大杉谷と大台ヶ原山《近畿百名山》
![情報量の目安: S](https://yamareco.org/themes/bootstrap3/img/detail_level_S2.png)
![都道府県](/modules/yamainfo/images/icon_japan_white.png)
- GPS
- 11:12
- 距離
- 19.2km
- 登り
- 2,458m
- 下り
- 1,173m
コースタイム
- 山行
- 2:37
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 2:51
- 山行
- 6:13
- 休憩
- 1:46
- 合計
- 7:59
天候 | 1日目(11/22):晴れ 2日目(11/23):晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
下山:大台ヶ原駐車場から友人の車 |
その他周辺情報 | 入之波温泉\800 |
写真
感想
1日目(11/22): 晴れ
大杉谷へは三重県大台町三瀬谷駅が玄関となる。近鉄特急とJR特急“南紀号”を乗り継いで9時46分に駅に着くとエスパール交通のツアーバスが待っていた。20人乗り位のマイクロバスに乗って1時間30分で大杉谷登山口へと向かった。宮川ダムから先は車1台がやっと通れる道で宮川第三発電所の手前まで入ることができた。この日は9時50分発の臨時便を予約しておいたので定期便より40分早く登山口に着くことができた。先ずは腹拵えをして橋本さんを先頭に歩き始め、発電所を過ぎると忽ち渓谷の岩場に鎖が現れ期待が高まった。
10年ぶりの開通で登山道の整備は完璧で岩を削り、鎖を付け谷は吊橋が架けられていた。昭和54年に起きた吊橋落下事故訴訟で、無謀に多人数で渡った登山グループに4割の過失しか認められず、被告となった国・自治体の責任が大きく問われた。この後各地の危険な橋・登山道が閉鎖されてしまい、山屋には寂しい時代が訪れた。登山の自己責任は何処へ行ったのだろう。
最初の見せ場は大日堯覆世い砲舛阿蕁砲悩鹸澆膨ソ个靴紳臉篳匹圧巻だ。能谷、地獄谷を吊橋で渡った。巨岩のゴロゴロする大杉谷に辛うじて取り付けられた登山道は高巻きで結構アップダウンがある。日本三大渓谷と云われるだけあって流域は長く、谷間を埋める岩の大きさが違う。一つ一つが数メートルはあろうかと云う巨岩ばかりでその規模に圧倒された。日浦杉吊橋を渡り水越谷が右岸に合流し、台高山脈縦走路の父ヶ谷高から南東に流れる尾根の先端の張り出しを回り込むと右岸の頂上付近から斜面を流れ落ちる滝が見えた。これが千尋滝で落差は180mもある。頂上から流れ落ちると云ってもそう見えるだけで本当の山頂部ではあの流量はあり得ない。千尋谷の合流部であの迫力を見せていた。
谷間が迫って来て狭くなると獅子渕で、両側の絶壁の隙間から正面に嘉茂助谷が流れ込み、50mの落差を持つニコニコ滝が見えた。巨岩の隙間を潜って進むと何故か登山道に扉が設けられていた。こんな所にある理由が分からず、??? 休憩舎が設けられ滝をゆっくり鑑賞することができた。平等吊橋を渡り右岸に移ると左岸の大絶壁、平等瑤圧倒的な迫力で迫ってきた。谷に突き出した平等瑤魏鵑蟾むようにして進むと環境庁と三重県による「吉野熊野国立公園 大杉谷」の看板があり4人で記念撮影をした。
北から不動谷が合流し桃ノ木吊橋を渡ると今日の宿泊地桃ノ木小屋が谷間に張り付くように建っていた。何棟もあり定員は350人とある。道路が無いので南側の沖見高の中腹を走る大台林道からケーブルで荷物を運んでいるそうだ。谷間のふんだんにある水を生かしこの小屋にはお風呂がある。石鹸は使えないが汗を流せるのはありがたい。早く着いたので小さな庭で湯を沸かし汁粉とコーヒーを楽しみお風呂の時間を待った。夕食は2部制で暖かい食堂に入れず寒い所で食べることになってしまった。室内での火器使用は禁止されているので自炊する場所は小さな庭か河原しかないので自炊は考えない方が良さそうだ。雨が降ればお手上げだ。持ち込んだウイスキーでうだうだ過し20時の消灯と同時に寝に付いた。
