二口山塊〜蔵王連峰縦走〜遠刈田温泉
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- GPS
- 160:00
- 距離
- 61.3km
- 登り
- 4,727m
- 下り
- 4,481m
コースタイム
- 山行
- 6:38
- 休憩
- 0:56
- 合計
- 7:34
- 山行
- 11:25
- 休憩
- 1:45
- 合計
- 13:10
- 山行
- 9:40
- 休憩
- 1:16
- 合計
- 10:56
天候 | 10/17 晴れのち曇り 風強し /18 晴れ /19 晴れのち曇り 風強し /20 曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2023年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
※ 新宿に向かう京王線で人身事故のため列車が若葉台止まり(その後運休となったみたい…)となり、京王永山まで戻り小田急線で新宿に向かう悲劇があった。出発5分前にバスタ着、めっちゃ走った(-_-;) /20 遠刈田温泉 13:47(宮交バス)14:52 仙台駅 16:00-21:25 バスタ 携帯で高速バスを予約できるので、便利にな時代になりましたね。特に仙台発は深夜便含めれば結構多いです。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
『宮城県側は刈られていない。なんでか知らないけど。本当に刈らない。』と南面白山の頂上で山形の方が言っていました。この山行の権現様峠から大東岳の間で、山と高原地図の『蔵王』のコースタイムやガイドを提供している石沢さんにお会いすることができました。『震災で海側が大変だったからだろう。』とのことでしたが、今年は刈り払ったって聞いたんだけどなぁとおっしゃっていました。 どちらを信じるか…樋ノ沢避難小屋で同泊した宮城の方は2週前に糸岳で猛烈なやぶのため引き返したとのことでした。せっかく来たので多少の藪は仕方ないと計画通り進むと、小東峠から刈り払った跡があった!関係者の方々、ご苦労様でした。そしてどうもありがとうございました。 結果、少しボサがあったのは、仝現様峠から大東岳に向かう沢を抜けた先の頂上までの区間、⊆覗霾神茲里蹐Δ鼎疂進岐から下り口のへりまで、最終日の股窪から倉石ヒュッテの間くらいでした。 方向が分かりにくかったのは、笹谷峠から山工高小屋の先で雁戸山に向かうルート。道標を見落としたのか鉄柵のある建物まで行って、電線管理用の刈り払いを山形側へ進むと本来の登山道。きっと小屋の脇を南進するのがこのルートだろう。 |
その他周辺情報 | 遠刈田温泉:観光協会に行けば日帰り温泉施設一覧もらえます。自分は烏帽子スキー場の従業員の方に『まほろばの湯』を勧められ、遠刈田の割引券付きパンフをいただきましたが、ややバス停から遠かったので『バーデン家 壮鳳』(割引券ありました。)で入浴しました。大きなホテルなので風呂も大きく、かけ流しでした。 そして新楽食堂で『冷かもそば』いただきました。太いそばで食べ応えがあり、あの汁の濃さが最高!うまかったぁ〜。さらに808で大盛りのフルーツサンデーたべちゃったから、仙台駅でずんだシェイクが食べられなかった…残念 |
写真
この山頂で山形県民の方と遭遇、みたらし団子いただきました。
それと宮城県側は刈り払いされていないという情報を、地図で丁寧に教えてくれました。
樋ノ沢避難小屋同泊の方から聞いていました。小沢があって水取れますが、量が少なく落ち葉がたまった水たまり状を流れてくるので、水質が気になったので取らずで通過。
感想
