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Yamareco

記録ID: 7537181
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
御在所・鎌ヶ岳

鈴鹿セブンマウンテン縦走

2024年11月23日(土) ~ 2024年11月25日(月)
情報量の目安: S
都道府県 三重県 滋賀県
 - 拍手
GPS
56:00
距離
45.4km
登り
4,522m
下り
4,467m

コースタイム

1日目
山行
9:05
休憩
0:00
合計
9:05
7:10
545
16:15
三池岳北 標高900m
2日目
山行
10:10
休憩
0:00
合計
10:10
5:45
610
三池岳北 標高900m
15:55
御在所岳南西 標高990m
3日目
山行
8:25
休憩
0:00
合計
8:25
5:35
505
御在所岳南西 標高990m
天候 1日目 曇り時々晴れ一時雪
2日目 曇り時々晴れ
3日目 快晴
過去天気図(気象庁) 2024年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
[入山] 三岐鉄道 西藤原駅より
[下山] 椿大神社前より鈴鹿市コミュニティバスでJR加佐登駅まで(50分弱、200円)。毎時14分にバスがありとても便利。
コース状況/
危険箇所等
ピークそれぞれは難しくないが、縦走路は色々問題があり、注意が必要。以下気づいた点。

・藤原岳より治田峠手前までは所々道が崩れており、危険箇所も多くわかりにくかった(ここが全体で一番危険だった)。
・石榑峠から三池岳への登山道は看板がない。立ち入り禁止の車道をガードを越えて登ってゆくが、とても罪悪感がある。
・釈迦ヶ岳〜ハト峰は特にハト峰峠手前が迷いやすい。ハト峰のピークは踏まず、巻き道を行った方が良い。
・御池鉱山跡周辺も迷いやすい。杉峠への登りは沢の左岸に巻き道があるので、その登り口を見逃さないようにする。
・沢谷峠付近は踏み跡が錯綜していて分かりにくかった。
・鎌ヶ岳前後はかなり危険だが整備状態は悪くない。鎌尾根はそれほど危なくなかった。
・入道ヶ岳の手前のイワクラ尾根は意外と悪い。足元注意。