2日目(11/23) :晴れ
小屋の朝食は6時からでフロント前には早い時間から行列ができていた。日の出は6時31分、明るくなったら歩き始めようと思っていたが混雑で出発は6時40分になった。Y川さんを先頭に昨日同様谷沿いの道を行く。南に向きを変えた大杉谷の左岸を進み20分程行くと七ッ釜滝が見えてきた。初めて出合う本流の滝で日本の滝百選に選ばれ、その名の如く滝壺(釜)が七つあり落差は120mある。ただ谷が湾曲しているので登山道からは3段しか見ることはできないのが残念。絶好の位置には休憩舎があり、今朝小屋を出発した人達で混雑していた。左岸の張出し尾根を高巻いて七ツ釜滝の高度を稼ぐが滝は見ることはできなかった。此処にも登山道に格子状の扉があった。
七ツ釜滝吊橋で右岸に渡り、尾根の張り出しを回り込むと大規模な崩壊地が見えてきた。10年前の台風で起きた最大の被災個所で最後に復旧した箇所でもある。スパッと切ったように尾根の半分が完全に崩壊し、大杉谷を埋めた。崩れ落ちた巨岩の隙間に登山道が付けられ通れるようになったが、大杉谷のこの部分は土砂で埋まってしまい大岩の下に伏流してしまいっている。
崩壊地を過ぎると光滝が前方に見えて来た。これも本流の滝で落差は40m、河原付近から見ることができる。滝の落口へと高巻くがもう滝は見えない。更に進み隠滝吊橋が見えて来ると橋の下に隠れるように隠滝が流れ落ちていた。左岸を高巻いて右岸の谷に与八郎滝を見るが樹木が邪魔してよく見えない。河原の岩場を少し下るとすっきりと姿が望めた。落差は40m、上部で二筋に分れ2段で流れ落ちている。堂倉吊橋を渡ると突然堰堤が現れた。道路もない険しい渓谷にどのようにして作ったのだろう不思議だ。登山口にあった宮川第三発電所への取水口で山中を穿ちトンネル水路が付けられていた。南側から堂倉谷が合流し堂倉滝吊橋で渡った。振り返ると堂倉滝があり先行の登山者が休憩していた。落差12mの此の滝は広い淵を伴い大杉谷の荒々しさが無く優雅だった。
大杉谷の谷道も此処までで、いよいよ尾根に取り付いた。堂倉谷と西谷の間の単調な尾根で、標高差400m足らずを登ると大台林道に達した。林道をそのまま進むと粟谷小屋だ。営業小屋で水場もあるが十分に持っているので粟谷小屋には立ち寄らず左側の階段を上がり尾根上の堂倉避難小屋へと向かった。大杉谷で追いつ追われつしていた若い男性が避難小屋から下りてきて水場に行くと云って粟谷小屋の方に消えて行った。小屋前で暫し休憩するが風があり寒いので中に入ると、9時を過ぎていると云うのに未だ宿泊者が残っており男性が出発準備中、大杉谷に行って再び戻って来ると云っていた。
小屋を出発すると近畿百名山シリーズ恒例のミッションで「P1525の位置特定」を意識してもらう。2卍先の標高点を現地で確認しようと云うもので、S字型の尾根を登って行く。コンパスを合わせ方向が変わる都度合わせ直し現在位置を確認しながら進んだ。粟谷小屋からの道が合流し何時しか石楠花の木が混じりだすとシャクナゲ坂と名付けられた尾根となった。転換点の目印にしていた1,430m程のピークは北側を巻いて通過し進行方向が西北西に変わった。石楠花の咲く頃はさぞ綺麗だろう。稜線が岩混じりとなり地図に現れない小さなコブに惑わされながらも“シャクナゲ平”と書かれた標識のある広場に到着した。標識前で女性二人が休憩中だった。P1525は此の北側のピークのようだ。30mほど藪を漕いでピークに立つが思ったとおり何もなかった。P1525は「シャクナゲ平」として「山」にカウントした。
