那須朝日岳 東南稜 快晴のバリエーションルートで岩稜を楽しむ
- GPS
- 08:07
- 距離
- 9.1km
- 登り
- 791m
- 下り
- 790m
コースタイム
- 山行
- 6:58
- 休憩
- 0:59
- 合計
- 7:57
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
アプローチと下山は一般ルートですが、朝日岳東南稜はバリエーションルートとなります。核心とされているのはギャップからの登り返しと山頂直下のルンゼ状ですが、それ以外の場所でも滑落、転落の可能性が有ります。特に那須岳特有の風の強さは危険要素となります。ピナクル等が多目なので初心者に対する確保は支点が取り易いですが、岩が脆いので支点に対しては十分なチェックとテスティングが必要と思います。 |
写真
感想
那須朝日岳東南稜はアルパインクライミング入門のバリエーションルートです。冬の那須岳は物凄い強風が吹くので余程の好天でなければ入る気にならないのですが、28日昼前には移動性高気圧が来るという予報で絶好のチャンス!
東南稜は去年2月に単独で登っており、ルートの状況も大体把握しているので嫁さんのアルパインデビューにも丁度良いタイミング。という事で嫁さんを誘って出かけました。無積雪期はロープウェー駐車場の先、峠の茶屋まで車で入れますが冬期は大丸温泉から先は通行止めの為、大丸温泉駐車場に駐車します。
朝の内はまだ高気圧が上空に来ていないので時折車が揺れるほどの突風が吹きます。天気回復待ちのため車で仮眠してゆっくり準備。登山としては遅めのスタートとなります。
大丸駐車場から峠の茶屋までは九十九折の車道で作業者の為の除雪が入っています。九十九折をショートカットするトレースが付いていることも有りますが、昨日の降雪の為、今日は埋もれており素直に車道を歩きます。
峠の茶屋からは一般登山ルートを峰の茶屋跡避難小屋へ向かいます。樹林帯を抜けるまでは雪が深いのですが、既に多数の先行者がつけてくれたトレースのお陰で快適に歩くことが出来ます。樹林帯を抜けると、右手に朝日岳と今日登る東南稜が見えます。まだ天気が回復しきっていない様子で上部はガスの中です。
朝日岳東南稜への取り付きへは明礬沢へ向かい一旦下降します。「こんな所に高山植物が?」の看板が朝日岳東南稜の取り付きへ降る目印です。この手前の岩陰で風を避けつつメットやハーネス、ガチャ類等の登攀装備を身につけます。単独なら懸垂下降程度の装備ですが、今日は嫁さんを確保する支点構築に備えてカムとナッツ、ビレイ器など装備が増えます。
準備中の場所からは朝日岳東南稜を正面から見ることが出来ます。準備している内に天気が徐々に回復し東南稜にも日差しが、素晴らしいクライミングの予感に気分が盛り上がります。
準備が出来たら一般ルートを外れ、明礬沢へ向かい東南稜の取り付きへ下降します。雪の状態は程よく締まっており、アイゼンがサクサクと心地よい効き具合です。既に先行パーティの足跡が有ります。
明礬沢の堰を越え東南稜の正面やや左側、雪のルンゼ状から尾根へ取り付きます。暫くは雪を辿るように進みますが、程なく雪が切れて岩稜の急斜面になります。登りやすいラインをアイゼンでガリガリ登って行くと面白い様に高度が上がります。
やがて東南稜の稜線上に乗り上げます。振り向くと取り付きの明礬沢が見下ろせ、その上にある登山道には登山者が列を成して歩く姿が見えます。風は残っているものの天気も快晴になりました。
暫く登ると稜線の左右に岩を配した景色になります。この岩は門と呼ばれていて、この先に核心の切れ落ちたギャップがあります。門の通過は左側の岩の右側を巻き上がります。嫁さんのロープが欲しいとのリクエストでピナクルにセルフを取ってロープを出しました。傾斜も緩いので肩がらみ確保です。その先、右のバンド状をちょっとだけトラバースしてギャップへの下降ポイントに至ります。トラバースも嫁さんが怖いと言うので確保しました。