全般に看板が少なくて、地形も複雑なので、読図をきっちりやらなければならなかった。西丹沢の廃道尾根に近いかもしれない。有名な山域だが、難易度は高い。
その他周辺情報 鈴鹿さつき温泉 550円。
地元の爺さんばかりで混んでたが、安くてお湯も良い。一応かけ流しだった。JR加佐登駅から歩いて20分。隣にうどんが食える焼き肉屋あり。
三岐鉄道はまさかの硬券!
2024年11月23日 06:02撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 6:02
三岐鉄道はまさかの硬券!
西藤原駅から登山口まで歩く。看板もあるので迷わない。
2024年11月23日 07:13撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 7:13
西藤原駅から登山口まで歩く。看板もあるので迷わない。
登山口の鳥居。セブンマウンテンへの第一歩だ。
2024年11月23日 07:23撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 7:23
登山口の鳥居。セブンマウンテンへの第一歩だ。
藤原岳山頂部。
2024年11月23日 09:36撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 9:36
藤原岳山頂部。
石灰岩地形は美しい
2024年11月23日 09:42撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 9:42
石灰岩地形は美しい
セブンマウンテン1座目の藤原岳
雲が湧いて雪も舞ってきた。
2024年11月23日 09:50撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
1
11/23 9:50
セブンマウンテン1座目の藤原岳
雲が湧いて雪も舞ってきた。
藤原岳からの下降は分かりにくいし危ない。いきなり難易度上がってビビる。
2024年11月23日 10:04撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 10:04
藤原岳からの下降は分かりにくいし危ない。いきなり難易度上がってビビる。
看板あるけど道が無いよ
2024年11月23日 10:17撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 10:17
看板あるけど道が無いよ
でも晩秋の疎林は美しい
2024年11月23日 11:09撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 11:09
でも晩秋の疎林は美しい
雪雲が漂ってきた。猛烈に寒い。
2024年11月23日 12:26撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 12:26
雪雲が漂ってきた。猛烈に寒い。
静ヶ岳はいいピークだった。
2024年11月23日 13:14撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 13:14
静ヶ岳はいいピークだった。
静ヶ岳直下の沼。神秘的だった。
2024年11月23日 13:29撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 13:29
静ヶ岳直下の沼。神秘的だった。
セブンマウンテン2座目の竜ヶ岳
烈風で寒すぎて手がかじかむ。ここが全行程で一番寒かった。
2024年11月23日 14:12撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 14:12
セブンマウンテン2座目の竜ヶ岳
烈風で寒すぎて手がかじかむ。ここが全行程で一番寒かった。
石榑峠への下降途中で面白い岩があります。
2024年11月23日 14:35撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 14:35
石榑峠への下降途中で面白い岩があります。
所々花崗岩が露出していて真っ白け
2024年11月23日 14:44撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 14:44
所々花崗岩が露出していて真っ白け
三池岳の1時間ほど手前に幕営。日没前に張れたが、強風で更に張ってる最中にみぞれが降ってきて最悪〜
2024年11月23日 16:36撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/23 16:36
三池岳の1時間ほど手前に幕営。日没前に張れたが、強風で更に張ってる最中にみぞれが降ってきて最悪〜
2日目
三池岳でようやく明るくなった。強風は止まない。
2024年11月24日 06:27撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 6:27
2日目
三池岳でようやく明るくなった。強風は止まない。
八風峠は風がほとんどなかった。地形的なものでしょうか。ここで幕営出来たら最高だった。
2024年11月24日 06:41撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 6:41
八風峠は風がほとんどなかった。地形的なものでしょうか。ここで幕営出来たら最高だった。
三重県側は崩れが極めて多い。
2024年11月24日 07:13撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 7:13
三重県側は崩れが極めて多い。
セブンマウンテン3座目の釈迦ヶ岳。ここも風が強くて寒くて参った。
2024年11月24日 07:58撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 7:58
セブンマウンテン3座目の釈迦ヶ岳。ここも風が強くて寒くて参った。
途中の猫岳。交通事故の故人を偲ぶ看板だけど、何故山に?
2024年11月24日 08:35撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 8:35
途中の猫岳。交通事故の故人を偲ぶ看板だけど、何故山に?
標高も下がり天気が良くなってきて快適。
2024年11月24日 08:50撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 8:50
標高も下がり天気が良くなってきて快適。
ハト峰峠にあるイタズラ。一応自然物を動かさないで、の注意書きもある。
2024年11月24日 09:36撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 9:36
ハト峰峠にあるイタズラ。一応自然物を動かさないで、の注意書きもある。
ハト峰峠の周りは花崗岩の露出が多くて面白いです。
2024年11月24日 09:38撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 9:38
ハト峰峠の周りは花崗岩の露出が多くて面白いです。
秋の尾根
2024年11月24日 10:24撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 10:24
秋の尾根
水晶岳はポカポカで久しぶりに快適なピーク。
2024年11月24日 10:54撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 10:54
水晶岳はポカポカで久しぶりに快適なピーク。
根の平峠から沢に降りた。大きな流れを見るのはこの縦走初めて。
2024年11月24日 11:47撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
1
11/24 11:47
根の平峠から沢に降りた。大きな流れを見るのはこの縦走初めて。
秋の沢の清涼感
2024年11月24日 12:05撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 12:05
秋の沢の清涼感
紅葉もいい感じ。
2024年11月24日 12:12撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 12:12
