男鹿岳(栗生沢林道より:残雪と藪との格闘…)
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- GPS
- 08:14
- 距離
- 19.9km
- 登り
- 1,474m
- 下り
- 1,477m
コースタイム
- 山行
- 8:32
- 休憩
- 1:16
- 合計
- 9:48
天候 | 早朝曇り、のち終日晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
大川峠までの林道は大規模崩落が3-4箇所、通行には支障ナシ。5月10日時点で、峠の手前1kmぐらい雪が残ってますが、問題なく歩けます。峠~栗石山の登降が本コース中一番の難関。途中まで夏道がしっかり、テープ多数で藪をかき分ければ容易に歩けます。残雪が本格的に現れる中腹から先、特に日々雪解け状況の変化する雪渓歩きの「出口」で道迷いのリスク大。頼りになる赤テープもこの区間は間欠的で、次のテープが見つからない場合もしばしば、顕著に見える踏跡を深追いしすぎて、進退窮まるような場面も(小生自身、登り・下り共に藪へ突っ込み、道なき道を脱出するのに30分近く格闘する羽目に)。藪ゾーンを無事突破すると、上部は結構な斜度の雪斜面。ピッケルは必ずしも必須でなく、雪の掘れる時期はストックで十分でしょうが、4本爪軽アイゼンだと若干不安あり、前爪付きが理想でしょう。 栗石山まで辿り着けば、山頂直下の一部藪歩きを除き、基本的には広めの稜線右側(男鹿岳の登り方向で見て)の高いところを歩けば、次の赤テープや進むべき方向が大体見えてきます。但し、鞍部からの登り返しのルートが(雪解け状況により時々刻々変わり)若干分かりにくいかも。 いずれにせよ、大川峠からの全コース通じ、単独行の場合は特にGPS等で現在地を確認できることが必須と思われますが、一旦藪に突っ込んでしまうと、スマホのGPSアプリも全く無力。最後は地図とコンパスに基づく読図力が求められます! |
その他周辺情報 | 田島から檜枝岐方面へ国道352号を4-5km走ると、会津高原温泉「夢の湯」で日帰り入浴可。大人一人500円、内湯のみ(無料休憩室利用は午後3時まで)。会津特産の土産品等の購入は、日光・塩原方面へ国道400号を数疏った道の駅・田島にて。(夜7時まで営業。) |
写真
感想
那須・塩原や南会津の山域を歩くと、その大きな山容や中腹の「未完の忘れられたスーパー林道」塩那道路の爪痕が印象的な男鹿山塊。その「盟主」男鹿岳は名山ハンターならずとも久恋の遥かな山ながら、残雪期限定、長い林道歩き、藪漕ぎとルーファイ必至、と種々の高いハードルあり、ツアー実行の決断がなかなかできませんでした。今シーズンも、連休前半の先達各位の「充実」のレコを拝見するうち、そろそろ中腹の雪解けが進み、夏藪に道が閉ざされるタイムリミットか、と感じた大型連休明けの週末、好天続きに背中を押されるように単独行を決断。疲労回復と渋滞回避を考慮し、当初計画では土曜日帰りの予定が、悪天予報のため一日順延、土曜夕方から愛車を飛ばし出撃。付き合ってくれる酔狂な山トモもなく、スマホにGPSアプリを仕込み、予備のモバイルバッテリも準備し、万全を期して西那須野ICより南会津へ。田島のスーパー(夜9時まで営業)にて食料を調達、初日は栗生沢林道ゲート前で仮眠。
前夜は星がキレイに見えたものの、午前4時過ぎに起床してみると空は曇天、風強く、他に到着する車もなく不安が募ります。腹ごしらえを済ませ、気合いを入れ5時過ぎに勇躍出発するも、15分ほど歩いたところでスマホと予備バッテリをつなぐケーブルを忘れたことに気づき、車へ取りに戻る失態。いきなり30分ロスのダメージを負うものの、天候は徐々に回復、新緑と遠い尾根筋の残雪が青空に映えて少し元気を取り戻します。片道7.5kmの長い林道歩きも、何カ所かの崩落地点、程よい距離で出現する目印の橋(オーガ沢、男鹿沢、白糸)が適度なアクセントとなり、最後は足跡も消えた残雪の上をザクザク歩いて、2時間20分弱で「登山口」の大川峠到着。
ここで態勢を立て直し、名物の廃車をパチリ撮影、右横の比較的しっかりしたトレースに足を踏み入れます。次第に笹藪は濃くなるものの、かき分ければ踏跡は明瞭、適度に新しい赤テープも現れて、順調に高度を稼ぎます。ところが、雪渓が現れ、藪歩きとの境目に差し掛かるあたりから、テープが次第に頼りなくなり、特に雪渓の「出口」で次のテープを見つけるのが至難に。よりルートロスのリスクが高い下りに備え、目印となりそうな白肌や捻れなど特徴的な木をスマホに記録しつつ、段々と傾斜の増す斜面をよじ登るうち、ついに完全藪漕ぎ状態に。笹の薄そうなゾーンに突っ込み格闘すること20分弱、何とかテープのあるルートに復帰、程なく雪の上を登るコースに。相変わらず靴跡は皆無、斜度も増して、栗石山直下で4本爪の軽アイゼン装着。この日はステップキックも効き何とかなったものの、下りの安全も考えるとやはり先人のレコ通り、連休前後は10〜12本の前爪付きが無難のようです(ピッケルは持参したものの結局使わず)。
