谷川岳(西黒尾根を下る)


- GPS
- 05:34
- 距離
- 8.1km
- 登り
- 832m
- 下り
- 1,207m
コースタイム
コースタイムの方は写真を撮りながらのもの。
(スノーシュー)天神平7:30-7:43田尻尾根7:48-7:52天神尾根-8:22熊穴沢避難小屋-9:03天狗のたまり場-9:21天神ザンゲ岩9:27-9:48トマの耳-10:10オキの耳10:15-10:17オキの耳の少し先の岩陰(休憩)10:23-10:40肩の小屋(休憩&アイゼンに履き替え))11:02-11:14ザンゲ岩-11:55ラクダの背-12:19樹林帯(ラクダのコブを下り終えて休憩)12:28-12:50小ピーク(1140m付近)-13:02鉄塔-(途中でアイゼンを外す)-13:30ロープウェイ乗り場
天候 | 晴れ 弱風~午後からやや強風 気温は-5~0℃近辺だったと思われる。 |
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過去天気図(気象庁) | 2011年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
駐車券を持っていくと6Fで珈琲が無料で飲める。 ロープウェイチケット販売開始は7時。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
今回はトレースは問題なくあった。 しかし、つぼ足トレースはかなり穴が深いので歩きにくそうである。 その上をスノーシューで歩くのは、さらに歩きにくかった。 天神平からは、一番右手のゲレンデの右側ポール外側が登山道になる。 スキー場の上部に達したら、目の前の右傾斜した斜面を真っ直ぐやや下り気味にトラバースすると、天神尾根に出る。 熊穴沢ノ頭の辺りに、かなり急な下りがある。滑らぬように注意。 天神尾根は、それ以外に危険なところはない。(肩の小屋付近はガスったら迷いやすいが) 西黒尾根は、エビのしっぽたっぷりの道標に従って、雪庇じゃないだろうか、と思われる斜面に向かうがそこだけは向こう側に道がある。場所を間違えると雪庇の上に出てしまうので注意。 しょっぱなから恐ろしく急である。転ぶとかなり下まで転がっていきそうなので、下りが苦手な人にはお勧めできない。 また、その時々で状況は変わるかもしれないが、数か所1~2mほどの壁下りや壁登りがあった。 |
写真
この右側のトレースは、踏み抜いた穴の中にクラックのような空洞がいくつか見えたので、怖いので左側のトレースを進んだ。
しかしこれが思いのほか壁のように急で、怖かった。登ってから気がついてももう下りられない。
落ちると見ての通りの場所なので・・・
感想
12月に登って、1月に敗退して以来、ずっと行っていない谷川岳の、真っ白な姿を見たくて、上越方面の晴れの予報が出ている日曜日に、谷川岳に向かうことにした。
最初は、西黒尾根を登ろうかと思ったが、12月とは比べ物にならない雪の量だし、もはや夏道のイメージは通用しないはずなので(12月の時は夏道に雪が付いている程度だった)、谷川岳を見ずに撤退になるのも嫌だったので、ここはおとなしくロープウェイで上から行くことにした。
天気は上々なので、仮に1月と同じ場所で撤退したとしても、真っ白な谷川岳は拝めるはず、と言う半分観光気分でもあった。
天神平で降りて歩きだしてみると、意外にトレースがしっかりとついていた。5日の天神平スキー場ブログでは、土曜日にも積雪が40cmあったと書いてあるので、そんな雪の中登った人がいるのだろうか、とちょっと不思議だったのだが、天神尾根に出てみると謎が解けた。
尾根の西側、小さな雪庇が出来つつあるその下の斜面に、確認できただけでも3つの雪洞がほられていた。途中で下山してきたパーティに、早いですねと言ったら、雪洞泊まりだったのでとの回答。先行パーティも複数いたが、その人たちはロープウェイにはいなかったので、皆雪洞に泊まっていたということになる。
なる程、トレースがしっかりしているわけである。
そうこうしているうちに、ヤマケイJOY冬号の記事に、「懸垂下降したいぐらいのギャップ」と書いてある場所に到達。が、今日はそれほど危険を感じない。
