【農鳥岳】ラッセルと踏み抜きで贈る15時間


- GPS
- 15:39
- 距離
- 21.1km
- 登り
- 2,744m
- 下り
- 2,741m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
奈良田発電所付近の誰にも迷惑が掛からない場所に駐車。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
■奈良田ゲート-大門沢小屋 夏道です。冬靴で歩きたくなかったのでトレランシューズで歩きました。 林道は2.2kmほど。登山道へ入る最後の吊り橋はかなり揺れるので注意。 日中はピンクリボン豊富で問題なし。夜は若干見えづらく迷ってしまった。 大門沢小屋付近になると若干の雪と凍結が現れますが、区間は短いです。 大門沢小屋では水が出ています。トイレはあるが未確認。避難小屋は暖かい。 ■大門沢小屋-丸太橋(1850m付近) 小屋を少し上がるとアイスバーン、そしてすぐに雪道となります。以降ずっと雪道です。沢沿いに下る1850m付近に、埋まった丸太橋があり、この辺から一気に雪が深くなります。 ■丸太橋(1850m付近)-河原・出合(2100m付近) 夏道をトレースしようとしたがよくわからなかったので沢の右側を適当に歩いた。雪深く歩行には難儀した。沢は途中から雪道(雪崩跡)となる。沢はその後右岸、左岸と別れ、右岸から中央に渡り樹林帯へ入る。右岸は雪崩の巣、大量のデブリ帯だった。 締まっている時間帯であれば沢を直登したほうが早いが状況次第だとおもう。 ■河原・出合(2100m付近)-森林限界(2600m付近) 樹林帯。トレースはない。ごく一部クラストしているが基本全て埋まる状態。 2400m付近まで脛から膝まで、2600mまでは膝から腰までのラッセルと踏み抜き。 どう歩いても埋まるので、夏道はさほど意識せずほぼ直登した。 ■森林限界(2600m付近)-稜線(大門沢下降点) 森林限界から埋まりは浅くなった。稜線手前、大門沢下降点へ直接登るのは 危険と感じたので若干北側にある尾根沿いを登った。 ■農鳥岳山頂まで この時期は2946地点を経由し、尾根上を行くのが正解とおもう。 わりと雪質が固めだったので夏道経由で雪上を登ってしまった、反省。 東側は雪庇が発達しているのであまり寄らないほうが賢明。 特に山頂での北岳側は大きく発達していました。 登っておいてなんですが、この時期に行くものではないなと思いました。 行くとしてもガッツリ冷えた日に、縦走路として利用したほうがいいような。 |
その他周辺情報 | 奈良田温泉女帝の湯。19時まで営業@550円 ぬるめの温泉で泉質最高。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
バラクラバ
毛帽子
着替え
靴
ザック
アイゼン
ピッケル
昼ご飯
行動食
飲料
水筒(保温性)
地図(地形図)
コンパス
ヘッドランプ
予備電池
GPS
ファーストエイドキット
ロールペーパー
携帯
時計
サングラス
カメラ
ヘルメット
|
---|---|
備考 | ワカンがあれば多少は楽かなということがワカンかった。 |
感想
今回は農鳥岳へ登ってきました。
情報がはほぼなく、気温も高めであったため踏み抜きや雪崩が懸念されました。
時間が掛かってもいいように早い時間からスタートです。
10時頃出立し奈良田に到着したのは0時半頃、気温は12度?!暖か過ぎる。
2レイヤーで進むもすぐ温まったのでベースレイヤーだけで登ります。
途中登山道を見失い30分近くのロス。
それでも何とか3時間程で大門沢小屋に到着。水場あり、避難小屋は温かい。
本当に助かります。ここで再びハードシェルを着て、冬靴に履き替えチェーンスパイクでスタート。
小屋を過ぎてある程度すると一気に冬山に切り替わります。
段々と雪深くなっていきます。トレースはありません。
雪に埋まった丸太橋があり、沢に下りる付近(1850m付近)でまたもや道が不明瞭。
ウロウロします。尾根沿いだったり沢沿いだったり、深い雪に埋もれながら
夜が明けていきます。日も上がったころに沢の出合に出ました。
右岸には凄まじいデブリの量、左岸は落石天国。デブリ帯がしっかり締まっていたので
右岸を少し進み、そのまま渡って中央の樹林帯の取り付きへ。
約2200m付近でしょうか。
ここまでもかなり大変でしたが、ここからの樹林帯が核心部でした。
