雪の塔ノ岳1泊(大倉ピストン)
- GPS
- 09:27
- 距離
- 17.0km
- 登り
- 1,427m
- 下り
- 1,434m
コースタイム
- 山行
- 4:37
- 休憩
- 2:37
- 合計
- 7:14
天候 | 26日:晴れ 27日:曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
24日に積もった雪は、27日朝の下山時には未明の南風で登山道からほぼ消えました。26日は大倉尾根の標高1100m付近から軽アイゼン使用。北斜面の丹沢山方面は圧雪でした。 |
写真
感想
当初、ユーシン渓谷の名残の紅葉と塔ノ岳の夜景を楽しむはずが、季節外れの雪で計画変更。ぐちゃぐちゃの雪解け道には参ったが、両日とも眺望はまずまずで、軽アイゼンは初めての同行2人も雪道ハイクを楽しんでくれた。
【26日】 小田急渋沢駅から快晴の表尾根が一望できた。バスで9時ごろ大倉に到着し、「めんどくさい」と渋るalps165ことDr.エモンを促して全員スパッツを装着。歩き出すと日差しが暖かく、克童窯の先のどこかの山岳会の小屋の前でレインジャケットも脱いで登山シャツ1枚になった。
上は雪道だろうが、なにせ今日は大倉尾根を登るだけという超楽勝コース。観音茶屋の先の分岐では大倉高原山の家の見晴らしを経由してみた。江の島がはるかに霞んでいる。南斜面で暖かいのか、ここらの紅葉はまだ進んでいない。
見晴茶屋の裏手から急登にかかる。山の経験は浅いがぐっと若い55burbankこと幕吏クンは快調に足を運んでいる。木道が現れるとモミジ回廊。まだ色づいていない葉や、赤茶に縮れてしまったものもあるが、一本松付近までまずまずの紅葉が見られた。ただ、この辺もそれなりの勾配がある。速い人をどんどん先に通して体力を温存しながら駒止茶屋下の急坂をクリアした。
徐々に周囲の雪が目立ちだしたが、登山道は溶けて泥道になっている。堀山の家前で一休みしてから、岩交じりとなる急坂をよじ登り、延々と続く木段を辿って天神尾根分岐を通過。日蔭は雪道も現れ始め、下山者に聞くと「この先はかなり雪が付いている」というので、ベンチで軽アイゼンを装着した。雪に覆われた木道も滑らず安定して歩けることにDr.も幕吏クンも納得の様子。もっとも、幕吏クンはそろそろ足がきつくなっていたそうで、花立山荘下の長い木段を登り終えるとホッとした表情を見せた。
眼下の大展望を眺めるのもそこそこに山荘へ入り、昼食休憩とする。店内は、先ほど泥を跳ね飛ばして抜いて行った大勢のトレラン者がたむろしていたが、こちらが豚汁を待つうちに出て行った。あと200mも登れば山頂だから、我々はゆっくり休んでトイレに寄ってから出発した。
富士山の雲が離れ始めており、花立の上に着いた頃には山頂がすっかり顔を出した。目指す塔ノ岳はもちろん、蛭ヶ岳から檜洞丸への主稜もしっかり見える。軟らかい雪道となった登山道に軽アイゼンの跡をつけながら行けば、ほどなく金冷シ。ますます両側の崩落が進んでヤセ尾根化している。
鍋割山稜からの道を合わせて最後の登りとなったが、ここも下界の写真を撮りつつ“最徐行”で進む。おかげで全員転ぶこともなく、無事に塔ノ岳に到着した。風が弱くうららかな山頂からの展望をじっくり時間をかけて満喫し、もったい付けて尊仏山荘にチェックイン。それでも「お客さんたちが一番乗りです」とのことで、「雪でたくさんキャンセルが出たから個室をご用意しましょう」とサービスしてくれた。
ちらりと見かけた猫のミーちゃんが気になるDr.を促して2階の客室へ。大部屋と独立した2段ベッド向い合せの4人部屋で、鉄チャン流に言えば今は亡き北斗星B寝台カルテットの造りと言えようか。もっとも寝棚にカーテンはなく、天井ははるかに高いというか、そもそも天井板がない。