紅葉もいい感じ。
杉峠の手前に御池鉱山の集落跡があります。こんな山奥に300人も住んでいたというから驚き
2024年11月24日 12:47撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 12:47
杉峠の手前に御池鉱山の集落跡があります。こんな山奥に300人も住んでいたというから驚き
食器の欠片もたくさんありました。兵どもが夢の跡。
2024年11月24日 12:55撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 12:55
食器の欠片もたくさんありました。兵どもが夢の跡。
セブンマウンテン4座目の雨乞岳。セブンマウンテンの最高峰でもあります。ここも寒くて参りました。昨日降った雪の解け残りもあった。
2024年11月24日 13:59撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 13:59
セブンマウンテン4座目の雨乞岳。セブンマウンテンの最高峰でもあります。ここも寒くて参りました。昨日降った雪の解け残りもあった。
雨乞岳は笹に覆われた丸い山です。
2024年11月24日 14:05撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 14:05
雨乞岳は笹に覆われた丸い山です。
雨乞岳からまた沢に下る。紅葉綺麗。
2024年11月24日 15:01撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 15:01
雨乞岳からまた沢に下る。紅葉綺麗。
沢谷峠は人が多く通りそうなので、御在所岳南西尾根を15分ほど登って幕営。ここは快適な場所でした。
2024年11月24日 16:11撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/24 16:11
沢谷峠は人が多く通りそうなので、御在所岳南西尾根を15分ほど登って幕営。ここは快適な場所でした。
3日目
セブンマウンテン5座目の御在所岳
ロープウェイ運転前で人っ子一人いなかった。
2024年11月25日 06:21撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 6:21
3日目
セブンマウンテン5座目の御在所岳
ロープウェイ運転前で人っ子一人いなかった。
御来光。最終日にしてようやくいい天気。
2024年11月25日 06:37撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 6:37
御来光。最終日にしてようやくいい天気。
危険な鎌ヶ岳に向かう。
2024年11月25日 06:53撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 6:53
危険な鎌ヶ岳に向かう。
セブンマウンテン6座目の鎌ヶ岳
何とか無事に登頂。
2024年11月25日 08:11撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 8:11
セブンマウンテン6座目の鎌ヶ岳
何とか無事に登頂。
鎌ヶ岳の南面は絶壁です。
2024年11月25日 08:28撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
1
11/25 8:28
鎌ヶ岳の南面は絶壁です。
迫力ある鎌ヶ岳。
2024年11月25日 08:54撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 8:54
迫力ある鎌ヶ岳。
鎌尾根は思ったより安全でしたが、花崗岩のロッククライミングが多かった
2024年11月25日 09:37撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 9:37
鎌尾根は思ったより安全でしたが、花崗岩のロッククライミングが多かった
水沢岳で女性2人組の写真を撮って差し上げたら、先ほどSOYJOYを落としてしまったらしい。拾ったら食べてしまってくださいとのこと。
2024年11月25日 09:45撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 9:45
水沢岳で女性2人組の写真を撮って差し上げたら、先ほどSOYJOYを落としてしまったらしい。拾ったら食べてしまってくださいとのこと。
10分ほどでSOYJOY発見!
ご馳走さまでした。
2024年11月25日 10:06撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
1
11/25 10:06
10分ほどでSOYJOY発見!
ご馳走さまでした。
入道ヶ岳へのイワクラ尾根は意外と危なかった。
2024年11月25日 10:52撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 10:52
入道ヶ岳へのイワクラ尾根は意外と危なかった。
入道ヶ岳の奥宮
2024年11月25日 11:46撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 11:46
入道ヶ岳の奥宮
入道ヶ岳山頂へ
2024年11月25日 11:50撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 11:50
入道ヶ岳山頂へ
ついた!やった!
2024年11月25日 11:56撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 11:56
ついた!やった!
セブンマウンテン7座目の入道ヶ岳
感動(T_T)
2024年11月25日 12:44撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
1
11/25 12:44
セブンマウンテン7座目の入道ヶ岳
感動(T_T)
伊勢湾と四日市のコンビナート
2024年11月25日 12:46撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 12:46
伊勢湾と四日市のコンビナート
椿大神社に下山しました
2024年11月25日 13:55撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
1
11/25 13:55
椿大神社に下山しました
凛とした神社です
2024年11月25日 13:56撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
1
11/25 13:56
凛とした神社です
七五三で平日なのに結構人がいました
2024年11月25日 13:58撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 13:58
七五三で平日なのに結構人がいました
コミュニティバスでJRの駅へ
2024年11月25日 14:30撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 14:30
コミュニティバスでJRの駅へ
3日間の汗を流してさっぱり。
2024年11月25日 16:01撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 16:01
3日間の汗を流してさっぱり。
向かいの焼肉屋でうどんを食べる
関西風の出汁だった。
2024年11月25日 16:15撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 16:15
向かいの焼肉屋でうどんを食べる
関西風の出汁だった。
加佐登駅から関西本線で名古屋へ。高校生で混雑していた。
2024年11月25日 17:01撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 17:01
加佐登駅から関西本線で名古屋へ。高校生で混雑していた。
新幹線で小田原まで帰りました。鈴鹿セブンマウンテンの縦走は間違いなく冒険でした。
2024年11月25日 19:29撮影 by  OPPO A5 2020, OPPO
11/25 19:29
新幹線で小田原まで帰りました。鈴鹿セブンマウンテンの縦走は間違いなく冒険でした。
撮影機器:

