剱岳チンネ左稜線撤退、別山岩場
- GPS
- 24:49
- 距離
- 16.1km
- 登り
- 1,848m
- 下り
- 1,850m
コースタイム
- 山行
- 6:24
- 休憩
- 1:31
- 合計
- 7:55
- 山行
- 9:21
- 休憩
- 1:51
- 合計
- 11:12
・CLと雷鳥沢キャンプ場で合流。
2日目(8月18日)
・剱岳到着が予定より1時間遅れる(出発は20分遅れ)。
・剱岳到着時、周囲の視界が悪く特に北方稜線はほとんど確認できない。30分程待機するが天候は回復せず、劔沢キャンプ場へ撤退。
3日目(8月19日)
・1P目、ハイマツと草付きを超える。
・2P目、右へ10m程トラバース後岩を直上。超えると傾斜が緩くなる。ハイマツ帯を超えたところにビレイポイントを確認するもロープの流れが悪いため、ハイマツ帯の下部でピッチを切る。岩の突角とカムで支点を取る。
・3P目、ハイマツ帯、ガレ場を上がる。
・4P目、ガレ場を上がり草付きのルンゼを登る。
・5P目、階段状の岩から短いルンゼに抜ける。ホールドが悪いと見てリードはザックを下ろす。荷上げに時間を要す
・5P目から歩行で別山北峰へ抜ける
4日目
・みくりが池温泉で入浴
天候 | 8月17日(水) 雨のち曇り 8月18日(木) 曇りのち雨 8月19日(金) 曇 8月20日(土) 快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2016年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
JRで「神戸市内」→「富山」(大阪から金沢までサンダーバード、金沢から富山まで北陸新幹線)<4時間40分> 富山地方鉄道で「電鉄富山」→「立山」<70分> 立山ケーブルカーで「立山」→「美女平」<7分> 立山高原バスで「美女平」→「室堂」<50分> 8月20日(土) 立山高原バスで「室堂」→「美女平」 立山ケーブルカーで「美女平」→「立山」 富山地方鉄道で「立山」→「電鉄富山」 JRで「富山」→「神戸市内」 交通費 合計24,650円 JR(往復)17,940円 富山地方鉄道(往復)2,400円 立山ケーブルカーと立山高原バス(往復※5日間有効)4,310円 |
コース状況/ 危険箇所等 |
剱岳別山尾根ルート ・浮石はあるが、一般登山道ということかそれほど気を遣わずとも良い ・鎖場は人が溜まりやすいので、間隔を空けて通る(特に、平蔵のコル、カニのタテバイ、ヨコバイ) 別山岩場 ・アプローチのガレ場は不安定な浮石が多い ・残置支点はなくはないが、不安であればカムなどで自分で作る ・登攀中も浮石多い。岩そのものはしっかりしていることが多い |
その他周辺情報 | 劔沢キャンプ ・1泊1人500円、2泊以上1,000円 ・トイレは2カ所、チップ制。南トイレは水洗だがお盆のピーク時に詰まり悪臭、北トイレはボットンだが南に比べて使い易い ・水場あり 剣山荘 ・コーラ500円、立山ワイン1,500円購入 ロッジ立山 ・ビール(500缶)500円、アイスモナカ400円購入 雷鳥沢キャンプ ・1泊1人500円、2泊以上1,000円 ・水場、トイレあり みくりが池温泉 ・日帰り入浴9:00から、700円。レンタルタオル300円 ・喫茶、レストラン併設 |
予約できる山小屋 |
