天城山縦走
- GPS
- 07:15
- 距離
- 10.7km
- 登り
- 734m
- 下り
- 688m
コースタイム
万二郎岳⇒ 10:40 アセビのトンネル⇒ 10:55 石楠立(はなだて)⇒ 11:45 万三郎岳⇒ 12:10 片瀬峠⇒ 12:25 小岳 12:45⇒ 12:55 ヘビブナ⇒ 13:30 戸塚峠⇒ 14:00 白田峠⇒ 14:55 八丁池⇒ 15:50 八丁池口
天候 | 曇り後雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2010年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
東海バスが天城縦走路トレッキングと称して天城山縦走の会員を募集しているのを知り、二年振りの縦走を楽しんできました。 例年ですと紅葉も始まる時期ですが、今夏は猛烈な暑さでしたのでもっと遅くなるかと思いました。しかし、ツアーですので日程の変更はできません。紅葉にかすかな期待をし臨みました。 大型バスで湯ケ島(天城会館)を10人ほどが乗り出発しました。東海バス修善寺駅で修善寺方面から来た方が乗り込み参加者は22名となり、天城自然ガイドクラブのスタッフ6名も乗車し、伊豆スカイラインを経て天城高原登山者駐車場に着きました。 登山者駐車場は自家用車約100台は置ける広いスペースがあり、10台ほどが駐車してありました。出発の準備を整え、スタッフの指導で軽いストレッチをし、体をほぐしてから登山口に向かいました。登山口にある案内板を見ながら、今日の行程の説明を受けて歩き始めました。 ツアー登山者の22人の前後をスタッフのリーダーがかため、間に残りのスタッフが入りました。並びは参加者の自由で、班編成はしませんでした。 四辻を過ぎた登山道脇で、カエデの葉の説明を受けました。道標や案内板は新しくなり日本語に中国語とハングル語が併記されていました。長い休憩はとらずに立ち休み程度で登り、標高1299mの万二郎岳に着きました。広葉樹林の中にある万二郎岳山頂からは、相変わらず展望を楽しむことはできませんでした。 万二郎岳山頂から万三郎岳方面に下がった所にある岩場からは東側に三筋山や下田市の爪木崎、そして相模灘の海が見え、西側は駿河湾が見えました。晴天時に遠くに見える清水市の街並みや富士山はガスのために見えませんでした。平坦な登山道になり、アセビのトンネルを進み石楠立(はなだて)に向かいました。石楠立からやや急勾配の登山道を登り、天城連山最高峰の標高1405.3mの万三郎岳に着きました。 万三郎岳山頂は15畳程の広さがあり、一等三角点が設置されています。一部北側の展望が開け、ここからも富士山を見ることができますが残念ながら今日はガスで見えませんでした。 天気予報どおり雲行きがあやしくなり、とうとう片瀬峠に下がる頃から本降りの雨になり雨着を着ました。 若いブナの純林の中にある平坦な山頂の標高1360mの小岳(戸塚山)に着きました。ブナの葉は上部に反っていて、幹本体に雨が流れるようになっていました。今日のような本降りの雨でも、ブナ林の中は地表まで雨が落ちる量が少なく、昼食とすることにしました。 昼食は降雨のため短時間で済ませ、予定した出発時間より早く出発しました。縦走路を少し外れてブナの変形木、通称ヘビブナを見に行きました。産経新聞でも大きく紹介されたブナの木です。小岳から急斜面に付けられたジグザグの登山道を戸塚峠へ下り、峠からは登山道はほぼ平坦になりました。白田峠を通り「伊豆の瞳」八丁池へと緩やかに下がりました。 八丁池池畔はガスで視界は利かず、早々に八丁池遊歩道を下がりました。八丁池口には回送されたバスが待っていて足早に乗り込みました。 |
写真
感想
伊豆半島の南北に背骨のように連なる天城連山は、ブナの純林やヒメシャラ・アセビの天然林に覆われています。ブナの芽吹きを迎える新緑の樹林帯の中に、ピンク色の花を咲かせ登山者の心をなごましてくれるシャクナゲの花がみられ、田中澄江さんの「花の百名山」に紹介された白いヒメシャラの花や天城固有種の赤色のアマギツツジも咲きます。秋は紅葉そして冬には暖国伊豆でありながら雪も降り、一年を通して楽しい登山をすることができます。
