吾妻連峰 天元台〜樹氷原散策〜西吾妻山〜東面滑走
- GPS
- 07:25
- 距離
- 20.1km
- 登り
- 1,512m
- 下り
- 1,518m
コースタイム
- 山行
- 5:56
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 7:26
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
●湯元駅〜天元台スキー場〜北望台登山口 湯元駅発のロープウェイとスキー場のリフト3本を乗り継いで北望台登山口へ向かう。 ロープウェイ・リフト片道券:2350円、往復券:4500円 スキーヤーはゲレンデを滑走して湯元駅まで下山できるので片道券でもOKだが、 ゲレンデ内は強風等によるロープウェイ・リフト運休の場合を除き歩行禁止なので、スキー等の滑走具を使用しない登山者は往復券が必要。 その辺の詳細は天元台HPのローカルルールに記載されているので御参照を。 https://www.winter.tengendai.jp/ 尚、湯元駅まで滑走するコース(湯元コース)は16:00でクローズ。 クローズ後はロープウェイで下山する事になるので、湯元コースで下山予定のスキーヤーは下山時刻に注意。 また、山頂リフト営業の最終時刻は15:00なので、それまでにゲレンデTOPまで下山するのが望ましい。 営業時刻はその日の状況によって変わるそうなので、一応、係員に確認しておいた方が良いかと。 ●北望台登山口〜中大巓 ゲレンデから先の登山コースは樹間の狭い針葉樹林帯が続く。 登りはまだ良いが、ターン出来ないほどに狭い箇所が多々あるので下山滑走が大変。 中大巓の山肌はどこもこんな感じで、どのようにルートをとろうが密樹林の滑走は避けられないので、そこは覚悟の上で。 尚、針葉樹の根元には深いツリーホールが出来る。 吾妻連峰ではツリーホールに落ちて出られなくなったスキーヤーの事故が度々報じられるので、転倒して頭から突っ込まぬよう注意。 ●中大巓〜西吾妻山 中大巓から西吾妻山までは雪原状のなだらかな稜線が続く。 滑落等の危険は無いが、掴みどころのない地形が延々と続くので視界不良だと迷いやすい。 強風域でもあるので、悪天候時は注意。 また、梵天岩への登りや西吾妻山の登りは密な樹氷地帯となっており、迷路のように入り組んでいる。 ルートファインディングに時間を要するのでトレースが無いと大変かもしれない。 悪天候時は危険な稜線となるが、晴天であれば特に問題は無し。 雪原状に広がる稜線の眺望は良く、樹氷も見頃を迎えているので晴天時に是非。 ●西吾妻山東面〜中大巓のコル(滑走) 西吾妻山東面はオープンバーン。 小規模なオープンバーンであるが、部分的に傾斜が強まる。 特に地理院地図に土崖記号で記されている箇所の傾斜が強いので、滑走時は一応注意を。 オープンバーンを過ぎると緩斜面の樹氷原がしばらく続くが、稜線上の樹氷原ほど密では無いので滑走は楽。 傾斜が緩くなるのでスキーの進みは悪く、時には歩いて進む事になるが、コンター1900m付近に小さな沢地形があるので、そこに入るとスムーズに進める。 樹氷原を更に進むと平坦な地帯となるので、この辺でシールオン。 あとは雪庇を避けつつ中大巓のコル目掛けて登り返せば、元の稜線に復帰できる。 西吾妻山の密な樹氷地帯や梵天岩の登り返しなどをパス出来るので天元台への下山滑走ルートとしては効率が良い。 稜線上を辿って下山するよりも早く下山できると思うが、稜線上よりもかなり雪が深いので、あくまでもスキー用のルート。 登山者が辿ってしまうと深雪のラッセルで苦労させられると思うので、西吾妻山の東面にスキートレースが続いていたとしても辿らない方が良い。 |
