鷲の巣山ー太郎山ー井戸沢山、久慈川右岸、奥久慈
- GPS
- 06:14
- 距離
- 13.0km
- 登り
- 795m
- 下り
- 793m
コースタイム
- 山行
- 5:15
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 6:05
天候 | 晴れのちくもり、下山とほぼ同時に雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
鷲の巣山の登山口を見つけるのに少し難儀します。駅から町道をしばらく歩いた後に国道118号に合流し、橋(奥久慈橋)を渡ります。少し歩くと左手のコンクリ護岸に「うるしの森」の緑の標識があるのでそれにしたがって舗装道路を歩きます。 あとは分岐ごとに「鷲巣山」の小さい標識が出てくるのでそれをたどります。舗装道路は最終的に農家のお宅の前に続きます。入っていいのか心配になるかもしれませんが、標識に加えて県北ロングトレイルの標柱もあります。ここからはお茶畑に挟まれた農道をたどると鷲の巣山の標識が次々現れるのでそれに従います。山頂までは若干の急下降、急登があります。 鷲の巣山から太郎山までは稜線の明瞭な踏み跡をたどります。枝道が多く出ているので地図とGPSで現在位置を確認しながら進みます。最終的に仏沢沿いに続く林道と合流します。地図上では林道は途切れていますが、実際には稜線まで続いていました。 筆者は太郎山の山頂直下まで林道を使いましたがうっかり山頂へのルートをを通り過ぎてしまい引き返すことになってしまいました。山頂へ向かう踏み跡の標識が出ているので見落とさないようにします。 太郎山山頂にはレーダーか何かの施設があり、おそらく三角点も施設内にあるのではないかと考えていますが実際のところはわかりません。ここから井戸沢へ抜ける道がわかりにくいところです。施設の正面ゲートの右を柵沿いに歩き、施設裏の薮の中へもぐりこみます。一応踏み跡は明瞭ですが、例によって枝道もいくつかありますので、現在位置と、できればヤマレコのトレースを見ながら、計画通りの道であることを確認します。 井戸沢山から登山口までは急激な下りがあるので転倒しないように気をつけるとともに、ここも道迷いしやすいところなのでヤマレコのトレースを活用します。 |
写真
装備
備考 | スマホGPS、ヘッドランプ、雨具、タオル、ハンカチ、目薬、鼻薬、目出し帽、靴下ミトン、ゴム引き軍手(商品名「タフレッド」)、水、行動食 |
---|
感想
今年初のイワウチワと、そしてショウジョウバカマを見る幸運を授かった。今度花を見に山へ行こう。
ーーーー以下は自分のためのメモ。ーーーー
2023年度の冬季奥久慈登山は、布団から抜け出せないという序盤の難所をなかなか通過できなかった。バリエーションルートをやることに恐怖を感じたことも理由のひとつだが、単純に暖かい布団の誘惑に負けてしまったことが主な理由だ。そうかと行っていつまでも朝寝を楽しみたいわけでもなく、朝日が出てくれば活動欲がむずむずと湧いてくる。しかし日が出てからの行動ではどうしても時間的に制約を受けるから、もう一度早出の習慣を取り戻さなければならない。「朝」練、つまり朝活動する練習が必要だと感じていた。
前回、3日前の3月17日日曜日のブナの木ルンゼの前衛峰で筋肉痛がひどかった。この山行では最大の難所を1年越しで何とか通過したが、通過してみると難所はまだ続くことを確認して撤退したのであった。しかし次なる工夫をいろいろ考えていたところもあり、薮が発達しだす前、寒さが残っている今日くらいが今シーズンのラストチャンスかなと考えていた(今週末は山にはいけない)。
当初は本日水曜日は雨の予報が出ていたが、前日に曇りの予報に変わっていたし、これはやれるのではないかとも考えた。しかし最終的には見送ることにした。予想天気図を見ると、結構強い低気圧が通過することになっている、予報では曇りになっていても山では降るかも知れないし、強風もちょっとごめんだ。そしてこれらの気象的要素が、筋肉痛でひいひいしている自分に、そんなことしなくたっていいじゃんという悪魔(いや天使か?)の意見に力を貸した格好になり、登はんは見送ったのだ。
そんなわけで今回は朝連。起きたら最低限の荷物だけ持って家を暗いうちに出る。そのリズムを取り戻すことだけを重視した。年寄りだから目が覚めるのは早い。4時少し前に床を抜け、勢いで着替えと最低限の荷作りを済ませて暗いうちに家を出た。とりあえずここまでできれば本日の「朝」練は成功だ。