【長文なので注意‼】
10月初旬、本当なら秋田方面に出かけていたけれど、悪天であきらめてしまった。年に一度は東北に行きたい…そんな願いがある中、以前からずっと気になっていたのが蔵王だ。船形山に行くために購入した『蔵王』のマップ、なかなかメインの蔵王部分に行くことがないというか、スキー場のイメージが強い。ひと臭いんだろうなあと思っていたので避けていたというのが本音。だけれど、結論から言えば素晴らしい山脈、特にいいなぁと思ったのは二口山塊〜雁戸山〜名号峰の間でした。意外だった分印象に残った山域でした。
/16 ここ2年ばかり、仙台行夜行バスを利用することが多い。夜行便が充実しているのもあるし、4000円程度で来られるのはありがたい。いつものごとく0時過ぎの便に十分間に合うように家を出たが、京王線の本線で人身事故発生!乗った電車は若葉台より先に動かないということだった。一瞬家に帰ってしまおうかとも考えたけれど、もしかしたらに賭け、京王永山から小田急線の振り替え乗車で新百合ヶ丘経由新宿を目指した。南口からバスタへ駆け込み出発5分前に滑り込むことができた。降車地を勘違いして予約してしまっていたらしく、バス会社の人に迷惑をかけてしまった。なんか前途多難な感じ…
/17 いつもは広瀬通側のバス停でしか乗り継ぎをしたことしかなく、初めて電車乗り換え以外で仙台駅の外に降り立つ。さすが東北の雄、駅ビルの店なんてコンビニしか開いてないものの、すごい駅ビルだ。山じゃなくただ仙台駅に遊びに来ても、きっと一日過ごせると思う。
仙山線に乗り込み面白山高原駅で下車、今日の行程は元々面白山経由と考えていたけれど、時間に余裕がないのは目に見えている。電車の中でギリギリまで考えて、コスモス畑も見てみたいと思ったのもあり、南面白山経由で樋ノ沢避難小屋に行くことに決定、営業休止しているスキー場に続く道を登ってゆく。こういうスキー場跡を歩くことがあるといつも思うのは『栄枯盛衰』感をすごく感じること。きっと楽しい思い出を作った人が沢山いたんだろうなぁと思うと、とても切なくなる。
コスモスベルクはもうピークも過ぎてしまっており、あれほど天気が良かったのにどんどん雲も増えてきて、ちょっと残念な感じの景色になってしまっていた。地図上は林道をしばらくたどるように記載してあったけれど、コスモス畑に向かって右側に道標がつけられている。
コスモス畑が終わると、そこからはスキー場の中の刈り払いされた登山道を進む。リフトの下をくぐるなどしながら樹林に入り、再びゲレンデ跡に出てゲレンデトップ風の所から尾根に乗り上げた感じとなる。あまり太くないがブナ林が素晴らしい。トラバース的に樹林を進み、雪崩跡なのか木の生えていないところを直登する。結構登り平坦になると南側と山形方面の展望が開け南面白山山頂になる。少し風が強いが、写真を撮っていると地元山形の方が上がってきた。この方に先のルートについて情報収集すると、とても詳しくいろいろ教えてくれる。おまけにみたらし団子まで分けてくれた。東北の山に行くと思うのだけれど、とにかく面倒見がよい方が多い。この会話の中で『なぜか宮城は刈り払いしない』と言っており、大東岳の権現様峠ルートや糸岳など主要ルートがヤブかもしれないとも言っていた。正直、気持ちがなえてしまったが、ここまで来た以上とりあえず行ってみることにした。
急に曇模様になってくる。権現様峠に向かう道はブナ林内のとてもいい道で、地図ではわかりにくいものの小沢をいくつも渡る。沢は粘土質っぽい岩盤のナメ滝構成され、少し湿ると間違いなく滑る。地図を見て思っていたが大東岳ルートになんであんなに大回りしているのかが不思議だった。ショートカットがあってもいいと思う。
