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Yamareco

記録ID: 6564684
全員に公開
アルパインクライミング
八ヶ岳・蓼科

八ヶ岳冬期クライミング中山尾根

2024年03月17日(日) [日帰り]
 - 拍手
yy0419 その他1人
体力度
3
日帰りが可能
GPS
10:20
距離
11.5km
登り
846m
下り
1,578m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
7:19
休憩
2:45
合計
10:04
5:53
22
6:15
6:21
189
9:30
10:52
9
11:01
11:03
10
11:13
11:16
29
11:45
11:47
9
11:56
11:56
68
13:04
14:00
32
14:32
14:32
24
14:56
15:01
3
15:04
15:08
4
15:12
15:12
26
15:38
15:38
12
15:50
15:53
1
15:54
15:56
1
15:57
ゴール地点
天候 曇りのち霧&小雪
過去天気図(気象庁) 2024年03月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
美濃戸口駐車場利用 1日1台1,000円
美濃戸までの林道は積雪で轍がかなり深くなっているので、車高の高い車でないと厳しいと思います。日中解けた雪が朝晩凍るので4WDにチェーン装着が原則でしょう。
日曜日の帰りの中央道の渋滞がだいぶ長くなってきました。いよいよ冬も終わりのようです。
コース状況/
危険箇所等
 中山乗越からのアプローチは踏み跡あり。取付までは樹林帯の傾斜の緩い登りが大半を占め、小同心クラックと比べてアプローチは楽で安全。
 下部岩壁は右の凹角ではなく、正面の元薀襦璽箸鯀択。見た目以上に出だしが難しく、加えて岩壁を登り切って左に回り込んでから立ち木の終了点までのクラックのあるスラブが、ベルグラがあったりしてかなり悪く、緊張感のあるクライミングを強いられました。個人的には全ルートを通しての核心に感じました。
 200mの雪稜は一度ロープを解いてお互いにフリーで登り、上部岩壁にぶち当たったところの広い平坦地で再びロープを結びます。
 上部岩壁は凹角部で1P、ハング越えで1Pの全2Pですが、ハング越え直後に終了点があり、そこまででも40mくらいで足りるので、十分リンク可能です。凹角はそれなりにホールドもあり、難しい感じはありません。ハング越えもガバホールドが十分にあるので、アイゼン&グローブの冬期登攀でもさほど難しさを感じずに突破できました。
 上部岩壁上の40mの岩稜帯はハング越え直後の支点からでも45m程度で届きました。ロープ確保の必要性はないですが、ちょうど1P分の距離なのでスタカットで登りました。
 最上部の岩壁に到着した時は強風に加えガスがかかり、小雪も混じるようなひどいコンディションになってしまったので、直上ルートを取らずに最終ピッチをトラバースして縦走路に出るルート取りを選択。実質最終ピッチのピナクルまでのルートは右側から入って左にある岩稜を乗り超すようなルート取りをしましたが、乗越部分がハング越えのような感覚でそれなりに楽しめました。終了点はピナクルの裏側に回り込んだところ。
 最後のトラバースは一応ロープを出したまま行きましたが、終了点も無いし、危険個所も皆無なのでピナクルの終了点で解除してしまって全く問題ありませんでした。
 全体として中山尾根は小同心クラックとくらべるとクライミング要素がグッと高くなり、それなりの技術が必要なルートです。その分、終了点をはじめ残置支点はかなり豊富にあるなど、ルートとしての整備状況は抜群なので、その辺は安心して壁にアタックできます。冬にこれだけまともな壁を登れるルートとして、なかなか貴重なルートではないでしょうか。
 縦走路に出るともはや暴風が吹き荒れ、ガスで見通しも聞かないため、一般ルートなのにルートに迷うようなところをいくつか感じました。地蔵尾根の下りも視界が悪く足元がよく見えない状況で、ここで事故が多い理由がなんとなくわかりました。業者小屋まで下りるとさすがに安全地帯になりますが、ここまで誰ともすれ違いませんでした。ちょっと悪天候になると八ヶ岳はめっきり人が減りますね。
赤岳鉱泉を出て間もなくすると横岳がズラリと姿を現します
2024年03月17日 05:53撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 5:53
赤岳鉱泉を出て間もなくすると横岳がズラリと姿を現します
石尊稜への分岐地点
予想通り石尊稜や三叉峰ルンゼへの踏み跡なし。
2024年03月17日 05:58撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 5:58
石尊稜への分岐地点
予想通り石尊稜や三叉峰ルンゼへの踏み跡なし。
中山乗越
ここから中山尾根に入ります。
2024年03月17日 06:08撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 6:08
