【武尊作戦】武尊山〜前武尊【乙43.5】
- GPS
- 09:05
- 距離
- 18.7km
- 登り
- 1,760m
- 下り
- 1,782m
コースタイム
- 山行
- 8:01
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 9:06
天候 | 晴れ(早朝は快晴、後、雲増える) 風は適度 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
前日の雨と雪融けにより、ほぼ全面的に濡れている。 武尊山への尾根ルート、沢ルートともに土砂が流れて大きな段差になっており、木の根や岩を掴んでよじ登らないといけない。尾根ルートは積雪、沢ルートは泥濘が加わり、いずれも下りに難儀すると思われる(沢ルートは実際に難儀した)。 稜線は残雪と高度感ある岩稜歩きが楽しい。前武尊前の剣ヶ峰は立入禁止の模様でロープが格子状に張ってある。 |
その他周辺情報 | 上牧風和の湯 裏見ノ滝は裏を見ることができない。改称すべき。 |
写真
感想
7日は晴れそうだ。ただそれだけで家を飛び出した。梅雨本番前の滑り込み。果たしてその成果は、類稀なる絶好の、雪と緑と青空の、危なくも清く楽しい上信越の山々。
【駐車スペース】
『関東の山あるき100選』1版によると、武尊神社前にゲートがあり、「一般車通行禁止」とのことだったが、ゲートは撤去され、代わりに「自己責任」で通行するよう書かれた看板がある。武尊神社から林道終点まではダートで、何箇所か擦れ違いできる所があり、終点に十数台停められるスペースがある。
【武尊山】
日の出を待って林道を歩き始めると、血が溜まっているのか、右脚のふくらはぎが痛む。眠りが浅いと良くない。そのため、最初は気張らず焦らず歩いていく。と、結構なスピードで歩く男性に追い抜かされる。朝一番からコンディションを整えるのはなかなか難しい。
前半は所々足場の悪い所があるが、比較的歩きやすい。あちこちに沢が流れ、水量の豊富な山であることが分かる。そのためか、土が流れてしまっている箇所も。前日雨が降ったということもあり、道は全面的に濡れている。とは言っても、下りに使ったルートに比べれば、まだましな方だった。
手小屋沢避難小屋で麓からずっと先行していた男性を追い越し、斜面の雪原に立つ。
残雪の状況は、カチコチではなく、かといって腐ってもおらず、アイゼン等無しでも歩いていける。ただし、それでも雪の上であることに変わりはない。油断は禁物だ。
雪上から山頂部に近づくにつれて傾斜がきつさを増すのが見て取れるが、実際、雪を過ぎれば垂直な岩の上りが連続する。その岩を上るにつれて、どんどん周囲の山々の展望が開け、そして山頂に到る。
快晴の空、360度の展望。落ち着いて静かな山頂。燧ケ岳、至仏山から日光白根山、皇海山、赤城山、榛名山、谷川連峰等々、ぐるっと一巡できる。山の同定標があるので、どれがどの山かを確認するのも比較的楽だ。家を出るときは若干遠出を逡巡した瞬間もあったが、思い立って来て良かった。しかも、梅雨先の貴重な晴れの日というのが実に良い。ビューティフル。ワンダフル。
【武尊山〜前武尊の稜線】
日本武尊像までは岩脇の細い道で心細くなるのだが、その後。広い雪上歩きに気も大きくなる。中の岳は巻くことになるが、その直下にある笹清水は非常に美味である。最初口にしたとき甘く感じた。その後は、何も遮るものがない岩尾根の上を歩く。ここでようやく川場方面からの山行者と擦れ違い。以降、ポツポツと山行者と出会い始める。
家の串まで上り詰めた後、一旦鞍部へ下り、剣ヶ峰の岩峰群へ。その途上、泥濘の酷い箇所があり、足元に気をつけて歩いていたら、木の枝に強く前頭部をぶつけて眼の前に火花が散る。これは結構痛い。今でもタンコブができている。もし、こんなふうに頭をぶつけて昏倒でもしたら、これも遭難になるなあと思いながら、頭を撫でる。
そうした中でも、岩峰の上に上る鎖を見つけたのは幸いだった。ここで上らなければ、歩きにくい巻き道歩きになるので上っておいた方が良い。といっても、最後、祠のあるピークから剣ヶ峰直前の鞍部へは5、6mはある垂直の岩場を自らの手足のみを頼りに降りることになるので、岩場に慣れていない方は大人しく巻くか、一旦戻って、鎖のある所から下ることを推奨する。