稜線に乗る2850mまで延々のラッセル&踏み抜き地獄。
最初は脛から膝程度でしたが、標高を上げるにつれ腿や腰まで埋まります。
これはアカン…もう帰ろう…と思った頃突然歩きやすく固まった場所が出現したりして、中々心を折らせてくれません。
どう動いてもハマってしまうので、大まかな夏道の場所は捉えつつも、基本的には直登で進んでいきます。元々つづら折りで登る場所のため結構な急斜です。
しかし四つん這いで登っていくのは楽しいものです。
登り続けて疲れたので、ビバーグ適地のような岩穴があったため食事休憩します。
計算してみると1時間で120mくらいしか進んでいません…マジか…
10時を過ぎても樹林帯を抜けなければ撤退しよう。そう決めて再び進みます。
森林限界付近が特にヒドイ。膝で整地してから登ります。
時折足場が全てが崩壊したりして心が乱れます。あぁ、何でワカン持ってこなかったんだろう。
でもこの斜面ワカンいけるのかな?ワカンないな…等と
思考停止気味に登り続けると、ついに樹林が薄くなります。
その辺から急にヒドイ踏み抜きがなくなります。嬉しいけど大分疲れてきました。
しかし今度は雪崩が恐ろしい。大門沢下降点は若干凹んでいるので北側の小さな尾根
を進みます。若干小高い丘から雪が少ない場所を選び登っていきます。
そしてついに稜線にたどり着きました。
白根南嶺、南アルプス深部の山々、中央アルプス等絶景が目の前に飛び込んできます。
感動よりも今は登りきる事しか考えられない。もう少しだ、頑張ろう!
自分を叱咤しながら進みます。
しかし数歩歩いては立ち止まり、数歩歩いては立ち止まりを繰り返し。
登りだけではなく平坦な道でも足があまり出ません。
ちょっとした偽ピークに心を折られそうになるも、10時間以上かかって
ついに山頂にたどり着くことが出来ました。
山頂まで登ると先程の景色からさらに、北岳と間ノ岳の美しい稜線がお出迎え。
来て良かったなぁーとやっと喜ぶことが出来ました。
風は強いものの気温は0度程度のためさほど気になりません。
一通り写真を撮って下山します。
帰りは当然日光によって今まで以上の踏み抜き天国です。しかし下りなので
登りほど大変ではありません。いや、大変ですけど。
んー今日は1000回以上は踏み抜いてるな…
安全に配慮しつつ若干行きとは異なるルートを進み無事大門沢小屋へ到着。
ここまで来たらなぜか超元気になった、アミノバイタルのせいかしら?
その後フリースを脱ぎ、トレランシューズに履き替えサクサク下山。
下りきった際に見上げる山頂は今まで以上に輝いて見えました。完
コメント
この記録に関連する登山ルート
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こんにちは
はじめまして 今時期の農鳥岳を日帰りとは凄い体力ですね
akadake5さんはじめまして。
北海道にお住まいなのですか。登山歴も長く大先輩ですね
この時期の農鳥は情報がなくて、厳しいだろうなと思ってはいましたが
想定外のしんどさでした
その分の達成感は素晴らしいものがありましたが、余裕があればもっと先に行きたいものと
おもっていましたのでまだまだだな…と思った次第です。
コメントありがとうございました!
alsoさん こんにちは
またまた凄まじい距離を、、、、、、、、、
夜中からお疲れ様でございます。
腰までのラッセルと踏み抜きがあっても
さすが撤退せず進んで行くなんて素晴らしい。
とてもとても凡人には真似できません。
距離が距離だけに気温が上がった帰りの踏み抜き天国?は
さぞや大変だったと想像するに恐ろしいです。
こちらの方面もまだ訪れたことが無いのですが
塩見岳の写真、、、、凄い迫力ですね。
こんなところ 人が登るんでしょうか(笑)
何はともあれご無事で何よりです。
本当にお疲れ様でした。
akanetouchanさんこんにちは。
今は無駄に時間がありますので、それを有効活用した山行となりました。
でもこんなに掛かるとは思っていなかったんですけどね(笑
行きの登りから結構雪が緩めで…帰りも同様だったのですが傾斜が結構あったため
勢いで下りてきました。
南ア深部の山々でも塩見はかなりの異様さを醸し出していました。
すごいですよね。自分も行ったことがないのです。
今年は行ってみたいなっておもってます!
お疲れ様でした。
すごいですね。あんな丸太の橋、夏だって私なんか落ちそうでしたし、
ピンクリボン探しが大変だった農鳥ルート。
月でさえ骨に見えちゃった〜。真夜中の出発、凄すぎ!!
