日光白根山 西面3ルンゼ-北西稜下降 入門者にオススメなバリエーションルート
- GPS
- 04:51
- 距離
- 5.8km
- 登り
- 844m
- 下り
- 841m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登山道は圧雪されたトレースが有り歩きやすい。登山道を外れ樹林帯の中を西面ルンゼへアプローチするが通常トレースが無い為ワカンかスノーシューが必要。西面ルンゼから3ルンゼ内はクラストしており所々モナカ雪状。ルンゼ上部でのミスは200m以上滑落する可能性があり要注意。下降の北西稜下部は腐れ雪の急斜面でアイゼンが効かない。滑落の初動で確実に停止できる技術が無い場合は一般ルートで下山した方が良い。 |
写真
感想
日光白根山西面3ルンゼは無積雪期は落石の巣になっていて近づけませんが、積雪期なら氷雪でコンクリートされているので登れます。1〜2月は休日と天候条件が合わず入ることが出来ませんでしたが、好天が多くなる3月はチャンスが多くなります。去年も3月に登りました。
そんな訳でこの時期恒例化した感のある3ルンゼ。教薜幣紊瞭颪靴気鰐気い任垢山頂に至るルートの合理性や集中力の継続を要求される緊張感は、自分にとってアルパインクライミングの原点となるルートです。降りは北西稜を使いましたが、こちらは下部が腐れ雪の急斜面で緊張しました。
丸沼高原スキー場のロープウェーを利用してロープウェー山頂駅へ。最近は入山者が多くなり登山道はトレースがしっかり残っています。有り難くトレースを辿り七色平を過ぎて程なく標高2140mで東へトレースを外れますが、今日は登山道から分岐した西面ルンゼへ向かうトレースがはっきりと刻まれています。ルンゼ方向へのトレースは一般ルートではないので一応目印に枝を×印型に置いておきました。
分岐から東へのトレースを暫く辿りましたが、方向が微妙に異なるのでトレースを東へ外れます。ここからは膝上〜腰のラッセルになる事も多いのですが、今日は雪が締まっていてツボ足でも沈みません。スノーシューを担いできましたが全く出番が有りません。
樹林帯を抜け標高2230mで西面ルンゼの取り付きとなります。立ち上がる雪面に荒々しい岩壁が青空をバックに聳え登攀意欲が掻き立てられます。
ここでアイゼンを装着し、メットやハーネス等の登攀装備を身に着けます。一応ロープはすぐ取り出せるよう雨蓋に移します。3ルンゼ内は日陰で下から強風が吹き上がって来ます。体感温度が低くなるので厚めに衣類を調節します。
ここからは急な西面ルンゼ内を3ルンゼに向かって登ります。荒々しいルンゼ内の景色を楽しみながら高度を上げて行きます。
息を整えるため立ち止まると、足元からは西面ルンゼの急斜面が遮るもの無く続き気持ちのよい高度感です。雪は締まっており滑落すればかなりの距離を落下することになり気が抜けません。
標高2370mで3ルンゼの入り口に入ります。ここからルートは氷雪でコンクリートされたザレに加え、一部にアイスと岩が現れます。クラストした雪面はアックス、アイゼン共に良く効き快適に登る事ができます。一応凍って安定しているとはいえ、3ルンゼ内は落石が多く足元にも落ちてきた石が転がっており、ヘルメットの着用が有効です。
3ルンゼ内の斜度はフラットフットがキツイ程度には立っているのでアイゼンを蹴りこんで登りますが、一息付く時や写真を撮る場合はアックスにセルフビレイするのが手っ取り早いと思います。岩の部分は溶岩質でハーケンが入りそうなリスは有りませんし、アイス部分は氷が薄くスクリューは使えません。
アックスはシングルでも問題なく登れますが、ダブルアックスであればセルフを取る際にも便利ですし、アイス部分やちょっとしたギャップを登る時も楽しめ、アルパイン気分が盛り上がるのでお勧めです。