写真
感想
朝の湯元駅は晴れていた。
これなら晴天の中での樹氷鑑賞が楽しめるだろう、と期待してロープウェイ・リフトの片道券を購入。
ロープウェイとリフト3本を乗り継いで北望台登山口へと向かうが、上部リフト2本の始業準備等が済んでいないようで、暫し始業待ち。
ようやく動き出した山頂リフトに乗り登山口に到着するも、その頃には10時近くになっていた。
すっかり遅くなってしまったが、ゲレンデトップでシールを貼り、登行開始。
同時に到着したスノーシューの登山者3名と共に登山コースの針葉樹林帯へと進む。
樹林内にトレースは残っておらず、最初からラッセル。
既に朝の晴天は失われており、最初の樹林内で周囲はガスで包まれ視界は悪かった。
視界不良のまま稜線へ向かうのは気が進まないが、とりあえず最寄りのピーク、中大巓まで登ってみる。
登るにつれてガスは濃くなり、中大巓の山頂ではホワイトアウト。
視界回復を願い、暫し山頂にて待ってみるが、周囲の景色は何も見えず冷たい風が吹き続け、ここに居ても寒いばかり。
風の当たらぬ場所へ移動するため中大巓を下るも、足元の地形すら禄に見えない状況だった。
中大巓の南東面側はオープンバーンになっているので、そこを滑ればすぐに降りられるのだが、視界ゼロで斜面が見えないので樹氷の間をゆっくり下降。
なんとか中大巓を降りて、稜線下の樹氷原まで高度を落とした。
そこまで降りると風は弱まったので、ここで一思案、さて、これからどうするか。
西吾妻山へ登りたいのだが、この視界ではとてもじゃないが行く気になれない。
かと言って、下山するにしてもまだ時間は早く、せっかく大枚はたいて片道券を買ったのに有効活用できないのは癪である。
やれやれ、今日はBCではなくゲレンデ滑走にするべきだったかと、後悔する始末。
仕方ないので、周辺エリアに広がる樹氷原を散策して時間を潰すことにした。
周囲の景色は何も見えず、見えるものと言ったらこの樹氷群のみである。
蔵王同様、吾妻連峰の樹氷も今シーズンは発育が良く既に見頃を迎えていたので、ピークを目指さず樹氷鑑賞するだけでも悪くない。
気の向くまま、足の向くまま、樹氷原を散策する。
しかし、この悪天候では折角の樹氷も見栄えせず。
スノーモンスターと形容されるように、その怪物然とした風貌は悪天候下では異形の軍勢。
気温の低さも相まって、背筋が寒くなるような不気味で陰鬱な光景に見えてしまう。
そんな状況の中、しばらく樹氷原の散策を続けると、午後になって変化が現れる。
南の空に僅かに青空が見えるようになり、ガスが晴れててきた。
始めは下の方の景色しか見えなかったが、徐々にガスは上がってゆき、最終的には西吾妻方面の稜線も見えるようになった。
これは好機、今なら西吾妻山へ行ける。
西吾妻山へのリトライを思いつくが、時刻はもう12時40分。
これから山頂を目指すには遅い時間だ。
スキー場の山頂リフト営業は15時終了なので、出来ればそれまでにゲレンデに戻りたいところである。
2時間程度で山頂まで行って下山できるか微妙であるが、悩んでいる間も刻々と時間は過ぎてゆく。
とりあえず行けるだけ行ってみようと、再び稜線に上がり西吾妻山を目指す。
午前中、同時に入山した登山者達は視界回復を待たずして撤退したようで、稜線上は無人。
独り寂しく稜線上を進んでいくが、西吾妻山へ続く稜線は樹氷の盛り。
先程まで散策していた下の樹氷原同様、目を楽しませてくれる。
しかし、この樹氷原がスキーだとなかなか厄介。
樹間が狭く迷路のように入り組んでおり、右へ左へと頻繁に移動させられる。
