天狗岳(-10℃極寒の露天風呂入浴を敢行 本沢温泉)
![情報量の目安: S](https://yamareco.info/themes/bootstrap3/img/detail_level_S2.png)
![都道府県](/modules/yamainfo/images/icon_japan.png)
- GPS
- 32:00
- 距離
- 9.1km
- 登り
- 1,145m
- 下り
- 655m
コースタイム
15:10東天狗岳15:25-16:00白砂新道分岐-2,550m付近16:25-18:10本沢温泉
13日:10:45本沢温泉キャンプ場-12:15しらびそ小屋12:50-14:00みどり池入口バス停
天候 | 12日:曇り 終日小雪が降る 気温-10℃前後 13日:晴れ 気温-10℃前後 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
稲子湯の600m手前の「みどり池入口バス停」付近に駐車スペース有。 稲子湯に至る林道は未除雪につき、積雪状況によっては4WD車でなければ困難 |
コース状況/ 危険箇所等 |
みどり池入口バス停-しらびそ小屋-中山峠-東天狗岳までは明確なトレースがありました。 東天狗岳から白砂新道分岐までは入山者が稀の様で、微かなトレース跡しか無く(ペナント棒は打たれていました)、 白砂新道分岐から2550m付近まではトレース、ぺナント共に無く、2500m付近からはトレース跡に合流し、 以降は頻繁に付けらたペナントとトレース跡を頼りに本沢温泉まで下降しました。 ※白砂新道は本来、冬季通行止めとのこと。ご注意下さい。 ※本沢温泉のキャンプ場には水場有(近くの沢で水が取れます(要煮沸かし)) |
写真
感想
在常戦場を範とし、日々、漢を磨く我等でありますが、男子たるもの時には風流を嗜む余裕といふものもまた必要であります。
という訳で、今回は、大学卒業以来20数年のくされ縁、もといザイルパートナーである在阪某大学ワンダーフォーゲル部の後輩N君と、天狗岳、硫黄岳を登り、冬に入れる日本最高所の本沢温泉の露天風呂に入り風流を極めんとするおつなプランを立てました。
13日:曇り終日小雪降る 気温-10℃前後
前日は東京も雪が降りました。
小海リエックススキーバレー側から稲子湯に至る林道は未除雪の新雪が積もり、
さしもの愛車フォレスター号も車底を雪にこすりつけ、盛大な雪煙りをあげながら泳ぐようにして「みどり池入口バス停」の駐車スペースに辿り着きました。
7:30林道ゲートから入山。ラッセルを心配しましたが、トレースに足首が埋まる程度の新雪が積もっているだけで、新雪をキシキシと踏みしめながら、気持ち良く
樹林帯を登りました。
しらびそ小屋を経て、中山峠に向かい、中山峠直下でアイゼンを装着。
中山峠から天狗岳に向かう稜線は、黒百合ヒュッテからのピストンの登山者が行きかい、意外な程多くの方が来ておられました。
15:10東天狗岳着
東天狗岳まではトレースはしっかりとしていましたが、天狗岳より先はほとんど入山者はいないようで、かすかなトレースしかありませんでした。
根石岳を経て夏沢峠から本沢温泉に下降する選択枝もありましたが、白砂新道から下降することとしました(白砂新道は本来、冬季通行止めです。読図力に自信が無い限り利用は慎重に)。
16:00雪崩を警戒しながら、樹林帯の安全地帯まで膝上のラセッルで2,550m付近まで下降しワカンに履き替え、10分程、右手よりに下降を続けると、トレース跡とペナントにぶつかりました。
後は頻繁に付けられたペナントを頼りにトレース跡を本沢温泉まで、薄暮の中黙々と下降を続けました。
次第に濃くなる闇の中、樹林と雪の造形が人工物に見え始め、軽い幻覚を感じながらひたすら歩きました。「本沢温泉まで後10分」という道標を見つけほっとして10分程歩くと、また「本沢温泉まで後10分」の道標があり、見当はずれの怒りで脳みそは沸騰寸前です。
18:10やっとの思いで本沢温泉の手前まで辿り着きましたが、本沢温泉への入口が分からず、40分近く小屋周辺をさまよったあげく(本沢温泉の左手側を下降するトレースがありましたが、これは間違いで、右手側の本沢温泉の西側から沢を渡って周り込むルートが正解です)18:50本沢温泉に到着しました。
お目当ての露天風呂は夜間は入浴出来ないとのこと(リサーチ不足でした)で、もっとも今から温泉に入る気力は無く、小屋からしらびそ小屋に向かって3分の所にあるキャンプ場にテントを張り(テント泊は我々だけでした)、テントに入って一息ついたのは20:00でした。
口数も少なく食当をし、明日の行動計画を相談しました。
翌日は好天が見込まれるので硫黄岳にも行きたいところですが、体力抜群なれど高度に弱い体質のN君は既に頭痛を感じており、取り敢えず、5:30起床として
その時点でのN君の体調次第で決めることとし方針を保留しました。
「天狗岳縦走して温泉に入る計画は欲張り過ぎたかな。」
「欲張らずに直接、本沢温泉に来れば良かったかな。」
「N君は高度に弱いのに一気に高度を上げ過ぎたかな。」
等と己の考えの甘さに反省しつつ22:00就寝。
しかし、真に己の考えの甘さを思い知らされるのは翌日になるとは、この時知る由もありませんでした。
13日:晴れ 気温-10℃前後
5:30になってもN君に起きる気配は無し。「やはりまだ頭が痛いのかな」と考えそのまま寝させてあげることにし、6:50起床。
硫黄岳往復と下山で9時間は見込まれ、かつ露天風呂に入るのはやはり無理があるので、硫黄岳はあきらめ、露天風呂に入って、下山することとしました。
餅入りラーメンを食べ、いざ露天風呂へ!