ギャップへの下降ポイントには立派な支点が設置されていて有り難い限りです。懸垂下降の為ロープを投げたら強風に吹かれて戻ってきたりして良い場所に落とせない。さすが強風で有名な那須です。何回かリトライしてロープを落としましたが、変な所で余計な手間が掛かりました。
短い懸垂下降でギャップへと下降します。ギャップの中は日陰で風の通り道になっていて風が強く寒い。懸垂下降後、寒い寒い言いながらバタバタとロープを引いてお互いのハーネスに連結。嫁さんのビレイ器にセットしたら今度は反対側の岩壁を登り返します。
単独なら確保無しのフリーで登るので時間もかから無いのですが、せっかくロープを繋いだので一応リードの手順で登ります。モタついていると凍えてしまうので手順を迅速に行います。
ギャップからの登攀は元薀泪ぅ淵弘未任后E喘罎飽堕蠅靴椴てるスタンスがあり、そこを境に2段になっています。中間支点は下段にキャメロット#1、上段には#2をセットしました。上段では右上の大ガバがポイントで、これを見つけられるか否かで難易度が変わります。去年も登った経験があるもののアックスでフッキングを使えるような岩ではなく、手袋でホールドを探します。アックスに比べて手袋が苦手でやはり緊張します。自分にとっては卦蘢度までが快適に楽しめる様です。
上段ではキャメ#3が使えそうなクラックも有りました。自分は持って無いので次に買うなら#3が欲しい。登り切った所に立派な支点が有り、これを使いセルフビレイを取ります。流石にこの壁を肩がらみ確保は無理なので、支点にセットしたATCガイドで嫁さんを確保しました。ATCガイドのガイドモードは素晴らしく便利で、嫁さんは荷揚げ状態で登ってきました。
ギャップを過ぎると暫くは尾根歩きになります。時折突風が吹くので飛ばされないように注意です。振り返ると茶臼岳をバックに登ってきた東南稜が見下ろせ、気持ちの良い高度感です。
この辺りの尾根は登れそうなところを繋いでいけばどこでも登れますが、東側を巻き気味にすると地味すぎるので尾根を辿るようにします。西側はすっぱり切れ落ちていて結構な高度感が楽しめます。ガレていて落石が多そうな所ですが、冬期なら凍っているので岩の状態は比較的安定しています。
やがて左に朝日岳の山頂が見えて来ればもうひと登りです。尾根に雪が見られるようになれば東南稜のフィナーレが近づいてきます。東南稜の最上部は朝日岳の山頂へ向かい、尾根が西へ折れます。
一旦降り、朝日岳山頂直下から山頂を見上げます。山頂へは左へ少しトラバースした後、左のルンゼ状から登ります。ここの登攀は卦薜未任垢下が沢へと落ち込んでいる為、落ちると結構な墜落になる可能性があります。ここでも嫁さんの確保はATCガイドで。2回目ともなると荷揚げも上手になった気がします。
岩を登りきったら左手の登り易い所から朝日岳の山頂へ。一般ルートから山頂へ至る丁度反対側からポン!と飛び出しますので登山者がいる場合は驚かさないように現れましょう。今回はロープ出しまくりの超ゆっくりペースだったので、山頂には登山者が1人だけの静かな山頂でした。朝日岳の山頂は那須にしては無風に近いものの、寛ぐには強めなので一般ルートを下山に掛かります。
途中で剣が峰東面をトラバースする夏道は雪崩れの可能性が有るのでピークを通過します。この辺で風が止み完全無風状態。暮れ始める剣が峰、暫し佇み今日の山行の余韻を楽しみます。東南稜に取り付いてからまともに休んでいなかったので峰の茶屋跡避難小屋で休憩後、大丸温泉駐車場へ降りました。
東南稜は去年2月に登った時は雪が無くドライツーリング。今回は前日に降雪が有り、雪が付いた景色が見られるかもしれないと思いましたが、前日の雪など関係ない様子でやっぱりドラツーでした。基本雪は無いルートなんでしょうね。ルートの取り方でいくらでも挑戦的なクライミングが出来そうなので、毎年1度は訪れたいと思える良いルートです。