峠から窪状のミズが生い茂る登山道に入る。少し登って平坦になると山腹をトラバースして登山道がつけられている。やや踏み跡が薄い部分もあるが、踏み跡がはっきりしてくると片斜面の道になる。先程会った人の言う通りヤブの雰囲気が出てくるのだろうか?いつになったら沢筋の道になるのかと思いながら歩いていくと、左手に沢地形が現れじゃんじゃん水が流れている。ここで沢を渡るのだが、木に『権現様峠』のパウチされた紙がベタ打ちされている。そこから沢筋を登る。
新しめのテープがぶら下がっているなぁと思っていると、上流から人が降りてきた。聞けば蔵王の地図作者の石沢さんとのことだった。コースタイムの改訂で調査に来たそうで、このテープもつけて行ってくれたそうだ。ここぞとばかりこの先の情報収集させていただくが、石沢さんはこのルートで人に会うと思わなかったと言っていた。今年は宮城側の刈り払いは入っているとのことで、今までは震災で海側に予算をかけなくてはならなかったからだろうとおっしゃっていた。八方平避難小屋はとてもいい小屋であること、水場は稜線から近いところはほとんどないこと、汲めるタイミングは笹谷峠で山形側に下ったところだけ等々…とても参考になりました。どうもありがとうございます。お別れして再び沢を登り始める。この時期だから水量も少ないのだろうけれど、何度も渡渉するので大雨が降った後ではちょっと大変な道になるだろう。
涸れ沢になり幅の広い沢形をそのまま進むと傾斜がついてきて平坦な稜線上に出る。そこから登山道というよりも踏み跡といった感じの道をたどる。結構急な登りでヤブっぽいけれど気になるほどでもないが、スリップしやすい土で気を遣う。急登が終わるとボサがかぶりだし、頂上直下が一番すごかった。抜けると大東岳山頂に出る。時間的に当然誰もおらず貸し切り状態、仙台方面の眺めが最高で、特に太平洋が見えるのが新鮮だった。風が強くしぐれてきたので長居は無用という感じだ。南面白山で会った方が『本州で日本海と太平洋の距離が一番近いエリア』と言っていた。
きれいな道を樋ノ沢避難小屋に向かって進む。しばらく緩い下りで、展望台になっている場所は樋ノ沢を挟んで、明日歩く予定の糸岳や二口峠方面の眺めが最高だ。まだ紅葉のピークではない。弥吉転がしという急な下りで沢筋に入るとガク沢に出る。その沢沿いに下ってゆくと薄暮の樋ノ沢避難小屋に出た。水場はバッチリ出ている。小屋に先客宮城県の方が1名。不安だったのでこの方にもこの先のルートについて聞いてしまった。この辺りをほとんど歩いているそうでとても詳しく、2週前に糸岳に行ったら石橋峠付近が猛烈なやぶで引き返したということを聞いた。また、例年より10日以上紅葉は遅く、普段の10月中旬は展望台から見ると谷間が真っ茶色でそれは素晴らしいそうだ。山談義でその夜は盛り上がり、楽しい夜を過ごさせていただいた。
いろいろな情報を得すぎたことで完全にどうしようか迷ってしまったけれど、楽しても仕方ないと割り切り、計画通りに進むことにして眠りについた。
/18 同泊の方からも『八方平避難小屋は最高』と聞いていたため、可能な限り八方平と決めて5時に出発(結果、これでも遅いんだけど…)。沢沿いを上流へ進み樋ノ沢を渡るのだけれど、ちょうどトイ状滝の滝頭をまたぐというよりも飛ぶような感じになっている。ここが湿っていたら滑りそうな面ツルの岩盤で、ゴムが硬化している自分の靴では緊張した。渡渉するとブナ林内の幅広い緩やかな道が続く。昨日展望台から見た感じではもっと急登だと思っていた。刈り払いの痕跡があり、石沢さんが言っていた小東峠直下くらいのヤブは、灌木が寝ているので頭やザックがよく引っかかるもののすっかりきれいにされていて、難なく小東峠に到着する。ちょうどこの頃、いい具合に日が差してくる。小東峠は幕営可能、行く先のルートは刈り払いの痕跡があるけれど、どこまで?