中山乗越
ここから中山尾根に入ります。
針葉樹林帯を抜けると下部岩峰が正面に立ちはだかります
後方は中山尾根の終了点となる日ノ岳。
2024年03月17日 06:48撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 6:48
針葉樹林帯を抜けると下部岩峰が正面に立ちはだかります
後方は中山尾根の終了点となる日ノ岳。
下部岩壁取付
2024年03月17日 07:00撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 7:00
下部岩壁取付
取付からの下部岩壁
こちらは正面のフェース。右に回り込むと凹角(卦蕁)ですが、支点も十分あるので、このフェースから登りました。ですが、見た目よりずっと難しかったです。尚且つ左に回り込んでからの立ち木までのクラックのあるスラブ状の壁が、ベルグラがあったりガバが無かったりで、非常に嫌らしく、今日一の核心でした。
2024年03月17日 07:01撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 7:01
取付からの下部岩壁
こちらは正面のフェース。右に回り込むと凹角(卦蕁)ですが、支点も十分あるので、このフェースから登りました。ですが、見た目よりずっと難しかったです。尚且つ左に回り込んでからの立ち木までのクラックのあるスラブ状の壁が、ベルグラがあったりガバが無かったりで、非常に嫌らしく、今日一の核心でした。
取付から振り返った中山尾根(アプローチ)
2024年03月17日 07:02撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 7:02
取付から振り返った中山尾根(アプローチ)
取付からの阿弥陀岳
この時はまだ高曇りのような天気だったのですが…
2024年03月17日 07:02撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 7:02
取付からの阿弥陀岳
この時はまだ高曇りのような天気だったのですが…
1P目後半
クラックのあるスラブ状の壁
立っていない分、雪がついて凍り付くのか、ベルグラがあったりしてホールドが悪く、見た目以上に難しいピッチでした。途中でピッチを切れる支点有。
2024年03月17日 08:03撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 8:03
1P目後半
クラックのあるスラブ状の壁
立っていない分、雪がついて凍り付くのか、ベルグラがあったりしてホールドが悪く、見た目以上に難しいピッチでした。途中でピッチを切れる支点有。
1P目終了点の立ち木
2024年03月17日 08:03撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 8:03
1P目終了点の立ち木
核心を越える
2024年03月17日 08:03撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 8:03
核心を越える
200mの雪稜
ロープ確保しないで歩くバリエーションの感じ。灌木混じりの草付から岩稜まで有。
2024年03月17日 08:29撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 8:29
200mの雪稜
ロープ確保しないで歩くバリエーションの感じ。灌木混じりの草付から岩稜まで有。
上部岩壁が見えてきました
2024年03月17日 08:31撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 8:31
上部岩壁が見えてきました
ナイフリッジの雪稜
阿弥陀岳北稜ならポイントになるようなところですが、中山尾根では何でもないところ。
2024年03月17日 08:34撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 8:34
ナイフリッジの雪稜
阿弥陀岳北稜ならポイントになるようなところですが、中山尾根では何でもないところ。
なんだか雲が厚く垂れこめてきています。風も強くなってきています。これで今日本当に暖かくなるの?
2024年03月17日 08:34撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 8:34
なんだか雲が厚く垂れこめてきています。風も強くなってきています。これで今日本当に暖かくなるの?
上部岩壁取付から
中央の凹状からルーフになったドン詰まりまで行き、そこから左にハングを越えて中央上のピナクルの右に抜け出ます。
2024年03月17日 08:34撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 8:34
上部岩壁取付から
中央の凹状からルーフになったドン詰まりまで行き、そこから左にハングを越えて中央上のピナクルの右に抜け出ます。
1P目終了点から振り返り