感想

本来なら毎年恒例?の深南部の季節ですが、鈴鹿セブンマウンテンにチャレンジしました。標高の割に難しくて遭難が多いと聞く鈴鹿ですが、歩いてみて納得で、油断ならない地域だと感じました。

■11/23 1日目 曇り時々晴れ一時雪とみぞれ
 前日は音楽仲間と横浜で23時近くまで飲んで、横浜駅から夜行バスに乗り込んだ。桑名まで。第2東名の事故渋滞で遅れたため、近鉄の始発に間に合わず、1本遅れて西藤原の駅に着いた。そのまま登山口まで歩き、水をくんで登り始めた。
 藤原岳山頂からの下りは石灰岩のガキンガキンの尾根を下り、いきなりバリエーション的な冒険。頭を切り替えて、野性感を働かせて進む。その後の巻き道も崩れていて危険なところがあった。尾根通しで歩いたほうが良かったかもしれない。
 治田峠を過ぎて銚子岳と静ヶ岳は雰囲気が良くて気に入った。この辺りは人がいなくてセブンマウンテンでも静かなところだが、竜ヶ岳の手前まで来るとまた人が多くなる。竜ヶ岳の山頂は暴風で寒くて1分と留まっていられなかった。
 石榑峠の三重県側に1分ほど下ると沢があり水が取れる。北部稜線では貴重な水場だ。その後、三池岳への縦走路が分からず、登山者に聞いたら、立ち入り禁止の車道を歩いていけばいいとのこと。もう3時だけど今から登るんですかと怪訝そうな顔なので、テントです、ちょっと登ってすぐに張りますと答えたが、それでも心配そうな顔だった。
 ちょっとと言いつつ1時間も登って900mを越えたピークでテントを張った。ちょうど張ってるときにみぞれが降ってきて色々濡れてしまった。風も強くて震えるほど寒かったが、テントに入ってお茶を入れてようやく落ち着いた。
 烈風で時々ガスに覆われてみぞれも降る悪天の夜だったが、前日夜行バスだったのでぐっすり眠れた。夜中に一度起きて外を眺めたが、四日市の夜景がギンギラギンに明るくて驚いた。ワイルドな鈴鹿の山だが、街はとても近いのだ。

