三ツドッケ-長沢背稜(酉谷小屋泊)-雲取山-飛龍山-禿岩-(間違って竜喰山付近)-前飛龍-熊倉山(ビバーク)-丹波
- GPS
- 48:10
- 距離
- 41.9km
- 登り
- 3,486m
- 下り
- 3,474m
コースタイム
2日目:6:02酉谷小屋-7:31長沢山-8:44芋ノ木ドッケ-9:18大ダワ-10:52雲取山-11:21三条ダルミ-13:15北天のタルミ-13:55飛龍山-14:12禿岩-15:20竜呑山付近-16:28飛龍山分岐点-16:56前飛龍-17:39熊倉山(ビバーク)
3日目:6:17熊倉山-6:47サオラ峠-7:11通行止めっぽいところ-8:50丹波
天候 | 晴後曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
復路:丹波-奥多摩(タクシー) |
コース状況/ 危険箇所等 |
水松山〜長沢山〜芋ノ木ドッケのルートは踏み後が怪しいので1/25000地図とコンパスは必携だと思います。 ただ埼玉側の電波拾うので最悪の場合、携帯電話で連絡できるかもしれません。 天平を行かず、サオラ峠から丹波への直接下山ルートはかなり危険です。 崩落の巣みたいな箇所が何箇所かあるので、場合によっては通れないかもしれません。 その場合分岐点まで戻る登りは相当きついので、体力に余裕がない場合はこのルートは通らない方がいいと思います。 途中ロープが張られてる箇所があって通行止めっぽいですが、ちょっと下って岩の裏から登山道が続いてます。 下山後丹波の役場で消防の方と話しましたが、最近は獣道が結構できてしまっているので登山道と間違って入ってしまう人が多いとのこと。 先日も70m滑落してヘリで運ばれた方がいたり、獣道に迷い込んでしまい斜面から下山して途中まで消防の方が迎えに行ったということが起きているそうです。 |
写真
感想
長いです。
1日目
いきなりヘビに会う。
尻尾バタバタして威嚇してる。
登山道の山側1mくらいのところなので、微妙に恐い。
跳ねたら届くかも。。。
枝を拾って投げてみたが、動じない。
しょうがないから一気に駆け抜けた。
帰ってから確認したらシマヘビだった。
毒ないし。子供の頃よく捕まえたのに。
全然わからなかった。
しかしこれって前途を予兆したサインだったのだろうか…
七跳山は何もありません。
しかたがないので、七回跳ねてみた。
酉谷避難小屋は貸切りになってしまい、まったり過ごして最高でした。
2日目
多分、水松山の分岐点あたりで昭文社の「奥多摩」地図を落とす。
ザックの脇のポケットに入れたつもりでしたが、外側のバンドに挟んだだけだったようです。
一応1/25000地図を武蔵日原、雲取山、丹波と持っていたので大事に至らず。
水松山〜長沢山〜芋ノ木ドッケあたりで北に巻く登山道はかなり怪しかったです。
1/25000地図とコンパス必携だと思います。
しかし、上にも書きましたが、なぜか携帯は圏内なので緊急の場合は北側斜面に出た方が連絡できる可能が高いと思います。
飛龍山から下りたところがいきなり禿岩前だったので、そのまま禿岩に直行しました。
景色は最高。しばらくまったりして戻ってから、なぜか左に奥秩父縦走路に入ってしまう。
いまだになぜ左に入ったのか理解できないですが…
この時点ですでに8時間歩いていたので疲れていたのかもしれないです。
漫然と何も考えず登山道を歩いていました。
1時間も歩いたでしょうか。
しかし行けども行けども単調な巻道で、どうもおかしい。
急に不安になって、ここで初めてコンパスを取り出す。
なんと、西南西に向かってるじゃないですか!
