秋田岩手県境尾根 五番森〜地森〜貝吹岳
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- GPS
- --:--
- 距離
- 15.3km
- 登り
- 1,241m
- 下り
- 941m
コースタイム
- 山行
- 7:54
- 休憩
- 0:56
- 合計
- 8:50
天候 | くもり一時雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・五番森〜地森〜下地森〜貝吹岳の秋田・岩手県境稜線上に登山道は無い。一部踏み跡の見えた所もあったが、ほとんどはネマガリダケや灌木の藪に覆われている。残雪のある期間が歩く好機である。 ・入山前に、下山口となる仙岩トンネル岩手側入口に自転車をデポ、下山後は自転車で車を置いた入山口へ戻った。 ・五番森へも登山道は無いが、尾根上には踏み跡があり、藪も酷くはない。途中からは豊富な残雪を歩く。 ・五番森から地森へ向かう尾根は穏やかな下り斜面が多い。今回はガスで視界がきかず、ルートファインディングに神経を使った。概ね雪堤を行くが、雪堤が崩れている所ではネマガリダケの猛烈な藪に入った。 ・地森への登りは急斜面で、どう残雪をつないでいくか、取りつく前にルートを考えた。 ・下地森への登りは、今回歩いた中では最も細かったが、踏み跡のある灌木の尾根を登るので、恐怖感は無かった。 ・下地森から貝吹岳へは、まだ残雪豊富だった。ただ貝吹岳に近づくと、右手(東側)が切れ落ちた灌木帯の藪漕ぎ。 ・貝吹岳から仙岩トンネル入口へはトレース多数。 |
その他周辺情報 | 国道46号線秋田県側のトンネルが始まる地点に、おでんの美味しい「峠の茶屋」がある。お持ち帰り一人前500円。 |
写真
装備
個人装備 |
長靴で通した。
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感想
1年前に五番森〜モッコ岳〜沢尻岳を歩いた際、cheezeさんとnomoshinさんから、五番森〜貝吹岳縦走の示唆をいただいた。そこで考えたのが、縦走後に仙岩トンネル岩手側口から自転車を使って入山口に戻るという方法だ。自転車はほとんど下りになるから楽だろう。だけど交通量の多い国道を、慣れない自転車で走り下るのは正直怖い。計画段階では、山歩きよりもそれが大きな不安だった。
実際、タイヤの細いママチャリではアスファルトの裂け目にタイヤをとられて転倒という危険が伴う。後方から来る車のドライバーも、長靴を履いた変なオヤジがフラフラしながらママチャリで下る姿は邪魔であり、また怖かっただろう。車を置いた所に辿りついた時は、酷い肩こりになっていた。
当日の秋田県の天気予報は、寒気が居座っていて曇りのち晴れ、ただ秋田駒のある仙北市は夕方まで曇りの予報だ。視界のきかない中を歩けるのか?という不安はあったが、4月に入って融雪が進み、残されたチャンスは少ない。縦走最後のピークである貝吹岳に立つ頃には、晴れて展望も楽しめるだろうと考えて、やってみることにした。
五番森への登りでは、昨年より早く残雪が現れた。だが天気は雨から雪に変わる。突然、幅広い尾根を横切る長靴の足跡を発見。マタギだろうと思っていたが、その足跡とは上部でまた出会った。二人で五番森へ登ったようだ。
五番森からは濃いガスの中、地図とコンパス頼りで進む。山へはいつも晴れた日にしか登らず、スマホやGPSを持っていない自分にとっては、一つの挑戦だ。特にP986からの進む尾根の判断はポイントだった。10時50分頃、P986から1キロ程進んだあたりからガスがとれてきて、その後ルーファイの不安は無くなった。
ガスが晴れて驚いたのは、地森と下地森の存在感である。高さ1,000m前後にすぎない山なのに、この自己主張はどうだろう。ここで晴れてくれて、南側からこれらの山を眺めることができてラッキーだった。
地森への標高差200m強の登りは、このルートの核心部と言えるかもしれない。次第に近付く地森を眺めながら、どう雪の付いた斜面をつないでいくかを考えた。もしもまだガスっていて山が見えなかったら、猛烈なネマガリダケの藪に阻まれて、相当困難な登りになっていただろう。中間ぐらいまではほぼ真っすぐ登り、その後は東側へトラバース。藪をくぐり抜けて雪の急斜面に取りつき、長靴でキックステップ、ふくらはぎが悲鳴を上げそうになる。何度か休みながら、ようやく地森の山頂部に上がった。
地森山頂で休憩、小雪が舞って寒い。立ち上がると、これまで雲に隠れていた秋田駒が白く輝いている。大きな反射板の立つ下地森へは、左手(南西側)も切れ落ちた細い稜線を登る。秋田駒から岩手山に至る稜線が、つながってよく見える。
下地森では巨大な反射板に加えて、はるか下の国道を走る車の音も聞こえ、人工的な匂いが濃くなった。縦走の終わりも見えてきて稜線漫歩の気分だが、貝吹岳へは右手(東側)が切れ落ちている所もあって、気は抜けない。
初めて訪れた貝吹岳では、座ってゆっくり山々を眺めた。自分の歩いたことのない山、辿ったことのないルートの多さに改めて気付く。山歩きの楽しみは、これからも尽きることが無さそうだ。
コメント
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和賀山塊の長い線を繋げましたね〜
最近知ったことですが、貝吹岳が和賀山塊の最北部だそうですね。
道のない藪藪でも畏れることなく怯むことなく
前進するkamadamさんに拍手喝采です\(^o^)/
次なる目標は貝吹岳〜秋田駒ですかね?
