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記録ID: 7494699
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沢登り
東海

【奥美濃】揖斐川西谷・三ノ又 探索 (ミノマタ〜鏡山〜上谷山経由で下山)

2024年11月16日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
15.3km
登り
1,829m
下り
1,829m

コースタイム

日帰り
山行
13:00
休憩
0:00
合計
13:00
4:30
130
漆原望郷広場
6:40
100
8:20
70
三ノ又本流に合流
9:30
80
徳山ダム湖に到達(引き返す)
10:50
30
530m二俣
11:20
200
530m二俣の右俣を偵察後,引き返す
14:40
60
15:40
40
16:20
70
17:30
漆原望郷広場
天候 曇りのち雨
過去天気図(気象庁) 2024年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
徳山会館の裏手にある漆原望郷広場に駐車(2〜3台駐車可能。これ以上停めると転回が難しくなる)。同広場から上谷山への登山道が続いている。
コース状況/
危険箇所等
【三ノ又(みのまた)】
・ 今回入った谷である揖斐川の西谷源流・三ノ又(みのまた)は,出合付近が徳山ダム湖に沈んでおり,ボートか山越えしかアプローチ手段がない。
・ ハイライトは下部で,河原を挟みながらも深い淵を湛えた美しいナメや滝がいくつか現れ,トチ(トチではないかも?樹種未確認)の大木などもあり,穏やかな渓相ながら十分満足できる。ダムのバックウォーターの直前まで美しい滝場が続いているので,この谷に分け入る際は是非そこまで下降してみてほしい。
・ 上部はいくつかの枝谷に分かれるが,今回は上谷山に突き上げる枝谷(下降路として使用),五蛇池山〜ミノマタ間にあるP1095に突き上げる枝谷,ミノマタ(△1100.9m)に突き上げる枝谷の三つを探った。いずれの枝谷もそれなりに滝が出てきて楽しめる。それほど難しくないが,時々両岸が立っていて巻きが悪い滝場が現れるので,装備は一応整えておいたほうが良い。
・ この谷は過去に伐採が入っており,一部植林も見られるが,全体的に自然林の割合が高く雰囲気は悪くない。不思議なことに,上部よりも下部に大木が残っている印象があった。

