大ナゲシ北稜から赤岩尾根、最後に大はまり
- GPS
- 11:21
- 距離
- 24.1km
- 登り
- 2,116m
- 下り
- 2,115m
コースタイム
- 山行
- 9:02
- 休憩
- 2:17
- 合計
- 11:19
天候 | 曇りのち小雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
大ナゲシ北稜、赤岩尾根ともに一般コース外で、危険個所多いです。 GPSデータの精度が良くないので、コース図示の細かいところは実際のトレースとズレがあります。 |
その他周辺情報 | 野栗沢のすりばち荘やヴィラせせらぎなどで日帰り入浴や宿泊可。 |
写真
感想
1.山行の目的
大ナゲシ北稜の登高、赤岩岳西壁の直登、赤岩尾根上1583m峰の西リッジ(仮称)登高の3点を目的としました。
2.行動
(1) 赤岩橋から野栗沢諏訪山まで(序盤戦)
前の晩から朝方まで雨が降り樹林帯は雨でびしょびしょです。運動靴のみで行くか、ミッドカットのハイキングシューズ+クライミングシューズにするか散々迷って、運動靴にしました。
5時ごろ出発の予定を雨のため7時半ごろまで遅らせました。沢筋から左岸の尾根上に適当に踏み跡を拾って上がり、1073m峰までは容易でした。
1073m峰先のラペル地点は、時間を節約するためラペルせず、左側からクライムダウンしました。雨で滑りやすく悪かったですが、乾いていればそれほど極悪ではないと思います。
ここから野栗沢諏訪山へは雨で濡れた急斜面をひたすら登りました。大きな壁に囲まれたルンゼの登りが多少悪かったです(雨で足元の岩が濡れていた影響が大きい)。
(2) 野栗沢諏訪山から大ナゲシまで(北稜満喫)
東側から巻き下ります。諏訪山南壁の様子を伺うべくあえて右側の壁に沿うように下りました。右側2つ目の小壁を過ぎたところで、壁の中を右へ続くバンドを発見、無事コルに下り立ちました。
小ナゲシまでは特に問題なし。ここから大ナゲシとのコルへは東側のルンゼ状落ち葉斜面を15m弱ラペルしました。
コルから目の前の壁を右側から巻き込んで、大ナゲシへ。
(3) 大ナゲシから赤岩峠まで(繋ぎ)
この頂に立つのは4度目、雨が降ってきそうな雲行きです。時間的には順調なので、とりあえず赤岩岳西壁基部まで行ってみることにします。
(4) 赤岩岳西壁(第一核心)
大ナゲシ北稜では朝までの雨で岩の状態が悪かったため、西壁の状態が心配でしたが、思っていたより状態はGood。岩の表面に付着した薄苔が雨上がりの湿気で若干滑りやすくなっており、フリクションがいまひとつです。
ルートは正面の壁を左側から直登しました()。岩は比較的しっかりしており正面中央を行きたいところですが、支点なしでグレード弘幣紊呂△蠅修Δ任垢傾圓詰まるとまずいので。
左側のルンゼ状に入り込みますが、浮石が多く神経を使います。ここを登り再び右側のカンテへ出ました。
頭上に褐色の壁が現れます。右側は針葉樹が生えて若干暗め、たぶんチムニーラインだと判断。50mロープの入ったザックを背負っておりチムニー登りで苦労するのを避けたかったため、壁を左側から巻き込むように超えました()。
ハーケンが2枚打たれた壁を右側のカンテへ躍り出ます。カンテへ出るまでの1歩は外傾したスタンスにフリクション頼りで乗り込みますが、雨でシケッテいるため、精神的にここが一番の核心になりました(-)。ここでスリップして落ちたら足元は大空間です。
この上のカンテは岩の状態も良く快適()、高度感を楽しみつつやがて上部がすぼまった凹状の壁下へ。左側をみると2mほど被った壁があり、ここを越えれば左稜を行けそうですが、正面凹状を抜ける方が確実と判断。中央は浮石だらけでヤメ、右壁基部に沿うフレークをレイバックで抜けました(-)。
赤岩岳山頂へ抜け出し、壁の状態もそれほど悪くないことから赤岩尾根を行くことに決めました。
(5) 赤岩岳から赤岩尾根P1まで(第二核心)
1583m峰の取り付きまではあっという間です。西リッジ(仮称)は正面から見ると立って見えるため、本当に登れるの?と思うほど。霧で岩がシケッテいないことを願って取り付きます。出だしが多少悪いですが(-)、リッジに乗ってしまえば容易です()。このラインはすっきりしており、条件次第ではお勧めできます。足元を振り返ると、27年前に逆コースでこの辺りまで下ってきたことを思い出しました。その時は最後の下りが切れていたため、あきらめて南面の岩場を下りました。
楽しいクライミングをこなして1583m峰を超え、ひたすらP1を目指します。霧で20m先が見えなくなることも。うっかりすると自分がどこから来たのかさえ分からなくなります。地形図とコンパスだけが頼りです。1583m峰からの下り、皆さんよく間違えて右寄りに下ってしまう箇所だと思いますが、左右分岐では右の方が踏み跡がはっきりしていること、さらにここには赤テープが木に付けられており、知らないと間違うこと必至です。確認のため少し下ってみると間違っていることがすぐ分かりました。赤テープを撤去してくるのをうっかり忘れてしまった。