丹波とは逆方向です。この時点で禿山から反対に来てしまったことは確定しましたが、ではこの道はどこに続いているのか。
1/25000地図で見ると、ぼくの歩行速度からおそらく竜喰山のすぐ手前まで来ていると思われましたが、確信は持てませんでした。
そこで携帯を見てみると圏内だったので、付属のiアプリの「地図アプリ」とかいうのでGPSから地図表示ができたと思うので、起動してみました。
すると、なぜか丹波中学校の裏くらいに居ることになってます。。。
地図アプリが正しいとすると、この登山道は奥秩父縦走路ではなく別のルートになります。
しかし1/25000地図には奥秩父縦走路以外の登山道の破線はない。
禿岩以降道標が一切ないので、もうわからなくなりました。
また、仮りに将監峠方面に向かっているとしても、手持ちの地図では将監峠が出ていないため、将監小屋まであとどれくらいあるのかがわからない。
この時点で水は1リットル切っていましたし、食糧は非常用のスニッカーズ小3個とキャラメル1箱、雲取山荘で出会った方に偶然いただいたビスケット1個だけだったので、もしこのルートが将監峠方面に向かう奥秩父縦走路でない場合、明日下山できなければかなりやばいので引き返すことにしました。
この時点で16:40過ぎていたと思います。
途中梯子橋から沢に下りて、ちょろちょろ流れている水を15分ほどかけてプラパスに2リットルほど充填。
泥とかごみとかも入ります。
すでに空腹で腹がグーグー鳴っていたので、スニッカーズとキャラメルを食べながら禿岩へと急ぐ。
最後の登りをなんとか越えて禿岩にたどり着く。
もう11時間歩いている…
1/25000地図を確認すると、ここからはもう激しい登りはなさそうなので、とにかく丹波に急ぐ。
しかし飛龍山分岐点〜前飛龍〜熊倉山まで意外と登り降りを繰り返すので、参ってしまいました。
熊倉山に到着が17:39で、これ以上歩いても日のあるうちに丹波にはたどり着けないのは確実だし、この下の状況がわからないので、テント張るにはちょうど良いくらいの広さがあるのと高台になっているので、熊倉山山頂でビバークすることにしました。
幕営と同時に日が暮れました。。。
疲れきっていたので、19時前にはうとうとしてましたが、鹿がうるさい。
本当に近くまできて「キョン」だの「キョーン」だのうるさい。
あまりうるさいので、大声を出したりしましたが、全然効き目なし。
それに、なんだかわからないけど歯をならしてるのかわからいないけど、「カウカク」音を出す小動物らしきものがテント近くまできて、うろうろしてて気になって眠れない。
どうしたらいいか悩んだ末、試しにiPodを取り出して音楽を鳴らすと(イヤフォンでも静かな山の中では結構な音量になるので)それっきり寄り付かなくなりました。
ただそこからは空腹で眠れそうになかったので、最後のキャラメル1個とお湯でしのぎました。
ビスケットは最後の最後までとっておかなければ。
またうとうとしていると、23時頃でしたか、今度は結構大きい動物が、ザザーっとすぐ近くの薮をかけ下りて行きました。。。
多分猪だと思うんですが、山の名前が悪い。熊倉山。熊かもしれない。
もしもの場合に備えて、ナイフを右手の脇に置くことにしました。
またごみ袋の食べ物の匂いにつられてくると困るので、蚊取り線香を炊いてごまかしたりしましたが、効果のほどはわかりません。
※蚊取り線香は携帯式のぶら下げて使えるやつのミニタイプ
夜寒かったので非常用の銀シート使いました。
100円均一で買ったものですが十分でした。
3日目
そうこうしているうちに寝てしまい、5時頃に目覚める。
森の仲間たちも0時過ぎると静かなようです。
朝起きたとき体調は思っていたより良かった。
ビスケットを半分だけ食べて、お湯を飲んでテント撤収後下山開始。
余計な体力を使わないようにゆっくりゆっくり歩く。
しばらく下るとサオラ峠の分岐点にきたので、迷わず丹波への直行道をとる。
しかしこれがかなりやばい。
かなりの急坂なので、もしどこかで崩落等で通行できなかったらもう尾根筋まで戻る体力はないかも。
などと考えながら下る。
25分ほど下ったところでいきなりロープが張られていました。
最初に谷側の古い黄色と黒の、いわゆる虎ロープを行きましたが、岩に突き当たってしまい新しい方の虎ロープの道へと誘導されます。
そこを登るとさっきの古い虎ロープのところに戻ってしまい、三角形のループに閉じ込められてしまいました。
踏み跡をみると、ロープを超えて続いているようなのでそちらに行ってみましたが途中から引き返していたので断念。
もう万事休すです。
水はもうほとんどないし、食糧はビスケットの残り半分。
尾根筋まで戻れてもそこから熱中症でもう動けない可能性大。
となると、ここを無理矢理下るか。
しかし相当な傾斜なのでかなり危険。
あるいは山頂に直登して丹波天平に出るか。
いや無理。
自分にもう一度問う。尾根筋まで戻って天平ルートを行けるか?