【ミノマタ(△1100.9m)〜鏡山〜上谷山の状況】
・ ミノマタは「三等・三ノ又」の三角点が埋設されており,今回探った三ノ又谷が山名の由来になった山と思われる(国土地理院HPの基準点成果等閲覧サービスでは点名が「三ツ又」となっているが,点の記を調べると明らかに「三ノ又」と書かれており,国土地理院の誤りではないだろうか)。
・ ミノマタ〜鏡山間はマーキングの類は全くなく踏み跡は薄いが,藪はそれほどでもなく稜線の西側に獣道も走っているので,それほど苦労せず歩ける。
・ 鏡山〜上谷山〜登山口の区間は概ねはっきりした踏み跡があり,マーキングもあるので普通に歩ける。鏡山手前の小ピーク付近が少し藪っぽいので注意するくらい。
夜明け前,ヘッデン頼りに徳山ダム湖畔の漆原望郷広場を出発。広場には上谷山登山口の看板あり。登山道は頻繁にマーキングがしてあり闇下でも問題ない。
夜明け前,ヘッデン頼りに徳山ダム湖畔の漆原望郷広場を出発。広場には上谷山登山口の看板あり。登山道は頻繁にマーキングがしてあり闇下でも問題ない。
上谷山山頂に到着する頃,ようやくしらじらと夜が明けた。
上谷山山頂に到着する頃,ようやくしらじらと夜が明けた。
山頂から直接,今回の目的の谷である,三ノ又へ下降。
山頂から直接,今回の目的の谷である,三ノ又へ下降。
大木こそのないものの,自然林に包まれて美しい谷。谷間にはまだ紅葉が残っていた。
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大木こそのないものの,自然林に包まれて美しい谷。谷間にはまだ紅葉が残っていた。
3〜5m程度の小滝が連続するが,クライムダウンor簡単な巻き下りで通過していける。
3〜5m程度の小滝が連続するが,クライムダウンor簡単な巻き下りで通過していける。
谷が狭まった中に小滝が連続
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谷が狭まった中に小滝が連続
おっと,ちょっと大きめの滝が出てきた。
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おっと,ちょっと大きめの滝が出てきた。
10mほどの2段の滝でした。
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10mほどの2段の滝でした。
下降すればするほど,滝が多く出てきて楽しい。
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下降すればするほど,滝が多く出てきて楽しい。
そしてついに,三ノ又の本流まで降りてきた。
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そしてついに,三ノ又の本流まで降りてきた。
水量豊富な明るい谷間で,ひと目見た瞬間に気に入ってしまった。まずは本流を下降してみようか。
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水量豊富な明るい谷間で,ひと目見た瞬間に気に入ってしまった。まずは本流を下降してみようか。
枝谷の上部では見られなかったトチやサワグルミの大木が点々とみられる。ダム完成以前は人里に近かったはずなのに,谷の下部のほうが大きな木が多いというのは何となく不思議だ。
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枝谷の上部では見られなかったトチやサワグルミの大木が点々とみられる。ダム完成以前は人里に近かったはずなのに,谷の下部のほうが大きな木が多いというのは何となく不思議だ。
穏やかだが美しい谷だ。歩いているだけで満足できる。
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穏やかだが美しい谷だ。歩いているだけで満足できる。
と,川岸にビックリするような巨木を発見!(トチノキかな,と思ったが,葉の形を見ると,どうもトチではない気がする)
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と,川岸にビックリするような巨木を発見!(トチノキかな,と思ったが,葉の形を見ると,どうもトチではない気がする)
巨樹の立つ清流の風景
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巨樹の立つ清流の風景
秋の恵みも
この谷は意外に岩盤が露出している箇所が多く,ナメが張っていて美しい。
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この谷は意外に岩盤が露出している箇所が多く,ナメが張っていて美しい。
最初は本流が平凡なのを確認したらすぐに引き返そうと思っていたのだが,意外に美しい渓相が続くので,引き返すことを忘れてどんどん下っていく。
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最初は本流が平凡なのを確認したらすぐに引き返そうと思っていたのだが,意外に美しい渓相が続くので,引き返すことを忘れてどんどん下っていく。
深い釜を持った2mほどの滝
深い釜を持った2mほどの滝
ナメっては淵へ
と,谷が少し険しくなったと思ったら,堂々たる滝が。
と,谷が少し険しくなったと思ったら,堂々たる滝が。
左岸から高巻いて滝下に降りると,深い淵を湛えた3mほどの堂々たる滝だった。夏場だったら淵を泳いで直登したら楽しいだろう。
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左岸から高巻いて滝下に降りると,深い淵を湛えた3mほどの堂々たる滝だった。夏場だったら淵を泳いで直登したら楽しいだろう。
地形図では穏やかな谷としか見えないのだが,けっこう滝場が出てきて驚くばかり。
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地形図では穏やかな谷としか見えないのだが,けっこう滝場が出てきて驚くばかり。