あとは軽くどこかを歩きさえすればいいが、それをする気は十分にあるし、ぐんぐん早くなっている薄明の時刻も味方してくれた。118号に乗ると右側の方角に街灯の明かりのような気配を感じてチラ見したら、奥久慈の山々の向こうの空が紫色から淡い白色に輝き始めていた。
今日は迷った末に鷲の巣山に決めた。長距離山道を歩かなくていい。男体山界隈はこの冬ずっと歩き続けている。月居山まで歩けるかどうかは今の身体のダメージの状態では良くわからない。鷲の巣山を下山したあとは118号沿いを歩くのだが、久慈川の景色を見るのは悪くないし。鷲の巣山のナイフリッジを最後に眺めて帰るのは気持ちがいい経験だ。
日がずいぶん長くなったとはいえ、上小川駅に到着した5時過ぎはまだ暗かった。モルゲンロートになりかけた右岸の山を眺めつつ足ごしらえなどしていると汽笛が聞こえてきた。待ち伏せしたわけでもないのに例によって水郡線の到着に間に合ってしまった。5時10分ごろだから、登りの始発列車だったのだろう。汽車に好かれているのか、自分の体内時計に水郡線のダイヤが組み込まれているのか。
歩き出す。もうあとは黙って歩くだけだと歩き出す。薄暗いこんな時刻にもうジョギングをしている人がいる。散歩している人がいる。向こうから見れば、こんな時刻にハイキングを始める人がいると驚いているのかもしれないが。
夜中からというほどの早出ではないが、夜明け前に歩き出すのは楽しいことを体と心が再確認した。3月とは思えないような寒さだが、薄明とともに鳥が鳴き出す。ウグイスをのさえずりが春らしくて楽しい。ピークは越したと思うが、梅の木もまだまだ真っ白だ。左手を見れば右岸の山々が目に入る。男体山山頂から見えるぽっこりした山容を間近に感じることができるのも楽しい。男体山界隈の厳めしいたたずまいに比べると、里山らしく優しく暖かいたたずまいを感じる。
118号に出てしばらく歩き、久慈川を渡ると、しばらく路地を歩いて農家の軒先から、茶畑の横を通るようにして登山道へ突入する。ちょうど一年前に初めてここに来たときにはその道順が良くわからなくて、無意味に藪こぎをしたり、沢みたいなところを歩いたりと、登山道に入るまでに1時間くらいさまよってしまった。鷲の巣山が楽しいハイキングコースだということを良く知らなかったから、こんなナイフリッジがある山はきっと普段ひとの入る山ではないに違いないなどと考えていたこも理由のひとつかもしれない。ヤマレコで事前によく記録を調べてみればなんてことのない快適なハイキングだったのだが。それも今となっては酸味の利いた楽しい思い出だ。
登山道に突入するところは、ちょっと薮みたいに見えるところもあって、こっちに行っていいのかと思うのだが、正しく歩いている限り実際に藪こぎをすることはなく、快適に歩ける。朝の山歩きの練習としてはちょうど良く、気持ちがいい。鳥の鳴き声がうるさいくらいだ。
カレンダー的には春だけれども寒かった。愛用の靴下ミトンから登山用のタフレッドへの切り替えをする気にならない。本来は靴下ミトンで通過するのは危険なのだが、冷たさに負けてしまって靴下ミトンのままで通過してしまった。ごく簡単な岩場なのだが、ホールドを取りづらくて少し難儀した。
この岩稜を登りきると、118号から見える「頂上」に到着する。寒くて手がかじかんでいくのには閉口したが、眺望を楽しみながらチョコレート休憩した。ともすると山頂の眺望がベストだと考えてしまいがちだが、実際にはこのナイフリッジのピークが一番の眺望点だと思う。大子、大宮の人里が久慈川の浸食と土砂の堆積によってできた狭い平地に密集していることが良くわかる。久慈川の蛇行も面白いが交通的には難所であったに違いない。
水郡線の線路が見える、ここからは鉄道模型でも見ているような感じだ。水郡線はたまにSLを走らせるときがある。そんなときにここから鉄道鑑賞したら、山里を走る蒸気機関車が山里に煙を吐きながらのんびりと走る様を楽しむことができるのだろう。
もうひとつの見ものは、筆者がイノシシと呼んでいる無名峰だ。林道をうろついている大型のイノシシの丸っこい背中のようなたたずまいを見せる里山は、登山欲をかきたてる。ヤマレコの足跡を見てみると、記録も残っているようだし、取り付きのような林道も確かあったと思う。冬にちょっと歩きに行くには面白いハイキングコースだろう。
この眺望点から、鷲の巣山の山頂へ到達するにはまだ深めのアップダウンをひとつ二つ繰り返さなければならない。今日は鷲の巣山を登っておしまいだと思っていたのだが、ナイフリッジの頂点を過ぎて体が温まってくると、スタートのときの体の重さはどこかに行ってしまい、朝のさわやかな空気にも後押しされて、もっと奥まで行ってみようというと決めた。目的地は太郎山だ。