1132mまでダラダラ登り、石橋峠までの下りで地元の三世代登山者とすれ違う。小東岳往復だそうだ。何やらいいピークらしい。当然刈り払いは二口峠までバッチリだそうだ。ちょうどすれ違った辺りが同泊の方が言っていた藪化していたエリアのようで、確かに灌木が薄く日当たりがいい。そんな個所をいくつか越えて急登を登り切れば糸岳に飛び出す。頂稜が南北に長い山で、期待していなかったけれど山形方面の展望がいい、渋い山だった。
どんどんブナの木が大きくなって、地面がフカフカして膝によい道を下ってゆく。すると老夫婦が小東岳ピストンで登ってくる。二口峠はきれいに舗装された車道で、駐車スペースは広い。地図に載っている車道ではない道は確認できず、もしわかっても藪だったらかえって時間もかかるしと車道を緩く登ってゆく。自転車で上がってきている人もいて驚いたが、ドライブで来ても面白そう。天気が良く結構暑い。登った先にゲートが見え、その左にある登山道、自分の中の第2ステージに入る。
地図や遠目から見て緩やかな道と思っていたものの、はじめはなかなかの登りから始まる。乗り越すと清水峠まではブナ林の緩やかな登りが続く。なんで今すぐそこの峠を通過してきたのに、登って峠に向かっているのが不思議だ。清水峠は広く幕営可、今までのコースにあった金属製のきれいな道標は、よく言えば非常に味のある道標に変わっていた。水場は山形側に行けばいいところがあるとのことだったけれど、小屋で4リットルほど汲んできたのでここは通過。
黄葉の感じが丁度いい尾根を時折急登を交えながら進む。この先、神室山が二つあるけれど本日中の八方平着のために、仙台神室は割愛しなくてはならなさそうだ。その分岐までなかなか遠かったが、予定通り仙台神室には行かず平坦になった山稜をしばらくで山形神室に到着した。さほど広い山頂でもなく、胸の高さくらいまで灌木が茂っている頂上で休んでいる間、入れ代わり立ち代わり人が登ってくる。ここでも山形県人の厚いやさしさに触れることができた。だから山形に来るのが楽しいのかもしれない。
笹谷峠に向けて下り始めるも、雁戸山から南蔵王までが見えているので、やけに遠く感じてしまうほどの奥行感。峠までは段丘状に下っていくけれど、いわゆる○○の絨毯的な風景にも出会うことができた。眺めが最高、とても人気のある山のようでかなりの人とすれ違うので、登り登山者を待つ間、いい眺めを堪能できた。雁戸山の斜面はまっ茶色で蔵王=亜高山帯の針葉樹林帯のイメージが完全に吹き飛んだ。登山道がジグザグに変化すると笹谷峠に到着する。峠は駐車場はあるものの水道はなく、山形側に車道をショートカットして結構下ったところにあると言われていたものの、そこまで行く余裕もなかったので通過、上から見てもガイドで見た通りの踏み跡の量、こういう人臭いところでいつも迷ってしまうので注意して車道を横断する。
ここで休んでしまうと里心がついてしまいそうだったので、その先の山工高小屋で休憩することにして先を急ぐ。目の粗いコンクリートで固められた上り坂を進むと右手に広場とY字に分岐があり、その先が小屋だった。14時…考えたが先に進むことにして、小屋だけ見学に行く。小屋はこじんまりとした薪ストーブのある小屋で、最近修繕が入ったのかクレオソート臭が周辺に漂っていた。
この小屋の前を通っているのが正規の登山道だったのだけれど、分岐にある道標はぼろくて字が読めずそのまま直進してしまったため、鉄柵のある建物までコンクリート舗装された道を疑問も持たず進んでしまった。車が数台停まっているものの建物外周は登山道っぽくなくなってしまった。刈り払いされていたのでそれに導かれたけれど、これは電線管理のための刈り払いだと理解し、しばし登山道を探して途方に暮れてしまう。山形側の思い切って進んでいくと、先ほどの小屋から続いているだろう軌道で登山道が合流した。