雪がガリガリになっているので、スノーシューのまま横向きに下って行けた。この辺は、MSRのライトニングアッセントがアイゼンっぽく爪だらけのおかげかも知れない。
この先、天狗のたまり場の辺りもガリガリの斜面になったが、そのままアイゼンに履き替えず、スノーシューのまま行けた。最後の肩の小屋辺りに出るまでの急登は、つぼ足用に切られたステップに、無理やりスノーシューで蹴り込んで強引に登った。ちなみに、他のパーティでスノーシューを履いているのは、ボードを背負ってきたボーダーの人達だけで、登山者は皆アイゼンだったwww
トマの耳で展望を楽しみ、オキの耳では記念写真を撮り(東側は巨大な雪庇で展望が遮られて見えなかった)、その時、山頂で会った人が西黒尾根から登ってきたことを知る。トレースは何名かで登ってつけてきたとのこと。その人が言うには、下りは尻セードで下れば早いとか。慣れてる人のようだけど、何となく楽しそうなそのノリに心が動き、なんと西黒尾根を下ろうと決めてしまった。
その後肩の小屋まで下りて、食事休憩。
そして、いよいよ西黒尾根に向かう。夏場に登るのでもすごい急なのは知っているから、冬場にしかも、もはや夏道などどこにあるかもわからないであろう西黒尾根を、登るのではなくいきなり下っていいものなのか・・・
などという迷いは全くなかった。
西黒尾根に行ける、ということでうきうきしていた。
しかし、いざ西黒尾根に踏み込んでみると。
しょっぱなからいきなりの急傾斜。この間の横岳の日ノ岳スラブよりも急・・・
そんなわけで最初はビビっていたが、いざ下りだしてみると・・・
雪がふかふか! しかも、下ろした足が腿ぐらいまで潜る!
転ぶことも滑り落ちることもなく、2mはあろうかという歩幅でずんずん下れる。
これは面白い! と、急斜面であることも忘れて、思わず楽しんでしまったw
こうなると、すでにあるトレースは、足が引っ掛かってかえって歩きにくい。
よって、トレースがついていない場所を選んで下っていく。
ちょっと横にそれる分、より急だったりするが、慣れてくれば大丈夫。
足を動かすたびに雪玉がゴロゴロと沢山転がり落ちて行く。
まさか足元全部が雪崩れたりしないだろうな、とちょっと不安にはなったが、
急に見えて、横から見ればそんなでもないことは、天神尾根から西黒尾根を見て分かっている。
そんな楽しい下りがずっと続くと思ったが、そうは甘くはなかった。
急な下りが終わると一度斜面はなだらかになり、右に雪庇が張り出した雪面をトラバース気味に進む道が続く。このあたり、なにげに左側が急である。マチガ沢までストーンと落ち込んでいる。しかもトレースがでこぼこしてて、時々よろけたりするとヒヤッとする。そんな道が続いて行くと、じわじわと怖さがわき上がってきた。
そうして迎えた次の急斜面。ラクダのコルに向かって一気に下っていく。
今度は雪の状態が悪い。さっきのようにふかふかではなく、硬めの雪であまり足が潜らない。この辺、夏場はジグザグを切って登ってたはずなのに、今は真っ直ぐに下に向かっている。何と急なことか。それでも、前向きで下れているからよかったが、一ヶ所、岩の出ているところから岩の下まで1mほどのギャップがある。
どうみても、前向きでは下れない。というわけで、生まれて初めて、なんの練習も無しにぶっつけ本番で、後ろ向きになってクライムダウンをする羽目となった。
恐る恐る足をおろし、アイゼンの前爪を引っかけ、感触を確かめて体重をかけて行く。なんか爪先しか引っ掛かってないんじゃないか?みたいな気がしてしょうがないが、そんなこと言っても足先まで見えないからわからない。右手はダガーポジションにピッケルを持って、雪面に打ち込んだピックを手前に引き、引っかかっていることを確かめて体重をかける。だが左手は、手袋でつかめるものは何もなく、ただ雪面に置いてあるだけ。そういう意味では、足を動かしている間、2点確保にしかなっていないのが実に不安である。
しかし、何とかクライムダウンができ、一息つくことが出来た。
さすが西黒尾根、簡単には降りさせてくれないぜ!とちょっと興奮気味。
よくよく考えてみると、もう少し脇にそれて、雪面にステップ切って降りて行けたんじゃないか、と思えなくもないが、何となくわざと難しい方を選んでいる気がする。
