金剛山:三大急登に挑戦! 中尾の背↑ 想定外の事態が
- GPS
- 04:23
- 距離
- 8.1km
- 登り
- 881m
- 下り
- 838m
コースタイム
- 山行
- 3:55
- 休憩
- 0:42
- 合計
- 4:37
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【中尾の背】 ●取り付きまでのアプローチの沢歩きでルートがわかりづらい箇所がありました ●聞きしに勝る激登りが連続します ●六道の辻に出る前あたりで踏み跡が不明瞭となり、道なき道を登らなくてはならなくなりました(ルート取りを間違ったかもしれません) |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
地図(地形図)
コンパス
ヘッドランプ
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
ツェルト
常備薬
保険証
携帯
サングラス
タオル
カメラ
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感想
「金剛山三大急登」と呼ばれるルートのひとつ、中尾の背をやってきました。
雨続き明けの日曜日ということで、おそらく多くの人が繰り出すだろうと早めに行ったのですが、6時前ですでに駐車スペースはほぼ満杯。何とか最後の1台という感じでさわんど茶屋のところに車をとめてスタートしました。
中尾の背は今回が初めてです。バリエーションルートというべきルートでしょうから、道迷いに気をつけなければなりません。舗装路の林道が終わってから沢沿いに遡行していきます。基本的に踏み跡はしっかりしていて、危険箇所もとくにありません。
が、もうちょっとで中尾の背取り付きというところまできてルートがわからなくなりました。遡行していた沢に木の枝がテンコ盛りになっていて行き止まりという感じで、沢の両側の崖には登っていく踏み跡にも見えるものがどちら側にもあります。
どっちかを登るのだろうか? でも、まだ中尾の背取り付けに到達していないからおかしいな? などとGPSを見ながらぐずぐず考えていたら、あとから3人組がいらっしゃり、あっさりとテンコ盛りの木の枝をくぐって前進して行かれました。なるほど、そういうことだったのかと、大いに助かりました。適当に動かないで、ぐずぐずしていてよかったです。
しばらく進むと、中尾の背取り付けの三叉路に出ました。ほかの方のレコの写真で見覚えがあったのですぐわかりました。さあ、いよいよここから「金剛山三大急登」です。ザックから手袋を取り出して装着。木や岩、ロープなどをつかまなければ登れないでしょうからね。
登り始めから急登です。いや、急登を通り越して激登りというべき急傾斜です。やはり木の根や枝、幹、岩、ロープ等つかめるものは何でもフル活用しなければなりません。ロープは体重を預ける前にしっかり固定されているかどうか確認していきます。もしほどけたりしたら真っ逆さまですからね。
中尾の背は聞きしに勝るハードさで、感覚的にはほとんど垂直の壁みたいに感じる部分もあります。もはや里山の山登りではなく、アルピニズムの様相を呈しているといって過言ではありません。北アルプスの穂高エリアに岳沢から前穂に登る重太郎新道というルートがあります。北アルプス三大急登に匹敵するルートですが、地面が岩か土かの違いだけで、傾斜自体は重太郎新道とほとんど変わるところがありません。「すごい道だなぁ」とつい、つぶやいてしまいます。
根っこをつかみ、枝をつかみ、ロープをつかんで体を引き上げていきます。金剛山でアルピニズム様の登山を味わえるとは! なんと面白いことか。体も案外軽く上がってくれます。ほかならぬ金剛山に鍛えられたおかげです。この分だと、またアルプスへも行けるかもしれないな、などと妄想が膨らみます。
金剛山は、千早本道みたいな道もあれば、こんなルートもあり、とても同じ山とは思えない多様性ですね。改めて驚きの山だと思わないではいられません。
ところが。好事魔多しの諺通りのことが生じます。なんと、途中から何やらおなかがムカムカしてきたのです。この不快な感触は・・・・・・覚えがあります。これは、あの葛城山撤退のときと同じではないか!(↓参照)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5584287.html
非常によろしくありません。あのときの経験からして、このまま無理して登り続けてもひどくなるばかりと思われます。何ということか。足は大丈夫なのに、まさかおなかがダメになるとは! とにかく早めに休憩をとるしかありません。