正規登山道はすぐにブナがメインの灌木帯に変わる。写真ではうまく映っていなかったけれど、午後遅い時間の陽光は黄色の葉を透過してくるので、ずっと黄色のトンネルの中を歩いているような状況。緩いこの登りは火山に多い感じの岩ゴロの感じ。この先で気になるのは、樋ノ沢避難小屋で同泊した方から聞いたこの登りの途中にあるという水場だ。自分の持っている2014年地図に表記はないけれど、関沢登山口からの分岐を過ぎて西側の沢形が道に寄ってくるあたりにあるとおっしゃっていた。確かに沢形が近づいてくる感じの地形ではあるけれど、市販の地図で水場表記が漏れるなんてことがあるのか?と正直疑いながら歩いてきた。きっとオフィシャルではない地元民のみぞ知るって感じの所まで入り込むのか?なんて思っていると、ルートすぐ脇に小さい流れが出てきたところで、向かって左側の木の上に『水』と表記がある青い鉄板を発見!本当にルートすぐ脇だった。けれどあまりに水量が乏しく、いくつかのたまり水を経ているので水質に不安があり、汲むのをやめてしまった。途中で会う人皆さんが『火山だから浸透して抜けてしまう。』と言っていたこの山域で、主稜線ルートから近い貴重な水場なのは確かだ。時期を選べば問題なく汲めるでしょう。
カケスガ峰でもう一本の笹谷峠から上がってくるルートを合わせると前山の巻道になる。これが刈り払いしてはあるものの長い笹の根元が残る片斜面で結構長い。雨が降ったら面倒くさそうだ。
巻き終わると滑川コースとの分岐で、正面に蟻の戸渡のヤセ尾根が立ちはだかる。夕闇の中、小灌木のロープが設置してあるヤセ尾根を急ぎ、雁戸山に到着する。夕日で焼けた紅葉や広い頂上からの眺めなどなかなかいい山なのに、ほとんど休むことなく南雁戸山へ向かう。南へは地図上で大した距離でもないからコースタイム間違ってんだろ?くらいに思っており、正直結構ナメていた。稜線は一気に落ち込み30分では無理だろうと判断、かなり暗いのでヘッデン行動にする。もうよく覚えていないが森林限界のキレット状になった登山道を急ぎ、南雁戸山の肩に乗る。ここからPまでの間の眺めが最高すぎた。山形市内の夜景がものすごくよかったけれど、次は絶対昼間に訪れてみたい。
写真を撮ってすぐに出発、今までとは違う突然広い尾根に変化する。ガレ場と記載のある砂礫地に出るとどこでも歩けるような感じで、急に道がわからなくなる。歩いていて地面の硬さが急に柔らかくなったことで間違いとわかり、元に戻って足元が硬く締まっている個所を探りながら進む。どちらかというと山形側の灌木帯との境目を進むと登山道を見つけることができた。灌木がルート上に張り出すように生えており、頭をひかっかけながら傾斜のない山道を進むと急に分岐が出現し、小屋が出現した。
中に入るととても広く、石油ストーブやでかい囲炉裏状のものもある。ないのは水だけだ。二階にも横長の窓があって周囲の木々よりも高い位置なので、日の出や日の入りなども見える感じで、とても気の利いたつくりになっている。先客はおらず、広く使わせていただいた。皆さんが口々に行っていた通り、素晴らしい小屋でした。雁戸山も合わせてもう一度訪れてみたい。
/19 昨日の行動が思いの外長く寝坊してしまった。名号峰へは樹林帯内の登りで、結構時間のかかる区間だった。広く平坦な名号峰Pは、この主稜線を通して花崗岩の露出した日本庭園のようなピークで、熊野岳側はもう紅葉も終わりで殺風景な感じ。振り返って雁戸山方向は茶色の絨毯が広がっている。北側から見て顕著な雁戸山のピークはこちらから見ればちょっとした突起でしかない。
