【南峰作戦】南駒ヶ岳〜仙涯嶺〜越百山〜南越百山【甲57.0】
- GPS
- 11:16
- 距離
- 21.0km
- 登り
- 2,366m
- 下り
- 2,341m
コースタイム
- 山行
- 10:56
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 12:16
天候 | 曇り(明け方)→晴れ(稜線直前〜越百山)→曇り→晴れ(標高下げて雲抜ける) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
最初と最後:林道歩き 入山後〜北沢尾根:沢沿いは水浸し。その後急登。 北沢尾根:藪は濃いが足元見える。後半は岩と藪のコラボ。 南駒〜越百:岩峰群を越えて行くのかと思いきや、結構巻き。風化が進み、所々ザレている。 越百〜南越百:今回の最難関。軽い気持ちで足を伸ばしたが、北沢尾根より藪が濃く大苦戦。 越百〜下山:延々下り。この道も雨が降ったりしたら簡単に崩れそう。あちこち崩れたり、えぐれたり。 |
写真
感想
※歩くペースが「0.6〜0.7」となっているが、私の計算では0.74(コースタイム885分の行程を656分)。
【経緯・計画】
2日は台風一過で好天。3〜5日も好天が続きそうだったので、前週に引き続きアルプス山行を企図。しかし、ヤマケイオンラインで3日の山頂天気予報を見ると大本命の山域は曇り。一方で、gpv/scw天気予報で雲の推移を見ると夕方以降は怪しいものの晴れ間もある(完全な曇りにはならない)と思われた。異なる天気予報に心が惑う。山行の判断としては山頂天気△、gpv/scw○、てんくら○という結果で、別に行ってもいいんじゃないかという考えも生じるが、天気は多数決ではない。良くない予想が出るからには何かしらの理由があるはずだ。
昼過ぎに山頂天気予報が更新され、曇りマークに晴れマークが追加された。予報が改善したのだ。しかし、その近くの鳳凰では曇り+傘マーク。近くが雨予想なら自重すべきだし、雨でなくても雲は多いだろうとついに断念。と同時に気が抜けてしまって、どこに行くか思考が迷走する。
山行に逡巡したのは、六甲、唐松と遠征続きで、いよいよ懐が気になりだしたのも影響している。大本命であれば大したネックにもならなかったのだろうが、大本命が対象から落ちたので、財政規律の存在感が増し、レンタカー予約の最後のボタンをなかなか押させない。
とりあえず、それまで候補に挙がっていなかったが、第三の選択肢として急浮上した空木〜越百周回とアサヨ峰を山行目標とし、とにかく荷物を担いで家を出ることにする。家を出なければ、なし崩し的に「どこにも行かない」になるおそれがあった。
特急が出る駅に着くまでに腹が決まるかと思っていたが、相変わらずグズグズ思い悩む。このままでは「やっぱり帰る」ということにもなりかねないので、まずは前向き思考連発で山行の機運を醸成し、「グズグズしているのはレンタカーの予約をしないからだ」と、ついに予約確定ボタンを押す。賽は投げられた。
天気概況を改めて確認すると、気圧の谷が発生するため、甲信は徐々に雲が増え、夕方以降雨の所もあるとのこと。山はもちろん雨だろう。最新の天気予報を踏まえて山行規模を縮小し、空木岳東稜往復または南駒〜越百周回とし、二日目アサヨ峰は費用縮減のため放棄。
折り良く諏訪湖では新作花火大会が行われていた。思いがけない花火の饗宴に、これを山行のはなむけと解し、代替山行ではなく、新たな本命山行として中央アルプスの稜線に臨むことを決意。東稜往復で簡単に済ませようという考えも捨てて、南駒〜越百周回を厳粛に修めることとする。
【山行概要】
(登山口〜南駒ヶ岳)
登山口には十数台の車が既に駐車していたが、その後も出発までポツポツと車がやって来る。今回山行を逡巡したのは、久し振りの夜間単独山行ということもあったためだと思うが、人の気配がプンプンしていたため、意外とすんなり山行を開始することができた。
最初は轟々たる沢音を聞きながら林道歩きで、四合目から山道となる。山の至る所から足元に沢水が流れ込んでおり、最初は歩くのに難儀するが、段々と慣れてくる。その後、沢から徐々に離れて高度を上げていくのだが、道はジグザグになっているので、漫然と直進し続けないこと。
北沢尾根は、山のグレーディングにおいてD難度とされている。
D難度の登山道は、
◇厳しい岩稜や不安定なガレ場、ハシゴ・くさり場、藪漕ぎを必要とする箇所、場所により雪渓や渡渉箇所がある。
◇手を使う急な登下降がある。
◇ハシゴ・くさり場や案内標識などの人工的な補助は限定的で、転落・滑落の危険箇所が多い。
ということだが、前の週に往復した不帰キレットと同レベルかと言われるとどうかな。1つ目の◇については、まあまあ該当するが、2つ目、3つ目については、それほどでもといった感じ。敢えて言うならば、不帰キレットがD+、北沢尾根がD−といったところか。山のグレーディングにおいては、体力度はある程度数学的に表現できるようになっているが、難易度の方は定性的で曖昧な感があるので、こちらも何かしら定量的に表現できればと思う。