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写真
装備
個人装備 |
下着(上下) 3 換え2
Tシャツ 4 長袖1、換え2
ソフトシェル 1
ズボン 2 換え1
靴下 3 換え2
グローブ 1
雨具 1
日よけ帽子 1
登山靴 1 S-LAB X ALP
ザック 1 AETHER85
ザックカバー 1
アルファ米 7 onisi
行動食セット 1
非常食 3 クリフバー
飲料 3.75L
ライター 2
地図(地形図) 1 4枚1組
コンパス 1
笛 1
計画書 1
ヘッドランプ 1
予備電池 4
ファーストエイドキット 1
ロールペーパー 1
保険証 1
携帯 1
タオル 2
ツェルト 1
カメラ 1
シェラフ 1
クライミングシューズ 1 オゾンQC
ハーネス 1
ヘルメット 1
チョーク 1
確保機 1
ロックカラビナ 7 HMS×2、O×2、D×3
カラビナ 2
クイックドロー 9 アルパイン2
スリング 6 ロープスリング2
セルフビレイランヤード 1
フレンズ 1 #0.5〜#4
アッセンダー 1
ディッセンダー 1
貴重品 1
クライミング用ソックス 1
コーヒー 2 BREWER
ランタン 1
おやつ 1 クーベルショコラ
ビニール袋 4
サンダル 1
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共同装備 |
アイゼン 1 雪渓横断時リードが使用
ガスカートリッジ 500g SL担当
コンロ 1 SL担当
コッヘル(小) 1 SL担当
3テン本体 1 CL担当
3テンポール 1 CL担当
3テンフライシート 1 CL担当
1テン本体 1 SL担当
1テンポール 1 SL担当
1テンフライシート 1 SL担当
ロープ 2 Φ9×50m CL担当
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備考 | 着替えは、1組あれば十分だった クイックドローは、CLのアルパインをほとんど使用した。スポーツ系で使用したのはヘリウムワイヤーの15cm2本くらい ガスカートリッジは250gを2つ用意したが、500g1本にまとめた方がスッキリする? |
感想
夏の長期休暇を利用して、アルパインクライミングに挑戦した。かねてから、「北アルプスに行くなら、一般登山道は嫌」と生意気なことを考えていたが、思っていたより早く機会を得られた。
剱岳のアルパインルートを探していると、岩の殿堂というだけあってラインはたくさんあるのだが、ひときわ僕を惹きつけたのはチンネ左稜線だった。簡単ではあるが高度感のあるルートとあるし、核心部のラインも魅力的に見えた。剱岳を楽しむにはもってこいのルートだと思う。
8月18日(木)
今回のパートナーである弟からの情報で、すでに劔沢雪渓が崩壊しているということだったので、真砂沢方面からのアプローチを諦め、剱岳の別山尾根ルートを超えてのアプローチを選択した。
別山尾根ルートは、国内の一般登山道でも難しい方ということで、確かにほぼクライミングのような平蔵の頭やカニのタテバイなどの難所はあったが、鎖がある以上はそれほど問題にならない。ただ、背中にテント泊の荷物と登攀具を担いだ状態は疲れる、ただただ疲れる。軽荷の他の登山者にだいぶ抜かれてしまった...