もしかしてその先まで踏破されているとか
ママチャリに乗るkamadamさん、
きっと振り返りたくなるほどの見ものでしょう〜
meikenさん、おはようございます。
長靴のママチャリオヤジ、皆さん振り返ったかもしれません
サングラスはしていましたが、マスクもかけておけば良かった
貝吹岳が和賀山塊の最北部ですか。
この日は山にいれた最後まで羽後朝日岳山頂は見えませんでしたが、そこから北へ長く伸びる尾根はよくわかりました。
貝吹岳は巨大な人工物があって山深さは感じませんが、和賀山塊と秋田駒を眺める展望台ですね。
私は4/14に地森へ登って三角点を探訪してきました。
三角点の周辺だけ綺麗になっていたかと思います(笑)
この日以降は融雪も進んで縦走する人なんかいないと思いましたが、
驚きです。素晴らしいです!
私もわかります!山行より公道の帰り方を心配するんですよね。
未知の藪を漕ぐより自転車の盗難を心配したり。
私は三角点だけでこの山域をつなげましたが、
kamadamさんのレコは秋田の山のバイブルです。
ありがとうございます。そして、お疲れさまでした
mountrexさん、おはようございます。
実はレコを書く前にmountrexさんのH.Pを拝見して、今年地森へ登っていたんだ・・と驚きました。
どうりで、三角点がきれいに出ていた訳がわかりましたよ
地森へはどのようにして登られたのでしょうか。
後日またH.Pを拝見したいと思います。
それにしても、視界のきく灌木ならともかく、ネマガリダケの藪の中を登るのは大変ですね。mountrexさんの偉大さをつくづく感じました。
kamadamさん
もう、和賀山塊の主と呼ばせて下さい。
今回の山行、ままチャリが核心部?
スピードの出すぎる下りの恐ろしさ😱
ここで転倒したら、後続の車に間違いなく、、、
という恐怖。私も経験ありです。
kamadamさんだからサクッと歩いたように見えるけど、
フツーはこうはいかない山ですよね。
お疲れさまでした。
nyororoさん、おはようございます。
「和賀山塊の主」は現役でおられますよ
和賀山塊を本当に知るには、長い沢を縦横無尽に歩き尽くすことなんだろうな・・と思います。
自転車に乗っていて、大型トラックが後ろについているのも怖いですが、最近は静かな車も多いので、こちらが気付かないうちに脇を通り過ぎる車もまた怖かったです。
車の量がまだ少なめな方で良かったかな。角館の桜が咲いていたら、大渋滞を引き起こす起点になっていたかも
kamadamさん、こんばんは。
こんな時間にすみません。
県境稜線・・・踏破ご苦労さまでした。
kamadamさんらしい迫力の山行ですね。
魅力たっぷりの県境稜線ですが・・・
登山道が無いのが本当に残念ですね。
和賀岳から秋田駒ヶ岳まで繋ぐ県境登山道・・・
あれば良いなって思うのは私だけではないはずです。
標高こそ1000m級ですが・・・
その存在感に圧倒されますね。
これが東北の山の偉大さでしょう・・・
山はけっして標高ではありませんね。
仙岩峠からの下り・・・
ママチャリでは不安定で大変だったと思います。
山行よりハードな一般道走行でしたね。
ご苦労さまでした。
750RSさん、おはようございます。いつもコメントをありがとうございます。
藪に覆われた県境稜線ですが、密生したネマガリダケから少しずれたブナ林の中なら、踏み跡が案外残っているのかもしれません。雪の無い時期には、とても入山したいとは思いませんが・・
南側から眺める地森と下地森の姿は、今回の収穫でした。
それと750RSさんがお庭にしている秋田駒がやっぱり良かったですね。横長根のラインが美しい。久しぶりに駒に登ってみたいと思いましたよ
おはようございます。
今回も素晴らしいルートでしたね。
地勢や林層の雰囲気が自然の豊かさを感じさせ、まさにマタギの郷の様相です。
あまりの素晴らしさに、思わずレコに乗って空想でkamdamさんを追ってしまいました。(笑)
no11 (次の写真を見る前に)この林層には熊の”殺気”あり。尾根に上がるまでは樹上にも注意しながら・・
no15まさかとは思うが、視界も悪く“誤射”などないだろうな。
no16霧は濃いが早晩晴れる筈。先刻予想把握済だ。
no21,22(何となく)隠れクラック、雪折れ(左端)もあるかも?