天城縦走路は天城連山の最高峰、標高1405.3mの万二郎岳を中心に稜線の尾根を踏破する約17kmのトレッキングコースです。今回は全長17kmの約三分の二、約14kmを6時間程かけてトレッキングを楽しむ地元東海バスが主催する秋の天城縦走路トレッキングツアーに参加しました。縦走は登山口と下山口が相当な距離が離れていますので絶好に機会でした。過去には山仲間と新緑の春と雪の冬季に天城路を縦走した数回の経験がありますが、ツアー登山に参加しての縦走は初めてでした。当日はどんなレベルの人達と一緒に登山するのかが不安でした。
バスに乗車してきた参加者は若い人は皆無で高齢者が多く、服装から察するに相当に山慣れしているようでした。また、天城縦走が初めての人は10名程で半数は経験者で魅力があることを物語っていました。
最初からハプニングでバスの出発時刻に遅れてくる人がいました。これから先、山に入って集団行動をしたらどうなることやらと不安は一層増しました。15分程予定時間を遅れて添乗員は同乗せずに天城自然ガイドクラブの6名が案内役として同行し出発しました。参加者に配布された地図や資料を参考に縦走コースと紅葉の状況について説明がありました。今年に限って紅葉はまだ時期的に早く今回は期待できないようで、伊豆スカイラインを走るバスの車窓からは緑が目に入り夏の山の景色がまだまだ残っていました。今年の夏は記録的な真夏日が続いて、秋口になっても気温が下がらなかったためか例年より紅葉の時季が遅れているようでした。路肩に咲くシロヨメナの白い花が秋の訪れを知らせてくれました。
縦走路では天城ガイドクラブの人達から、カエデについて教えていただいたことが印象に残っています。カエデはカエデ科カエデ属の植物で、カエデの語源は蛙手(カエルの手)の意味で葉の形がカエルの手に似ていることからきていると言う説が一般的のようです。モミジは紅葉すると言う意味で、秋に紅葉する状態や紅葉する植物を指す言葉であったものが紅葉する植物の代表であるカエデに限って使われるようになったそうです。ここ天城縦走路では、黄葉するオオイタヤメイゲツや鮮明に紅色に色づくコミネカエデなどの紅葉を楽しめるようです。
天城のブナの変木「ヘビブナ」を見てカタツムリをイメージする参加者がいました。なるほど、見方によってはカタツムリの方が的を得ているかのような気もしました。戸塚峠から白田峠に向かう縦走路の東側に見えたヤマグルマの木は、懐かしいゲーム機のインベーダーを思いだしました。
八丁池手前のブナやヒメシャラの大木の中に、幹の中ほどから違う木がくっついている合体木がありました。今まで数回縦走路を踏破しましたが、合体木には気づきませんでした。歩くことだけに集中しているから景色などを楽しむ余裕に欠けていたのかなと思わずにはいられませんでした。
ブナなどの広葉樹林の中ではあまり気にならなかった雨が、空が開けた八丁池池畔では直接雨具にあたりました。皆さんは池畔にある東屋の中へ入ってしまい、私一人が天城の雨を楽しみました。
天城連山は、年間3,000ミリを超える雨が降る日本でも有数の多雨地帯です。大量の雨がブナの美林を潤し、伏流水が地表に出る麓ではワサビ栽培が行われています。天城山では雨はつきものです。天城の雨も楽しみたいものです。
本降りの雨に帰宅モードになってしまったのか、早々と八丁口へと下がり、待機していたバスに乗り込みました。
今日のツアーには地元バス会社が主催にもかかわらず顔見知りの人はいませんでした。残念でした。参加者は高齢にもかかわらず健脚でしたので、足がそろい、団体行動を乱す方も無く楽しく安全に縦走できました。自然にも興味深い方が多く、ご一緒できたことに感謝します。
同行し案内してくれた天城自然ガイドの人達は天城山の山と植物には大変詳しく、地元ならではの情報を持っていて感心してしまいました。天城に詳しいと自負していましたが足元にも及ばず勉強になりました。本降りの雨で八丁池からは予定を一部変更されましたが、天城縦走路を踏破し、満足した一日を楽しんだツアーでした。いつもは単独行か所属する会のメンバーと一緒の山行ですが、時には違った方との山行も楽しいものだと痛感しました。
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