屋久島4泊5日 後編 宮之浦岳(日帰り登山)
- GPS
- --:--
- 距離
- 13.0km
- 登り
- 875m
- 下り
- 875m
コースタイム
天候 | 曇りときどき晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
駐車台数が限られているので、前日から車泊 |
コース状況/ 危険箇所等 |
木道は滑るので注意。 足を乗せるなら、花崗岩は滑らない。 |
その他周辺情報 | 『楠川温泉』300円 素泊まり民宿『ふれんど』二人一部屋6,480円 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
昼ご飯
行動食
飲料
地図(地形図)
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ガイド地図(ブック)
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
携帯
時計
タオル
カメラ
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感想
7月17日、屋久島3日目。
ずっと迷っていたけど、天気予報が一番良さそうな18日に宮之浦岳をピストンすることにした。
当初は縦走する予定だったけど、結局、大忠岳、宮之浦岳を日帰り登山する事になり、持って来たテントは必要なくなった。
前日から登山口に到着して、早朝から登る予定にした。
淀川登山口に着いたのは、まだ暗くなる前だった。
私達が着いてから、3組くらい下山してくる登山者がいた。
その中に、外国語と思われる言葉を話す女性二人が下りて来た。
クワズイモの大きな葉っぱを傘のようにしてポーズをとって、登山口の案内看板の前で、スマホで何枚も写真を撮り合った後、トイレのそばに葉っぱをポイッと投げ捨てて去っていった。
あーあ、とHと顔を見合わせた。
車のシートを倒して座敷を作ると、安房のスーパーで買い込んだ惣菜とビールを飲んだ。
さつま揚げ、地元でとれたカツオのたたき、九州でよく見かける鶏のたたきなどをつまみにした。
次は焼酎を飲み始め、そろそろ寝なきゃと思っていると、22時頃、登山口の方のヘッドランプの明かりに気付くと、3人登山者が降りてきた。
少しびっくりした。
一人は車を取りに行ったようなので、二人に話しかけてみると、ガイドと共に宮之浦岳日帰り登山だった。
60代の女性二人だった。
朝6時から登り始めて、14時間かかって降りてきたそうだ。
今日は大荒れの天気で、登山道は沢のようでブーツの上まで水に浸かり、強風と雷雨に見舞われた、壮絶な登山だったようだ。
途中、登頂を諦めて引き返した人もいたらしい。
カッパなんか着てても、関係ないくらいずぶ濡れになったそうだ。
「こんな登山体験したら、これ以上はないわね。」
「冥土の土産になるわ。」
と話していたが、二人とも元気そう。
しかも、私達と同じ日、ウミガメ見学会に参加していたらしく、22時まで粘ったがウミガメは結局来なくて、3時間しか寝られなかったらしい。
つえー、と私は心の中で思った。
明日、広島へ帰るそうだ。
そうこうしている間にガイドさんが戻って来て、二人は帰って行った。
車は軽自動車のレンタカーなので狭かったけど、テントマットを敷いたりして、思ったよりかは快適に寝られた。
こういうときは、二人とも小柄で良かったと思う。
4日目、18日。
朝5時には出発したかったけど、朝は二人とも苦手なので、結局5時23分出発になった。
雨は降っていなかったけど、曇天。
ついに憧れの宮之浦岳に登ると思うと心が躍ったけど、少しでも景色が開けていればと願うばかりだった。
淀川小屋に着くと、
「もう上がって来たんですか!」
Hが小屋に泊まっていた方に、話しかけられていた。
どうやら、昨日最後に降りてきたガイドさんに間違えられたようだ。
似てるところはないように思えたけど、同じなのは頭の手ぬぐいくらいだろうか。
私は、
「今日は絶対転ばんぞ!」
と言っていたのに、登りの途中のちょっとした下りの木道でスリップして、ザックが水溜りに浸かった。
これからの教訓として、木道は氷だと思って足を乗せた方がいいと思った。
朝日が昇るにつれ、ときどき晴れ間はあった。
でも、視界が多少開ける場所に来ても、遠くまでは見渡せなかった。
大木や苔むした風景はやっぱり独特で、写真を何枚も撮った。
ヤクシカ、ヤクザルも山頂近くにもいた。
途中、沢のような登山道があり、増水したところを想像すると、よくあの女性二人はここを登ったなあ、と思った。
栗生岳付近はもう森林限界を過ぎているので高い木はなく、ところどころ大きな岩が見えた。
有名なロボット兵の岩も見る事ができた。
途中までは割りと穏やかなアップダウンが続き、山頂前は少し急登になったが、全体的に歩きやすかった。
山頂まであと数十メートルというところで、先に歩いていた私が、初屋久島のHに先に三角点を踏むようにいったけど、聞いてくれないので、じゃんけんで負けた方になった。
Hが負けて、山頂へダッシュしだした。
そして、ついに宮之浦岳山頂。
視界、悪し。
もし天気が良かったら、永田岳まで足をのばそうと思っていたけど、諦めた。
永田岳は大岩がごろごろした独特な風景で、是非行ってみたかった。