no26東急斜、恐ろしや。迷わず薮入りでしょう。
no28霧が晴れ良かった。さて、地森何処を登るか。
no30 右肩稜線、ここからは雪の様子解らず少し心配も。
no42山頂人工物、これを見た後の妙な安心感はなんだ?
no47ブラボー!!
no47満足感に陶酔!?
no55最高、今日の仕上げだ!これだから山は止められん。
(ダラダラと掲示板を汚しスミマセン、レコに勝手に踊ってしまいました。)
tonkaraさん、こんばんは。
楽しんでいただけたようで、よかったです
写真を一つ一つ確認して、私も映画のようなtonkaraさんのセリフ入りレコを楽しみました
地森や下地森の姿は、きっとtonkaraさんにも喜んでいただけると思っていましたよ
下地森山頂の巨大反射板は、山深い雰囲気を壊す興ざめな物ではありますが、同時に妙な安心感を生むモノでもありますね。あそこまで行ったら間違いなく帰れるという・・
「恐ろしや・心配・安心感・ブラボー・満足感・最高・・」
tonkaraさんが掲げてくれたセリフに、山を止められなくなるエッセンスが詰まってるような気がします
kamadamさん、遅ればせながら、大変お疲れさまでした。分水嶺の真昼山地は完歩でしょうか。素晴らしいです。いつか歩かれると思ってましたが、もう行ってしまったんですね。 結構軽々と歩かれている感じ
天気と残雪の具合と自転車がポイントでしたね。
>自分の歩いたことのない山、辿ったことのないルートの多さに改めて気付く。
秋田を歩き尽くす気ですね。志戸内畚北方稜線とか、鳥海東山域とか、八幡平西山域とか、手つかずの山々、これらは次年度以降ですね。いずれもクマ密度の高いところでしょうから、くれぐれもご用心を!
用意周到、臨機応変、体力充実、気力満杯のkamadamさんのレコ、ますます楽しみにしていますよ。
cheezeさん、おはようございます。G.Wに入り、ちっちゃい人たちでにぎやかにお過ごしでしょうか。暖かいお言葉、ありがとうございます。
分水嶺をつなげるという考えは特になかったですし、秋田を歩き尽くす・・という大それた気はないのですが、一つ山に登って周りを眺めると、「あそこを歩いてみたい」という、気になる山や尾根が出てきますね。そしてその山に登れば、また他の気になる山や尾根が出てくる・・
でも、時間や自分の能力の制約などから、案外踏破可能なプランは限られてきますね。一泊以上の日程が必要なプランが、数年前からたまっています
なので最近は新しいプランはあまり考えないことに
今年の残雪期を振り返ると、一番面白くて印象に残っているのは、実は丁山地の遠上山です。山行前に地図を眺めてあれこれ考えるという当たり前のことをしないで、しかも途中までの地図を持たずに登ったことで、予想外の(晴れたら鳥海が見えるということ以外は予想できない)新鮮な発見がたくさんありました。実際に歩いた尾根が良かったということが大きいですね。
今回の場合だと、南側からの地森と下地森の姿が新鮮な発見でした。
ただ、長靴のキックステップはキツかった
GWはロングは控えようかと思っていますが、まだ雪が残っている所へも行きたい・・
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