わからない。
もうほぼ1日食事してないし、水ももうすぐなくなる。
ザックは水、食糧が空でも18Kgほどある。
ここでザックを降ろして自分を落ち着かせる。
自分の今の位置は道が続いていれば、おそらく丹波まで30分くらいのところにいるはず。
もし本当に通行止めならもっと前に標識があるはず。
ならこのロープの結界はなにか。
もう一度獣道のような踏み跡を辿ってみる。
行けない。
直登してみるがやはり行けない。
通ってきた道をロープ伝いに下ってみるが、岩の向こうに登山道は見えない。
ザックのところまで戻って思案する。
結局なんとか電波の届くところまで出て、奥多摩役場の登山道管理している課に電話すればなにかわかるに違いない。
この斜面を無理矢理下れるか、他のルートがあるのか聞いてダメなら上まで戻って行けるところまで行こうと決める。
そのとき、はるか下の方から車の音とか聞こえてきた!
きっと人里はそう遠くない。
携帯電話を取り出して電源をいれてみるとやはり圏内。
でも携帯の電池が赤い。多分昨日から。
104で奥多摩役場の電話番号を聞いて電話をかける。
しかし、まだ7:30なので出ない。
しかたがないので15分待つ。
7:45まだ出ない。もしかして役場って9時始業か。
もう一度電源を落とした後、次はもう電池切れで立ち上がらない可能性もあるので電源は落とせない。
もう猶予はないので、110番に電話する。
「すいません、今奥多摩の丹波という村のすぐちかくの山にいるんですが、登山道の通行止めの情報とかありませんか?」
「えーと、どこですか?」
「奥多摩の丹波という村の裏の登山道でサオラ峠というところです。エスケープルートがあるか聞きたいのですが」
「えーとね、ちょっとまってね」
「はい…」
1,2分待たされる。
電池が気になる。
「あ、もしもし?」
「はい!」
「そこらへんの道は相模原の管轄なんで相模原の警察に電話してくれる?」
「はあ。何番ですか?」
「OOOOOOOです」
「わかりました」
相模原の警察に電話する。
「いま丹波の裏のサオラ峠ってところにいるんですけど、登山道の…」
「え、どこ?」
「丹波の裏のサオラ峠ってところです」
「丹波って奥多摩の」
「はい」
「なに峠?」
「サオラ峠って登山道ですが、通行止めの情報ってないですか?」
「登山道はこっちの管轄じゃないよ。役場にかけてみて」
「そうですか…」
このやり取りが終わったのが7:50頃。
役場にまた電話する。
でない。
電池が気になってしょうがないので119番する。
「どういたしました?」
「あのー、いま奥多摩の丹波っていう村の裏のサオラ峠っていう登山道にいるんですけど、なんか通行止めっぽいロープが張ってあって、先に行けないんでもう戻るしかないんですが、その場合水と食糧がもうないので峠まで戻るのが一杯いっぱいなんです」
「はい」
「で、もし通行止めで尾根筋まで戻れたとしても熱中症で最悪の場合救助要請する可能性もあるんです。でもその前に、ここが本当に通行止めかどうか、他に下りれるルートがないか、直降した場合に丹波の近くの車道に下りれるのか教えていただきたいんですが、そちらでなにかわかりますでしょうか」
「ちょっと待ってください」
しばらく待つ。
電池が気になる。
「その辺の登山道についてもしかしたら丹波の消防署でわかるかもしれないので転送します」
「お願いします」
しばらく待つ。
電池がすげー気になる。
「もしもし。丹波の消防のものですが」
もう一度状況を話す。
「んーと、そこに虎ロープあるんですよね」
「はい」
「それ張ったの私たちなんでよくわかりますが、峠から15分くらい下りたところですよね?」
「そうです、そうです!」
「じゃ、そのまま進めば下りられますよ」
「えー!でも登山道というか踏み跡もないですよ」
「そんなことないと思いますよ。そこから毎日みなさん下りてますよ」
「ちょ、ちょっと待ってください。空身で下りてみます」
ここで、空身で途中まで下りて虎ロープの三角形の下の頂点を覗いてみるが道はなさそうである。
「登山道らしきものは見当たらないんですが…」
「えーじゃあ変なところに迷い込んじゃったのかなぁ。そこって大きなつげの木があって、ちょっと越えるような感じになってるところで、新しい虎ロープが張ってあるところですか?」
「そうです。でも古い虎ロープがその手前にあって、下に向かって張ってあるんですけど、そっちに行くとこの新しいロープの方に誘導されて元に戻っちゃんです」
「んーそんなのあったかな。だれかいたずらしたのかなぁ」
「もうちょっと下ってみます」
もっと行って岩の向こうを覗いてみると…
なんと岩の後ろに踏み跡と別の古い虎ロープがあるではないですか!