3ルンゼ上部では左側に向かって登りやすく雪が続いている部分がありますが、これを辿ると北西稜に乗り上げてしまい3ルンゼ完登とは成らないので注意が必要です。
ルンゼが広がったところで山頂と北西稜のコルに登り詰め3ルンゼを抜けます。南側の雪稜を登ると山頂が視界に入ります。
山頂で昼飯休憩。今日は春霞で遠方までは見えませんが、男体山や中禅寺湖の眺め、至仏山、燧ケ岳等、素晴らしい景色に癒されてから下山です。
今回の下山は北西稜を使いました。降り始めは北面の弥陀ヶ池への一般ルートと同様です。弥陀ヶ池へ向かうルートの目印となる大岩の左側に聳えるピークが北西稜です。このピークは良い感じに立っており、左側は西面3ルンゼに向かって切れ落ちているので慎重に通過します。このヤセ尾根を過ぎれば尾根は穏やかになり、北西稜の稜線を辿ることができます。
穏やかな北西稜を降って行きます。このまま真っ直ぐに稜線を辿ると七色平避難小屋のウラに出ることが出来ますが、北西稜は過去2回偵察した事により稜線下部は藪がウザい事が判っている為、標高2280mで尾根を斜め左へ外れ西へ向かいます。これより早いタイミングで西へ向かうと、西面ルンゼへ落ちる岩壁に阻まれ降りられません。標高2280mが岩壁を避けて雪面を降れる目安になると思います。
この雪面はかなりの斜度で登る分には良いのですが、降る場合は注意が必要です。この時期は降りの時間帯になると雪が腐り、アイゼンが効かなくなります。自分も5〜6回スリップしました。スリップを感じた瞬間に雪面にアックスのシャフトを刺すか、雪面に正対して滑落停止姿勢を作る事が重要です。木立や岩が有るので短距離の滑落でも怪我の危険が有ります。滑落の初動で確実に停止できる技術が無い場合は、一般ルートか旧登山道を下山する方がリスクが少ないと思います。
去年西面3ルンゼを登った際の下山ルートは旧登山道を使いました。 旧登山道のGPSログは以下をご参照ください。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-417792.html
急な雪面を標高2160m辺りまで降りてくると、西面ルンゼ下部の樹林帯に入ります。登る時に見た景色の中を少し降れば登山道にぶつかります。
登山道を丸沼高原スキー場のロープウェー山頂駅へ向かいます。二荒山神社に無事到着のお礼をしてロープウェー山頂駅の広場で装備を解きます。
ロープウェー山頂駅から見上げる白根山。西面ルンゼを見上げ登攀の余韻に浸ります。何回登ってもあそこを登ったと思うとやっぱり嬉しい。機会があれば来シーズンも、またここに帰ってくると思います。気持ちの良い達成感を感じながらロープウェーで下山します。
初めて3ルンゼを登ってから数年。自分のアルパインへの目覚めはここから始まったと思います。他の山域でのバリエーションルートと比べても見劣りしない良いルートです。
日光白根山のバリエーションはあまり入る人が居ないので人も少なく、メジャーなルートとは一味違い、自分と山だけの純粋な時間を楽しめると思います。
こんにちわ。今回、奥白根山の丸沼高原側にある第3ルンゼを登るに当たり、この記録を参考にさせていただきました。ルンゼ内は硬雪で氷はありませんでしたが、雰囲気は素晴らしく、アルプス的登山の雰囲気を堪能いたしました。今後も、夫婦揃って登攀を楽しんで下さいませ。ありがとうございました。
alpsommetさんお疲れ様でした!3ルンゼ自分は今シーズン3/11に登ったんですが、その時にはベルグラっぽい氷がはっていました。ついつい毎シーズン入ってしまう良いルートですよね。 自分もヤマレコの記録は参考にさせてもらっているので、こうして貢献できれば幸いです。お互い良い山との出会いが有りますように!
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