そういう意味では、この山行記録においても何かしら具体的表現をすべきであるので、記憶を呼び起こすと、三角点から暫くすると藪が濃くなり、ハイマツ等を脇に払いながらの歩行となるので結構体力を要する。しかし、登りにおいては足元の道がはっきりと幅を持って見えるので、道を見失うこともなく、藪を横に払うのが面倒なだけ。後で歩く越百山〜南越百山間の藪の方がはるかに酷い。しかし、登りでは見えるものが下りでは見えないこともあるので、下りに使う場合は細心の注意が必要だろう。
藪道を進むと、段々と岩が増えてくる。最初、岩峰群を越えながら山頂に行くものと思って身構えていたのだが、実際は岩峰の脇を巻いていくので、かなり拍子抜け。ただし、それなりに岩を上っていく箇所はあり、風化でザレている箇所もあるので、油断は禁物といえよう。
ただ、難度がAだろうがDだろうが、転倒滑落はいつでもどこでも起こり得る。恐れ過ぎず、また、侮ることなく歩くべきが山道である。
(南駒ヶ岳〜越百山)
稜線到達前から雲は晴れていたが、南駒ヶ岳の山頂に至って東側の南アルプス、八ケ岳も見えるようになった。雲が多いことは多いが、もしかしたら展望を得られないかもと思っていただけに士気もいよいよ高まる。やはり来て良かった。山頂に祀られた祭神に陳謝と感謝の誠を捧げる。
南駒ヶ岳〜仙涯嶺間もグレーディングではD難度だが、核心は仙涯嶺直前の登りで、此方は間違いなく急な登下降があり、転落・滑落の危険箇所がある。しかし、それまでの稜線は歩きやすかったり、これまた岩峰を巻いたりと、難度にも濃淡がある。
仙涯嶺〜越百山間は若干ザレている箇所があるものの、基本はなだらかなアップダウンで安心して歩けるだろう。
(越百山〜南越百山【今回の最難関】)
越百へ到る途上、いよいよ雲量が増え、東から西から風に乗って雲が稜線にかかるようになる。越百山に至って、いよいよ稜線は雲に覆われ、一旦展望が回復したものの、これ以上の展望は望めないものと思われた。
そのため、下山しても良かったのだが、予定よりも早く進行していたため、片道1kmも無い南越百山まで足を伸ばしてみることにした。
が、初めは無難な稜線山歩と思わせておいて、早々に激藪となる。北沢尾根の藪はまだ足元がはっきり見えたが、こっちはよく見えない。しかも、道は斜面の端を通っており、尾根の真ん中を通る北沢尾根と難度は段違い。ヤマプラなどで越百〜南越百間20分となっているが、あれは奇特な方が鉈でハイマツやシャクナゲの頑丈な枝をバッサバッサと叩ききって道を啓開してくれた後に歩くなら可能だろう。
飯島分岐から尾根上に上がる踏み跡らしきものがあったので、それに従い、踏み跡が途切れた後は尾根上の藪中にダイブ。藪の波に翻弄される。南越百を諦めようかなとも思ったが、山頂は目の前だ。左側に尾根を巻く道(藪でない箇所)が見えたので、強引に藪の中を突破して正規の道に復帰。その後も激藪は続くが、何とか南越百山に到達する。
それまでの激藪が嘘のような穏やかな山頂だが、藪漕ぎに疲れてさっさと帰りたくなり、早々に辞去した。
このように、南越百は軽い気持ちで足を伸ばすような山ではなく、本腰を入れて臨むべき山だった。
(遠見尾根から下山)
雑誌だったかテレビだったかで越百山について「皆さっさと先に行っちゃうけど、ゆっくり落ち着きたくなる良い所がある」というようなことを言っていた。それが南越百山かと思って足を伸ばしたわけだが、あんな激藪突破を強いるような所を紹介するとも思えないので、越百小屋から行く安平路山展望所のことなのかもしれない。雲が空を覆ってしまったので、そちらはスルーしたが、また空が澄んだ時に訪れてみたいものだ。
小屋からの上り返しは、延々と歩いてきた身には辛いが、上りきってしまえば後はほぼほぼ下り一辺倒。ずっと歩き続けると膝に来るので水場等で適度に休憩を挟む。
下の水場で咽喉を潤せば、間もなく沢沿い、栃福平に出る。
林道沿いは下に沢が流れ、上からは滝が流れるといった風情で、大して火照りもしなかったが、心身のクールダウンをしながら歩くことができる。
【総括】
今回、大事を取って軽く済ませる感じになったが、周囲の雲量を考えれば妥当な線だったろう。その中でも南アや富士山、八ケ岳を視界に収められたのは一種の恩寵だと言える。これもまた、天候に不安が残る中で無理せず自省したことへの報いだろう。
秋山の第一弾としては文句無し。これから暫くは長雨の季節となるが、休むべき時は休み、好機は逃すことなく、今回断念した大本命等いつでも縦走できるよう備えておきたい。
〜おしまい〜
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