河原区間を挟みながらも,ナメと淵が渓谷美を織りなす。
河原区間を挟みながらも,ナメと淵が渓谷美を織りなす。
20mほどのナメ滝。盛夏ならスライダーからの泳ぎが楽しそうだが,さすがにこの時期なのでヘツリで通過
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20mほどのナメ滝。盛夏ならスライダーからの泳ぎが楽しそうだが,さすがにこの時期なのでヘツリで通過
もう終わりかな,と思う頃にまた美しいナメ滝が現れて,つい引き返すタイミングを失って下降を続けてしまう。
もう終わりかな,と思う頃にまた美しいナメ滝が現れて,つい引き返すタイミングを失って下降を続けてしまう。
まだ続く
切り立った川岸から覗き込む大トチのシルエットを見送って
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切り立った川岸から覗き込む大トチのシルエットを見送って
ナメとの散歩は続く
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ナメとの散歩は続く
川幅いっぱいに広がるナメと淵
川幅いっぱいに広がるナメと淵
堰堤のような横一直線の幅広滝
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堰堤のような横一直線の幅広滝
嬉しいことにまだ続く
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嬉しいことにまだ続く
真夏だったら泳ぎまくったら楽しいだろうなぁ
真夏だったら泳ぎまくったら楽しいだろうなぁ
そして淵とナメ
しかし,楽しかった逍遥も,ついに終わりが近づいたようだ。川床に土砂が堆積し始めた。明らかにダムのバックウォーターの影響だ。
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しかし,楽しかった逍遥も,ついに終わりが近づいたようだ。川床に土砂が堆積し始めた。明らかにダムのバックウォーターの影響だ。
ああ,あんなに美しかった谷が,沈んでいく…
ああ,あんなに美しかった谷が,沈んでいく…
唐突に目の前に現れた,徳山ダム湖。直前まで滝場が続いていたことから推測するに,このダム湖の下にも無数のナメや淵,そして滝が沈んでいるはずだ。
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唐突に目の前に現れた,徳山ダム湖。直前まで滝場が続いていたことから推測するに,このダム湖の下にも無数のナメや淵,そして滝が沈んでいるはずだ。
ダムの湖面に映り込んだ紅葉がきれいだが,この下に沈んでいる美しい谷の続きを考えると,何だか泣けてくる。
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ダムの湖面に映り込んだ紅葉がきれいだが,この下に沈んでいる美しい谷の続きを考えると,何だか泣けてくる。
さあ,上流へと引き返そう。
さあ,上流へと引き返そう。
上流へ向かうにつれて,ダム完成以前の時間へと映像を巻き戻していくように,谷は次第に美しい姿を取り戻していく。
上流へ向かうにつれて,ダム完成以前の時間へと映像を巻き戻していくように,谷は次第に美しい姿を取り戻していく。
下降してきた枝谷との出合まで戻り,今度はさらに上流へと遡行していく。
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下降してきた枝谷との出合まで戻り,今度はさらに上流へと遡行していく。
水量は少なくなり,さすがにさきほど見てきた下部よりは見劣りがするが,小滝やナメが出てきて悪くない。
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水量は少なくなり,さすがにさきほど見てきた下部よりは見劣りがするが,小滝やナメが出てきて悪くない。
紅葉の舞う秋の谷を遡っていく
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紅葉の舞う秋の谷を遡っていく
530m二俣。今回はミノマタに突き上げる左俣を詰める予定だが,P1095に突き上げる右俣も等高線が詰まった箇所があり,大滝の気配があるので,ちょっと入ってみる。
530m二俣。今回はミノマタに突き上げる左俣を詰める予定だが,P1095に突き上げる右俣も等高線が詰まった箇所があり,大滝の気配があるので,ちょっと入ってみる。
右俣の等高線の詰まった箇所に近づくと,思ったとおり,滝が現れた。
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右俣の等高線の詰まった箇所に近づくと,思ったとおり,滝が現れた。
2段15mほどの滝。左岸から巻き上がる。
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2段15mほどの滝。左岸から巻き上がる。
その上は小滝
さらにその上に10mほどの斜滝
さらにその上に10mほどの斜滝
そして2m滝でおしまい。もっと大きな滝が現れることを予想していたので,やや期待外れな滝場だった。この上にもまだ滝がある可能性もあるが,下山が遅くなってしまうのでここで引き返す。
そして2m滝でおしまい。もっと大きな滝が現れることを予想していたので,やや期待外れな滝場だった。この上にもまだ滝がある可能性もあるが,下山が遅くなってしまうのでここで引き返す。
530m二俣まで戻り,本命の左俣へ。最初は小滝が時々出てくるのみで,平凡。
530m二俣まで戻り,本命の左俣へ。最初は小滝が時々出てくるのみで,平凡。
時々,谷の下部をほうふつとさせるナメ滝区間も。
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時々,谷の下部をほうふつとさせるナメ滝区間も。
580m二俣で,ようやく出てきたそれなりの15m滝。左岸を巻き上がる。