熊野岳に向かって火山の山にあるような石や砂礫の道を進みハイマツが出てくると日本庭園風になる。そして砂礫のみの道に出ると風が強くなってくる。ガスるとまるで目印がないのでコースにロープが張ってある。稜線という感じではない頂稜に乗ると半袖では寒すぎて、いったん熊野岳避難小屋に逃げ込んだ。ほぼ平らでここをピークとしてもいいかななんて思う山容だったので、神社のある山頂を往復するか迷ったけれど、けじめとして行かなくてはいけないと思い直し出発。こんなに風が強くても観光客は結構歩いている。こちらも社務所ではなく避難小屋があったので、時間短縮のためにこちらで休めばよかったと後悔した。
急に人臭くなった砂礫で丸裸の登山道をお釜に向かって下る。薄曇りのため火口湖の色は今一つ映えない感じだったけれど、このスケール感はすごい。レストハウスに入り、水の確保をしたくて施設の人に聞くと、ここで汲んでいいよと言って事務所に連れて行ってくれた。そして一番不安だったのが北蔵王エリアに入るとっつきの登山道、それも聞けば丁寧に教えていただけた。
車両誘導のおじさんにも確認して目指すは第4駐車場、道標が欲しいところだけれど何の表示もない。一番はずれの駐車場に料金所方面に降りていく階段があり、それを下ってゆくと有料道路をショートカットし料金所の手前に飛び出す。視界が良ければ南方向に下った先に北蔵王連峰の大きな水色の案内看板が見えている。料金所の所から入る登山道はあまり人が通っていないのか、少し灌木がかぶり気味だった。
案内看板に着くとそこから先の登山道は整備されたばかりで、なにやら樹脂状のものに木材破片を混ぜて固めたものが登山道に敷かれている。この先、芝桜平の木道整備中と看板もあった。下り加減でこの道に入ると刈田峠避難小屋が正面に見えている。とりあえず小屋に寄ってみると高床式の少し古い小屋だった。
今日の行程も結構時間がタイトなので、不忘山の往復ができるのかそうではないのか微妙な感じ。あまりゆっくり歩いている暇はない。実際この先どの程度時間がかかるのか気になり、下山してくる人を捕まえてはコースタイムを聞き、エボシスキー場のゴンドラは動いているのかなども情報収集した。話を聞かせていただいた方々、ありがとうございました。
オオシラビソ帯を抜けると風が強い。山の感じはなだらかな針葉樹林の南側よりも、自分的には北蔵王の広葉樹林の方が好きだ。杉ヶ峰は広く展望も良いけれど、ゆっくりできなかった。完走しなくてはというモードになってくると、義務感に追われてしまい結構つまらない。下って行くと芝草平、かなり広い湿地帯で幅広の木道が設置されている。現在は新しい木道と交換工事の最中だ。もし不忘山を往復すると予定の場所まではたどり着けない感じなので、ここまで戻って天泊でもいいかなと思った。
屏風岳に向かって緩く登りになり、ろうづめ平への分岐に荷物をデポし不忘山へ向かう。ダラダラ登りで屛風岳にもなかなか到着しない。気持ちが折れかかったとき、急に南側斜面が切れ落ち、ものすごい展望が開ける。するとほどなくして屛風岳に到着した。足元斜面に紅葉の絨毯が広がっており、とても眺めがよい。正直ダークホース的な山で掘り出し物を見つけた感じだ。急にここで終わりでいいんじゃないかと気持ちが折れかかる。それでも先に進む。
南屛風岳も山形側の展望がよく、ここもいいところだと思った。そして不忘山に…いい山なんだろうけれど、いまさらながら結構下っていくのがちょっとがっかりな感じのルート、アイハギノ峰で『もういいかな』という気分になってしまい、今回はここでやめることにした。戻る最中、屛風岳Pで泊まれば平らだし夜景も見えていいんじゃないかという誘惑に誘われたけれど、明日の天気が心配なのと楽したい気分にもなってきてしまったので、先に進むことを決めた。
