多々良木ダムから行者岳周回


- GPS
- 06:09
- 距離
- 5.6km
- 登り
- 626m
- 下り
- 627m
コースタイム
- 山行
- 5:20
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 6:10
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登路は整備されているが険路。下山路はバリエーションルート。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
アイゼン
|
---|
感想
この週末、土曜日は強風予想で”てんくら”ではどこも軒並みCがついている。日曜日も”てんくら”ではCが目立つが、予想天気図をみると南に中心を持つ高気圧が日本列島を覆うことになっている。どうみても日曜日は山行日和である。しかも、気候の区分で日本海側になる地域も、この日は好天に恵まれるだろう。1月半ばに日本海側の天気がいいのは極めて稀。この機会を逃す手はない。ここのところ「ふるさと兵庫100山」に意識が向いていて、すでに83座まで行っている。残っている山の多くは日本海側に属する但馬地域にある。この日曜日はそんな但馬の山を訪ねるチャンスといえる。但馬のうち、最も南に位置する朝来に行者岳という山があり、これがふるさと兵庫100山のうちの未踏の一座である。ヤマレコ の楽ルートで予定線を引けるのは、南にある岩屋観音から往復するプランだ。当初は安易にこのプランで予定を立てていたが、ちょっと調べてみると、山の名から推察される修験道の定番はどうやら北から登るものらしい。行者の足跡を辿る現在のルートとしては、多々良木ダムから取り付くものがあり、それなりに行者の道らしく岩場を越えていくようなのである。となれば、多々良木ダムからがおもしろかろう。ということで、最初のプランは反故にして、多々良木ダム起点のコースを立てる。下山路は隣の尾根を使って周回できそうだ(ただし、ちゃんとした道はないかも)。
土曜日には午後、自宅あたりでも雹が降り、朝来は雪が降った。冠雪した行場ルートというのは不安を誘うが、ある種のアドベンチャーへの期待もあって、多々良木ダムへと向かう。途中、播但道を北に車で走るにつれて、周囲の山々は白さを増し、里も雪化粧しているのだった。今シーズンは暖かい日が続いていたので、積雪の山行は今日が最初だ。俄に緊張感が高まる。「念の為」と思ってアイゼンを車に運んでおいたが、今日はこれを背負っていくことになろう。
多々良木ダムの小さな駐車場に車を停めると、湖面から蒸気が立ち上っている。周囲の山々は雪化粧をして、雲ひとつない青空を背景にとして一際凛とした雰囲気である。正面にツンととんがった目立つピークを擁する尾根が見え、ははー、あれを登るんだな、と直感する。その姿は大峯の大日山を想起させるものがあり、修験道のメッカ、大峯への想いが、ここ但馬に行者山を生んだのかと想像したりする。
ダムを渡って対岸に渡るが、アスファルトの表面が凍っている。対岸にわたってすぐ、右手の法面に階段が見え、帰路はここに降りつくんだな、と思いながら、行者道の登り口へと向かう。木々は雪と霧氷で飾り付けされて、美しく光っている。
駐車スペース奥の「行者岳→」の真新しい看板を見て林道後跡に入ると、すぐに山道となる。トラバース気味に登って行き、小尾根の末端に乗ると稜線をまっすぐに登るようになる。周囲は広葉樹を主体とする灌木林で眺望が得られ、但馬・宍粟の山々を見晴らしながら登る。道端には石仏がところどころに立ち、これが確かに修験の道であると知る。行く手には件の大日山もどき、が駿立している。見た目にはとても上れそうもない傾斜に見えるのだが、案外登れるのだろう。途中で同年輩?の単独行の男性が抜かして行った。この雪の中、登る人が他にいるのかと励まされる。
足元の雪は次第に密になり、積雪5センチ、雪溜まりだと10センチくらいだろうか。このくらいの積雪が、一番厄介だ。新雪はアイゼンが効かないし、雪の下は岩が多く、さらに落ち葉がある。落ち葉や木の根に歯が引っかかってバランスを崩しやすい。それでもスリップ止めにはなるので持参したが、靴のままで登りはこなそうと思う。
大岩が姿を現し、「危険注意」の看板を見る。岩の脇のバンドを抜けたり、トラロープのある急傾斜を登っていく。普段はつかわないトラロープだが、今日は雪で激しくスリップしまくりなので、ありがたくお借りしつつ、大日山もどきを登る。最初のピークに着いて、これがあのてっぺんにと思うと、その先も似たような岩の急登が続き、ピークを超えていくのだった。そして金属階段まで登場し、これも大峯のコピーみたい、などと思う。下に見える多々良ダム湖の眺めも秀逸である。やがて目前に岸壁が現れ、「行者堂→」の道標を見る。それに従って岸壁のfootに沿ってトラバースすると平坦地があり、そこに聳える岩の下に「行者堂跡」と書かれた祠がある。その裏の大岸壁にできたクラックにアルミ階段がいくつか置かれていて、行者がこのクラックを上るのかと思うが、さらに登ったところで右手から岩の隙間にトラロープが張られたルートが合するので、ここにつながっていたのか、と思う。我々は祠の前を引き返して尾根にのる道を辿る。少し進むと、尾根の左手に巨大な岩が立ち上がり「のぞき岩」の表示がある。あの岩のてっぺんに乗って半身を乗り出し、下界を俯瞰する行をするところだな、大峯にもある、と思いつつ進むと、岩盤をまっすぐ上る場所になる。これを登り切ったところが、先のクラックルートとの出合であった。すぐに傾斜は緩み、行者岳への登りとなる。ここは幅広な斜面をまっすぐに上るが滑る滑る。そして大きな尾根に乗り上げると、下山予定ルートを右に分け、行者岳山頂に達した。山頂裏には反射板が設置されている。小広くなった山頂部はしかし、眺望はあまり良くはなく、反射板のせいなのか陽もささないので、先の分岐点に戻って昼食とする。これからは下山なので、アイゼンを装着だ。この分岐の先がなかなか厄介である。雪がなければ問題ないところと思うが、岩に落ち葉が累積して新雪だ積もっている。両側は激しく落ち込んでいて、アイゼンの歯を引っ掛けて転倒でもしようものなら一巻の終わりだ。ここはそろりそろりの滑り台でしのぐ。今日一番の緊張場面だ。この後は、傾斜も緩んで、アイゼンが滑り止めとして機能してくれた。ただし、すぐにべっとりと落ち葉ごと雪がくっつくので、こまめにはらいながら進む。こちらはバリエーションなので、トラロープサポートや道標は一切ない。
尾根の下はルートを外しやすい。慎重に判断しつつ下っていく。この尾根で唯一の三角点峰を過ぎて次の独標を過ぎたところで我々は右に折れるがここが分かりにくい。古びたベンチ(尾根上から見えるかどうかは不明)があるところから崩壊した木組階段がダム横までついているが、斜面に無理やりつけた道で、もはやおおむね使えない。危なっかしいトラバースの末、右の谷におりて湖岸道路に出ると、やはり朝の予感通りの場所であった。
新雪を被った行者岳、距離や標高差では推し測れないアドベンチャラスな山行となり、疲労感とともに充実感に満たされた山行となった。無事帰れてよかったあ。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する