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580m二俣で,ようやく出てきたそれなりの15m滝。左岸を巻き上がる。
630m二俣には,びっくりするようなカツラの大木があった。幹は完全な空洞になっている。倒れないのが不思議だ。
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630m二俣には,びっくりするようなカツラの大木があった。幹は完全な空洞になっている。倒れないのが不思議だ。
この小滝は直登
この5mほどの滝は登れず,右岸から巻きに入る。
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この5mほどの滝は登れず,右岸から巻きに入る。
しかし,この高巻きが岩の露出した急斜面で意外に簡単にいかず,けっこう高く巻かされてしまった。
しかし,この高巻きが岩の露出した急斜面で意外に簡単にいかず,けっこう高く巻かされてしまった。
谷に戻ろうとすると,5mほどの滝と,
谷に戻ろうとすると,5mほどの滝と,
さらに10mほどの滝が脚下に見え,特に10m滝は登れそうに見えないので,巻きを継続する。この10m滝の巻きも少し悪かった。
さらに10mほどの滝が脚下に見え,特に10m滝は登れそうに見えないので,巻きを継続する。この10m滝の巻きも少し悪かった。
その上にも3m滝。これは直登。
その上にも3m滝。これは直登。
730m三俣をミノマタに通じる中俣に入ると,いよいよ源頭の雰囲気。源頭部は結構険しく,スラブのような小滝が連続する。
730m三俣をミノマタに通じる中俣に入ると,いよいよ源頭の雰囲気。源頭部は結構険しく,スラブのような小滝が連続する。
20mほどの急なナメ滝。フリクションを効かせて慎重に直登していく。
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20mほどの急なナメ滝。フリクションを効かせて慎重に直登していく。
結局,かなり上部までナメが続いた。最後までよく発達した岩盤を秘めた谷だった。
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結局,かなり上部までナメが続いた。最後までよく発達した岩盤を秘めた谷だった。
最後は軽いヤブ漕ぎで山頂へ。
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最後は軽いヤブ漕ぎで山頂へ。
振り返るとちらりと徳山ダム湖。あの奥に門入があるはず。
振り返るとちらりと徳山ダム湖。あの奥に門入があるはず。
ミノマタ(△1100.9m)の山頂にダイレクトに登り着いた。今日遡ってきた三ノ又(みのまた)が名前の由来になったと思われるピークだ。笹と灌木のヤブの中に小さな切り開きがあった。山名板はない。
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ミノマタ(△1100.9m)の山頂にダイレクトに登り着いた。今日遡ってきた三ノ又(みのまた)が名前の由来になったと思われるピークだ。笹と灌木のヤブの中に小さな切り開きがあった。山名板はない。
三等・三ノ又。国土地理院HPでは点名が「三ツ又」となっているが,点の記を閲覧すると明らかに「三ノ又」と書かれているので,「三ツ又」は国土地理院がデータ化の際に打ち込みを誤ったものではないだろうか。
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三等・三ノ又。国土地理院HPでは点名が「三ツ又」となっているが,点の記を閲覧すると明らかに「三ノ又」と書かれているので,「三ツ又」は国土地理院がデータ化の際に打ち込みを誤ったものではないだろうか。
南東方向の展望がよい。向こうに見える山稜は小津三山だろう。
南東方向の展望がよい。向こうに見える山稜は小津三山だろう。
笹と灌木に覆われた稜線。南側は伐採の影響か木立が少ない。
笹と灌木に覆われた稜線。南側は伐採の影響か木立が少ない。
木の間に見える鏡山と上谷山。あれを越えて帰りましょう。
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木の間に見える鏡山と上谷山。あれを越えて帰りましょう。
ミノマタ〜鏡山間はヤブではあるが薄く,稜線の西側に獣道も走っていて,それほど苦労はしない。
ミノマタ〜鏡山間はヤブではあるが薄く,稜線の西側に獣道も走っていて,それほど苦労はしない。
鏡山付近。ブナが美しい。
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鏡山付近。ブナが美しい。
鏡山山頂。由来はわからないが,なかなか惹かれる山名。
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鏡山山頂。由来はわからないが,なかなか惹かれる山名。
鏡山付近は,今回登ったピークの中では一番雰囲気が良かった気がする。新緑のころはきれいだろうなぁ
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鏡山付近は,今回登ったピークの中では一番雰囲気が良かった気がする。新緑のころはきれいだろうなぁ
鏡山〜上谷山間はマーキングや踏み跡も出てきて楽々。
鏡山〜上谷山間はマーキングや踏み跡も出てきて楽々。
本日2回目の上谷山まで戻ってきました。
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本日2回目の上谷山まで戻ってきました。
秋の日はつるべ落とし,ぎりぎり闇下になってしまったが,徳山会館の煌々たる明かりが,下山の足を導いてくれた。
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秋の日はつるべ落とし,ぎりぎり闇下になってしまったが,徳山会館の煌々たる明かりが,下山の足を導いてくれた。