1時間ほどごろ寝して休憩。幕吏クンはそのまま休んでもらうことにして、Dr.と空身で日高まで雪中散歩に出かけた。北斜面に回り込むと格段に雪が増え、先ゴムを外したストックが役に立つ。登山道は踏み固められているが、両脇はまだ40センチ近い雪が残っている。蛭ヶ岳まで往復してきた男性によると、向こうはさらに大雪だったとのこと。
最低鞍部を過ぎて日高まで静かな雪道を歩いた。雲が増えてすでに富士山は見えないが、夕日差す雪景色もなかなか良い。本当に身一つで出たのでカメラを忘れたのが惜しい。Dr.にスマホで記念写真を一枚撮ってもらって折り返した。午後4時半近く、日没間近に山荘へ戻ると入り口で幕吏クンに会った。
部屋で一休みしていると、5時過ぎに夕食の呼び出しがかかった。カレーライスを全員少しお代わりし、談話室に移って雑談を続ける。隣に座った横浜の男性、埼玉の女子看護大学生3人も交えて小一時間ほど楽しい時間を過ごした。外はすっかりガスに覆われ、残念ながら自慢の夜景は全く見えなかった。
【27日】 前夜8時には就寝して、途中、寒さで1枚着込んで寝直したのが午前3時過ぎ。雪解け水か雨水かが屋根をたたく音と、吹きすさぶ南寄りの風の音がすごかったことを覚えている。4時半ごろに再び目覚め、寝床で同じ騒音を聞きながら「こりゃ参ったな」と独りごちた。
5時20分ごろ電気がついた(「個室」に電灯はないが)。窓の外は深いガスと山の上としては妙に生暖かい強風の世界。出汁の効いたおでんの朝食を食べ、談話室で明け始めた外を眺めていると、小屋の人が外気温は6.7度だと教えてくれた。昨日の予報では厚木の最低気温が6度だったから異常に暖かい。よく見ると、真っ白だった小屋の周囲の雪があらかた溶けてしまっている。
昨夜、丹沢山に寄ってから下ると言っていた看護大生たちも予定を変更し、鍋割山経由にするという。スマホのレーダー画像では雨雲が富士山の向こうまで迫っているようなので、われわれもサッサと大倉尾根を下山することにした。途中で降られてもいいように服装はレインの上下で固め、カメラなど濡れてまずいものはビニール袋に入れてリュックにしまい込んだ。
ガスの中の強風を突いて歩き出して間もなく、花立山荘から登って来た団体さんの通過を待つうちにみるみる視界が開けだした。50mも下らないうちに表尾根が姿を現し、予想外の雲が描き出す芸術の世界が広がった。稜線に濛気が立ち上り、朝日の逆光に輝く美しさは何とも言えない。すっきり晴れた朝とはまた違う山の景色に幕吏クンは感動の様子。Dr.と当方はあわててカメラを取り出して撮影に勤しんだ。
花立では、巨大で重々しい多重の笠雲をかぶる富士山が見えた。足下を見やれば低い雲海。徐々に上空は高い雲が覆い始めたが、雲海の低層雲との間に挟まれた視界は良好で、西を見ても近くに雨雲は見えない。すでに頂上から登山道に雪はなく、花立山荘の雪だるまは頭が落ちてしまっていた。
望外の景色を楽しみながら、ゆっくり下って堀山の家で大休止。Dr.はおしるこ、残る2人はコーヒーを頼んだ。その山の家ではチェーンソーで柱の下の方を切断している。乱暴なことをしているなと思ったら、南側の柱が土台から浮いてしまっているため、修理をしているのだった。
駒止茶屋を過ぎてガスの中に入り、空気が少しひんやりした。さほど濃いガスではなく、いつ抜けたかも気づかないほどだったが、感覚としてはガスの上より下へ来た方が涼しい気がする。
見晴茶屋で年配2人の方はトイレを借り、いよいよ最終コースへ。結局、雨は一粒も降らないまま丹沢クリステルの所まで下りてきてしまった。振り返れば標高500〜600mくらいから上に低層雲がかかっているが、どうにもあの中を歩いてきたようには思えない。
ともあれ丹沢デビュー、山小屋デビュー、雪道&軽アイゼンデビューをいっぺんに果たした幕吏クンも、無事ゴールの大倉バス停まで歩くことができた。これでDr.とまた次の山に誘う楽しみができた。時間は早いが、この後は鶴巻温泉弘法の里湯&蕎麦屋で一杯の定番コースへ急ぐのみだ。
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