岩魚だって、寝てる時間💦
私がのほほんと寝てる間に農鳥って。
この時期、あの有名な農鳥小屋のおじさんはどこで何してるんでしょうね。
このレコ見て、雪山美しいぃぃぃぃぃ行きた〜いって思うのでした。
でも、この時期のここは無理!!尊敬です👏
hapiraさんこんにちは。
去年白根三山縦走してるんですね。レコ見ましたよー
本当はよく踏まれている状態で、自身の設定時間を上回っていれば
自分も縦走する予定でしたが、瞬時にしてその予定は崩れ去りました
ピンクリボンは新しいやつだと思います。たくさんついていたから迷わないと思いますよ!
自分はすっかりルート外れちゃいましたけどねwww
あと一番やばい丸太橋は雪で埋没していたので大丈夫でした。
農鳥のおやっさんはオフシーズン狩猟しているみたいで、その時はスゲーいい人らしいです!
この前西穂の帰りの温泉で会ったおじさんが言ってました。小屋でのおやっさんについては
めっちゃめちゃディスってましたけど(笑
月は骨にみえんけど、無職なんで余裕をもった時間でスタートでした!
でも奈良田ってアクセス悪いですよね。帰りが長くて
ニンニクマシとは若いですね〜
私はニンニク少なめヤサイ
歳のせいかニンニクですぐに胃がやられちゃいます。
大門沢下降点からの雪渓下り怖くなかったですか?残雪期でしたが下降点直下のトラバースが怖くて降りるのを躊躇した記憶があります。その時は笹山まで戻ろうかと真剣に考えました。
ruhasamenさんこんにちは。
自分はニンニク好きなんです。次回はニンニクマシで。アブラは苦手です。
でも胃が痛くなったりしますけれども(笑)
大門沢下降点、やばいですね。ちょっと外れた尾根っぽい場所を登っていたので、そのまま
トラバースはせず、下降点の北側へ直登して避けました。
大門沢下降点が目に入った時点で、これは絶対無理だなって思いました
いやいや、仙丈に引き続き、凄いですね。
一度ruhasamenさんとお二人で、とんでもコースのレコを上げて下さい。
行っちゃいましたか、ラーメン屋。からめにしたら、塩辛すぎでしょ??
私の会社のメンバーは昼に食べると午後は仕事にならないボリュームですよ。
それにしても、凄いレコですね。
ruhasamenさんから、同じコースの事聞いたことありますが、画像で見ると
余計に恐ろしく感じますね。どこ歩けばいいのって。
ryutakutanさんこんにちは。
山行後は大抵激しいイートモードに突入しているので満腹になりつつも食べ切りました。
あ、チャーシューも追加しておきました
単純にルートだけ見ると黒戸尾根くらいなんですが、刀利天狗から延々とラッセルしているようなイメージでしょうか。やはり山はコンディション次第だなーと痛感します。
雪深さと、RFと、リスクマネジメントと準備の甘さと、ヘロヘロになりながらも感覚が研ぎ澄まされていく感じでした。
怖い部分が多いですけど、その分の見返りが多くて、これだからやめられませんね。
しかしながら調子に乗らず分をわきまえた行動を心掛けたいと思います。
ruhasamenさんはレベルが高くてですねー
緊張しちゃいます。ryutakutanさん皆で行きましょう
alsoさん、はじめまして。コンニチワ。kanenokiさんのレコで知りましたが、alsoさんもkanenokiさんと同日に北岳に行かれたのですね。また、農鳥往復もされているとは
学生のときに白峰三山縦走をしたいと思いましたが、農鳥から奈良田まで2000mの急降下を考えるとやめました
自分は北岳に3回登っていますが一般ルートからは一度もなくすべてバットレスからで下山も適当に降りため八本歯のコルも草滑りも知りません
今はもちろん岩登りはしません。600mの高尾山が限界です
山登りは個人に合った形式で個人が楽しめばそれでいいと思いますが、やはり自分はこのような超ど級山行に興奮しちゃいます
時々、alsoさんのレコにコメントさせてください。よろしくお願いいたします。
fujikitaさんこんにちは、はじめまして。
前のレコでしたので気づくのが遅れてしまいました。すみません
fujikitaさんは山の大先輩ですね
自分は岩登りは全然ですのでバットレスとか眺めているだけですので本当凄い!です!
他にも沢山のご経験をなされているようですね
今は今でチャレンジをされていて尊敬いたします。
それに比べたら自分なんてまだまだ…技術的にも全然ですし、多少体力が余っているくらいです。
今日も昔のレコを漁っていたのですが、先人たちの凄まじい記録にただただ圧倒され
まだまだだな…と思った次第です。
それほど大したものではありませんがそれでもよろしければ是非またご訪問ください!
コメントありがとうございました!
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