■11/24 2日目 曇り時々晴れ
 9時間も寝てしまった。朝ごはんを食べていたら急に明るいライトの光が見え、登山者が1人横を通過していった。あいさつを交わさなかったので分からないが、足の軽やかさから日帰りの方だと思われた。
 風は昨日と同じで強いままだが、天気はだいぶ回復していた。ありがたい。三池岳でようやく明るくなった。そのあと八風峠に到着すると風がピタリとやんだ。ここで幕営できたら最高だった。セブンマウンテンの縦走では1泊目を八風峠でする人が多いが、かなりハードにもかかわらず頑張るのはやはり幕営にはいい場所だからなのだろう。地形的に尾根が西に張り出して風を遮っているからだと思われる。
 釈迦ヶ岳ではまた烈風になり手がかじかむほどだった。そのあと標高が下がると天気も晴れてポカポカになってきた。ただこの辺り、特にハト峰の周りは地形がわかりにくくて苦労した。はじめは稜線通しをいこうと思ったが、踏み跡が薄すぎて藪もあり、断念した。巻き道の分岐まで戻ったため、20分ほどロスしてしまった。
 ハト峰峠の周りは花崗岩が大規模に露出しており面白い。石を並べて絵を作っているイタズラもあった。一応イタズラはやめて!の看板もあった。ハイキングにも面白い場所なのか、たくさんの方とすれ違った。
 水晶岳、根の平峠と順調に進んだ。この区間はハイカーも多く道は良い。根の平峠から尾根を外れ沢に下りる。主稜線から外れている雨乞岳を登るためである。滋賀県内の沢地形はなかなかに複雑だった。沢を詰めてゆくと御池鉱山跡があり、こんな山奥に明治末期には300人も生活していたというから驚きだった。
 杉峠から雨乞岳まではまた風が強くなり、笹原は風を遮る木も無いので、寒くて大変だった。昨日降った雪も解け残っており、気温がずっと低かったことが分かった。雨乞岳の山頂も一面の笹原の中にあった。この縦走の最高地点、セブンマウンテンの最高峰である。ガスで覆われていたが、山頂にいるときだけ少し晴れて嬉しかった。
 再び沢に下り、水をくんで沢谷峠へと登ってゆく。沢谷峠は幕営には最適地形だったが、ここは人も結構通るので、もう少し登ることにした。峠付近は道が分かりにくいが気にせず登っていくと尾根に乗り、そこから上ははっきりした踏み跡があった。標高1000mの手前尾根の傾斜が緩み、幕営に適したテラスが2〜3個所あった。
 風は少し当たるが、大きな問題はなく、昨日に比べて快適な一夜が過ごせた。日没後に、誰もいないはずの暗闇から突然蛍の光のメロディーがかすかに聞こえてきてなんじゃこりゃと驚く。しばらく考えて、どうも最終ロープウェイのアナウンスのようだった。最初ゾッとしてそのあと苦笑い。

■11/25 3日目 快晴
 最終日にしてようやく快晴。1時間もかからずに御在所岳の山頂に到着した。ロープウェイの始発前なので誰もいない。ガチガチに凍って寒かったが、伊勢湾の向こうからの御来光は美しかった。逆方向には琵琶湖も見えた。
 鎌ヶ岳は警戒していた山だったが、さすが整備はきちんとしていて安心だった。この山は人気で、月曜日にもかかわらず人は多かった。その後の鎌尾根もそれほど危険ではなく、順調に進んだ。
 水沢岳の山頂で女性2人組とすれ違ったので、お二人の写真を撮って差し上げた。

女性「あの〜SOYJOYはお好きですか?」

私「は?」

女性「ここに来る途中でどうも落としてしまったみたいなんです。縦走でもう戻ってこないので、もし嫌じゃなければ拾ったら食べてしまってください。サツマイモのやつです。」

10分ほど歩いたところでSOYJOY発見。確かにサツマイモ(笑)。有り難くご馳走になった。
 縦走路を左に外れて入道ヶ岳へ。もうすぐゴールで気ははやるが、途中のイワクラ尾根は名の通り岩場が続き悪かった。アップダウンも大きいのでなかなか進まずヤキモキ。入道ヶ岳の山頂が近づくと突然草原に出て鳥居が見えてくる。その奥は山はなく平野に落ち込んでおり、四日市のコンビナートと伊勢湾が光っていた。天気も良く感動のフィナーレだった。
実は入道ヶ岳だけは2回目で10年以上前に登っている。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-307218.html
その時にいい山だな、もう一度来たいなと思っていた。願いがかなってよかった。
 二本松尾根をあっという間に下り、椿大神社に無事下山した。バスでJR加佐登駅に出て温泉に入り、名古屋経由で小田原まで帰った。

鈴鹿の県境稜線は街の近く、どこを歩いていてもすぐに里に降りれる安心感があるが、地形は複雑で、整備もあまりされていないので、ハイキングとは言えないほど難易度は高かった。面白い冒険がまた一つできた。

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