大段山(奥深い山にも春が来た)
- GPS
- --:--
- 距離
- 5.9km
- 登り
- 803m
- 下り
- 807m
コースタイム
- 山行
- 6:50
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 7:50
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
整備された登山道はありません |
写真
感想
新潟下越地方の阿賀町には、れっきとした山なのに、高井峠と書く山や人品頭山など、どう読んだらいいのか分からないような山が有って、それだけでも耳目を集めている。土倉山などはずんぐりとしたドングリみたいな山容で、形も面白い。カタガリ山などという、首をかしげたような山もある。兎ヶ倉山は、文字通り読めば、ウサギカクラヤマ、トカクラヤマだが、一般的に“うさんくらやま”と読んでいる。間違って”胡散臭い山”と勘違いしてもおかしくは無い。ほとんどが藪山だと思うので、とても全部登られるとも思わないし、登ろうとも思わないが、里山は林道が発達しているので、スキー利用も有効で、多種多様な山行が楽しめる。
前回登った棒掛山から尾根続きの竹ノ倉山、大段山を眺め、こんどはどっちかの山だ、と思ったのだが、竹ノ倉は殆ど雪が消えてしまっていたので、少しは残雪を利用できそうな大段山へ出かけた。今回の登山口の小荒に向かって国道からハンドルを切ると、道路はクネクネと幅も狭くなり一気に緊張度が高まる。久しく来たことが無いのでそれもやむを得ない。
車を置いた路傍には、カタクリが咲きアサツキが所かまわず生えている。家の周りに鮮やかな水仙やヒヤシンスなどが咲いているが、物音一つなく静まり返っていた。村から川に向かって九十九折の道を下る。イチリンソウ等が咲いているが少しジメジメした道である。実川がゴウゴウと流れる。つり橋を渡ろうとして、一瞬息を飲む。橋の踏板が所々抜け落ちているのだ。朝露に濡れた踏板は今にも落ちてしまうのではないかと、マジで考えてしまう。慎重に、慎重に渡る。
渡り終わると、そのまま沢曽根を登る。上流側を偵察すれば河岸段丘上に登る道は有るのだろうが、登る高さはどこも同じと、突き進む。登りやすそうなところをたどるが、細い立木や草株を押さえつけての登りとなり、緊張感が高まる。セオリー通りルートを偵察すればいいものを。少しばかりの時間を何で手抜きする、といつもの次郎太郎、反省猿。
一汗搾られるがイワウチワの花が足の踏み場もないほど咲いていた。山深い里も春爛漫である。尾根に乗ると比較的楽な行程となる。藪は藪だが、それほどでもなく明らかな踏み跡も認められた。尾根に乗るまでは、明確な道型は無くても、尾根にのればハッキリとした道型になることは良くあることである。ここもそのような典型であろう。
あとは忠実に尾根をたどる。総じてブナの林である。ところどころ姫子松が混じる。P636付近から残雪が見られるようになる。そこよりほぼ水平の尾根を進んで少し下ると、そこから残雪の斜面を登る。大段山頂上直下の斜面は、急崖でつるつるに磨かれた岩が剥き出しである。こんなところを登るには、それ相当の準備とメンバーが必要であろう。
残雪の斜面を登り詰めると山頂稜線。杉の原生木が目につく。杉の原生木はこの辺の山では普通に見られるものだ。縄文杉には及びもつかないが、ねじくれた物や株別れしたものなどを見ると、風雪に耐えた長い歴史を感じ取ることが出来る。そこから東方向に尾根を進むと大段山山頂である。三角点が顔を出していた。
枝葉が邪魔して展望は良くないが、場所を選べば大展望が楽しめる。蒜場山が真っ白で大きな山体だ。烏帽子山から大日岳へと連なる飯豊連峰が圧巻だ。その前面を埋めるのが、筆塚山、焼曽根山、水晶峰などであろう。こうしてみると飯豊連峰というのは奥が深い。さらに東に目を転ずれば、鏡山、立石山、高陽山と会越国境の山々が連なっているのだ。去りがたい光景である。
大段山とP852の鞍部から東南稜を下る。この尾根は微妙に屈曲するので地図とナビで注意深く下るが、標高500m付近の屈曲点で直進してしまって20m位登り返した。本来下る方の尾根の方が藪が濃くて、引きずり込まれてしまったのだ。わずか20m位の登り返しだが、ショックは大きかった。しかし、後は一本道。藪の道だが一安心で大休止とする。
ツピーツピーと小鳥のさえずり。ぽかぽか陽気。ブナの木に囲まれて根が生えた。イワウチワの花。淡い萌黄の若葉。ツツジの花も咲きだしている。いいねえ〜、汗を流すというのは。気分スッキリ。流した汗とともに体中の毒素が抜けていくのでもあろう。しかし、まだ不安はある。沢の徒渉だ。