ちょうどG2コールポイントに出たので、そこで休みます。困ったことになりました。どうしたものか。すでにかなり登ってしまったうえ、このド急傾斜をこの体調で引き返すのは困難と思われました。ということは、登り切るしかありません。ほかに選択肢はありません。だましだましでも頑張らなくてはならなくなりました。さっきまでの高揚感から一転、不安が心に広がります。
幸いなことに、行動食を食べて15分ほど休憩したらムカムカが収まり、なんとかなりそうです(シャリバテだったのかもしれません)。気を取り直して再出発。ペースを落とし、できるだけ体に負担がかからないように歩を進めて行きます。足を動かしてさえいれば、必ずゴールに到達するーー登山で得た教訓をこのときこそ心に蘇らせて自分を励まします。
その後、体調のほうは何とか維持できたのですが、再び問題が発生したのは六道の辻近くまできたときのこと。またルートがわからなくなりました。GPSと地図を見ると、六道の辻はすぐ上のようです。が、下っていく踏み跡(らしきもの)はあっても登る踏み跡がなく、なんか変です。忠実に踏み跡を辿ってきたつもりでしたが、どこかで間違ってしまったのかもしれません。
考えた末、斜面の道なき道を直登することに。これは「道に迷ったときは下ってはいけない、登る」という原則を一応踏まえた選択でもありました。結局、ほどなく太尾尾根からの道に合流してリカバリー成功、六道の辻へ出ることができました。やれやれ。ここまできたら、もう道に迷う心配はありません。
帰りは、体の不調がまだちょっと心配だったので青崩道で下ることに。これもいつもより少しペースを落として無事帰着することができました。
今回はまたしても謎のムカムカに襲われ、一時はどうしたものかと途方に暮れましたが、まあまあ何とか山行を終えることができました。それにしても、膝が痛くなったり、ムカムカが起こったりなど、終始ベストコンディションで山歩きできることが少なくなった気がします。これが寄る年波というやつでしょうか。困ったものです。
また、上記のように途中で2回ルートをロストしかけました。金剛山といえども道に迷い、深みにはまれば、それはもう立派な遭難です。ちょっと危ないところでした。
1回目は、後続の3人組が折よくきてくれてルートが判明したのはラッキー以外の何ものでもありませんでした。2回目は、結果論としてはリカバリーすることができましたが、直登の判断はベストではなかった可能性があります。より確実には「引き返す」がベストだったと思われます。
実際、金剛山では道に迷って遭難し、死に至っているケースもありますから、登り慣れた山といえども遭難のリスクには常に留意しておかなくてはならないと改めて認識し直した次第です。
そういうネガな部分も露呈しましたが(それはそれで教訓にはなるのですが)、今回はとにもかくにも金剛山三大急登のひとつを踏破することができました。そのことは素直に嬉しく思います。今回も金剛山に合掌です。
[追 記]
今回、中尾の背を歩いて感じたのは、このルートはバリエーションルートであり、初心者や初級者は踏み入らないほうがよいということ。一定の経験と技量の持ち主でなければ遭難の可能性があります(道標もほとんどありません)。以下の能力が求められます。
●体力と筋持久力:アルプス最大級の急登に匹敵する急傾斜が続きます。最後まで登り切れる体力と筋持久力がなければ途中で進退きわまることになります(私も上記の通り、途中で気分が悪くなりました。回復したのは運がよかっただけかもしれません)。
●登攀技能:場所によっては3点支持で登らなければならないところがあります。確実に3点支持で登攀できるスキルが必要です。
●ルートファインディング能力:ルートがわかりにくくなっている箇所があります。的確に進むべき道を見出せる能力が問われます(私も2度ルートを見失いかけました)。
●危機察知能力:「いますでに自分は遭難し始めているかもしれない」ということを敏感に察知できる力が必要です。遭難者の多くは、自分が遭難しかけていることに気づかず、深みにはまってシリアスな状況に陥っています。
●インシデント時の判断力:山中でインシデントが発生した際、冷静に的確な判断を下せる力量が必要です。インシデントに遭遇したとき、ただただ楽なほうの選択や安易な選択、拙速な選択をするのではなく、落ち着いて考えて正しくリカバリーできるスキルが求められます。とくに道に迷ったときに、下ってしまって遭難してしまうケースが多々あります(疲れているときに登るのはきついし、下りが帰路につながると考えて、ついつい下ってしまう)。
これらの能力がそなわっている人でなければ立ち入らないほうが無難だと感じました。かくいう私自身、へたをしたら遭難していた可能性があったように思います。低山だからという油断は禁物だと再認識しました。
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