この後の、ラクダのコブのところでも、同じような局面に出くわした。
最初のコブは左から岩の基部を巻くように降りて行ったが、次の岩は真上を乗り越していく。その右側にはっきりと登りやすそうなトレースがあるのだが、そっちを行こうとしてトレースを見ると、踏み抜いた箇所がいくつかある。しかもその踏み抜いた中には、青白く見える空洞がかなり奥まである。どうも踏み抜いた何箇所かは奥で繋がっているみたい・・・
ってことは、奥の方にクラックがあるわけで。
その上を行っても大丈夫なのかどうか、判断するための知識がない。
素人考えでも、今はもう午後で、太陽は南からずっと当たってるし、気温も上がって来てからだいぶ経つし、って考えると、どーんと落ちるのが今かもしれない。
なんて考えると怖くてそっちにはいけない。
というわけで、岩を乗り越える左寄りのルートを選んだ。
これが曲者だった。ステップも薄いけど刻まれてるから大丈夫、と思ったが、登りだしてみるとかなり急。しかも雪の付いた岩の表面を登っている感じなので、手がかりがあまりない。ピッケルはなんとか刺さるが、薄くしかさせないため、手間に引くと動いてしまい支点にならない。ピッケルを何回も差しなおし、力を入れても動かない場所を探し、それを支点に一歩登って、を繰り返して何とか突破することが出来た。
最後のコブを超えると夏場なら鎖場があるのは分かっているのだが、なんと冬場の今でも鎖が見えていた。しかし、雪面がよく締まっていたため、鎖を使うまでもなく、アイゼンとピッケルのみで比較的容易に降りられた。
これで、樹林帯に到達し、危険個所はすべて終わったのであった。
危険とは言っても、3000m級のように、落ちたら数百メートル滑落とかではないので、まだいいのだが、1mでも5mでもやはり落ちるのは怖い。そういう意味では、いい練習になったのではないだろうか。
この西黒尾根で、トレースのない状態で登れるようになるには、あと数回通って道を覚える必要がありそうだ。夏場は南側寄りに道があった場所は、雪庇があるためすべて使えなくなっている。冬は冬用の道が出来るわけなので、それを覚えるしかないと思った。
naoki99999さん、こんばんは
凄い雪ですね、そして稜線がとてもきれいです
トマの耳の登山者・・絵になりますね~
しかし読んでいるだけで怖いです
御怪我されず何よりでした
私も雪がないときにじっくり歩きたい山です
ボーダーの方はまさか下まで滑るのですか
naoki99999さん、こんばんは。
快晴で素晴らしい眺めですね
3月にあったし、そろそろ上越方面も良いなあと思える
素晴らしい写真ですね。ホントに行きたくなってしまい
ます
西黒尾根ではいろいろとルート取りで苦労したみたいで
すね。雪が付くとその場その場で判断をしないといけな
いので、知識と経験が必要ですね。
naoki99999さん
谷川岳お疲れ様でした~
雪の量がさすが谷川岳って感じですね
今回naoki99999さんが歩かれたルート、私もこの冬一度歩いてみたい候補なので、とても参考になりました。
西黒尾根、夏しか歩いたことありませんが、やっぱり冬はやりがいがありそうですね
Utundu
素晴らしい景色で感激です
雪の谷川魅力ありますが・・
私はむりそーです。。
記録で楽しませていただき、嬉しいです。
体力さずがですね!
トレースない、あんなに深い雪を歩いて行けるなんて
私の記録は今晩アップします
naoki99999さんこんにちわ
谷川岳羨ましいですわぁ~
八ヶ岳に続いてお疲れ様でした。
谷川岳山頂には10時頃の登頂ですかね?
「谷川岳(西黒尾根を下る)」 の写真気に入りました。
写真の様なまっすぐ歩いてる時なんて
至福の時間ですね。
おいらも歩いてみたいですよ。
雪尻の大きさにもびっくりであまり近づきたくない
もんですね。
naoki99999さん、こんばんはー。
レコを読んでいるだけで滑落しちゃうじゃないかと、ドキドキしましたよ。
雪山1年目で難しいところもサクサクこなして、すばらしいです。
ちょっと怖い思いをしても、あれだけの絶景を見れると報われますね
チキンの私にはムリかなーとおもいましたけど
shira-gaさん、こんばんは。
この週末は八ヶ岳もピーカンだったみたいですね。
レコもたくさん上がっていて、びっくりです!