山頂にしばらくいると、ときどき青空が見え、永田岳方面の視界が少しの間、開けた。
念願の場所に連れて来てくれたHと屋久島に感謝した。
下山を始めると、天気がちょっと回復してきて、登りで見えなかったトーフ岩なんかも見えた。
トーフというより、パンを輪切りにしたみたい。
登ってくる登山者にすれ違うと、
「日帰りでもう降りて来たんですか。」
「早いですね。」
「健脚ですね。」
と言って貰ったけど、Hが一人で登れば、スピードは私の2、3割増しだ。
同じくらい体力があったらいいと思うけど、仕方のない事だ。
3月から、週一くらいだけどジョギングしてはいたが、毎年夏の登り初めには、ひどい筋肉痛の洗礼を受ける。
湿原の花之江河で休憩した。
景色もよく、休憩場所にはいい感じ。
いつ雨が降ってくるかわからない天気予報だったので、火を使う食材は持っていかず、パンを食べた。
淀川登山口に戻ってきた。
ほとんど雨には降られず、ラッキーだった。
往復で7時間弱。
すでに筋肉痛だった足での下りはちょっとしんどくて、降りた後私は、
「疲労困憊!」
と何度もHに訴えると、少し迷惑そうだった。
安房に到着して、『散歩亭』という安房川沿いのオサレなカフェに入って食事した。
ご飯物は残念ながら売り切れだったので、パスタを食べた。
お腹すきすぎると、いつも写真を撮るのを忘れる。
その後、宮之浦へ向かった。
途中、楠川温泉に入った。
ここはお湯がぬるくて、私には丁度良かった。
宮之浦では『ふれんど』という素泊まり宿に泊まった。
大きな乾燥機や、お風呂も二つあって、宿の方も親切だ。
冷蔵庫にビールを入れようとしたら、入れる場所がないくらい食材が詰まっていた。
連泊している女性が何人かいた。
ガスは飛行機には乗せられないので、ありがたいことに宿の方に引き取って貰うことが出来、他の登山客に使って貰えそうだった。
夕食は宿の方のおすすめで、近くの定食屋『潮騒』へ。
私は飛び魚の唐揚げ定食、Hは首折れ鯖の刺身定食にした。
首折れ鯖は屋久島の名物で、鮮度を保つために捕れたらすぐ鯖の首を折るそう。
近年、捕れる量が減っているらしいので、食べることが出来てラッキーだったのかもしれない。
新鮮でおいしかった。
飛び魚の唐揚げも、翼のようなひれも頭も骨もバリバリ食べられて、おいしかった。
そして、おとつい見られなかったウミガメリベンジ。
ところが、この日も一匹も上陸していなかった。
昨日は10匹上がったそうな。
産卵シーズンは終わりに近づいているらしいけど、なんてこった!
「持ってないね、私達。」
と私はHに言った。
22時まで上がって来なかったら、ウミガメの赤ちゃんを放流すると言っていたけど、諦めて宿に帰った。
宿に帰ってビールを飲んで寝た。
次の日は最終日。
この時点で、私は結構疲れていたので、明日は何かしようという気にはあまりなれなかった。
19日、屋久島最後の日。
思ったより早起き出来たし、私は疲労困憊から脱出したので、Hにボルダリングしようと言った。
また高平の海岸に行って、大ちゃんお迎え岩に登った。
天気が良く、陽を避けられるのは岩の影しかなくて、灼熱の世界だった。
朝の内ならそんなに暑くないかな、と思っていたけどとんでもなかった。
せっかくクライミングシューズを持って来たから、少しくらいは登りたかったのだけど、一回登っただけで、汗がポタポタしたたった。
そんなに長居もせず、また車を走らせ、屋久杉自然館に向かった。
道中、好きな果物ランキングを、せーので言い合った。
第一位、
「メンゴー。」
とHは言った。
メロンとマンゴーが混ざったらしい。
私は大笑いした。
さすがだ。
屋久杉自然館では、屋久島の風景のフォトコンテストをやっていて、アンケート用紙に気に入った写真の番号を記入した。
「この写真、どこにもピントがあってないよ。」
とか偉そうにダメだししながら、二人とも真剣に選んだ。
抽選で屋久島カレンダーが送られてくるらしい。
島の人は、神の木として屋久杉を切り倒す事はなかったのだけど、秀吉が寺院を建てるからと言って、伐採が始まったようだ。
秀吉というと、今放送中の『真田丸』の秀吉役の俳優さんの顔しか浮かんでこない。
何にしろ、憎たらしいと思った。
その後も、最高の木材として屋久杉は切り倒されまくって、トロッコでガンガン安房港に運ばれた。
屋久杉を伐採をしている映像が流れていて、大木が倒されていくのは迫力だったけど、やるせない気持ちになった。
屋久杉最大級の縄文杉は、昭和42年に発見されたそうだ。
奇形が故に、切り倒されなかったという話も。
その後安房の郵便局に行って、荷物を自宅へ送った。
それから、屋久島に来るきっかけになったTシャツは、屋久島メッセンジャーというお店で取り扱ってるようで、空港に行く前に寄ってみた。
見たらやっぱり欲しくなって、私はウミガメTシャツ、HはヤクザルTシャツを選んだ。
レンタカーを返して、空港に着いた。
もう帰るのかと、少し残念な気持ちになった。
縦走、沢登り、クライミング、シュノーケリングなど、まだまだやりたいことはたくさんあった。
屋久島は魅力的過ぎる。
とても5日では遊び尽くす事なんてできない。
「いつかまた来よう。」
と私達は言い合った。
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