暫し休憩して日出ヶ岳を目指した。明瞭な登山道を進んでいると先頭で歓声が上がった。なんとTさんだ! 大台ヶ原の駐車場から日出ヶ岳に登り我がパーティーとの遭遇を目論見下って来たと云う。楽しいサプライズだった。Tさんも一緒に引き返しパーティーは5人となり日出ヶ岳へと向かった。最後の斜面に取り付くと木が疎らになり笹原となってきた。此れは大台ヶ原の典型的な風景、山頂が近づいたことを実感した。嘗ての大台ヶ原の鬱蒼とした樹林に覆われていた。昭和34年の伊勢湾台風で倒され、山頂域は日光が入るようになりミヤコザサが繁茂しだした。これを食べる鹿が増え過ぎ樹木の皮を剥いで育たなくなってしまった。鹿の駆除が進められているようだが一旦破壊された自然の回復は容易ではなさそうだ。
10年間歩けなかった大杉谷を通って東側から日出ヶ岳(1,695m)山頂に到着した。台高山脈を縦走して最後に到着した9年前も大きな感動があった。此れは直下の駐車場から登った人には味わえないだろう。山頂には展望櫓があり360°の展望が得られる。空気が澄んで大峰山脈が一望できる。大日岳の鋭鋒から釈迦ヶ岳、八経ヶ岳、行者還岳、大普賢岳など奥駈道の山々が素晴らしい。理論的には富士山も見えるそうだが流石にそれは果たせなかった。
ゆっくり昼食を摂り、残りのミッション二つ「仙千代ヶ峰(1,100m)の山座同定」と「古ヶ丸山(1,211m)の山座同定」を行った。この2座は先週の近畿百名山シリーズで登った山だ。先ず仙千代ヶ峰で北東56°の方向に千丈山を従え、どっしりした山体を同定することができた。次の古ヶ丸山は一寸難解で北北東30°にあるが、手前の鯎谷高(うぐいだにのこう)が明瞭なピークを持ち誤認し易く、また後方の口迷岳とも重なったが何んとか同定することができた。
三重と奈良の県境を南下し正木ヶ嶺(1,685m’)を目指す。完璧に整備された木道が途切れることなく続き山頂に到った。山名が記されたものは無く、展望台があるが日出ヶ岳の展望と変り映えは無にので、P1641へと進んだ。ピークは巻いており尾鷲辻へと下った。
今日の目的はもう一つ、P1641の南にある堂倉山に足を伸ばすことだ。尾鷲辻で道を探していると堂倉小屋付近で会った男性が戻ってきた。時間が余るというので道中勧めておいた堂倉山を目指したそうだが、道があやふやで断念したと云う。踏み跡を辿って行くが谷を渡る処で道形は殆どなくなった。尾根を巻くように2.5万図に登山道が描かれているがややこしそうなので県境に沿って尾根を下ることにした。尾根の張出しの一寸したピークに標識がぶら下がっているので裏返して見てみると何んと「堂倉山」とある。全く間違った場所なので結ばれた紐を解き正しい箇所まで持って行くことにした。稜線は倒木が所々にあるが何処でも歩ける広い稜線だった。1,440m鞍部まで下り30m登り返すと堂倉山(1,470m’)に到着した。広い山頂域は樹林帯で展望は無いが山頂標識が掲げられていた。運んできた標識も枝に括りつけ記念撮影をした。これで今回予定の山は全て制覇した。
来た道を引き返し尾鷲辻に戻ると堤さん差し入れのバームクーヘンを頂いた。大台ヶ原バス停に向けて巻道を歩いた。大台ヶ原バス停には15:30のバスが待ち駐車場には未だ沢山の車が止まっていた。T氏車に同乗させてもらいし入之波(しおのは)温泉山鳩ノ湯(入浴料\800)に立寄った。受付は16時までで入ったのは1分前だった。帰路奈良市柏木の国道24号線沿いの王将で夕食を食べ21:15京都駅に着き解散した。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する