前回の太郎山は春の大型連休に久慈川右岸を県境まで歩くというかなりクレイジーなハイキングの終盤に通過したものだった。そのときのつらい印象を体が覚えているのと、地形図を見ると太郎山までの距離は結構あるように感じられたので少しためらわれもした。しかし地図によると太郎山を登ったらあとは林道を使って下山することもできそうな様子だったので、決行した。
歩いてみてよかった。楽しい。何か景色が美しかったりはなが咲き乱れたりしているわけでもないが、枯れ木や小枝を踏む音を聞きながら人気のない登山道、それもあまり薮の要素のない歩きやすい踏み跡を楽しみながら小ピークを越えたり尾根筋をたどったりすることがただただ楽しい。大子アルプス21峰でメンタルを鍛えてきたおかげか。その大子アルプスは昨秋の紅葉シーズン以来行っていない。体を作ってまたやってみたい。
里山歩きを楽しむうちに次の判断場所がやってきた。それは先に書いた林道への取り付きだ。地形図上は途中まで太目の林道が着ているものの、途切れている。アップダウンはないけれどもその切れたところまでは薮山になっているかもしれない。林道は沢筋に通っているから道があるなら難度は低そうなのだが。楽をして下山をするつもりが却ってバリエーションハイキングにななることもある。今日の装備を考えると避けたいところだし、果たしてどんな風になっているのか。
尾根道から杉林を透かして林道が見えて来た。そこで急斜面の中を這うようにして降りていったところ、地図上は道のないところに、作業道路程度のものではあるがしっかりした道が続いていた。途切れたところまで行ってみようと登っていくと小さな橋が有り、「頃藤林道」の銘版があった。どうやら開通はしていないものの道路工事が行われているか、かつて行われたところなのだろう。そう考えると、この林道を普通に下って上小川方面へ戻るのはなんだかつまらなく感じてきた。太郎山へ行って、昨年同様に井戸沢山を経て下山しようと予定を変更した。
この林道を詰めていったら、先ほど自分が歩いていた尾根道に合流していて、杉林の中のクライムダウンは必要がなかったことに気づいて苦笑した。
太郎山にはレーダーのような施設があって、近づくなって威嚇している。はじめてきたときにはここから井戸沢山へどう入ったものやら右往左往したものだ。わけが判っていると、同じ距離を歩く場合でも少ない疲労で済む。今日は天気も良好だし、新緑前の冬枯れの山は眺望も利くからご機嫌だ。
やや緩めのアップダウンを、枯葉を踏みしめる音も楽しみながら歩いた。視線は右側、久慈川右岸に広がる山々に注がれた。右岸の落ち着いた優しい山並みにそそられる。また県境まで歩いてみたい。今日のような葉の落ちた見通しの利く晴れた冬場に歩いてみたい。
井戸沢山の三角点を通過したあとは暫く急斜面の下降が続く。ここで小さな、しかし痛いアクシデント。下降中に右足で踏ん張ったら、親指がみしっと嫌な音を立てて痛みが走った。あわててかばう。幸い痛みは継続するものではなかったから、骨折のような重傷ではなさそうだが。それまでのようにどんどん歩くというわけにも行かず、右足の指先には力を入れないようにしながら、ぺたぺたと足を置くようにして高度を下げていった。
最後の眺望点で最後のチョコレート休憩を取った。昼近いわけだがかなり寒い。それに天気も下り坂だ。急いで下山しよう。
このあたりはもう一本道のはずだが、枝道は随所に出ていて、終盤でもこまめにGPSとヤマレコトレースで現在位置を確認した。その甲斐あってか、前回は終盤に藪こぎなどしたような記憶があるのだが、今回は道なき道を進むということはなく、林道に飛び出すことができた。
前回は上小川から、車を停めた下小川まで水郡線を使ったが、鉄道を使わない今回は路地の行き止まりおリスクを犯すことができるので、下山後に細い路地を縫いながら、上小川駅へのショートカットを試みた。一応成功したけれどもかなりごちゃごちゃと曲がりながら進んだので、何度も使って慣れている場合は別だが、経験が少なく、かつ時間が限られているときにこれを使うのは難しいと感じた。
上小川駅に到着すると、またもやめったにくることのない水郡線が到着した。そしてぽつぽつと雨が降り出した。汽車はともかく、雨が降り出す前に車に戻れたことは幸福だった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する