装備

備考 ・ フェルトソール沢足袋使用。この谷はぬめりが強いので,フェルト推奨。
・ ロープ(40m)などの沢登りの基本装備は携行したが,使用場面なし。

感想

 揖斐川源流域には,徳山ダムの完成により出合付近がダム湖に沈み,通常のアプローチが不可能になってしまった谷がいくつかある。今回入渓した三ノ又(みのまた)もその一つで,全くと言っていいほど情報がないのでどんな谷なのか気になっていた(一方,三ノ又の右俣に当たる広瀬又は,往時は五蛇池峠とよばれ,徳山戸入と坂内広瀬を結ぶ峠道だったうえ,近年もchukiさんが下降されていてそれなりに情報がある)。まあ,日比野和美先生の「百山百渓」とかには載っていそうな気もするが,不幸にも未だ拝読の栄に浴したことがないのをいいことに(モグリ?),とにかく行ってみましょう。
 アプローチの仕方は何通りか考えられるが,上谷山を越えて三ノ又の流域に入ることにした。理由はいくつかあるが,三ノ又が山名の由来になったと思われるミノマタに詰め上げられるルート取りにしたかった,というのが一番大きい。ミノマタへの登路としては,これ以上ふさわしいルートはないのではないだろうか。
 地形図の印象から,おそらく下流部は平凡な河原だろうと考えていたが,事前の予想を裏切るように,三ノ又のハイライトはむしろその下部にあった。河原状の区間を挟みながらも美しいナメと淵が連続し,豊富な水量とあいまって,美渓といって差し支えない景観を呈していた。上流部も10〜20m級の滝がいくつかあり,特に詰めでは急なナメ滝が連なって,なかなか神経を使う登りをさせられて面白い。
 日の短い時期の山行であることもあり,当初は徳山ダムのバックウォーターまで下降するつもりはなかった。しかし,あまりにも魅力的なナメと淵が次々に現れるので,つい谷に魅せられたように,ずるずると下っていってしまったのだ。この不思議な谷は,むしろ下れば下るほど,美しさを増していくようにさえ感じられた。しかし,そんな幸せな夢心地の逍遥も,唐突に不可避な終わりを迎えた。目の前に徳山ダム湖が広がったのだ。ダム湖に沈む寸前まで,谷は鮮やかな渓相を維持しつづけていた。いまは湖畔の紅葉の反映に彩られた湖面の下にも,かつては無数の美しい滝場や淵が続いていたに違いない。そしてそれを確かめる術は,もう永遠に失われてしまった。

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コメント

カッコいい〜山行!
思いつきませんでした…
というより、思いついても体力が保たず

ところで、あちらの方は、そろそろでしょうか隊長😁
2024/11/18 12:21
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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