細かい藪の尾根を下る。茨ではなく、背丈も低いので、それほど気になる藪ではないが、急坂が続く。長い一本調子の下りだ。おいおい勘弁してくれよ、というころ九十九折の道を下って渡渉点となる。キクザキイチゲやスミレの花が咲いていた。ちょっと見には、渡れそうにないが、道が有れば必ずと言っていいほど、いい渡渉点はある。ストック(杖)も有効なギアで、杖を支点に難なく超える。
沢を渡って、狭い側壁の道を登り、杉林の道を進み吊り橋にでる。やはり吊り橋から河岸段丘に上がる道はあった。あるのが当たり前。偵察を怠る方が悪い。やっぱり反省。つり橋を渡るのはやっぱり緊張したが、一回渡っているのと、陽が照って踏板が乾いていたので、それほどでもなかった。
意外や意外、側壁の道は花のオンパレード。朝は先を急いでしまったのであろう。ほとんど気づいていなかったが、エンレイ草、サンカヨウ、イチリン草、スミレなど。その他にも名前のわからない花が有った。
薄暗い川底から道路に上がると日の光がまぶしかった。家々の庭に咲く水仙やツバキは色鮮やかだ。山の水を引いているのであろう池の水は清冽だ。山間の集落の典型的な風景だ。
春の日を浴びながら、おばあちゃんが庭の花や、畑をいじったり、ゼンマイを干したりしていてもいいのに、人の気配は全くない。私の思い込みかもしれないが、ちょっとばかり寂しい気分で帰路に着く。
コメント
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東北の春はドラマティック
雪解けを待って一斉に咲くのですね。
雪山を背景に美しいです。
イワカガミは中国地方の里山で見れますが
イワウチワはまだ見たことないんですよ。
渡渉
やはりそうですか。
ストックあったら川でもじもじせずに
ひょいと渡れるのではないかと
この春ついに買ってもらいました!
猫に小判、にならないよう活用します。
こんばんは〜。
今日は、朝方みぞれが降りました。みぞれというよりビショビショの雪ですね。ちょっと寒かったです。春は一番寒暖の差が大きいらしいです。お互い体調管理に気をつけたいですね。
イワウチワは中国地方には無いんですね。こちらでは登山口から普通に咲いています。ピンクの花で結構可愛いです。私は、ブナの萌黄色が好きですね。あの色は何と表現したいいんでしょうか。ちょっと言葉が出てきません。それが見られるのは、もうちょっと先ですね。
ストック一本持っていると、いつも三点支持みたいなものですから安定していいですね。邪魔なイバラなども叩き折ることもできますし、いろいろ役立ちます。徒渉でも、ストックを突けば、かなり深くても何とかなるときも有ります。私は、ストックも持っていますが、最近は木の棒(杖)を使っています。長さとか調節できませんが、手の位置をずらせばいいだけですからね。結構重宝しています。って、大袈裟な言い方ですが、生活防衛策の一環です(-_-;)
myoukohiuti さん、お早うございます。
当日近くを彷徨いていました。
未明栃木発で9時過ぎ菱潟到着、兎ヶ倉下山後に大段山取り付き点(特に小荒の橋梁)視察のため現地を訪ねました。😊
橋は踏み板が腐食し怖いですね。一応欄干伝いに渡れることを確認出来ました。雪の状況は兎ヶ倉からも見えていましたが、尾根には全く雪が無く悩みました。
その後鍋倉の雪の確認にも回りましたが同様で、今年の少雪と融雪の早さには驚きました。やはり普段雪のない地方に暮らしていると、ヤマレコを見ていても残雪予想の感覚は狂ってしまう ?ようです。😥
残雪登山が諦め切れず、雪を求めて当日中に奥会津に転回しました。❬翌日の結果は▪▪▪▪別途アップ(ギブアップ?)のつもりです。❭
追:白い花はサンカヨウではなく、ミヤマカタバミだったかと、為念。
そうですね。花はサンカヨウじゃなかったですね。”多分”と書いておいて正解でした。ミスのショックを最低限で抑えることが出来ました、と言い訳しております(-_-;)
小荒の吊り橋を偵察したとのことですが、私が小荒を後にしたのが14時半から15時の間なので、途中ですれ違ったかも知れないと、勝手に推察しています。黒い乗用車とすれ違い、どっちも一旦停車して譲り合うような形になったのですが、もしかしたらtonkaraさんかも、と思いました。車新しかったし。栃の木清水付近でした。
としたらプチどころかニアミスそのもので、奇跡です(^^)/
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