でも、私自身は谷川岳も大好きで、去年の秋は毎週のように通ってました。
西黒尾根も、下部の樹林帯から、上部の岩稜に切り替わる変化のある尾根歩きが楽しめるので、大好きな登山道の一つです。
ある意味、そこを冬に登りたいと思ったのが、冬山を始めるきっかけだった気がします。
そんなわけで、今回は様子見のはずだったのですが、いきなり下りに使ってしまいましたw
怖いけど、楽しかったです。
ここも通えば、慣れるのではないかと・・・w
ボーダーの人達は、思い思いの場所で斜面に滑りこんで行ってました。
え!?、ここ行くの?って思いましたよw
yoshi629さん、こんばんは。
土曜日は上の方はまだ降雪があったようなので、日曜日にして正解でした。
この日は、白毛門も麓からきれいに見えていて、次はぜひ登ろうって思いました。
今はまず、慣れた人のトレースをたどって、なるほどこんな感じでルートを取るのか、というのを覚えている最中です。
雪庇の避け方、岩場の巻き方、乗り越え方とか、いろいろ勉強になります。
場数を踏んでいけば、トレースがない時も自分なりに、この辺が行ける、って言うイメージが持てるようになるのではないか、と思ってます。
ソロですと、パーティに参加して先輩に教わる機会がない分、他のパーティの技術をこっそり盗むしかないのでw
ちなみに、ちょっと急な場所に行く時は、アイスクライミング用アックスもザックにくくりつけておくと安心かな、とか思いました。
・・・まだ持ってませんが。
Utunduさん、こんばんは~
Utunduさんも西黒尾根行きますか!?
是非是非行ってみてください!!
真教寺尾根よりは全然安全だと思いますので。
すごい人は、こんな急斜面でってところに尻セードの跡を残していました!
さすがに怖かったので、真似せずに普通に歩いて降りましたが。
でも、それが意図した尻セードの跡じゃなかったら、すごい怖いですねww
そろそろ、冬型の気圧配置になることも少なくなって、雪が安定してきますので、私もちょくちょく行くことになると思います。
一度雪洞も掘ってみたいのですが、雪洞にソロで泊まるのはちょっとさびしすぎますかね?w
pikachanさん、こんばんは。
谷川岳と聞くと、大変な山って印象を持つ方も多いみたいですけど、超ハードなのは一ノ倉沢の岩壁の方なのであって、ロープウェイを使っての天神平からの往復であれば、冬山初級コースですよ~
これからの時期、登山者以上にスキーヤーやボーダーの人が増えるので、トレースも期待できますし、真っ白な上越の山々は、八ヶ岳から見るのとはまた違う景色で、かなり新鮮に映るのでは、って思います。
是非チャレンジしてみて下さい~
yutaroさん、こんばんは。
7時のロープウェイに乗って、10時に山頂ですから、かなりスローペースだったと思います。
写真撮りまくってたので、止まってばかりいましたしw
谷川岳はこれからがシーズンなので、是非登ってみてください。八ヶ岳とはまた違う面白さがあると思いますよ。
雪庇の大きさもけた違いですしね!
nagagutuさん、こんばんは~。
なんか、帰ってきたときの勢いで書いちゃたレコですが、怖かったのは怖かったですが、と同時にとてもワクワクして楽しかったです。
ある意味あこがれの西黒尾根だったので、冬にしかもそこを下れている自分が誇らしかったのかも知れません。
でもまだ、トレースがなかったら立ち往生しそうに感じたので、まだまだ実力不足だなとも思いました。
山頂で会った人のように、西黒尾根尻セードで下ると早いよ~って、気軽に言えるようになりたいものです。
前回の硫黄岳-横岳-赤岳といい、西黒尾根下降といい
単独行で、なかなかにチャレンジグな山行をされていますね~。
私はキャリアだけは20数年ですが、高所恐怖症の気があるので、ザイルなしの一人では無理です!
気を付けて更なるレベルアップを目指して下さい。
昨年まで3年連続で1月4日に途中敗退しています
4月に登った時西黒下山を考えたのですがトレースが有りそうになく断念しました、
この時期に単独で・・・・・
考えられません、
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