テン場から夏沢峠に向かって10分の露天風呂、標高2,150mの「野天風呂」に到着。
しかし、気温は-10℃の極寒。いざ脱衣をする段になると本能が拒否します。
N君「本当に入るんですか?」
「入るよ。当たり前じゃないか。」と答えた言葉とは裏腹に、「本気?」と考えて
しまう自分がおりました...。
「何の為にここまで来たのか思い出せ!」
「強い気持ちを持て!」
とあらん限りの意思の力を総動員し、本能が発するアラートサインに抗い脱衣!
温泉に飛びこみました。N君も続きます。
うひょ〜暖かい!!「風流。風流」「極楽。極楽」と持ち込んだビールを回し飲みしながら、しばしの悦楽境に遊びました。この時ばかりは幸せでした...。この時ばかりは。
異変に気付いたのはその後です。
「ぬるい...。」
そうです。凍えた体には熱く感じた湯温も体になじんでくると、芯まで温まるには程遠いものだったのです。
この状態で濡れた体を-10℃の極寒にさらすことを想像するだけで身動きがとれません。正に進退極まるとはこのことです。
そこに3人のおじさんが温泉にやってきました。
「を、この方々も入るのか?」と一瞬、心強い同志に出会った気になりましたが、
おじさん方は口々に
「本当に入ってるよ!」
「お兄さん達凄いね!」
「勇気あるね!」
と誉めそやして頂きました...。
薄々感づいておりましたが、やはりこの気温で露天風呂に入る行為は「蛮勇」と呼ぶに値する行為だったのですね...。
「後で住所教えてよ!記念写真撮ってあげるから」と二人の記念写真まで撮って頂きました(写真楽しみにお待ちしております)。
「ところで、その温泉PH値高いからあまり長湯しないほうがいいらしいよ。お肌荒れちゃうよ。」
そのお言葉に押され、遂に温泉脱出作戦の決行を決意しました。
,泙詐緘梢箸世嬰鯀イら出して着衣
△靴るのち温泉から完全に脱出し下半身を着衣
この2段階着衣方式を以て、色即是空、空即是色、我は何も感じないと思い込み、
体を拭いたタオルがみるみる内にバキバキに凍り付いてゆくのを横目に温泉脱出を敢行致しました。
温泉に入って出るだけなのにこの「やり遂げた感」は一体何なのでしょう...。
ともあれ、硫黄岳は断念することとなりましたが、初期の目的である冬に入れる本邦最高所の露天風呂を色んな意味で堪能することが出来ました。
これで立派な「風流人」です。
帰路、しらびそ小屋で犬と戯れ、天狗岳の雄姿を楽しみ、14:00下山。
下山後、稲子湯で温泉に入り山菜そばに下鼓を打ち、東京に帰りました。
稲子湯から須玉ICまでの間は、車中から金峰山、浅間山、八ケ岳、富士山、甲斐駒、北岳、鳳凰三山のパノラマが楽しめました。
ネコバさんの力作堪能させていただきました。
それにしてもマイナス10度で弱音はいてるとは
nekobaさん、はじめまして。
同じ日に本沢温泉に泊まっていたものです。
露天風呂はやはり入った人が小屋にもいて、湯温が36度だったというのを聞き、断念しました。
帰って来てから、やっぱり入っておくべきだったかな、とちょっと後悔の念もあったのですが、nekobaさんのレポを読んで…
いやぁ、「体を拭いたタオルがみるみる内にバキバキに凍り付いてゆく」と言う辺り、すさまじいです!
風流の極みでしょう
新たな挑戦に期待してしまいます
お風邪を引かれません程度に
頂上のみを目指すのがワンダラーに非ず・・・
自然の息吹を十分感じさせていただきました。
nekobaさんは大丈夫そうですが、N君は大丈夫ですか?
体調があまり良くないようでしたが・・・
N君は幻覚に加えて幻聴も聞こえたそうです。
「なんか後ろで人の話声が聞こえました」って怖いこと言うな!
でもN君は温泉の効果か元気になりました。
楽しく読ませていただきました〜
あそこ入られましたか〜〜!
湯冷め確実ですよね〜^
自分は足だけつかりましたが、やっぱり
「ぬるいっ!」って感じでしたね〜
でも眺めは最高で、いい場所ですよね〜
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する