朝日岳の山頂でお会いしましたね。
奥様は、初めてのクライミングだったのですね、死ぬかと思ったって言っていた意味がわかりましたwww
ですが、夫婦で山行とは羨ましいです。うちの嫁さんはインドア派なので、、、
またどこかの山であいましょう( ´ ▽ ` )
tirolwanwanさん
山でお会いした方にこうしてまた会えるとは、思わぬ再会に感動です(^_^)
嫁さんは無積雪期のバリエーションやアイスや沢登りはこれまでやって来たのですが、入門ルートとは言えアルパインは初めてでした。
アルパインはクライミング技術だけではなく体力も必要ですし、山の厳しい自然の中で無駄なく適切な行動を取るような総合力が試されます。自分も最初はハイキングくらいから独学で登ってきました。山に登り続けていれば行き着く所、自然により難しいルートに入るようになりますよ〜。
お互いに技術体力を磨いて、どこかの登攀ルートでお会いしましょう(^o^)/
yamamossannこんにちは
東南稜でちょっと前を歩いていたexceedincです。
登ってこられるのが見えてましたので、これで落ちても
救助頼めると思って安心していました。ハハハ
自分は登るのに必死で、画像殆ど撮って無かったんですね〜
後から見返す画像が無くて残念って思ってたら、しっかり
欲しい所の画像があって嬉しい限りです。
ではまたどこかの山で
exceedincさん はじめまして!
トレースありがとうございました(^o^) 去年登った時は取り付きを左により過ぎてしまっていたので、今回は皆が登っているルートを正確にログに記録したいと思っていました。お陰で正しいログが取れたと思います。
山行記録拝見させていただきました。BCもされるんですね。那須朝日岳東南ルンゼ(くの字沢)に興味があります。3月後半の雪が落ち着いたタイミングで登りたいと思うのですが、何か情報お持ちでしたらお教え頂ければ幸いですm(_ _)m
いやー自分も取り付き自信なくて、、確かここで合ってたはずですが、、、
すみません、まだ2回目なもんで、、
くの字沢ですが、東南稜を1日に2往復する達人が先週、『春になったらゴジラの背中を登る』と言ってましたね〜。どうやら『くの字沢』にある尾根の事のようです。自分は足を踏み入れたことが無いので他の情報は持ち合わせてませんが、何か有益な情報が那須の山仲間から得られましたらお知らせしますね。
exceedincさん
情報ありがとうございます!
東南稜を1日に2往復する達人ってトンでもないですね〜(^_^)
「ゴジラの背中」くの字沢上部の岩尾根のどれかのことでしょうね。これまたトンでもない所を登りますね〜そんな達人と御知り合いとは素晴らしい!それではまた、情報等ございましたらよろしくお願いしますm(_ _)m
夫婦でアルパインクライミング、いいですね〜^^
この日は日本全国快晴で、まさにお山日和でしたね♪
お互い、いい山行になりました。
そして、
「自分にとっては卦蘢度までが快適に楽しめる様です。」という感想、激しく同意します!!
peco1978さん
こちらでもよろしくお願いします〜。嫁さんは「登っている」のか「荷揚げされている」のか激しく微妙ですが(^_^;)ともかく付き合って貰える事だけでも感謝ですね(^_^)
peco1978さんも卦薀侫.鵐ラブですね〜。卦蕕魃曚┐襪肇廛譽奪轡磧爾ヤバイくて気持ち良さよりも恐怖感が出てきます。技術を磨いて元蕕蘯信を持って楽しみながら登攀できるようなりたいですね〜。
お互いにレベルアップして充実した山行を楽しみましょう!
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