藪と戯れた?せいもあり、標準タイムを大幅オーバー、大川峠から2時間弱で栗石山到着。当然のように無人ですが、ここまで来ると、標高的にも距離的にも目指す男鹿岳は指呼の間。気力回復してテープに導かれ、両鋒をつなぐ稜線ルートへ。最初数分は雪がなく、しばしの藪歩きとなりますが、鞍部手前からは残雪の上の快適なコースに。二重山稜的な区間も、目印のテープが適度に現れ、基本的には男鹿岳に向かって右側の小高いところを歩けばOK。ここへ来て、弱々しいながらも先人の靴跡が出現、これと交差するように小動物(冬眠明けのクマではないと信じたい…)の足跡も現れます。先を辿ると、ヒトは真っすぐ山頂を目指し登っていくものの、動物はピークには目もくれずに山腹を巻くコースへ。それぞれの「目的」の違いが透けて見え、思わず微笑ましくなります。
そんなこんなで、青空の下、眩しい照り返しに目を細めながら、最後は比較的スムーズに雪の斜面をクリア、ゲートから5時間余でついに久恋の男鹿岳山頂到達。頂稜は幅広く、奥のピークからは未だ多くの残雪を纏った男鹿山塊の盟主・大佐飛山がどっしり聳え、その左には対照的に雪解けも進み、観光客で溢れているだろう那須連山のパノラマが堪能できます。すっかり満足しつつ、証拠写真を自撮り、スピーディに昼食を済ませ、無人の山頂を後にして、長い下山にかかります。
栗石山までは目印も多く、拍子抜けするぐらいの快調なペース。ところが、好事魔多しの言葉通り、本日唯一の多人数パーティと雪道・藪の境目付近ですれ違ったあたりから、コースを向かって右にやや振りすぎ、顕著な踏跡に引き込まれるように下った末、尾根上の小ピークでとうとう進退窮まり立ち往生。周囲の地形から、初めて大川峠への尾根ルートを外れたことを思い知り、GPSで現在位置確認を試みるも、濃い藪に阻まれ、電波受信もままなりません。やむなく笹や低木を必死で掴みながら、斜面をへづること20分強、ようやく尾根上の正規ルートに復帰しましたが、先人レコのアドバイス通り、良い子には決してオススメできない脱出法でした(反省…)。
ともかくも、ほぼ当初計画通りのタイムで大川峠帰着、ホッとしてフルーツ缶のプチご褒美。帰路の長い林道歩きも、テンションMaxの心身クールダウンにはちょうど良く、途中の沢で水浴びしたり、雪と藪の苦闘で汚れたアイゼンやスパッツを洗ったりしながら、まったりと林道を下っていきます。男鹿沢手前で山菜取りのオジサンお二人と行き会い、栗石山の直下ですれ違ったパーティが10人連れの東京からの団体と知ります。単純計算で小生よりも約2時間遅い登降ペースで、あの分かりにくいコースを明るいうちに下りて来られるだろうか、と少々心配になりつつも、当方は快調に林道をのし歩き、3時前にはゴール帰着。待機されていた団体さんチャーターのバス運転手さんとしばし雑談、山岳ガイド氏は同行なしながら、朝7時過ぎにゲート出発、リーダーさんがベテラン風のようで、一行下山後に東京まで送り届けた後、バス会社のある日光まで今日中に戻られる由。当方も他人事ではないものの、誠に御苦労様でございます…。
ともあれ、会津高原の日帰り温泉にて汗を流し、道の駅・田島で南会津の特産品をしっかりと買い込んで、鬼怒川・日光街道を走り抜け、ほとんど渋滞もなく(眠気との戦いはハンパなかったものの)まともな時間に我が家へ帰り着いたのでした。
ということで、久々のロングウォーク、更に藪漕ぎとルーファイ、残雪登降の末の大展望と、いつになく達成感・充足感いっぱいの山行でした。ただ、今回は無事生還できたものの、残雪の状況やルーファイの難しさ、GPSの無力さから、単独行ながら二度までもルートロスの「危うい橋」を渡ったことは、今後の大いなる反省材料となりました。名山巡礼の方は、これからもルートなし、残雪期限定の手強い山々が控えており(というか、必然的にそういう山ばかりが残ってしまいます…)、今後は事前の準備やパートナー探し、当日の臨機応変なルート選定など、慎重かつ万全の対応に努めたく思います。。
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