甲武東上戦(大菩薩嶺・大菩薩峠)【乙66.3】
- GPS
- 09:50
- 距離
- 34.7km
- 登り
- 2,011m
- 下り
- 2,375m
コースタイム
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年06月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
丸山荘直前までの登りが結構しんどい。 松姫峠から下った沢沿いの道は濡れているだけでなく脆い箇所多数。 近くの温泉: 大菩薩の湯 小菅の湯 数馬の湯 奥多摩の各温泉 等 |
写真
感想
大菩薩に参向しようとは数年前から思っていたが、この週末急遽赴くことになった。
当初、この週末は山梨方面へサイクリングに行こうかとも考えていたのだが、土曜日の天気がイマイチなため日曜日に何かしらやろうとなった時に、自転車より歩きの方がしんどくないだろう。行くとすれば山梨繋がりで大菩薩方面だろう。ということで、慌ただしく準備を整えた。
作戦概要
第一段作戦:大菩薩を丸川峠経由で北から南へ抜け涼を楽しむ。
第二段作戦:大菩薩から東京の三頭山を目指し、奥多摩三山コンプリート。
大菩薩-三頭山間の交通の便等を考えると、三頭山まで行くのが一番楽だ。
先日の第二次雲取山攻略戦時の雲取-三頭縦走突破計画に比べると距離的に短く、日の長さも十数分長くなっているので、作戦完遂は十分可能と思われた。
当日
0415時起床。
外を見るとどんより曇っている。大丈夫かしら。天気予報では快晴に近い筈だが。
武蔵小金井まで自転車で疾走。
0525時武蔵小金井駅発。
長距離戦につき、駅前で食糧を十分確保。
と、ここで、今回はおろしたてのズボンで臨んだのだが、改札を通ってホームへ出たところでベルトをし忘れていることに気づいた。
私は普段、荷物はベルトにぶら下げてフリーハンドで歩くので、ベルトが無いということは、荷物を手に持って歩かなければならないということだ。しかもベルトをしていない分ズボンがずり下がるので歩きにくくなると思われる。
どうしようか一瞬考えたが、もはや賽は投げられた。パフォーマンスが5%程度低下するだろうが、作戦の大勢に影響はしないと判断した。
中央本線を塩山駅まで行き、そこでバスに乗り換える。バス乗り場は南口である。数分遅れて発車したバスは、甲州盆地を見渡せる山道をゆっくりと進み、ほぼ定刻どおりに大菩薩登山口に到着した。塩山駅からここまで全区間300円。大菩薩付近下車なら走る距離を考えれば安いと思われる。
電車に乗っている時は、ずっと雲に覆われる山々ばかり目に入ってきたが、何故か日輪が燦燦と自分の頭上を照らす確信があった。バスに乗っている頃には雲の合間から陽光が降り注ぎ、空のいずれ晴れわたるであろうことを予感させた。
他の登山者には先に行っていただいて、用を足しておく。
0800時少し前に出発。丸川峠経由で大菩薩に向かう人は少ないようだ。
それもそのはずで、沢沿いの道は緩やかで楽だが、沢から離れたところで急登が始まった。所々一息つける所があるので何とか登れる。その急登も次第に段差が大きくなったり、でかい岩が出てきたりしてハードさを増す。
途中でへばっていた人が私を見て「すげえ軽装だなあ」と嘆息していたが振り返る余裕も無い。
「大菩薩だけで帰ろうかなあ」などと弱気になってきたところで急に別世界に入った。
今まで茂みの中の急坂を歩いていたのが、平坦な道になり、空が開けた。太陽は相変わらず我が頭上を照らしている。
新世界を堪能しつつ、何人かの登山者とすれ違ったところで丸川峠に到達した。今までとは打って変わって足取りが軽くなり、大菩薩嶺へ進発。
大菩薩嶺は展望は開けていないが落ち着ける良い所だ。標高2000mという感じがあまりしない。小休止の後、いよいよ大菩薩峠方面へ。
木立の中をしばらく歩くと、再び空間が急に広がった。しかも丸川峠付近のように徐々にではなく、ブワーッと一気に青い大パノラマが押し寄せてきた。
「何じゃこりゃあ!」と心の中で叫ぶ。鼓動も高鳴る。
この光景は、ジブリ映画『天空の城ラピュタ』で見た風景である。実写版ラピュタに自分がいるような意識になる。主人公たちが前人未到の天空に浮かぶラピュタに到達したシーンで流れた音楽が頭の中を流れる(youtube:「天空の城ラピュタ 天空之城 Laputa: Castle in the Sky - Part 2」で6:09くらいから演奏されている曲)。
それまであった、大菩薩を周るだけで帰ろうかなという考えは一挙に吹き飛び、最後の最後まで作戦を完遂せざるべからずという気持ちになった。
