奥穂高岳 扇沢
- GPS
- 14:00
- 距離
- 21.9km
- 登り
- 3,247m
- 下り
- 3,244m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ(1)
予備電池(1)
1/25
000地形図(1)
ガイド地図(1)
コンパス(1)
笛(1)
筆記具(1)
ライター(1)
ナイフ(1)
保険証(1)
飲料(1)
ティッシュ(1)
タオル(1)
携帯電話(1)
計画書(2)
防寒着(1)
シール(1)
ストック(1)
時計(1)
行動食(1)
非常食(1)
アイゼン(1)
ビーコン(1)
スコップ(1)
ゾンデ棒(1)
ピッケル(1)
オーバー手袋(1)
インナー手袋(1)
防寒用帽子(1)
目出し帽(1)
ゴーグル(1)
サングラス(1)
日焼け止め(1)
替え手袋(1)
スキー板(ボード板)(1)
スキーブーツ(1)
カラビナ
スリング(1)
ハーネス(1)
ヘルメット(1)
|
---|---|
共同装備 |
ツェルト(1)
ファーストエイドキット(1)
医薬品(1)
カメラ(1)
車(1)
ロープ8mm x 30m
|
感想
新年早々に乗鞍から見た扇沢のフェイスが素晴らしく、あそこをパウダーで滑りたい、と意気込んだ。2月1週目に涸沢岳西尾根経由でアタックしたが強風のため敗退。
今回は白出沢を経て奥穂からの扇沢滑降に再度挑戦し、成功した。西穂登頂も視野にいれたが、結果的にこちらは果たせず、天狗岩のコル経由で新穂高へ下ることになった。以下に詳細を記す。
前夜会社を終えてそのまま新穂高を目指す。カンテガは土曜の夕方に用があるので、上高地下山予定で車を坂巻温泉にデポ。3人で新穂高に向かい、右股林道終点に駐車する。準備していると西穂西尾根をソロで登るという女性に話しかけられた。しばらくするともう二人、今度は顔見知りで、今回は滝谷に行くそう。
準備を終え、3時半に出発する。今回は林道で一旦板を担ぎ、穂高平小屋にショートカットする。ここで西尾根の女性に追いつく。白出小屋で滝谷の2人としばし歓談。
最初は登山道沿いに緩い尾根を登り、途中で白出沢へ下りた。大滝手前でデブリがひどくなったので、一旦板を脱ぎ、高巻く。一箇所悪い場所があり、アルミアイゼンでは厳しく、ピッケルを出した。途中までスキーのものらしいトレースがあったが、高巻きで別れた。大滝を巻くと二股になるが、クライマーズライトの沢がシラダシだ。
ここはとにかくもう登るだけ。間大きな休憩を一度してあとはひたすら登った。雪崩も落石も予感は無かったが、ヘルメットはしっかりかぶった。僕は終始シール、カンテガとUTは時々板を担いで登ったが、コル直下が氷化しており、結局僕も最後は板を脱いだ。
2人に少し遅れて穂高岳山荘に到着。前回は冬季小屋が見つからなかったが、穴が掘られており、今回入ることができた。風が無いだけでこうも違うか、という感じで、まさに楽園だった。誰かのゴミが残置されていたことだけが少々残念。
気を取り直して奥穂を目指す。UT、カンテガの順で本日の核心部を登っていく。ハシゴ近辺が緊張する。ここはクライムダウンしたくない。2人に遅れて山頂へ到着し、セルフタイマーで記念撮影。
準備を済ませ滑降に入る。見た目でわかっていたが、かなりのアイスバーンで正面の最も急な斜面は滑れない。途中で話し合い、スキーヤーズレフトに巻くようにして滑る。雪は安定していたが、それでも湿雪スラフが出て、沢心を高速で流れていった。
扇状の広大な雪面を滑った後、振り返って正面フェイスを見たが、所々岩が出ていて、斜度も相当あり、ザラメかパウダーでないと危険だ。
扇は一箇所に集まり、後半は狭いルンゼになる。ここは外からは見えないが、三浦さんの記録を読んでいたので、つながっているのは知っていた。情報があるのとないのでは緊張感がまるで違う。無難に滑り、岳沢に飛び出した。素晴らしいザラメ面ツルで少し滑走し、高度を落とす。
扇沢の滑走動画です↓
ここでカンテガは上高地へ、我々は協議した結果、西穂高沢はデブリがすごいので、天狗沢を登り返すことにした。
これを登ると標高差が3千に達する。2千はよくあるが、3千はまだなかった。2千が丁度良いくらいで、それ以上プッシュしたことが無いのだ。午後になり、気温はこれから下がる。上高地へのエスケープは間違いがない。この機会に自分の限界を試す意味でも登り返すことにした。なお、UTMFは登りたくてしょうがない感じだった。
デブリを上手くかわしながら天狗沢を詰め、天狗岩下のコルへ登り上げる。UTが先行し、その跡を辿るが、シールが滑り難儀した。トレースを外した方がかえって楽だったようだ。UTにチョーオユーを履かせたら登りでは追いつけない。下りで体力を消耗してもらってやっと帳尻が合う。
飛び出したコルの景色は素晴らしかった。陽が傾き、前穂、笠の斜面が美しい。
来てよかった、生きててよかった、という瞬間だ。セルフタイマーで記念撮影するも後で確認したらなぜかすごい形相のUTしか写っていなかった、、、
西穂沢左俣は意外にもパウダーがあり上部は快適だったが、結局最後はデブリ。まぁ、先週の北股本谷に比べれば全然マシでした。あとは藪、林間をすり抜けるように林道へ出て、陽が落ちて固まりつつある林道を一気に帰った。目標の登り累計3千もクリアし、今日は間違いなく完全燃焼だった。
さて、この斜面、パウダーで滑ってこそみたいなことを以前うそぶいた。が、今回実際に扇沢を下ってみて、あそこを厳冬期に滑るのは本当に奇跡的な条件が重ならない限り無理だと改めて痛感した。滑走自体の難しさよりも地形的な危険度が高く、少しのスラフでも集まって沢心に流れたら逃れようがないし、仮に伝播でもしようものならまず間違いなく助からない。安全なポイントも少なく、ソロでもグループでも危険に晒される。
あの斜面に生命をかけて奇跡的なシュプールを描く、それは冒すだけの価値があるのだろうか。ある意味で、2月に強風で奥穂に登れなかったのは良かったんだと思う。
このコース、自分もずっと前から考えていましたがカリカリでエントリー出来ずその後もチャンス無く未滑走でした.Dr7が挑戦を試みて落石でこの世を去った因縁の扇沢でもありウルウルで読ませて頂きました.
YSHRさん、こんばんは。完全燃焼でした!
ここはやはり南面なのでアイスバーンのことが多いんですかね。しかし、ここまで来て引き返すYSHRさんは流石です。Dr.7はあの日ここを狙っていたのですか。白出沢を登るときはしっかりとヘルメットをかぶりましたよ
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