記録ID: 7229546
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ハイキング
大雪山
ニペソツ山
2024年09月13日(金) [日帰り]
- GPS
- 11:45
- 距離
- 26.4km
- 登り
- 1,989m
- 下り
- 1,987m
コースタイム
日帰り
- 山行
- 10:53
- 休憩
- 0:53
- 合計
- 11:46
4:22
1分
スタート地点
7:09
7:27
16分
展望地
13:20
13:25
38分
展望地
15:45
15:55
12分
雨宿り
16:08
ゴール地点
天候 | 曇り時々晴れのち時雨 山頂付近はガスと暴風で身の危険を感じました(山頂を前にしばし岩を掴んで耐風姿勢を取らざるを得ないほどでした) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・ ゲートから林道を30分ほど歩くと登山口に到着します。昭文社の登山地図では所要時間1時間10分となっていますが,明らかにおかしいです。どんなにゆっくり歩いても,40分もあれば登山口に到着します。 ・ 林道から分かれて左手の登山道に入ると,しばらくは樹林帯の中の歩きとなります。特にこれといった特徴の無い登山道が続きますが,日高の山と異なり,指導標が設置され,登山道も整備がなされていて危険なところはありません。ヒグマに出会わないよう,定期的に笛を鳴らしながら歩きました。 ・ 三条沼で給水休憩し,幌加コース6.5km地点の看板を過ぎて登っていくと,左手が崩壊斜面となっていて前天狗からニペソツ山までの稜線が一望できる展望地に到着。ここまで登山開始から2時間50分ほどかかりました。この展望地で大休止。残念ながらニペソツ山はガスで隠れて見えませんでしたが,前天狗〜天狗岳の稜線は高度感があり,なかなかの迫力でした。 ・ 本日の登山の核心部は,ここから始まります。まず,1,662m峰を越え,前天狗の稜線までは,前半は巨岩や松の木の絡み合った歩きづらくスピードの上がらない登り道。その先,カール状の斜面を登っていくと,徐々に傾斜が増し,最後は何本ものロープが設置された「超」が付くほどのきつい登りとなります。落石も起こしやすいので注意が必要ですが,この日は私の他に登山者は誰もいなかったです。 ・ 前天狗の稜線に出ると,風景が一変します。岩場の間にウラシマツツジの美しい紅葉が広がり何とも良い雰囲気。ただし,この時は風が強まってきていて,のんびりと山岳風景を楽しむような余裕はありませんでした。岩の上を乗り越えて進んで行くと,前天狗の野営指定地に到着。携帯トイレブースが設置されていて,その手前の幕営地に一張りのテントが風でひっくり返った状態で放置されていました。中に重荷のザックが置かれているようで,風に飛ばされることはなかったです。このテント,下山時にすれ違ったNHK撮影クルーの手伝いをしていた大学生が,前日に設置していたテントとのことでした。明日の撮影のため,この日はここに宿泊するとのこと。 ・ 風は相変わらず強かったですが,視界は良好。ロックガーデンの上部に来ると,目指すニペソツ山の山頂部が天狗平の先に見えました。なかなか険しそう。さらに進んで,天狗平を過ぎ,天狗岳の西側をトラバースしていくと,初めてニペソツ山の全容が確認できました。その姿は稜線の先のピークと言うよりも,まさに独立峰の趣。特に天に突き刺すような山頂部は槍の穂先のように迫力がありました。最低鞍部である「ニペのコル」から山頂までの標高差は約300m。上空にはガスが流れ,風も強まってきていて不安を感じながら一歩一歩登っていきました。 ・ 山頂手前の稜線に出ると,西からの風がものすごい勢いで吹き付けてきました。それでもなんとか前に進みますが,あまりの暴風に岩を掴んでしばらく耐風姿勢。山頂直下での撤退が頭をよぎりました。しかしじっと耐風姿勢を続けていると,わずかながら風が弱まってきました。その隙を突いて山頂へ登り詰め,なんとか証拠写真を撮影。撮影後はすぐに下山開始しましたが,稜線の下りでは,風に飛ばされないよう,慎重に斜面を下りました。 ・ 山頂稜線の東側に下ってくると,西風が遮られてホッと一息。それでも強風が吹き付けていて油断はできません。とにかく一刻も早く安全な場所に降りることが最優先です。休憩も取らず天狗平〜ロックガーデン〜前天狗と登り返し,なんとか前天狗分岐に到着。すぐにロープを掴んで急斜面を下ります。カール状のところまで下れば,もう強風にさらされることはなくなり,ひと安心。 ・ その先は,展望地にてニペソツ山の最後の姿を写真に収め,樹林帯の中をとぼとぼと下るだけ。三条沼から15分ほど下ったところで,立派な角を生やした大きな牡のエゾシカと遭遇したときは驚きました。ヒグマではなくて良かった。 ・ 林道に出て中間付近を過ぎた頃に,突然雨に降られ,10分ほど木の下で雨宿りをさせられましたが,午後4時過ぎには無事に憧れのニペソツ山登山を終了することができました。 |
その他周辺情報 | ・ 登山の前泊は登山口駐車場を予定していましたが,24時間使用可能なトイレがあり,docomo回線も良好に繋がる国道273号線沿いの幌加除雪ステーション駐車場に変更しました。登山口からは4kmほど離れていますが,きれいな水洗トイレや飲み物の自販機もあり,静かで快適でした。翌日の石狩岳登山の前泊も,こちらを利用しました。なお,登山口駐車場ではdocomo回線は繋がりません。 ・ 下山後の入浴は登山口近くの幌加温泉を利用。入浴料は600円。シャワーやシャンプー&リンスなどはありません。石鹸のみ。男女混浴の温泉で,3種類の内湯と一つの露天風呂があります。男性5人に加え,30代くらいの女性一人も湯浴み姿で平然と入浴していて驚きました。 |
写真
感想
・ 2024年9月北海道の二百名山&三百名山の山旅3座目は,東大雪山系の最高峰であるニペソツ山に登りました。深田久弥はその著書の中で,ニペソツ山について「流れるガスの間に隠見するニペソツは,高く,そして気品があった。峨々たる岩峰を連ね,その中央にひときわ高く主峰のピラミッドが立っている。豪壮で優美,天下の名峰たるに恥じない。」と書いています。深田にして「天下の名峰」と言わしめたニペソツ山に自分は登れるのだろうか?これまで逡巡を繰り返すのみでしたが,老いが進む中,今回の北海道遠征を逃せば,生涯二度とチャンスは無いかもしれないとの思いでチャレンジし,なんとか登頂することができました。
・ 天狗岳付近から望むニペソツ山は,切り立った岩峰が天に突き刺す槍のように鋭く,その姿に圧倒されました。しかしながら山頂付近での暴風との戦いは熾烈でした。山頂手前の稜線に出ると,西からの風がものすごい勢いで吹き付けてきて,あまりの暴風に岩を掴んでしばらく耐風姿勢。山頂直下での撤退が頭をよぎりました。それでも我慢して待つこと数分,風の弱まった隙を突いて何とか山頂に立つことができました。単独での危険な登山だと指摘されるかもしれませんが,自分にとっては何にも代えがたい大切な登山であり,登頂を果たせたことに感無量です。
・ 年金世代になった私にとって,今後二度とこの山を登ることは無いと思いますが,私の胸にはこの山の強烈な記憶が刻まれました。この先,生涯に渡って,ニペソツ山に登れたことを誇りに思うことでしょう。
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