2024年03月17日 09:02撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 9:02
1P目終了点から振り返り
1P目終了点からハングの様子
ホールドもあり、支点も十分取れるので、恐怖心はあまり感じません。
2024年03月17日 09:08撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 9:08
1P目終了点からハングの様子
ホールドもあり、支点も十分取れるので、恐怖心はあまり感じません。
縦画像だと足を置く場所も確認できます。
前歯2本分だけがえぐれたような岩が時々ありますが、意外にいいホールドになります。
2024年03月17日 09:08撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 9:08
縦画像だと足を置く場所も確認できます。
前歯2本分だけがえぐれたような岩が時々ありますが、意外にいいホールドになります。
ハング越えにチャレンジ
2024年03月17日 09:21撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 9:21
ハング越えにチャレンジ
岩混じりの雪稜
天気がヤバいです。
2024年03月17日 09:45撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 9:45
岩混じりの雪稜
天気がヤバいです。
実質最終ピッチ
ピナクルに続く岩稜を乗り越したところ。天気が良ければもっとじっくり楽しめたのに…
2024年03月17日 10:14撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 10:14
実質最終ピッチ
ピナクルに続く岩稜を乗り越したところ。天気が良ければもっとじっくり楽しめたのに…
ピナクル裏にある実質最終ピッチの終了点
2024年03月17日 10:15撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 10:15
ピナクル裏にある実質最終ピッチの終了点
トラバースルートの様子なのですが、もはや不鮮明でなんだかわかりません。トラバースルートはロープ不要でした。
2024年03月17日 10:16撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 10:16
トラバースルートの様子なのですが、もはや不鮮明でなんだかわかりません。トラバースルートはロープ不要でした。
日ノ岳への最終ピッチはここを登っていくようなのですが、天候不良のためトラバースルートを選択
2024年03月17日 10:16撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 10:16
日ノ岳への最終ピッチはここを登っていくようなのですが、天候不良のためトラバースルートを選択
行者小屋まで下りてきて一安心
2024年03月17日 11:37撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 11:37
行者小屋まで下りてきて一安心
貼りっぱなしだったテント内で昼食を済ませたのち、撤収して下山。もはや赤岳鉱泉でもガスがかかり始めました。
2024年03月17日 13:55撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 13:55
貼りっぱなしだったテント内で昼食を済ませたのち、撤収して下山。もはや赤岳鉱泉でもガスがかかり始めました。
美濃戸の分岐点
まだ雪がこれだけあります。
2024年03月17日 15:00撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
3/17 15:00
美濃戸の分岐点
まだ雪がこれだけあります。

感想

 山行2日目は満を持して目的の中山尾根へ。入山前の天気予報では暖かく穏やかな天気になるはずなのですが、朝から上空は薄曇り。気温は朝こそ高めに感じましたが、時間の経過とともに天候は悪化を一途をたどり、中山尾根を登り切って主稜線に出たときには雪混じりの暴風と化していました。寒さで環付のスクリューが回らなくなるほど。前夜に鉱泉内で天気予報チェックをしていたら、天気が下り坂だとわかったかもしれませんが、知らぬが仏とはこのこと。貸切の中山尾根を天候が悪化する直前に登り切れて結果的に良かったです。クライミング中よりも一般ルートに出てからの方が危険を感じるくらいでした。春の天候変化の激しさを実感する1日でした。2日間欲張った割には順調な行程で行動でき、八ヶ岳山荘で余韻に浸りながら体に染み渡るおいしいコーヒーをいただいて締めくくる、満足度の高い山行になりました。

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体力レベル
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