でもオオゴトなのにそのまま帰らぬ人に…という事態に陥りやすいシチュエーション。判断が間違ってなければいくらでもリトライできるんだし帰って正解ですよ。
でも西穂の魅力に毒されてしまったんでしょう。夏場に来ているならなおさらその魅力を白銀の世界で味わいたいと思ってしまうのも、へっぽこハイカーの私でもわかります。へっぽこなりに雪山を見るのは大好きですから
山の魅力を味わえる実力と気力を養い強力な武器にして、万全の状態でリトライしてください。
bo-tyu-zaiさんコメント有難うございました。
いやいや、完全になめてました今回の山行を。
どのレコを読んでも、登山道はレールを敷かれた様に踏まれていると書いてあるんで、この日もそうなってると思って、ザックからワカンを外して行ったんですから。
bo-tyu-zaiさんがへっぽこハイカー?とんでもないですよ、あれだけ間を空けないで山行出来ることは、そうそう誰にでも出来ませんよ。
修行して、次回の西穂チャレンジは頑張りたいと思います。
こんばんはkaakakaです。
冬の穂高綺麗ですね。
不穏な書き出しに少しばかりドキッとしましたが、結果的にいい山行であったようで安心しました。
山での「引き返そうかな」って重要ですよね。理屈で言い表せない本能みたいなのが働くんでしょうかね。
僕もよく「引き返そう」と「まだ行ける」が頭の中で戦っています笑
ではでは
kaakakaさん、ご無沙汰です、そして書き込み有難うございます。
目的を達成できなかった山行ほど、饒舌で言い訳が多く成るもんですね、kaakakaさんが以前に書きこまれた通りです。
「行こう」と「戻ろう」の狭間はどこかが知りたい今日この頃。
graveltrek
いやぁ、相変わらずですね
cyo-sukeさん、ご無沙汰してました。
この山行では、逃げ道が無かったので、ロープウェイ駅でトイレに行っておいて良かったですよ。
衆人に見守られながらウンコする程のウツワを持ち合わせていません、若輩者です。
graveltrek
3年前の夏に1度独標まで登り、悪天候の為縦走を諦め敗退しました。
達成感を感じず下山した思いが残っています。
でも、ロープウェイが有り手軽な北アルプスだと思っていましたが、やはり冬季は違いますね。天候やラッセル等で条件がまったく変わるのですね。事故に遭わずに責任を果たせて良かったですね。
私も毎年正月に登っている山で救助されて、痛感しています。(無理は禁物)
一度は冬季に行ってみたい(好天候時に)山です。
情報ありがとうございました。
wattanさんはじめまして。
情報提供だなんてちょっと恥ずかしい気がしますが、もし参考に成ったようでしたら幸いです。
さて、今回の山行は面白おかしく書き込みました、そのため書き出しも日記としております。
あの時、もし下りのロープウェイに乗れなかったら、かなり厳しい山行に成っていたと思います。
wattanさんの遭難顛末を読ませていただきましたが、小さなミスの積み重ねや慢心が命にかかわる判断に影響を与えると、改めて自戒いたしました。
今夏あたり、気象条件が良ければ西穂高から奥穂高辺りの稜線をお楽しみください。
私は昨年稜線上でビバークしましたが、誰も居ない筈の稜線で一晩中五月蠅い程鳴き続けるオコジョに閉口しました・・しかし、楽しかったですよ。
これからの山行もぜひ万端の用意をお願いいたします。graveltrek
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