剣ヶ峰は登頂禁止とばかりにロープで厳重にブロックされている。上れないことはないように思うのだが、やはり滑落や落石が多発した結果だろう。大人しく巻くが、刈り払われた笹の茎が結構残って道上に横倒しになっており、これが気をつけないと横に滑って仕方がない。足の置き場を慎重に考えながら歩を進め、前武尊に到る。
前武尊には続々と山行者が集結し、一休みしたり武尊山へ向って出発したりしている。
私も軽食休憩の後、再度武尊山へ。先ほど頭をぶつけた木の枝の所は注意して通過したが、家の串を過ぎた辺りで、今度は頭頂部を強打。こう何度も頭をぶつけては脳に良いはずもない。「シャクティパット」と独りごちながら頭をポンポン叩く。
そういう事故はあったものの、北方、上越の冠雪した稜線を眺めながら歩くのは楽しいものだった。
【武尊山〜剣ヶ峰】
再度武尊山頂で憩う。もう山頂は南から北から集まった山行者で賑わっている。賑わっているといってもせいぜい十数人。静かな賑わいといったところで、それが私の気に入った。上空は雲が増えたといえどもなお青い空が頭上を覆っている。赤城や日光白根等南方は既に雲が大きくなって山頂付近に滞留している感じだが、直上では雲は流れ、また、上越国境の稜線上空はなお青い。なかなか佳い日に来たものだ。
前日にセブンイレブンで購入したどら焼きを食べて山頂を後にする。剣ヶ峰経由での下山。こちらの剣ヶ峰も一旦下ってから登り返す。それぞれピーク何だから当然だが、結構下る。特に山頂直下はガレた急坂だ。しかし、後から振り返ってみれば、この上り下りも大して苦にしてはいなかった。ガレ場下りが終わり、残雪歩きに移ろうかという頃、先行する女性がこける。季節の変わり目の体調不良と同じく、道の変わり目の転倒にも気をつけないといけない。
雪と泥濘とちょっとした急登をこなしつつ剣ヶ峰に肉薄する。尾根上をアプローチするのかと思いきや、道は途中で巻き、下降点分岐から岩のごろつく急登を100mほど行けば剣ヶ峰の山頂である。武尊山から見たとおり、尖ったピークの突き出した山なので展望は良い。雲の増えた南方の山を初め、今回歩いた武尊〜前武尊の稜線、そして晴れの続く上越国境の山々と、朝からずっと霞む西側の榛名方面をぐるりんこと眺め渡す。
【下山】
下山は剣ヶ峰ルート。武尊山は尾根筋を上って沢筋を下るのが一般的なようで、それに従う。事前に地図を見、また、武尊の山域を歩くなかで、この下りのコースは大変だぞということは覚悟していた。残雪こそないものの土砂が流れて大きくなった段差の道は、やはり濡れてグッチョングッチョンであり、多くの人に踏まれてよく耕されている。焦りは禁物、一歩一歩、足の置き場を慎重に見極めて、また、万一滑ったときでもすぐに体勢を回復できるよう木の枝や根を掴みながら降りる。
焦りは禁物と書いたが、焦りを与えるのも禁物だ。難易度の高い箇所では起こりがちだが、後ろから人が来てピタッと間を詰めてくると、程度の差はあれ後ろを気にしてしまうものだ。そこで、焦ったり急いだりするとかえって危険なことになってしまう。そのため、私はある程度前の人と距離を空けることにしている。また、自分自身が距離を詰められるのを非常に気にするため、後ろから人が接近してきて、これは遅かれ早かれ追いつかれるなという時は、追いつかれる前に休憩をとったりするなどして先に行ってもらう。
人によっては「この泥濘の急段差の道がいつまで続くのだろう」と思ったりするのだろうが、眼の前の道、一歩一歩に集中していると、そんな考えが全く浮かんでこない。慎重に降りて行ったら何時の間にか道はなだらかに落ち着き、泥濘は軽く浅くなっていた。
道が落ち着いてくれば間もなく武尊沢、武尊沢で靴の泥を落とし、もう暫く歩けば人の手の入った区域に出て、下山は近い。
最後、武尊神社に今回の御礼を差し上げ、裏見の滝を見て山行終了。
夏山の前哨戦は、かくして成功裡の内に、頭をぶつけたりしたものの、何とか無事に終了した。しかし、これから陽射しも暑さも厳しくなる。油断することなく、また、無理をすることなく、夏山を楽しんでいきたい。
〜おしまい〜
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