終始曇り空で視界が悪く、僕らの頭に「三の窓まで行けるのか?」と嫌なイメージが足を進めるごとに大きくなっていった。案の定、山頂からの景観はない。北方稜線は霞の向こう...他の登山者には悪いと思いつつ、空に文句を垂れるみっともない姿をさらした。チンネへの憧れがそうさせたのだ。
簡単には諦めたくないので、しばらく天候の回復を待ち弟と北方稜線を眺める。「頑張ったら行けるかな?」「いや、やめたほうがいい」「そうだよな...」というような問答が繰り返された。結局、天気は回復しそうになかったので、劔沢キャンプへ撤退する。途中からは雨も降り出し、撤退判断は賢明だった訳だ。行き場を失った僕のモチベーションを、剣山荘でワインに変えた。
8月19日(金)
相変わらずチンネのことが頭から離れないが、保険で予定に組み込んでいた別山岩場を登ることにした。ここは山と高原地図に記載があって、「岩場って書いてあるなら登れるんだろう」という安易な発想で目を付けていたのだ。実際、劔沢キャンプから確認しても、登れそうなラインはいくつか見出せた。
出発時天気は比較的良く、雲のない八つ峰あたりを眺めて相変わらず昨日の撤退に囚われていたが、アプローチのガレ場が想像以上に悪く、別山岩場に気持ちが固まる。羽虫にたかられ、グラつく浮き石達にイライラさせられながら無事に目を付けていた岩場中央の取付きに到着した。早速残置支点を発見し、少し安心してしまった。
実は、マルチピッチもダブルロープもそしてカムさえも初心者の僕は、弟の指導の下技術確認。そういえば、「頭のネジが取れてる」ってさっきテン場で言われたっけ...確かに、大して情報のない岩場を初心者が登ろうとするのは、ネジが取れてるというか単なる阿呆だと思うが、そもそもクライミングなんて阿呆でないとやれないのだ。必要となる技術を頭には入れてある。「登りきれる」という自信を武器に初めてのアルパインクライミングを開始する。
背中のザックが重いので、ラインの美しさにはこだわらず、「最も簡単かつ不確定要素の少ないライン」を探して登る。人間考えることは同じようで、思ったより残置支点が使えた。サビサビのピトンやリングボルトばかりだが、身体を支えられるかはともかく、精神を支えるには十分であった。クラックが多いので、適度にカムも使いながら登っていく。ダブルロープに慣れず、トラバースが多くなったこともありロープの流れは全体的に悪い。ピッチを途中で切るなど臨機応変な対応に迫られた。
綺麗なビレイポイントもあったが、変則的なアンカーをセットする状況も多かった。岩の突角やカムで支点を取り、ビレイも状況に合わしてスタイルを変える。普段スポーツルートばかり登っている僕からすれば、登ること以上に頭を使わされる。特に5P目の荷上げのシステムを組むときは、登攀ラインとは別のラインから上げることを考えていたので、システム構築にかなり時間がかかった。技術的な練度を反省しつつも(最初からわかりきっていることではあるが)、創造的なクライミングの面白さに惹かれてしまう。
かなりの時間を要してしまった上、視界も悪く、少し追い込まれた状況になった。懸垂下降での撤退を弟は提案し始めたが、懸垂下降はリスクを上昇させるだけだと思った。背中にはテント泊装備があるので、快適なビバークは約束されている。結局、ビバークポイントに当たりをつけながら、少しでも高度を稼いでいくことを選択した。
上部へ来たことによって、視界が悪いながらなんとなくの地形を読めるようになってきた。風も強くなってきたので、尾根にもだいぶ近づいてきただろう。クライミングは5Pで終了し、尾根の方向へ抜ける道がないか、ルートを探しながら進んでいく。木々の生い茂る低山よりも、視界を遮るものの少ないアルプスのような山の方がルートは読みやすい。尾根線へと伝う道を見出してひたすら前進する。
別山北峰に到着した時の達成感はこれまで体験したことのないものだった。スポーツルートの場合は、登りきったor登れなかったというシンプルなテーマに向き合う訳だが、アルパインの結論は、「無事に帰る」という山をやる上で最も重要な命題と向き合った結果となる。今回は決して難しい登攀ルートを攻めた訳ではないが、生き残ったというなんとも言えない充実感に満たされた。そして、パートナーと一緒に戦い抜いた時間は、最高の経験として記憶されるのだ。
今回の登攀を振り返って、技術的、体力的な課題は多い。自分たちの実力を真に試される内容となった。自分たちの甘さも強さもしっかりと噛み締めながら、次のチャレンジへと進んでいくために必要なクライミングになったと思う。
チンネは残念でしたね。テント場近くの岩場に行かれたんですね♪残地ハーケンがあるのを聞いて驚きました(笑)今度登ってみたいと思います!!
同じテン場、、隣の変なオヤジでした。
チンネはリベンジするつもりです。
中央のもっとも簡単なラインを取ったと思います。
それ以外のラインも見出せますし、ちょくちょくハーケンを見たので、それなりに登られているようです。
クラックが多いので、カムが有効です。
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