右も左も同じような景色の中、地形図とコンパスをにらめっこしてP1へ。P1へ到着した時点で、この山行はほぼ終わったという甘い気持ちを持っていました。
(6) 赤岩尾根P1から間物集落まで(予想外の展開、大はまり)
P1で埼玉群馬県境となる1377m峰への下降ルートを探します。全く視界が効かずコンパスだけが頼りですが、地形上尾根に乗りにくいこと、斜度が半端なく急なことから、あちこち探しまわりました。思い切って下っていくと、わずかな尾根状はすぐに壁で行き止まり、左右のルンゼを巻き下ることを繰り返します。進行方向の方位ずれに細心の注意を払い、遅々と下ります。標高差にして100mほど下った時点で、残された時間とこの先の状況を考え、このルートを下ることをあきらめました。
再びP1へ戻り、この先の行程を見直します。時間は15時をとうに回っています。選択肢は3つ。
1) 八丁峠からニッチツ側へ下り、赤岩峠越えして赤岩橋へ。
2) 八丁峠から志賀坂側へ下り、恐竜の足跡を見学しながら車道を延々歩く。
3) 八丁峠から志賀坂側へ下り、隧道入り口から西へ沢を上り詰め、1377m峰の南コルへ。当初予定していた北上する尾根に乗り赤岩橋へ戻る。
1)案は赤岩峠からの下り途中で暗くなってしまう可能性があり、その道をヘッドランプ頼りに下りたくなかったため却下。
2)案は最も安全だが、うんざりすることが目に見えている。
3)案が魅力的に思え、隧道志賀坂側へ下ることにする。
隧道志賀坂側へ下ってみると、登るつもりだった沢は極悪の様相を呈しており、雪のブロックが残るは、自然落が頻発しているはで、生きて帰れそうもない。この時点で2)案しか残っておらず。
ここで悪知恵が働いて諏訪山から間物の集落へ下る登山道(九十ノ滝コース)に着目する。車道は諏訪山南側の1212m峰近くを通っており、ここからその道へ入り込めばかなりの距離をショートカットできると踏みました。
その目論見は大当たりで、沢を下り始めるとすぐに道を発見。なんとか間物集落の国道まで下り着きました。
(7) 間物集落から赤岩橋まで(忍耐)
ここからは国道をひたすら赤岩橋目指して、黙々と歩きました。かなり暗くなった中、最後の集落である胡桃平でおじいさんに声をかけられました。「山さ行ってきたのか」の話から、野栗沢諏訪山はかつて集落の方たちの雨乞い信仰の山だったことを聞きました。年齢70台は間違いなさそうで、中学生のころに雨乞いで山へ登ったとのことですから、60年は経っていますかね。その頃の集落はどんなだったのでしょうか。一杯飲んでいると言いつつ赤岩橋まで送っていただけるとおっしゃるのですが、丁重にお断りしました。
ようやく赤岩橋に戻りましたが、真っ暗の中、獣の匂いで満ちていました。
3.感想
(1)大ナゲシ北稜
藪岩に慣れた方であれば、全体的にラインどりにそれほどシビアでなくてもなんとなく登れます。
野栗沢諏訪山からの下り、あのバンド(写真9)はうまいこと存在してるなと感心。
天気が悪かったこともあり、暗いイメージが。
(2)赤岩岳西壁
何度も頂きに立っているにもかかわらず、ようやく初トライ。楽しめました。残置ハーケンのある箇所、久々しびれました。
(3)1583m峰 西リッジ(仮称)
見た目より容易で、一般的となっている南面側の岩場より、すっきりしていて好ルートだと思いました。
(4)P1から県境尾根
難しかった、その一言。今回の条件では、クライミングなら困任垢(^^)。群馬の山歩き130選に藪グレードという考え方がありましたが、岩ありの困任后慕は薄く問題ないけれど)。そのうち、条件を見計らって再トライしてみようと思っています。逆コースの方が良いかも。
(5)行程の判断ミス
P1から県境尾根が予想外に悪かったため仕方ないところはありますが、さっさとあきらめて 「2.行程(6) 1)案」のニッチツから赤岩峠越えをするべきだったかもしれません。P1から先のルート探しに時間をかけすぎ、時間配分ミスです。
4.謝辞
赤岩岳西壁のルート、および1583m峰西リッジ(仮称)に関しては、ヤマレコユーザーの「misuzu氏」の記録を参考にさせて頂きました。氏の過去記録を拝見していて、情報が理路整然、的確であり、かなりの実力をお持ちの方と思っておりましたが、今回の山行で改めて実感した次第です。この場を借りてお礼申し上げます。
以上、大変充実かつ楽しい山行でした。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する