小回りの利くスノーシューならまだ良いが、私のスキーは180cmと結構長いので取り回しが大変だ。
また、ツリーホールや吹き溜まりによりルートは大きくうねっているのでスキーで越えるには厳しいギャップも多数あり。
風で雪が飛ばされるせいで雪は浅く、大したラッセルにはならないのだが、何分、スキーとの相性が悪い。
どちらかと言えばスノーシュー向きのルートなので、樹氷原の中ではスキーの進みが遅く苛立たされた。
樹氷原の中を悪態つきながら登り続け、ようやく西吾妻山に登頂。
去年は小雪だったため吾妻連峰には一度も訪れていないので、ピークに立つのは久しぶり。
青空ではないのでちょっと残念な山頂景色ではあったが、周囲を取り囲む見事な樹氷の景色は今年も健在であった。
樹氷原の向こうへ視線を飛ばすと、そこには西大巓のピークが見える。
その東面は真っ白でシュプールは無し。
人気の滑走ルートであるが、今日は視界不良のせいか誰も滑っていないようである。
そう言えば、昨年末、福島県側のグランデコスキー場の方から登ったスキーヤーが西大巓付近で消息を絶ったとのニュースが報じられていた。
続報が無いので、まだそのスキーヤーは見つかっていないようであるが・・・
今もこの近くに居られるのであろうか?
そんな事を思いつつ、西大巓から西吾妻山の稜線へと目を凝らしてみる。
しかし、そこに人の姿は全く見られなかった。
さて、登頂を済ませた後は下山滑走。
先にも述べたように、登ってきたルートはスキーとの相性が悪いので、同じルートを滑走するのは骨が折れる事だろう。
しかし、心配はいらない。
ここは、下山滑走するのに良いルートがある。
これは4年前に鶏氏と共に西吾妻山へ登った際に見つけたルートなのだが、まずは西吾妻東面のオープンバーンを滑り降りる。
トラバース気味に急斜面を滑降してゆき、やがてオープンバーンを抜けて傾斜が緩むと樹氷原へ行きつく。
午前中に散策していた樹氷原へと抜ける訳だが、平坦になってスキーが進まなくなったらシールオンして稜線へ登り返し。
少しの登りで中大巓の麓へ抜けられる、という算段である。
東面オープンバーンが白飛びしており良く見えず、スキーやストックで傾斜を探りながらの滑走となったが、その後は順調。
無事、かもしか展望台へと戻り、ゲレンデへの最後の関門、針葉樹林帯の滑走へ向かう。
ここまでは快適な下山ルートであったが、この針葉樹林帯だけは大変。
木が密に生えており、ターンできるようなスペースが無い。
傾斜もそこそこあるので、ゲレンデまで滑り抜けるのは一苦労である。
そんな最中、4人パーティのスキーヤーに出会う。
あれ、スキートレースは全く見かけなかったのに、何処を滑ってたのだろう?
不思議に思い話を伺うと、最初はゲレンデを滑っていたが視界が良くなってきたのでちょっと入山してみたとの事。
彼らも抜けるのに苦労してるようで、一体どこを滑れば良いのだと、お互い苦笑させられた。
針葉樹林帯では苦労させられたものの、なんとか15時前にゲレンデへと抜け、ラストは天元台スキー場のゲレンデ滑走。
ゲレンデトップから山麓の湯元駅まで、総長6kmにも及ぶ長いゲレンデ滑走はなかなか爽快。
日中、多くの人が滑った後なので面は荒れていたが、何分、先の針葉樹林帯の滑走が酷かったので全く気にならない。
ここまで心の中に溜まっていた澱のような感情がゲレンデ滑走にて解放され、気持ちが浄化されるかのようである。
整地された広いスペースのゲレンデ滑走の、なんと心地良い事か。
伸び伸びとターンできることの喜びを噛みしめながら、湯元駅へと下山した。
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