ブラインドで全然見えなかった。。。
「あ、あー ありました、ありました!」
「そうですか。よかった」
「ありがとうございます」
「一応下山したら連絡もらえますか」
「はい。あ、でも携帯の電池がもうないんで連絡できないかもしれません」
「じゃ、役場に寄ってください」
「了解しました。もし10時までに役場に行かなかったら心配してください」
「わかりました」
ということで、下山再開。
その後は特にやばい箇所もなく、無事丹波村に到着。
役場で状況を説明して帰路に。
ちなみに役場で聞いたところでは、この辺は野生動物が増えちゃって獣道が登山道並に整備されてしまってるので、よく道迷いが起きているそうです。
ただ電話が通じるのが救いとのこと。
バスは1日3本くらいしかないので、タクシーを呼びました。
奥多摩駅まで7,100円かかりました。
いちいち書くのが馬鹿馬鹿しいくらい、反省するところの多い山行でした。
kanemaruさん、初めまして。
道迷い遭難寸前に陥った生々しい手記ですね。
厳しい状況に陥っても冷静に状況分析されているのがすごいです。
自分では大丈夫問題ないと思っていても
「あれ?」と気付いたときには道を間違えているものなのだ、
いつも集中して気をつけなくてはならない、
と改めて思わされました。
それにしても、警察や消防をタライ回しにされている間に
携帯の電池が切れなくて良かった…。
このところ荷物を軽くするために非常食を少なめにしていましたが、
一日はもつように見直すことにしました
melonpanさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
あれですね、踏み跡がないようなところは地図とコンパスを使って慎重に歩きましたが、完全に登山道ってわかるくらいしっかりしたところだと、変な思い込みで進んでしまうんですね。
多分疲労もあったんですが、仕事のこととか他のことを考えていたような気もします。
もしかしたら何も考えてなかったかも。。。
電池が切れていたら、水がもうなかったので、多分尾根筋まで登り返して動けなくなっていた可能性大です。電話の時点で既に30度くらいありましたから。
僕も次回から非常用に+1日分の食糧と、さらにザックを放棄しても携帯できる本当の非常用食糧ももう少し持っていくことにします。
あと、引き返す体力を考慮して1日に5時間以上歩く行程の計画はしないことにします。
kanemaruさん初めまして。
なかなか大変な山行でしたね。
私も先週、サヲラ峠からおりるときこの場所で
しばらく思案しました。降りる方にも、まっすぐの
方向にも虎ロープがあって、どうしようか迷いました。kanemaruさんのときと少し変わっていたかも
知れませんが、気になる場所でした。
何も考えずに下っていけば、なんとも思わない
場所かも知れませんが。
道標が欲しい場所ですね。
このルート歩いてみたいです。
kurikuri8さん
どうもです。
分かり辛いですよね。。。
あそこまでずっと斜面をまいてきたのに、いきなり直降に近い勢いで下に降るなんて僕的には思いもよらなかったし、結構踏み跡とかも斜面沿いに続いていたので、本当に通行止めかと思いました。
現在、天平から上がって将監へ向かう「リベンジコース」を計画中です〜
リンク巡っておじゃまします。
感想/記録が面白くて(すんません)一気読みしちゃいました。
最初日程だけ見たら、3日も縦走するなんてすんごいなーと思ったら
別の意味ですんごい事になってたんですね。
私も一回迷ってビバークしたことありますが、
ここまで切羽詰まった事態になりませんでした。
(わかる地点まで戻った時点で日没)
とっても参考になります。
別の記録も読まさせていただきます。
takaakaさん
どうもです。
このときに何が不安だったかというと水と食糧なんですよ。
特に汗かきタイプなんで結構簡単に脱水症状になったりします。
昔ジムで1日の練習で3Kg近く落としたことがありますが、ぶっ倒れました。
減量の場合は最悪脱落すれば水も飲めるしめしも食えますが山の中だと死にますからね…
kanemaruさんがこんなに壮絶な体験をされていたとは。遅ればせながらびっくりです。(2011年4月1日)
警察、役場、消防と電話する場面がスリリングですね。背筋が涼しくなります。
熊倉山の小平地、私も一泊しました。冬にお祭り・親川から天平尾根をたどって、飛竜山を目指して時間切れ。テントで一泊して、翌朝ひざが痛くて丹波へトホホの下山でした。
おお、jinzaemonさんも熊倉山で露営しましたか!
あの辺りで幕営できるとことって、あそこしかないですよね。
前飛龍でもなんとかなるかな…
このとき丹波の地図も持ってなかったので、斜面を降りて車道に出れるかどうかもわからなかったので本当に進退窮まりました…めちゃくちゃ暑かったし
これもやはり権現様にお参りしなかったバチでしょうかね。
kanemaru
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