ザックデポの分岐に戻って後烏帽子方面の登山道に入る。はじめ刈り払われていた道も急下降が始まる頃には笹が覆いかぶさってくる。明るいうちに戻ってこられて良かったと思った瞬間だ。急下降になるとトラロープが出てきてこれを伝って降りていく。すると突然木止めの階段が出現し、あれだけのボサで急に階段だったので少し驚いた。日陰で湿っているのでスリップに注意しながら降りていき、ろうづめ平近くはまばらな小灌木地帯でいいところだった。ただ水場がなく、蔵王山岳会所有の小屋付近ならきっと平坦で水場も近いと判断し先を進んだ。ところが地形図で見るよりも沢筋が深く、平坦なところなど見つからない。やっちまったかな?と思いつつ小屋を探して下ると、特に道標があるわけでもなく蛇行する沢の左岸に小屋の屋根が見えた。少し藪をこいで沢筋に降りて歩く。時期的に問題ないくらいの水量で、上がりやすいところから適当に灌木をつかんで登ると小屋に出た。水場も水深が浅く落ち葉が堆積した流れもない沢だったので、給水しなかった。樹林帯に建つ小屋は思っていたような開けた場所でもなく、地面も平坦なところがほとんどない。当然小屋も施錠されていたので、ここしかないという感じの草地に幕営させていただき、本日の行動を終了した。明日は何時から雨なのかな?
/20 出発時は曇りでも視界良好、小屋に達するための正規の踏み跡から右岸の登山道に復帰する。ピンクテープしか目印がない。後烏帽子経由で下山しようと思っていたけれど、人間楽な方になびくものでそのまま沢筋を下って下山とする。左手に沢の切れ込みを見ながら下ってゆくほどに沢の水量は増していき、地形図で傾斜がなくなってくると枝沢が蛇行しながら合わさるってくると股窪分岐に到着する。この辺りは広い平坦地、ここまでくれば水も気にせずに泊まれたなぁ。烏帽子スキー場方面のみあまり刈り払われた感じではなく、ルートははっきりしているので山腹をトラバースしながら下ってゆく。徐々にではあるけれど標高を落としている感じ。しばらくして左手に澄川が見下ろせる段丘状のへりを進んでいくようになる。対岸の柱状節理と紅葉がきれいなところもあった。
スキー場のHPで夏のハイキングルートなども記載してあったけれど、地図と期待していたショートカット道が合致していない感じだ。結構下って倉石ヒュッテに到着、スキー場に向かって南に小沢をいくつか渡りながらトラバースしてゆくと烏帽子スキー場に飛び出した。よくあることだけれど、ここからゴンドラに向かっていく道がわからない。勘でゲレンデを登ってゆくとコースの分岐で下にゴンドラが見えた。よく考えると倉石ヒュッテから30分くらいたっている感じがしたので、そのまま歩いて下山してもよかったと思うけれど、楽な方になびいてしまう。でもゴンドラが動いていない…建物に入ると係員のお兄さんが出てきてゴンドラを動かしてくれた。そしてこのお兄さんにお勧め温泉施設を聞いて乗車した。
平日の下り傾向天気のため、山麓には誰もお客さんがいない。再び遠刈田温泉まで歩き始める。期待したものの誰に拾われるでもなく、道を間違えつつtも遠刈田温泉に到着した。やっとこの山域を歩くことができ、思っていた印象とは違う蔵王の山に再訪したいと思ったのは言うまでもないなぁ。
ちなみに観光協会では荷物も無料で保管してもらえ、温泉一覧をもらうと仙台行高速バスに間に合わせるべく入浴、昼食と温泉街を歩き回りました。次は温泉スキーで訪れたいですね。
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