大菩薩湖の向こうに富士山頂がちょろっと見える。その周囲を大きな雲がまさに覆わんとしていた。何とか富士山が見えなくなる前には間に合ったわけだ。
富士山方面はぱっとしないが、北西方面は青く広がる大空と白くもっこりとした雲海の間に遠くの山まで見渡せる大スペクタクルが展開している。
雷岩から賽の河原まではその光景の壮大さと足場の悪さのためにゆっくりと歩を進める。
大菩薩峠の到達時刻から計算して、三頭山に到達するのも不可能ではないと思われた。第二段作戦発動である。その前に石丸峠で昼食休憩を摂った。
この石丸峠も大菩薩峠とは違った趣がある。大菩薩が一面に広がる空・雲・湖・山々を売りにすれば、こちらは笹一面の斜面に細い道が通り、そこを人々が隠れるか隠れないかといった感じで登ったり下ったりしている情景が心をひきつける。
栄養も摂ったとことでいよいよ東京に帰る。
これから下る道が牛の寝通りというのを道標で知る。牛の寝やら鶴寝やら、いろんなものが寝ている不思議な通りだ。
陽光と緑緑たる木の葉、笹と落ち葉、土、青い白に白い雲、彩り鮮やかな尾根道をひたすら東進。
大マテイの麓で道が二手に分かれていたので「日向みち」という方を選んだが、これはいわゆる巻き道であった。この日は日向を歩きたい気分だった。山頂はまた今度。
小菅の湯への分岐が数箇所あった。小菅の湯もなかなか良い湯だ。六湯スタンプラリー参加温泉の中でも上位の評価をしている。ここで下りるとすると帰りをどうするか前もって考えておかねばならないので、今後の課題として留意しておこう。
松姫峠に到達。車で何度か来たところだ。こんな奥地を歩いて通ることがあろうとは思っていなかったが、今、ここにいる。
ちょうどバスが停まっていた。楽をするならこれが最後の機会だろう。しかし当初予定に基づき、さらに歩を進める。
しかし、通常奈良倉山から鶴峠を通っていくところ、横着して下山を選ぶ。
おかげで滝や沢に心洗われたが、三頭山に登ることを考えれば失敗だった。
小菅村のはずれから沢沿いの道を登る計画である。地図上では道路の先に登山道が続いているはずだった。
しばらく歩くとすぐに標柱があった。地図上とは違うルートかと思いつつ、標柱のさす方向に進んだのだが、登山口と思しき所がいまいちよくわからん。沢を渡河すべきなのか、いきなり急登を這い上がればよいのか。後から省みれば、標柱がさしていたのは向山経由の道で登山口も三頭山の方角の方には無かったのだろう。
地図上にあると思われた、道路の先の登山道を目指すこととした。
しかし、道路の途切れるところにあったのは砂防ダム?の工事現場。
とても登山道があるようには見えなかったが、道ですらない砂利の上を行くと登山道らしい道が。勇んで進むもさらに奥の砂防ダムのところで行き止まり。工事用に作った道なのだろう。飲み物と体力の限界を感じつつあった。
この砂防ダムまで来る途中に、もう一箇所登山口と思しき箇所があったので、そこに最後の望みをつなぐこととした。
特段登山口とも何とも書いてなかったが、道がある。最後のひと踏ん張りと思って歩き続けたのだが、それまでの体力のロスや不安に急登のハードさが重なって、とても山行を楽しむどころではない。そうこうしているうちに沢に出て、道は途絶えた。沢登をしないといけないのかしら。
体力がありあまっていれば、道なき道もガシガシ歩けるが、もはや万事休す。引き返すこととした。
当初、三頭山を越えてバスに乗ることを考えていたが、途中挫折なので交通手段を求めて小菅村中心部を目指す。最悪歩いて奥多摩まで。
幸いバスはまだあった。
バス停でバスを待つ。ボンネットバスと書いてあったので、昔風のバスが来るのかしらと思っていたのだが、バスがぜんぜん来ない。予定時刻を10分ほど過ぎて、さっき通り過ぎた「宝くじ号」とかいうマイクロバスがそれだということに気づいた。それにしても、あのバスは私がバス停にいるのに減速もしなかった。軽くいらっとするが、どうしようもない。次のバスは一時間後なので、歩いてバスの時刻に間に合うところまで行くことにした。私は待つのが嫌いなのである。
結局、深山橋を経て、140mのトンネルを車が通らない頃合を見計らって走破。麦山バス停を越えてさらに行こうとしたところで、次のバス停に何人か並んでいたため麦山バス停で作戦を終えることとした。
道をロストした所はガイドブック等でも登山ルートとしては示されていない道だった。本作戦は横着したのが失敗の源である。次回再び訪れるときは必ず成功を期す。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する